2014年5月24日土曜日

原発問題連絡会ニュース 第248号 2014年5月20日

「原発から撤退」「再稼働反対」の
合意形成めざし
引き続き「全道100万人」
署名を推進―
                                                           道原発連
原発問題全道連絡会(道原発連)は、「原発から撤退」の道民合意の形成をめざし、引き続き「原発のない北海道の実現を求める『全道100万人』署名」に取り組んでいます。4月25日は宗教団体や労組への協力要請行動、4月26日はチェルノブイリデー宣伝行動、5月5日は泊原発停止2周年記念の緊急行動、5月12日は定例のフクシマデーに取り組みました。

日本基督教団の教会と懇談―署名協力を快諾する教会も

他団体への「全道100万人」署名の協力要請行動は1月に続いて2回目。この署名については、「道新」が4月19日付(夕刊)で、「脱原発100万人署名達成へ追い込み」「倉本聰さんらが呼びかけ」の見出しで「3月に第1弾として約63万人分の署名を道に届けた」「10月までに100万人分を集めたい考えだ」などと報じています。
北光協会への要請('14年4月25日)
この日は、フクシマ後、脱原発宣言を発表(2011年12月1日)している日本仏教会や「原子力発電所の稼働停止と廃炉に向かっての処置がなされることを求める」議長声明(2013年3月11日)を出している日本基督教団の教会など20数カ所をリストアップし、札幌市内の中央区と北区、東区所在の5カ所を訪問しました。
日本基督教団北光教会では、居合わせた副牧師さんと懇談。副牧師さんは、「私もまだ子どもが小さいので心配です。原発をなくすことには賛成です」「署名用紙は、受付に置いて日曜日の礼拝に訪れる人が署名できるようにします」と快諾(写真)。別の教会では、牧師さんが応対し「私は署名します」とその場でサイン。その他の教会や真宗大谷派の支院はいずれも留守で資料だけ届けました。

4・26チェルノブイリデーなど3回の行動で
                  署名150筆

チェルノブイリ原発事故から28年目の4月26日の行動は、札幌駅北口駅前広場に道労連加盟労組や新婦人道本部、日本共産党北海道委員会、道原発連などから10数人が参加、「全道100万人」署名72筆、泊原発停止から2周年となる5月5日の行動では署名57筆、5月12日のフクシマデーと合わせて3回で150筆の署名が寄せられ、原発ゼロや再稼働反対が多数派であることを実感させるものとなりました。

住民の安全が守れない避難計画でなく
  全住民参加の実証避難で実効性の検証を   
                              大田勤町議の代表質問から

  泊原発から30キロ圏の13町村には、原子力防災計画・避難計画の作成が義務付けられています。泊村に隣接する岩内町の計画の実効性が欠ける実態を明らかにした共産党の大田勤町議(道原発連代表委員)の第1回定例岩内町議会での代表質問の概要を紹介します。

道の避難時間推計シミュレーションは絵に描いた餅
   夏の日中で14時間15分、冬で16時間15分だというが・・・

絵に描いた餅~その1 道のシミュレーションに要援護者は含まれず

大田議員:道が2013年(平成25年)4月から10月までで推計した避難時間シミュレーションは、交通渋滞、災害時の状況など372パターンで考察し、岩内町の推計では自家用車などを使い30キロ圏外へ移動する時間を、夏の日中で14時間15分、冬で16時間15分とした。しかし、このシミュレーションに災害時要援護者は入っていないと(町議会の)委員会で理事者が答えている。バスなど車両確保時間や集合場所までの移動時間が含まれているのか。
上岡町長:集合場所は各町村の役場とし、バス手配などの主要時間は含まれているとの報告を受けている。

