2016年4月29日金曜日

原発問題連絡会ニュース 第271号2016年4月20日

 道原発連と国民大運動道実行委、原発問題後志住民の会の3団体は、2月中旬に行なった後志管内14自治体への訪問要請行動で出された自治体の見解や要望をまとめ、3月22日から4月7日の間に道と北電、道経産局、泊原子力規制事務所に要望書をまとめ申し入れを行いました。そのうち道知事と北電社長への申入れの結果の概要をお知らせします。




過酷事故前提の「原発は安全」と言えない!
「安全最優先」をいうなら


泊原発再稼働を容認せず、

      即時廃炉入りを求めるべき
―4月7日、道原発連、国民大運動道実行委などが

道知事に要望を申入れー

 

道知事への要望は、次の5項目。①フクシマの教訓=「原発と人類は共存できない」を踏まえ、過酷事故想定で安全だと言えない(泊)原発は再稼働を容認せず、国や北電に即時廃炉を求める、②毎年の原子力防災訓練は、住民参加は僅かで手順の確認が中心であり、実効性を検証できる訓練になっていない。実効性が検証できない防災訓練を繰り返すばかりでの泊原発の再稼働は容認せず、廃炉入りを求めるべき、③国の原子力防災指針は、被ばく前提で安全な避難が保障できないことを直視し、抜本的見直しを求めるべき、④UPZ圏も事故前にヨウ素剤を配布すべき、⑤再稼働の地元了解は、30キロ圏の13町村ばかりか、事故の影響が及ぶと想定される全市町村にすべきという自治体の声を踏まえ、国に道知事の具体案を示して求めるべきーです。



泊再稼働問題等で道へ申し入れ
(2016年4月7日、道庁第2別館)

 これに対して道側は、①については、国は万が一事故が発生した場合に備える規制責任があり、事業者には規制基準以上の安全レベルの達成をめざす保安責任がある。再稼働については、今規制委で審査中であり予断を持って言えない。②については、防災訓練は秋の大規模訓練のほか、冬季の暴風雪想定の訓練も行うなど工夫改善しながら実施してきた。今後も気象条件や複合災害など多様な事態も想定しながら、より実効性のあるものになるよう取り組んでいく。今年度の訓練は、国から国の総合防災訓練を泊原発で行いたいと表明があり、参加住民の安全、気象条件や複合災害など多様な事態を想定し、取り組む考えだ。③については、規制委員会が、過酷事故時の影響を最小限に抑えるために、フクシマ事故やIAEAの考え方などを踏まえ、専門的・技術的な観点から定めたもので、道と関係市町村は、法令に基づき、この指針に従って、防災計画を策定することとされている。5㎞圏のPAZは、放出前から予防的に避難する、5~30㎞圏のUPZは、まずは屋内退避し、緊急モニタリングの測定結果により放射線量率が一定以上となった場合、プルーム(放射性雲)通過後に避難を開始する。この避難では、30㎞圏境界付近で放射性物質の付着状況を検査し、必要に応じて除染を行うなどの防護措置が定められている。道はこうした対応に万全を期す。④については、屋内退避により内部被ばくを出来る限り回避したうえで、万が一避難などが必要となった場合、原子力規制員会が服用の必要性を判断し指示するもの。道は関係市町村と連携して、緊急時の配布体制の整備に不断に取り組んでいく。⑤については、再稼働の地元了解に法的定めはなく、国がエネルギー基本計画のなかで、「国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む」として行なっている。道は、国の責任で具体的な手続きを明確にすべきと考え、原子力発電関係団体協議会を通じて繰り返し意見を反映しているーなどと回答。

道の回答に対して、大田勤岩内町議から、「北電はこれまで基準地震動を3回引き上げてきた。370ガルから550ガルへ、今度は620ガルへ。しかし、建屋や施設などの強度を上げる工事を行なったように見えない。道はどう受け止めているか」、大石美雪岩内町議は、「地元了解は法的要件でないというが、法的要件にすべきだ」などとただしました。また、米谷道保代表委員は、新規制基準はフクシマ並みの過酷事故が起きることを想定としており、安全だと言えない。規制委員長も繰り返し「規制基準に適合しても安全だというわけではない」と言っている。避難計画も被ばく前提であり、安全最優先とは言えない。二度とフクシマを繰り返してはならないというのが国民多数の願いだ。原発はやめる以外にない。安全最優先という道知事の納得いく見解を聞きたいーと強く要求しました。

 


安全と言えない原発は再稼働せず、
即時廃炉の決断を!

