2017年1月29日日曜日

原発問題連絡会ニュース 第280号2017年1月20日


国と東電が責任を果たすよう求める
         100万人請願署名と
 全国紙(「朝日」「毎日」 2月11日付)
          意見広告賛同運動へご協力を!

―1月15日現在、署名数2834筆、
         意見広告賛同金36団体・個人で21万円余―
 
 いま原発連は、原発をなくす全国連絡会とふくしま復興共同センターが呼びかけている新100万人署名と全国紙(朝日、毎日)の意見広告の賛同金運動を成功させ、安倍政権の福島切り捨て政治強行をやめさせようと奮闘中です

 北海道では、原発連と国民大運動北海道実行委が共同で、署名の推進と意見広告賛同金を成功させようと呼びかけています。先週(1月15日)までの到達は、署名数2834筆、意見広告賛同金36団体・個人で21万3610円となっています。

署名は5月末まで、意見広告は2月11日付掲載予定であり、締切は1月末です。意見広告賛同金の締め切りが迫っています。加盟団体とその構成員、原発なくす運動団体や運動参加者に声をかけ、意見広告賛同金の取組みを急ぎましょう。
 
―意見広告賛同金の締切は1月末です。
                      取り組みを急ぎましょうー
 
 
3・11からもうすぐ6年・・「福島を忘れない」ために
「福島の仲間の思いを共有し連帯するつどい」
        道民医連・勤医協札病共闘委
―福島民医連病院職員の講演
     「子どもたちの声に耳を傾けて
       ~原発事故から何を学びどう生きるか」を聞いてー
道民医連と勤医協札病共闘委員会共催のつどいが1月11日に札幌市内で開催され、福島県民医連わたり病院の職員の方が1時間余講演しました。以下は、講演を聞いた私の感想です。
 
震災当時(2011年)のこと 震災当時、職員のおうちは、小学1年生と3歳、1歳の3人の男の子の子育て真っ最中で、なにより放射能の影響が心配だったようです。福島市は、福島第一原発から65㎞くらい離れていますが、それでも平常よりかなり高い放射線量が観測され、洗濯物は外に干せない、家の窓は開けられない、学校や保育所、学童保育所では、子どもを外で自由に遊ばせられないなど、何をするにも放射能に不安を感じる毎日だったようです。
食品の安全性は? 風評被害も含めて福島県産の食料・農産物はほとんど食べられなくなったようです。この職員の家の周りは農家が多く自然が美しいところだったそうです。家の前には大きな栗の木があり、震災前は毎年その栗の木の実を採って食べていたようです。しかし、その栗も震災の年には食べられなくなり、誰も栗の実を採らなかったようです。2年目(2012年)の秋に栗の実が食べられるかどうか線量を測定したところ、65ベクレルだったそうです。栗など一般食品の放射線量の基準値は、2012年4月1日から100ベクレルに引き下げられたので、それと比べると食べてもいいような線量だったのですが、食べる気持ちにはなれなかったそうです。3年目には線量が下がったという風評が広がり、栗の木の実も全部採れたそうです。食品の安全性がどれほど大変な問題だったか、あらためて驚きました。だから福島では、県内産の農産物は、すべて線量を測定して安全なものしか出荷しなかったと話には聞いていましたが、それでも風評被害は想像以上だったんだと思います。
子どもたち思い 子どもたちの思いはどうか、大人目線でなく子ども目線で原発事故をどう受け止めているのかが大事だということから、2011年10月に福島市内で行われた反原発全国大集会に家族そろって参加することにした時、上の子2人に絵を描かせたところ、うえの子は「ふくしまを返せ」と書き、下の子は「オレたちはそとであそびたいんだ」と書いたそうです。この表現の率直さとその思いの強さに驚かされたようです。育ち盛り、外遊びがしたいことがいっぱいの子どもたちにとって、外で自由に遊べないことほどいやなつらいことはなかったということだったのでしょう。私もあらためて「親の目線だけでなく、子どもの思いは子ども目線で考える大切さ」を感じさせられました。
震災から間もなく6年、原発事故の被害とは何だったのか?
震災からまもなく6年になります。福島市では今は震災前と同じように遊ぶことができるようになっているそうですが、この制限を解除していくには、放射能について学び、実際に測定して確認し、学童保育の指導員や保護者との真剣な話し合いをするという過程を何度も何度も繰り返しながらの作業が必要だったとお聞きしました。子どもの成長は、この「当たり前」を取り戻す作業に膨大な時間が必要だったということです。原発事故がなければ、子どもたちが放射能の不安にさらされずに育つ権利が長期間にわたって奪われることや本来必要がない作業に膨大な時間と労力が費やされることもなかったはずです。これが原発事故の恐ろしさなんだと痛感させられます。
親としての思いは? この6年間子どもたちも大人も不安の中で試行錯誤しながら暮らしてきたとのことです。福島市内には今も放射線の影響を理由に外での遊びを禁止している学童保育所があるそうです。どの選択が正しいか、今は誰にもわからないけれど、親としてはどんな環境でもすべての子どもたちが健やかに成長することを強く願っている―私にも強く響くものがありました。
最後に  講演を聞き、また配布された資料を読んで、あらためて「やはり原発はいらない」「すぐやめるべきだ」「それ以外にない」と思わずにいられませんでした。(米谷記)
 