絵に描いた餅~その2 全住民参加による実証避難の検証は困難

大田議員:道のシミュレーションを検証する全住民参加による実証避難を実施すべきでないか。
上岡町長:道のシミュレーションは、より効果的な避難方法や交通渋滞対策の検討を目的としており、示された避難時間も避難先までのものではなく、あくまでも参考数値だ。これを目的に実証避難を行うとすれば13町村の全住民が一度に実証避難を実施する必要がある。しかし、そのような実証避難の実施は非常に困難だから、避難時の交通渋滞個所の洗い出しや、効率的な避難方法を検討する一つの手法として、数値的シミュレーションを行ったものと理解している。

絵に描いた餅~その3 メルトダウンまで約19分、
格納容器から放射能漏れまで約90分では避難すらできない

大田議員:原子力委規制委員会が、再稼動申請中の泊3号機で大口径配管破断による原子炉冷却材喪失、非常用炉心冷却失敗、格納容器スプレー注入失敗の場合の過酷事故では、炉心溶融開始メルトダウンまで約19分、原子炉容器が破損し格納容器からの放射能漏えい意開始まで約90分と推計している。すみやかな避難が必要だが、災害時要援護者の避難方法や移送場所なども明らかでなく避難計画に入れてもいない町の原子力防災計画では逃げることすらできないのでないか。
上岡町長:災害時要援護者の避難方法や移送場所については、町としては2014年(平成26年)度中に町内会・自治会長を対象とした説明会の開催や社会福祉施設、医療機関などとの連絡会を設置することにしている。具体的な要援護者の避難方法や移送場所は、この中で協議していく。

絵に描いた餅~その4 住民の安全が守れない避難計画、
避難実証のできない防災計画

大田議員:住民の避難計画と5キロ圏外での放射線のモニタリング計画の2つは、再稼動の条件にすべきだ。そうでなければフクシマの反省を踏まえたとはとても言えない」と京都大学防災研究所の牧紀男教授が「道新」で発言している。生業の糧として原発の再稼働を支持する声も聞こえるが、災害時の避難はみんな同じだ。こうした住民の安全が守れない避難計画、避難実証もできない防災計画での再稼働などありえない。避難しても現在の技術では、自分の故郷にも帰ることができないのが現実だ。原発は稼動させず、このまま廃炉にすべきだ。
上岡町長:原子力の廃炉については、国のエネルギー政策上の位置づけなども踏まえながら、国及び電力事業者において判断すべきものと考えている。

道は原子力機構の
3者協定に反する動きを許すな
道内での最終処分場候補地選定を拒否すべき

              
5月14日、道北連絡協議会が対道交渉

 核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会(代表委員・鷲見悟幌延町議ら3氏)は5月14日、幌延深地層研究センターの次年度以降の研究計画と国とNUMOが進めている高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地選定問題などについて、3点にわたって道に説明を求め交渉を行いました。やり取りの概要は以下の通り。

道は、昨年9月12日に文科省と原子力機構に「幌延深地層研究センターの研究事業は、当初の予定通り着実に進めるよう申し入れた」「その結果は昨年12月3日の道議会エネ特で報告した」と表明。これに対し道北連絡協のメンバーは「当初計画通りということは、地下500㍍まで掘削し研究してほしいということか。当初計画の事業費は、これまでの350㍍までの掘削で、すでに当初の事業費規模を超えている。500㍍までの掘削は出来ないのでないか」と追及。道は「地下500㍍まで掘削してほしいと言ったわけではないが、当初計画通り進めてほしいと言ったということだ」とあいまい。
また、道北連絡協の鷲見悟氏が「4月24日に東海村の原子力機構の研究所を町議会総務文教常任委員会で視察に行った際、野村茂雄バックエンド部門長(原研機構理事)と昼食しながら懇談。その際野村氏が、「幌延も瑞浪もこれまで掘った穴は埋め戻さないで再利用したい」「幌延は地下500㍍まで掘ってそこで地層処分研究をしたい」「ホット試験(放射性物質を使用した試験)もやりたい」「そうなれば研究期間は今後10年程度はかかるので当初の20年程度では終わらないだろう」「その場合、3者協議について再協議することになる」などと発言したことを紹介し、「これは明らかに3者協定に反するものだ。道は、さきほど原子力機構が『3者協定を順守する』と回答したとの資料を配布したが、3者協定に反する野村茂雄部門長の発言と食い違っている。明らかにすべきだ」と要求。道は調査を約束せざるを得ない事態となりました。
さらに、最終処分場の候補地選定問題について、道北連絡協のメンバーが「最終処分場の候補地選定について、国からの文献調査の要請があっても、道は核抜き条例を持つのだから、当然拒否すべきだ」と求めたのに対して、道は「文献調査は道を飛び越えて直接市町村に要請が行く」と述べるだけで、道として拒否するとは言わないままでした。(米谷道保)