―後志管内自治体関係者の声を真摯に受け止めよ!
 3月31日、北電本社へ申入れー

 


北電本社には3月31日、次の3項目を要望し、申入れました。①規制委の審査に「適合」しても安全だと言えないのだから、泊原発は再稼働せず、即時廃炉を決断すること、②後志管内の30キロ圏内の13町村の避難計画は、実効性がないから、フクシマのような過酷事故になれば、貴社が責任を負えない規模の環境破壊や環境汚染、国土喪失を招きかねないことを直視し、泊原発は再稼働せず直ちに廃炉を決断すること、③万が一の再稼働に向けての地元了解については、道知事と泊村長だけなく、30キロ圏の13町村はもとより、被害が及ぶ想定されるすべての市町村の了解を得ることについて、貴社も積極的に賛成を表明することー。


北電本社へ申し入れ
(2016年3月31日)


 応対した北電広報部の大照真由美エネルギー担当課長や三上博光課長らは、①フクシマ原発事故の教訓などを踏まえた新規制基準の審査を受け、泊原発の安全性は高まっており一日も早く再稼働させたい、②原子力防災は、関係法律で国と道、市町村、電力事業者の役割の大枠が決められており、避難計画は自治体が作ることになっている。30キロ圏の13町村は策定済みで、内閣府が泊地域原子力防災協議会を設置し、協議しながらやっていると認識している。当社が支援できるものがあれば取り組む。③泊原発周辺4町村と安全協定、16市町村と安全確認協定を結び、情報提供や意見交換の機会を設けるなどしている。当社の安全対策は、HPやチラシで示しているが、一層理解を得るよう4月13日から後志管内20市町村に地域説明会に出向くことを昨日プレス発表した。むずかしい専門用語も出てくるが丁寧に説明したいーなどとの回答にとどまりました。


これに対して原発連から、「貴社の回答は、後志管内自治体の真剣で切実な声を真摯に受け止めないものだ」「真摯に受け止め、泊原発は再稼働せず、廃炉の決断をすべきだ」と厳しく批判しました。

いまこそ原発から撤退し、
    再生エネの抜本的普及に転じるべき
―第1回定例道議会―日本共産党道議団が知事に迫るー
 
フクシマ原発事故から5年。今号には、日本共産党北海道議団の第1回定例道議会での原発・エネルギー関連の質疑の一部を紹介します。
原発は莫大な費用負担なしに成り立たない電源
であることは明らか
この費用を再生可能エネの普及や廃炉に投じ、
     安心なエネ供給に転じよ ー 真下紀子道議
代表質問に立った真下紀子道議(団長)は3月4日、原発・エネルギー問題について再質問、再再質問を重ね、原発再稼働を 
選択せず、再生可能エネに大きくシフトすること、廃炉を含めた現実的スケジュールを示すべきと道知事に決断を迫りました。


真下紀子道議:泊原発では、北電が安全対策として2000億円以上を費やし、泊原発3号機の停止以降は、年間で812億円の維持管理費と冷却費用が4年間で約3200億円など、合計5000億円を超える費用が(投入され)、総括原価方式で電気料金として道民負担になるわけで、道民生活、道内経済の不利益は非常に大きいといえる。また、1984年から今日まで31年間に投入された約1415億円の原発関連の立地交付金、補助金と給付金等の原発マネーは国民の負担であり原発は莫大な国民の費用負担を前提にしなければ成り立たない電源であることは明らかです。知事は、原発の危険を回避し、高い電気料金の負担から道民を解放するためにも、もう原発を断念すべきではないか。泊原発の再稼働を選択せず、再生可能エネルギーに大きくシフトしていく、廃炉を含めた現実的スケジュールを示すべきではないか。

真下紀子道議
高橋はるみ道知事:暮らしと経済の基盤である電力は、それぞれの電源の特性が生かされた多様な構成としていくことが必要。将来、原発に依存しない北海道をめざし、新エネルギーが主要なエネルギー源の一つとなるよう、道内の様々な資源を生かし、その導入拡大を図っていく。