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 原発連 第26回総会のご案内
 
☆日時   2月25日(土)午後1時30分~午後4時30分(予定)
☆会場   ちえりあ(札幌市生涯学習センター)3階研修室4
       (地下鉄東西線、宮の沢駅から地下直結通路で徒歩約5分)
 
 ◇加盟団体代表、理事、個人会員の
                皆さんのご参加をお願いします。                                                                                     
 ◇経験交流の発言をお願いします。
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許せません!国民に負担増押付ける
          「東電改革」に続く
“もんじゅ”破たんの反省も総括もなく
          高速炉開発方針決定!
 
安倍内閣は昨年12月20日、福島第一原発事故の処理費用が、これまでの11兆円から21・5兆円に増えるとの新試算を示し、その費用を税金(帰還困難区域の除染費用)と託送料金(送配電費用)に上乗せし国民に負担させて救済する基本方針を閣議決定しました。さらに21日の原子力関係閣僚会議では、1兆円超える国費を投入しながら20年間で250日しか発電できず破たんが明白となった“もんじゅ”の廃炉を、なんの反省も総括もなく「技術的には問題なかった」が「マネジメントにさまざまな問題があった」などと安易に結論づけ、核燃サイクル推進に固執、新たに高速実証炉開発を進める方針を決定しました。一層の国費の無駄づかいが必至です。通常国会で関連法制定をもくろんでいますがとんでもありません。直ちに撤回を求めましょう。道原発連は、安倍首相、世耕経産大臣などに次の抗議文を送りました。
―「東電救済、国民負担増押付けの”東電改革“方針の閣議決定を撤回し、国と東電の責任で事故処理を果たせ!」
―「破たんが明白な核燃サイクル推進に固執し、さらなる国費の無駄遣いが必至の高速炉開発方針を撤回し、核燃サイクルから撤退せよ!」
 
 
 
 
 
泊原発重大事故時、防護施設の
       陽圧値15パスカル設定では
防護施設に退避中に被ばくし続けるのでは?
            ―国に見直し求めよ
 ―昨年12月の岩内町議会代表質問で共産党の大石美雪町議(道原発連理事)が質す―大要を紹介します
 
 
 
