2015年9月29日火曜日

原発問題連絡会ニュース 第264号 2015年9月20日


 違憲の戦争法案を自公が参院特別委で
強行採決の暴挙!
原発をテロ攻撃にさらす戦争法案強行は許せません!
暴挙の撤回と廃案を求めよう!
 自公両党は17日夕刻、参院安保法制特別委員会で憲法違反の戦争法案の採決を強行しました。しかし、憲法9条を壊し日本を戦争する国にする悪法を、多数議席を傘に着て強行突破するなど絶対認められません。採決したという参議院特別委員会は、ひどい混乱状態でなにが行われたかまったくわかりません。そのうえ18日に参議院本会議でも強行するなどとんでもありません。
 憲法に違反する戦争法案、原発をテロ攻撃にさらす危険を格段に高める戦争法案は絶対に認められません。強行採決の撤回と廃案を求めたたかい続けましょう!

原発再稼働の本質は原発利益共同体。
再生可能エネで地域経済再生を!
吉井英勝NER代表(元衆院議員)のわかりやすい講演
に確信強まる
― 8・26原発ゼロをめざす学習講演会に120名 ―

 8月26日夜札幌エルプラザホールで吉井英勝さんを講師に迎えて開催された「原発ゼロをめざす学習講演会」には、札幌市と近隣市町から120人が参加、最後まで熱心に視聴しました。

戦争法で原発テロの危険が現実のものに

 
吉井さんは最初に、「戦争法と原発」について触れ、集団的自衛権行使・戦争立法で、海外でアメリカの戦争に参加することになれば、敵国をつくり、敵国から攻められる日本になる。その敵国に報復の力(経済力や軍艦やミサイル)がない場合、手段はテロになる。日本の大きな弱点の一つが原発で、3・11フクシマ原発事故で示されたように、直接原発を攻撃しなくても、送電鉄塔と送電線を攻撃する。これは例えば、ミサイルや大砲で狙わなくても高圧送電鉄塔の電線を、銅線などをぶら下げたドローンなどを飛ばして電線をショートさせれば済む話で、過疎地に設置されている原発は狙われやすい。すでに31年前(1984年)に外務省の外郭団体が、原発がテロ攻撃される3つのシナリオについて研究し、攻撃される最も危険なケースは、原発の炉心を冷却させる動力源・補助電源の喪失であり、次いで格納容器破壊、原子炉直接攻撃だと述べています。戦争する国になることは重大な誤りだ―と強調しました。

原発利益共同体が原発問題の本質。
原発輸出と原発再稼働は一体不可分

ついで吉井さんは、原子力村とかムラ人という言葉がメデイアで使われるが、これは原発問題の本質を見誤るもので、問題の中心は「原発利益共同体」―すなわち、三菱重工、東芝、日立の原発メーカー、原発建設に関わる鉄鋼大企業と鹿島建設などのスーパーゼネコン、そして資金調達するメガバンク―これらが原発問題の中心をなすもので、こうした巨大勢力との闘いだと強調しました。
これら原発利益共同体にとって、原発輸出と原発再稼働は一体不可分のものだとして、自動車輸出と対比し、自動車は購入した国の個人がすぐ運転できるが、原発は個人では動かせない。動かすには、輸入国の労働者が原発を動かし定期点検もできるように技術者の養成が必要となる。輸出国日本が原発を再稼働し、技術者を養成しなければならない。原発利益共同体にとって、原発輸出と原発再稼働は一体不可分の問題だ。だから福島の事故が収束しようがしまいが、国民の多数が再稼働に反対しようがしまいが、再稼働に固執し強行するーここに本質がある―と力説しました。