全国首長アンケートで将来の原発比率は
       「引下げ45%、全廃21%」(共同通信社)
再生エネ推進の道予算~毎年4億円前後では
     20年度導入目標81億kwhの実現は不可能  
―佐野弘美道議 ~ 予算特別委でただすー
 佐野弘美道議は3月18日、予算特別委で原発・エネルギー問題について質問に立ちました。

佐野弘美道議:フクシマ原発事故から5年たち、共同通信社が全国の首長に原発のエネルギー比率の在り方を聞くアンケートを実施。原発の比率低減が44・6%、将来全廃が21%で、原発の安全性や核廃棄物処理への不安を解消できないとして再生可能エネへの転換を望む声が目立ったと報道。道知事は将来的にゼロにすると言及していない。省エネ・新エネ道条例にのっとった回答になってないのでないか?

佐野弘美道議
道環境エネルギー室長:共同通信社のアンケートは、国のエネルギー政策の在り方を問う趣旨だったので、「社会経済の変化に柔軟に対応できるよう多様な電源構成とすることが必要」と回答したもの。
佐野弘美道議:再生可能エネルギーの供給量はいくらか。道内のエネルギー供給量に占める割合はどうなっているか。
道環境エネルギー室長:2014年度の道内の風力、太陽光、地熱による発電電力量は10億8千万kwhで、総発電電力量395億6千2百万kwhの2・7%。2010年度の1・5%に比べ年々増加している。
佐野弘美道議:比率として1・5%から2・7%に増えたが、発電電力量が減少しているなかでそうなっただけで、4億3千2百万kwh増に過ぎない。道は全国一のポテンシャルを持っていると公言しているが、再生可能エネ推進予算の推移と2016年度予算はいくらか。
道環境エネルギー室・山野参事:新エネの予算額は、2012年度が3億3905万円、2013年度が3億7997億円、2014年度が4億1303万円、2015年度が4億246万円、2016年度が4億4696万円。
佐野弘美道議:毎年4億円程度の予算しかついていない。これでどうして推進できるか。原発予算に比べてあまりに少なすぎるではないか。
道環境エネルギー室長:新エネが主要なエネルギー源の一つとなるよう導入拡大を進めていく。来年度も「一村一エネルギー事業」をはじめ、地域の特性や取組みに応じた支援に努める。今後とも、全国トップクラスのポテンシャルを発揮し新エネ導入に取り組んでいく。
佐野弘美道議:そう答弁されても、二〇二〇年度の導入目標は81億kwhではありませんか。これまでの五年間で4億3200万kwh増に過ぎません。このペースでは目標の実現は不可能でないか。
道環境エネルギー室長:新エネ導入は毎年着実に拡大してきており、今後期待されるバイオマスなどのエネルギーの地産地消の取り組み支援や大型プロジェクトの実現などにより、2020年度までの導入目標の実現に向けて取り組んでいく。
 

《原発連ニュースにみる道原発連のあゆみ》 
第1回  原発連結成から35年。今号から先輩諸氏のご協力でこの企画を始めます。

原発連ニュースが創刊された頃 

           
               石崎健二 (日本科学者会議会員・道原発連顧問)

今、手許に「原発問題全道連絡会ニュース」の創刊号がある。A3版2頁の立派な活版印刷で発行日は1981年7月15日。編集発行責任者は事務局長の佐藤信安氏(道統一労組懇代表委員)。第一面は「共和・泊原発問題重大局面に」「くらしと安全ともに守る」の見出しと大きな写真があり、「5月12日、泊村原発建設予定地を視察する連絡会の現調団」と説明されている。記事の見出しは「原発建設予定地堀株住民と懇談」で、連絡会からは26名が参加、堀株部落「住民の会」の人々の一言ひとことには、原発を文字通り「生きる権利」全体の問題として捉える厳しさがこもっていた、と懇談の様子を紹介している。第二面は81年4月17日に起きた放射性廃液大量流出事件についての北大工学部教授神山桂一氏の談話で「敦賀原発事故は偶然でない」。事故はちょっとした不注意から起きること、後始末には作業員の放射線被ばくという犠牲が避けられないこと、などと指摘されている。