大石議員「原発事故時被ばくを防ぐための防護施設として整備された“あけぼの学園”の室内陽圧が15パスカルに設定されたが、後志管内の放射線防護施設はみんな同じ陽圧値に設定されているのか。原発から直線距離で10・4キロ離れているオフサイトセンターも同じか。」
 上岡町長「後志管内の10施設が防護対策事業を実施しているが、その設定差圧は、19パスカルが1施設、15パスカルが8施設、10パスカルが1施設となっている」「オフサイトセンターは15パスカルとなっている」
 大石議員「この陽圧基準について、内閣府は、年間を通じた平均風速に耐えることが必要だとしている。一方、規制委員会は、平均的な気象条件よりむしろ出現頻度から見て滅多に遭遇しない厳しい気象条件を用いる必要があるとしている。放射線防護施設の陽圧基準が定まっていないことをどう考えているか」
 上岡町長「平成26年度に国から示された『放射線防護対策に係る基本的な考え方について』のなかで、『差圧の設定は、最低限、年間を通じた平均風速に耐えうることが必要』と示されており、これが基準と考えている」
大石議員「2016年11月13日の原子力防災訓練時の共和町の平均風速は3・4㍍/秒、最大瞬間風速は10・6㍍/秒。14日の平均風速は3・6㍍/秒、最大瞬間風速は16・3㍍/秒です。町長は年間を通じた平均風速で陽圧を決めていると答えたが、今回の訓練時の風速で15パスカルの陽圧施設では外気とともに放射能が吹きこんでくるのでないか」
 上岡町長「防護施設の陽圧確保には、第2種機械換気方式を採用しており、給気側が機械換気、排気側が自然換気であるため室内圧力は基本的に正圧となっている。だから外部からの空気は一時的に流入したとしても、区画内は送風機から空気を送り続けることで室内圧力が上昇し、区画内では設計値以上の室圧まで上がり陽圧を維持できると考えている」
 大石議員「あけぼの学園や西小学校など、町の防護施設の陽圧15パスカルは、最大風速何メートルまで室内を陽圧できるのか」
 上岡町長「西小学校は、平成26年8月に国から示された『放射線防護対策に係る基本的な考え方について』に基づき、年平均風速により設計しており、最大風速に対する検討はしておりません」
 大石議員「会計検査院が、全国の防護施設136カ所の陽圧設備実測差圧を調べた(平成25~27年)ところ、すべての施設が年間平均風速から求めた風圧を上回る結果となった(表2)。国が示す年間平均風速値では放射線防護の基準にならない。実際に建物に吹きつける風速を考慮した陽圧値を設定すべきで、町長がいう15パスカルの根拠は崩壊していると思うがどうか」
 上岡町長「町の防護施設の陽圧基準は、国が示す考えに基づき必要な陽圧値を設定したものであり問題はないと考えている」
 大石議員「クリーンエアシェルター(原子力防災用空気浄化ユニット付エアシェルター)を作製している再処理機器(株)は、HPで『クリーンエアシェルターは、体育館などの室内に設置するので、低い陽圧(数パスカル程度)で対応できますが、建物を陽圧化する場合は、強風で放射性物質が建物内に吹き込まないよう100パスカル以上の陽圧が要求される』としている。会計検査院が調べた全国136施設の陽圧値は、20パスカル未満から120パスカル以上で100パスカルから120パスカルまでが36施設と一番多い。志賀原発のある石川県の志賀町では、旧福浦小学校、志賀町文化ホール、町立富来小学校、町立富来病院などは150パスカル、羽咋市立邑知中学校100パスカルなどに設定されている。建物に吹き付ける風速を考慮して設計差圧を求めている。岩内町の防護施設は15パスカル。建物を陽圧化する場合、100パスカル以上の陽圧が要求されるのではないか。変更が必要でないか」
 上岡町長「岩内町の防護施設は、整備する施設がすべて気密性の高いコンクリート建屋であること、加えて国から示された基準に基づく陽圧化工事の実施により放射性物質の侵入を防ぐ機能を果たすことが出来ているものと考えている。国からは、防護施設の差圧設定の考え方の見直しなどは示されていないことから、変更の必要性はないと考えている」 
 大石議員「国が言うから問題はないでなく、意見を述べるべき」
 上岡町長「会計検査院からも所見が出されており、今後国が判断すべきものと考えている」
 
 
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●陽圧とは・・
 外気圧よりも内部の圧力が高い状態をいう
●どの程度の陽圧が必要か
 風速5㍍の風が建物にあたると、建物内部に15.5Paの気圧差が生じます(表1 参照)
<表1>
一般的な陽圧水準

風速

㍍/秒

バイアス圧

Pa(パスカル)


15.50


22.32


30.38


39.68


50.22

10

62・00

11

75.02

12

89・28

13

104.78

14

121.52

15

139.50

16

158.72

17

179.18

18

200.88

19

223.82

20

248.00
消防・防災設備の栄冠商事気密測定
ドアファンテストHPより作成
<表2>
全国136放射線防護施設
陽圧内訳
(平成25~27年 会計検査院調)

陽圧値(パスカル)

陽圧防護施設数

20Pa未満

16

20~40Pa

28

40~60Pa

24

60~80Pa

10

80~100Pa


100~120Pa

36

120以上

17


136
20Pa以上40Pa未満前後に道県集中
100Pa以上120Pa未満前後に府県集中