新規制基準は敷地境界線量基準を削除する等、
とても「世界最高水準」とは言えない

  さらに吉井さんは、新規制基準は世界最高水準かーに話を進め、2012年6月5日の衆院環境委員会での吉井質問に対して、当時の原子力安全・保安院は、福島第一原発の敷地境界での累積放射線量は、3・11事故から1年間で956ミリシーベルト(以下mSv)だったと答弁。当時の原子力安全委員会の斑目春樹委員長は、「原子炉立地審査指針では、敷地境界線量250mSvであるが、実際にはICRP(国際放射線防護委員会)の基準である100mSvで考える」と答弁した。また、同年11月7日の衆院経産委員会で田中俊一規制委員長は「一般論としてはご指摘の通り」「基準を満たさないものは動かさない」と述べ「新規制基準ではそういうこと(100mSv)になると思う」と答弁していた―と指摘。
ところが、新規制基準では、敷地境界線量という言葉自体を削ってしまった。基準に入れると、全国のすべて
の原発の再稼働が出来なくなるからだと告発。このほか、ヨーロッパなどで最新の原発に採
用されているコアキャッチャー(溶けた核燃料を受け止める装置)についても基準に入れていないし、航空機墜落やテロ対策で格納容器を二重構造にすることやメルトダウン後の高線量環境下で人の力(操作)に頼らず事故収束を行うシステム開発も必要だが、いずれも全く考慮されていないーとても「世界最高水準」と言えるものではないと厳しく批判しました。

再生可能エネルギーの爆発的普及で、国民の立場に立った
地域経済・エネルギー政策への転換が不可欠

最後に吉井さんは、原発をやめて再生可能エネルギーを普及する取組みについて、日本では、再生可能エネルギーの物理的潜在量は、12兆kwh。これはわが国の年間総発電電力量9000億kwhの約13倍。日本は地熱で世界第3位、平均降雨量は世界平均の2倍、森林面積は国土の約7割。太陽光もあり、資源の豊かな国だと述べ、再生エネ利用の内外の先進事例のいくつかを紹介。
そのうえで、再生可能エネルギーは地理的条件によって異なるから、住民自治の見地で地域で議論することが大事で、それを自治体が後押しする仕組みづくりが必要と指摘。農林漁業や中小企業と結びつけて、地域金融機関を含む地域経済再生をすすめ、金融資本が支配するグローバリズムから地域経済の持続的発展へと転換をはかっていくことが重要だと力説しました。

札幌東部民商の中澤総事務局長の発言
「原発に依存しないエネルギーを自分たちの手で」 
~ 吉井講演会参加者の発言

東部民商では、民商の中のバッテリーに詳しい会員や電気設備、エレベーターに詳しい会員など10数人が集まって「手づくりで太陽光自家発電ができないか」と研究グループができた。このお盆明けには「電気代が高くて、クーラー使用を節約していたラーメン屋が、自前の発電設備をつくり、経費削減に生かしている」という店を訪問して、その実践内容を見学。原発ゼロの運動と合わせて、中小業者の立場、モノづくりの角度から、自分たちでできるアクションを起こしていこうとしている。実際に太陽光パネルを設置するには、100万円とか200万円とかが初期投資に必要だ。それは私たちには難しい。そこで必要な電気を全部生み出すことは出来なくても、数万円から30万円程度で、電力を自分たちで生み出せる発電設備ができれば、北電のような独占企業に生活を左右されないで地域循環型経済の一歩を踏み出せるーそのようにしたい。

原発も核のごみもない安心・安全な北海道を
  9・11イレブンアクションから道議会請願署名スタート
 ~ 道原発連・国民大運動道実行委
 北電による泊原発の審査申請から丸2年2カ月、稼働停止から3年4カ月。原発問題全道連絡会と国民大運度北海道実行委は9月11日昼休み、紀伊国屋書店札幌本店前で9・11イレブンアクションを実施、7団体から8名が参加し道議会請願署名行動をスタートさせました(写真)。
 「泊原発は再稼働せず廃炉に」「大間原発建設中止」など4項目の道議会請願署名

 この日スタートした道議会請願署名は、今年3月末まで取り組み、すでに63万筆余を知事宛てに提出した「全道100万人署名」の4項目を基本的に引き継ぐ内容(①泊原発は再稼働せず、廃炉に ②大間原発建設中止を ③北海道を核のごみ捨て場にさせない ④原発をやめて再生可能エネルギーへ転換を)です。原発も核のごみもない安心・安全な北海道の実現を道議会に請願するもので、道議会がどう受け止めるかが問われる重要な意義を持ちます。数は力です。1筆でも多く集めて道議会に署名を添えて請願書を提出しましょう。