 原発連発足のいきさつを第一面の囲み記事でみてみよう。呼びかけたのは北海道統一労組懇、原水爆禁止北海道協議会、安保破棄諸要求貫徹実行委員会の三団体で81年4月21日発足である。申し合わせとして、情報交換、学習会の組織化、その他、道民世論を喚起する必要な共同行動の推進、などを挙げている。


ところで、北電が道と札幌通産局との協議で泊原発を共和・泊地区に決めたのは1969年9月である。岩内郡漁業協同組合はその前年68年に敦賀市などの原発先進地を視察していた。そして70年8月に、漁業の町として発展するには原発は害あって益なしであると岩宇4漁協による原発設置反対漁協連合委員会が原発問題を漁民の立場を加味して総合的に取り上げた冊子を作成した。漁協連合委員会が中島篤之助、川崎健の両氏を招いて最初の講演会を開催したのも70年11月である。71年にはいると「原発を考える会」が1月に共和町で2月に岩内町とそれ以降各地に住民組織が誕生した。一方で北海道原発五者共闘(社会党、全道労協など)が3月に服部学氏を招いて最初の講演会を開催。そして71年12月には社、共、地区労、漁協、考える会などの45団体で「原発設置に反対する岩内町民会議」を結成するに至った。


しかし75年4月の岩内町議選で原発協力議員が過半数になり、12月には岩内郡漁協が北電との話し合いを始めた。76年12月に岩内町議会が条件付き賛成を決議すると77年にかけて他の町村議会もそれに続いた。81年9月に岩内郡漁協が条件付き賛成に転じると、12月に通産省が「第1次公開ヒアリング」を開催。こうして泊原発設置反対運動の第一ラウンドが終わりを告げようとしていた頃、原発連が発足したのである。

 
 
 
 

 
 
 

 

 
 
 

2016年4月3日日曜日

原発問題連絡会ニュース 第270号2016年3月20日


フクシマから5周年。3・11メモリアルデー

「鎮魂と連帯の行動」
 9氏がリレートーク、署名79筆、復興支援募金も

  ― 14時46分横断幕かかげ1分間黙とう―

 

 

 
 
 
 
東日本大震災とフクシマ原発事故から5周年の3月11日、3・11メモリアルデーが午後2時から3時まで1時間、札幌市中心街パルコ前で行われました。主催は、国民大運動北海道実行委員会と原発問題全道連絡会で、加盟団体から45人が参加、9氏がリレートークを行い、震災発生時の14時46分には、全員が1分間追悼と鎮魂の黙とうを行いしました(写真)。
横断幕かかげ黙とうする参加者
(2016年3月11日)

 小雪が舞い寒風が吹く中、市電環状線が復活し新たなにぎわいを見せるパルコ前に加盟団体から45人が集まりました。国民大運動道実行委の三上友衛事務局長の司会進行でスタート。トークは9人。全員が、2日前の3月9日、大津地裁が関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分を決定したことを歓迎し、「泊原発再稼働反対」「原発ゼロ」「福島と東日本大震災復興と被災者支援」を熱く語りあいました。
フクシマから自主避難している宍戸俊則さんは、国の復興策縮小について「避難区域を見直し線引きしなおして、避難者を『消滅』させようとしている』などと批判し、「原発をなくすまでたたかって下さい。私もたたかいます」と訴えました。道労連の黒澤幸一議長は「原発を日本からなくすことが、フクシマの事故で失われた命に応える事だ」などと訴えました。
道原発連の米谷道保代表委員は、「東日本大震災・福島原発事故から5周年。いまも復興は大きく立ち遅れ17万4千人もの被災者が避難を強いられている。福島県では昨年10月の国勢調査の結果、4町村が人口ゼロになった。このような災害は原発事故以外にはありえない。原発と人類が共存できないことは明らかだ」と指摘。さらに「2月中旬に泊原発から30キロ圏の後志管内の13町村などを訪問し、泊原発の再稼働を容認せず、廃炉入りを国や道、北電に求めて下さいなどを要望してきた。自治体からは『福島の事故も収束していないままの再稼働はあり得ない』『原発から出る核のごみの処理・処分もできないままの再稼働などとんでもない』『町議会も町も何度も原発再稼動反対や原発のない北海道を国や道に要望してきている。政府はこれを無視するのだろうか』などの声が寄せられたことを紹介し、『今こそ、こうした自治体の声や思いにこたえ、原発のない日本と北海道を実現するまで頑張りましょう』」と呼びかけました。この日寄せられた原発のない北海道の実現を求める道議会請願署名は79筆、フクシマ復興支援募金は1万円余でした。
 パルコ前には、NHKをはじめ報道各社が終始熱心に取材、盛んにカメラが回され、夜のニュース番組で放映されました。
 