国のエネ予算~原発推進は増額、
再エネ・省エネは減額
道の原子力防災予算 ~ 
泊原発再稼働の条件整備費が突出
―今年度の国と道のエネルギー、原子力防災関係予算から―

 国の新年度当初予算のエネルギー関係予算は、原子力対策費が昨年度3875億円から今年度4175億円へ300億円増え、エネルギー関係予算の中で38・2%を占め第一位、一方、再生エネ対策費は4億円減額、省エネ対策費は8億円減額、両方合わせても20・2%で、原子力対策費の約半分です。まさに原発推進の姿勢がはっきりあらわれた予算となっています(「議会と自治体」誌3月号)。閣議決定されたエネルギー基本に沿ったものになっています。
 一方、道予算は、2013年度末の国の大型補正予算のうち、原子力防災安全対策費の道の補正額が14億円増となっています。これは、規制委員会の防災指針により、緊急時に要援護者の避難が困難なことから、原発周辺地域の要援護者施設等に放射線防護対策を行うことになっているため、一時的(数日間程度の)な屋内退避施設を確保するための整備費です。中身は、泊原発から5キロ圏内の泊村と共和町の役場と特養ホーム、保健福祉センターなど6施設に、換気設備や非常用電源装置を設置するものです。役場の整備に各3億円で計6億円、特養や福祉施設の各2施設にそれぞれ2億円で計8億円です。数日間の屋内退避で放射線の影響を避けられるものか疑問です。
 新年度の原子力安全対策関係の道予算では、緊急時(放射線を放出するような重大事態時)の防災活動資器材整備費(防護服、測定機器、衛星携帯電話など)を約1億6千万円増額(全額国費)、緊急時連絡網等維持管理事業費(緊急時連絡網維持管理、SPEEDIシステム維持管理、モニタリング情報共有システムの整備など)を約6500万円増額、原子力環境安全対策費(道立原子力環境センター関係費)を約3億円増額(うち2億8千万円が緊急時に備える同センター改修費で、これも国費によるもの)、さらに原子力災害緊急事態応急対策拠点施設整備費12億2千万円増額(これは泊原発から2キロの位置にあるオフサイトセンターを移設する経費。2013、14年度2カ年で総事業費21億円で本体工事を行うもの)などです。
 これらの原子力防災安全対策費(補正分)14億円と原子力安全対策関係費の増額分17億4千万円は、合計約31億円4千万円と巨額です。いずれも全額国費による増額で、泊原発の緊急時に備える再稼働のための条件整備費です。この分野の道予算は、補正分を含めて総額38億円、31億4千万円は82%を占めます。まさに再稼動の条件整備費が突出した予算です。(米谷道保)

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 川内原発やめろ!6・1官邸・国会前大抗議(首都圏反原発連合主催)に呼応

川内原発・泊原発再稼働反対!
6・1連帯札幌行動に集ろう
 
   ◇日時     6月1日(日)13時~同45分
◇場所     札幌市中央区大通公園西3丁目

◇主な行動   リレートーク、原発のない北海道を「全道100万人」署名、
                        ハガキ付チラシ配布など。

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