「国が十分な情報提供を行い、
国民合意を形成していくべきこと」とまるで他人事
―「高レベル放射性廃棄物の処分問題に関する申入れ」
に道が文書回答―
 去る7月24日に道へ申入れを行なった核のごみの処分問題に関して、当日時間切れで未回答になっていたことから、8月末あらためて文書回答を要請。9月3日付で文書回答が寄せられました。概略を紹介します。
「核のごみをこれ以上増やさないために、再稼働せず廃炉を国に求めよ」
~「国が責任持って判断すべき」


1項目の「核のごみをこれ以上増やさないために、電力不足が起きていない今、泊原発を含む全国すべての原発を再稼働せず、直ちに廃炉を決断するよう国と電力会社に申入れて下さい」について道は、「電力については、それぞれの電源の特性が生かされた多様な構成としていくことが必要」「将来、原発に依存しない北海道をめざし、新エネルギーが主要なエネルギー源の一つとなるよう育てていくことが重要」「原発をめぐっては、安全確保が最優先であり、規制委員会において厳格な規制基準に基づく審査が行われ、再稼働については、国が責任持って判断すべきと考えます」と国に丸投げ、無責任の極みです。
◎第2項「破たん状態の核燃サイクルからの撤退を国に申入れて下さい」については、「国が国民の理解が得られるよう、十分な説明を行うなど、丁寧に取り組む必要がある」とこれも国まかせです。
◎第3項「国の核のごみの地層処分方針は、国民合意がなく、いったん撤回を求めよ」については、「国が安全性を最優先に、十分な情報提供を行い、国民合意を形成していくことが不可欠」と国に撤回求めず、げたを預ける態度です。
◎第4項「幌延深地層研究センターは直ちに廃止を国に要請を」については、「3者協定遵守を求めるとともに、厳正に対応していく」「核抜き条例は今後とも遵守」というが、幌延深地層研究センターの廃止も埋戻しや解体撤去も一言も求めていません。

上部調整池の直下400㍍の山中をくりぬいた
巨大空間に地下発電所を建設
  低い稼働率の打開策が問われる 

 京極揚水発電所見学に参加して(その2) 
高木直良さん(プシネニセコ支部)

この日は、標高900㍍の上の池(上部調整池)は、霧で覆われ、水面も見えない状況でしたが、満水になっており、発電可能な状況でした。この池は震度3の地震にも耐えられる耐震性を持つとのことで、立派な監視事務所を設置し24時間体制で監視していました。
 この後、登ってきた道を半分ほど下った中腹に、管理用(機器搬入用)のトンネルがあり、その入り口から約1・5㎞の緩い下り勾配のトンネルを進むと、発電機が3基おさまる大空間に到着しました。この大空間は15階建ビルがすっぽり収まるもので、高さ48・5㍍、幅24㍍、長さ141㍍の地下大空間です。ここにすでに1号機と2号機の2基の発電機が設置済みで稼働可能な状況でした。3号機は2024年度以降の電力の需要動向によっては設置されない可能性もあるとのことでしたが、3号機用の地下5階までの空間も用意されていました。
 トンネルを引き返して道道に戻り、下の池(下部調整池)まで下りました。下部調整池はロックフィルダム(岩石や土砂を積み上げて作ったダム)で、この近くまでは道道で来ることができ、池と周辺の景観を臨むことができます。

原発をやめ、再生エネの飛躍的普及で稼働率大幅アップの決断が課題か?

 担当職員の説明では、この夏、北海道としては36度と異常に気温が上がった6月3、4日の2日間、ピーク電力需要に対応するために1、2号機ともに稼働させたということでした。
 しかし、揚水発電所の全国的な平均稼働率は、原発が稼働していた年度でも3%台で、原発が全面的に停まってからは2%台、1%台に落ち込んでいます。
日本共産党の倉林明子参議院議員は6月の経済産業委員会の審議で、来年度からの電力自由化と料金決定に関する質問の中で、揚水発電の利用に上限を設けているのではないかとの疑問を呈し、今後、自然エネルギー(再生可能エネルギー)の拡大とともに調整機能が優れている揚水発電の最大限の活用を求めています。泊原発の再稼働を許さず、京極揚水発電所への1600億円もの投資を無駄にしない道を探るという課題を突き付けられた思いに駆られました。