 
 

原発事故から5年 フクシマを忘れない!

3・13さようなら原発北海道集会に
1100人

 寒気がゆるみ春の到来を感じさせるなか、フクシマ原発事故から5周年を記念し、「フクシマを忘れない!さようなら原発北海道集会」が、札幌共済ホールを会場に午前10時開会で行われました。参加者は1100人でホールの外にもあふれました。

ゼッケン・ノボリでデモ行進
(3月13日、札幌市内)
最初に主催者を代表して、麻田信二道生協連会長理事が挨拶、続いて規制委員会による泊原発の適合性審査の問題点について、小野有五北大名誉教授が大きな画面に画像と文章を写して、積丹半島西岸の海成段丘形成に関する北電の説明の不合理さや火砕流の波及範囲に関する不合理さなどを厳しく指摘、このまま審査を終了し適合とさせるわけにはいかないと力を込めて訴えました。ついで、西尾正道国立北海道がんセンター病院の名誉院長が、放射性被ばくによる影響の深刻さを強調する自説を展開、さらに自主避難者・宍戸隆子さんが、フクシマ原発事故で自主避難を強いられた経過と被災から5年経過し、来年度から住宅無償保証が打ち切られる無慈悲なやり方を告発、何としても原発をなくしてください、なくしましょうと訴えました。最後に、集会アピール全文を読み上げ、拍手で確認しました。
集会後、市民団体、平和運動フォーラム、安保破棄実行委加盟諸団体の3隊列の順に市内中心街をデモ行進、「泊原発再稼動反対!」「原発いらない」「大間もやめよ」などとアピールしました。道原発連は、ノボリ3本と胸にゼッケンをつけて行進に参加しました(写真)。
 
 

2月の後志管内14町村訪問・要請行動を踏まえ

北電、道経産局、道、泊原子力規制事務所に再稼動やめ、廃炉の決断をなど要望へ  
―道原発連、国民大運動北海道実行委、原発問題後志住民の会―

 道原発連と国民大運動道実行委、原発問題後志住民の会の3団体は、2月中旬に後志管内の14自治体を訪問し、①泊原発は再稼働せず、すぐ廃炉入りするよう国や道、北電に申入れて下さい、②万が一の再稼働の場合にそなえ、実効性のある避難計画の策定に万全を期して下さい―の2項目を要望、懇談しました。


その結果を踏まえ、3団体連名で、泊原発は再稼働せず、廃炉入りすべき、実効性のない避難計画のままの再稼働はあり得ない、再稼働を止めて廃炉にすべき、再稼働の際の地元了解は、30キロ圏内の13町村だけでなく、小樽市も含め、被害の及ぶすべての市町村の同意を得るべきーなどを求め、3月上中旬に上中旬にかけて、北電と道経産局、道知事、泊原子力規制事務所に準じ要望書を提出しました。


大津地裁―高浜原発3、4号機の運転差止の仮処分を決定

―フクシマ5周年直前の3月9日 
    運転中の原発の停止は初めて~画期的仮処分決定―

3月9日、大津地裁が、滋賀県住民29人が昨年1月に行なった高浜原発3,4号機の運転差し止めを求める仮処分申請について、運転停止を命じる仮処分決定を出しました。


運転中の高浜原発3、4号機(4号機は故障で停止中)の運転停止を命じる画期的なもの。

大津地裁の決定の骨子は、①福島第一原発事故の原因究明は道半ばであり、新規制基準が安全の基礎になると判断できない。②新規制基準による過酷事故や地震想定、耐震性評価が妥当だとの十分な証明がない。③避難計画を視野に入れた幅広い規制基準が必要。④高浜原発3,4号機には過酷事故など危惧すべき点があり、関西電力は安全性の証明を尽くしていない(「しんぶん赤旗」3月10日付)などです。


今回の仮処分決定は、後志管内自治体の意見と一致するものが多い

これらの決定は、2月中旬に訪問した後志管内の自治体から寄せられた意見と一致するものが多い。「福島原発事故の原因究明もなく収束の見通しも立っていない中での再稼働とはいかがなものか」とか、「避難計画での避難道路が、国道1本では複合災害時には避難は困難」、「風向きや風速によっては風下になる広域避難先の札幌市まで放射能が飛んでいく」「全町民避難は非現実的だ」。さらに、避難計画の策定も訓練も自治体任せ、規制基準にも含めず審査もしないのはおかしいとの意見も出ていました。まさに「今回の決定は、国民の常識ともいえる事柄を法的に認めたもので意義が大きい」「福島県民を勇気づけ、国民を励ます決定」(全国センターの伊東達也筆頭代表委員談話『しんぶん赤旗』3月10日)の通りではないでしょうか。
 
 

【なくそう原発地域の会の活動紹介】

生業(なりわい)を返せ!地域を返せ!  フクシマ原発“生業訴訟”学習会 ~ 十勝連絡会ニュースから

原発をなくす十勝連絡会が2月27日、フクシマ原発訴訟”生業訴訟“の学習会を、講師に生業訴訟弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士を講師に迎えて開催しました。原発をなくす十勝連絡会ニュースNO・22(3月15日)発行からその概要を紹介します。

講演する馬奈木厳太郎弁護士
(2016年2月27日、帯広)

◆生業訴訟弁護団事務局長馬奈木厳太郎さんの講演会を開きました。約100分間、息つく暇もない“くらい迫力のある、圧倒されるお話でした。参加者は75人でした。

◆2011年4月、被害者と弁護士の相談会では、農産物が売れないとか土地はダメではないかとか、相談者の眼は殺気立っていた。観光地も以前に戻っていない。至る所に(放射線)線量計が置かれている。避難しふるさとを失い102歳のおじいさんが自殺した。「政府は森林の除染は止めた」。そこで里山に入れなくなり山菜取りはできない。孫も遊びに来ない。そんな悲しみの中でのこと。被害者が裁判の原告になることは大変なこと。時間的にも金銭的にもゆるくない。93歳の男性が、何か自分にできることがないかと考えて原告になった。東京電力は、事故前の売り上げと出荷停止指示が出て出荷しての差額を補償すると無理なことをいう。

◆国や東電は、昨年(2015)6月、復興方針を変えた。東電も補償のあり方を変えた。事故前の基準は年間被ばく線量が1㍉シーベルトだったのに、年間20㍉シーベルト以下は戻って良い、住むことが出来ると考えている。将来の損害を含め現在の2年分で打ち切る方針をすすめている。

◆裁判は、2013年3月11日提訴。原告団は現在約4000人。全国最大の原告団。9割以上は事故時に福島県に住んでいた。福島県59市町村すべてをカバーしている。オール福島、オール被害者の原告団です。原告は実費(印紙代18,500円)のみの負担で弁護士はボランティア。昨年は東京から福島県に80回以上出かけた。

◆原告団が裁判で求めているのは、①現状回復―元に戻せ! 被害が生み出されない状態に戻せ! 放射能も原発もない状態に戻せ! 今すぐ出来ないのなら仕方ないから補償せよ! ②被害全体の救済―将来世代を含めあらゆる被害者全体を救済する、制度化する、③脱原発―被害の根絶のために原発をゼロにする、2011年3月10日(事故前日)の状態ではなく、原発事故の起こらない、原発のない社会をめざす。

◆事故から5年で、国は原発ゼロの方針をとるどころか、再稼働を強行し、新たな原発建設にも意欲を示している、東京電力も賠償の「打ち切り」、被害者の「切り捨て」の態度を鮮明にしている。福島だけの問題なのか。自分たちの問題ととらえてほしい。

◆原発に対する国の対応が、安保法制や沖縄辺野古基地建設などすべてにつながっている。人間の命ともうけを天秤にかけるな! 人間の命や健康よりも儲けを優先する社会のありようを終わりにしませんか。声をあげて世の中のありようを変えましょう。

※参加者の中から2人が「原発をなくす十勝連絡会」の会員になりました。

※会場では、馬奈木弁護士のサイン入り書籍、「あなたの福島原発訴訟」「国と東電の罪を問う」「福島を切り捨てるのですか」50冊をほぼ完売しました。なお、「福島を切り捨てるのですか」を追加注文して50冊取り寄せました。ご希望の方は連絡ください。


 

3・11フクシマを忘れない!2016年苫小牧集会 
                  雨の中110人 

 ―「電力自由化と『電力システム改革』」記念講演 
   ― 「脱原発・自然エネをすすめる苫小牧の会」ニュース34号からー

 3月6日今年も、3・11フクシマを忘れない!苫小牧メモリアル集会が開催されました。脱原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会が主催si今年で4回目です。3月10日発行のニュース第34号から、北海学園大学教授・小坂直人さんの記念講演の要旨を紹介します。

 今年4月からの電力自由化があたかも電力システム改革の中心のように言われるが、元来「電力システム改革」とは,①広域的な総ん電線運用の拡大、②行為りの全面自由化、③法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、の3つを柱とし、東日本大震災以前から取り組まれていたもの。
 「電力システム改革」は、3・11を契機に電力行政を根本的に転換し、原発をベースにしたえねるぎー政策をの再構成の出発点にすべきだった。ところが2014年4月の「エネルギー基本計画」で、原発を再びベース電源に位置づけた。本来原発廃炉の道筋や放射性廃棄物の処理方法についても見直すべきだった。再生可能エネについて、2013年から導入を最大限加速・推進すると言いながら、実際には原子力規制委員会をダシにして原発再稼働を推進することとなった。電力自由化は、本来原発推進と矛盾する目MMが明日ことを注意すべきだ。しかし、もっぱら市場競争、価格競争が関心の的になっている。
 本来の電力システム改革は、コージェネ(熱電併給)や地産地消型のエネルギー供給に向かうべきで、それは地方自治体が大きな役割を果たすことができるもの。その好例はドイツの自治体電気事業に見ることができる、ガス、水道などと一緒に営業している。一度民営化されたが、近年再度公有化されている。苫小牧の沼ノ端クリーンセンターにはその可能性がある。全国にも自治体の電気事業者が表れ始めている。住民の生活と地域に結び付いたエネルギーと電力の地産地消に期待したい。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

4.27チエルノブイリ原発事故30年記念講演会お知らせ

チェルノブイリ原発事故30周年。フクシマから5周年。記念講演会

「泊原発再稼働ストップ!廃炉への道を考える」

ー「原発・核燃サイクルから撤退の合意形成をめざして」ー


 ◇日 時  4月27日(水)18時30分

 ◇会 場  札幌エルプラザ2階環境研修室

 ◇第1部: 報告・「チェルノブイリ原発事故等調査報告書 新潟県」

          を読んで   米谷 道保原発問題全道連絡会 代表委員

 ◇第2部: 講演「泊原発再稼働ストップ!廃炉への道を考える」

            講師:今橋 直 弁護士

            (自由法曹団道支部弁護士 泊原発廃炉訴訟弁護団)


チェルノブイリの今を知り原発のない北海道への道を考えましょう


◎チェルノブイリから30周年
 昨年10月新潟県が、知事を先頭にチェルノブイリ原発を訪れた事故調査報告書から何を学ぶか、ともに考えましょう。
◎いまも約10万人が避難を強いられ、汚染水は止まらず、除染も賠償も進まず、いまも放射能汚染の不安、暮らしと営業の不安に脅かされるフクシマ!
◎チェルノブイリとフクシマから泊原発の再稼働ストップ!廃炉入りへの道を考えます。
◎安倍内閣のフクシマ切り捨てと原発再稼働への暴走を許さず、原発のない北海道の実現へ合意形成めざします。
◎多数のご参加をお願いします。

―資料代300円(当日会場で申し受けます)―
 

主催:原発問題全道連絡会/国民大運動北海道実行委員会