2017年11月30日木曜日

原発問題連絡会ニュース 第290号11月20日



総選挙の結果 市民と野党共闘に未来があるー
 野党共闘勢力が
       38議席から69議席へ前進

 10月22日投票の総選挙の結果、市民と野党3党(立憲民主党、共産党、社民党)の共闘勢力が、改選前の38議席から69議席へ前進、市民と野党共闘に未来があることを鮮明に示す結果となりました。
 しかし、公示直前に民進党が希望の党への合流という、この2年間の野党共闘の合意を踏みにじる背信行為に走り、安倍退場を求める野党共闘を分断し、自民党に改選時議席の維持、公明党と合わせて3分の2超の議席獲得を許す結果を招いたことは重大です。また、野党共闘の成功のために、小選挙区の候補者を67人おろした共産党が、議席を後退させる残念な結果ともなりました。

 
 オール沖縄が3勝、野党共闘が新潟県で2増の4勝、
            北海道も2増で比例含め8議席ー
  重要なことは、今回の結果から教訓をくみ取ることです。その点で市民と野党の共闘で自民党を追い詰め、共同の力を発揮したところの経験が重要です。 なかでも沖縄県では、「新基地拒否の民意堅持」(沖縄タイムス10月23日付)、「『反辺野古』が過半」(琉球新報同)と報道。新基地反対で、党派を超えて市民団体や経済界も加わり団結する「オール沖縄」の候補3氏が勝利しました。
  新潟県では、「野党共闘 1強に風穴」(新潟日報10月23日付)と地元紙が大きく報じました。全国で与党が3分の2の議席を占める中、新潟県では6小選挙区中4選挙区で野党共闘候補が自民党候補を破ったからです(前回は自民が5選挙区で当選)。昨年の参院選挙区、県知事選に続き、総選挙の小選挙区でも野党と市民の共闘という「勝利の方程式」が自民1強に風穴を開けたのです。
  北海道では、12小選挙区すべてで市民と野党の共闘による統一候補が実現し、5選挙区(立憲民主と無所属)で勝利し、比例復活でも立憲民主党3氏が当選、比例と合わせた道内20議席の4割、8議席を野党統一候補で占めました。当選した野党統一候補者は「市民・野党共闘の勝利」「共闘の威力が発揮された」と語っています。

―合意した7つの基本政策実現、安倍9条改憲発議阻止、
            原発再稼働ストップに全力あげよう

総選挙の結果、改憲勢力が衆議院で改憲発議に必要な3分の2超を占め、改憲をめぐるせめぎあいが激化しています。自民党は11月8日に自民党憲法改正推進本部の幹部会合を開き、年内に改憲案をまとめ、来年の通常国会への提出、発議をめざす動きです。
これに対し、野党3党は、安倍政権下での9条改憲に反対する姿勢を明確にしており、11月3日には安倍9条改憲反対の3000万署名を呼びかけている「安倍9条改憲 NO!全国市民アクション」や「総がかり行動実行委員会」の共催で、「国会包囲行動」を呼びかけ、4万人が集まるなど急速に反対運動を広げています。
 原発連も、市民連合と野党3党が合意した7つの基本政策の実現をめざし、安倍9条改憲発議を許さない運動とともに、福島を風化させない運動を大きく広げ、福島原発事故の原因究明もないままの原発再稼働反対、原発ゼロ実現をめざし頑張りましょう。

福島原発事故から6年8カ月、大惨事は続いている!

        国と東電による福島切り捨てを許さず、
被害が続く限り支援と賠償の継続、
原発・核燃サイクルからの撤退、原発ゼロの合意形成を!
― 11月19日、原発問題住民運動全国連絡センターが
               第31回総会・交流集会 ―

原発問題住民運動全国連絡センター(伊東達也筆頭代表委員)は11月19日、第31回総会・交流集会を川崎市内で開催、北海道から鹿児島まで全国各地から参加し、伊東達也筆頭代表委員による報告・提案(写真 下)を受け、各地の経験を交流しあいました。
国と東電による福島切り捨てで深刻な「転換期」を迎えている福島

 伊東代表委員は、最初に福島原発事故から6年8か月、福島は今も10万人以上が故郷に帰れない、放射性廃棄物の中間貯蔵施設の建設の見通しがたっていない、廃炉作業の見通しも立っていないなど、今も空前絶後の惨事が続いている。ところが、加害者である政府・東電が、福島の深刻な実態を無視して「福島切り捨て」に舵を切り、相次ぐ避難指示区域等の解除と帰還の促進、支援の打ち切り、自主避難者への住宅無償提供の打ち切り、加えて原子力規制委員会が、東電に原発を運転する「適格性」を認め、福島大惨事を起こした東電が、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働をするなどあり得ないことだと厳しく批判、改めて国と東電が加害責任を認め、被災者・被災地対策に真摯に取り組むことを要求するとして、深刻な「転換期」を迎えている福島の実態と山積する課題、その打開策を提案しました。
 国と東電が加害責任を認め、住民要望を調査し、
           被災者・被災地支援・賠償の継続実施を

伊東氏は、課題は山積しているとして、①福島大学が9月に行った双葉郡の住民実態調査の結果を紹介し、職業では、無職が55・5%にのぼること、生活の困りごとでは、健康と介護が53・4%、生活費が35・3%、人間関係が34・9%、今後の生活についてでは、ある程度不安が40・5%、とても不安が33・8%、「不安なことやつらいこと」が7割を超えた回答は、廃炉までに原発事故が起きないかが71・4%、中間貯蔵施設・廃棄物施設の安全性が70・3%、地域のつながり、交流が薄くなったが74・9%、ここから、何をどのようにしなければならないかが見えてくるが、国は帰還するかどうかのアンケート調査はやったが、今後についての調査はやっていないーとして、第一に帰った人への調査、第2に帰れない人への調査、第3に福島に住み続けている人への調査も必要、同時に事故時実施した18才未満の県民の健康調査は、今後いつでも無料でうけられる仕組みにすることが必要だーと提案しました。


 
 



    

  県内原発全10基廃炉と安全な廃炉作業が県民の安全・安心な暮らしの大前提

 さらに伊東氏は、全10基廃炉と安全な廃炉作業は県民の安全・安心な暮らしの大前提だとして、第2原発の廃炉、第一原発廃炉作業員の安定した身分保障、多重下請け方式をやめて東電の直接雇用の実現、福島第一原発事故被爆者健康管理手帳(仮称)の交付、被害が続く限り支援・賠償される仕組みづくり、存続の危機にある自治体の再生のための特別な支援制度も必要だと力説しました。
 最後に伊東氏は、原発ゼロへの展望について、国民の世論は脱原発、原発ゼロであり、原発推進勢力とのせめぎあいに打ち勝ち、原発再稼働ストップ、原発ゼロ実現の合意形成へ、原発連の主体的力量強化、とくに「げんぱつ」情報誌読者の拡大に尽力しようと呼びかけました。
伊東氏の提案を受けて13人が発言、原発・核燃から撤退の確信を深めあいました。
  
―10・28「大間原発市民訴訟結審!
  勝訴の展望と支援と連帯を考える集い」ー

                   中野宏典弁護士が講演

 司法審査のあり方や訴訟の争点と展望、
   支援活動の課題など豊富な資料示し熱く語る

 10月28日札幌市内で開催された標記の「集い」には20人が参加。原発訴訟で全国的に活躍中の若手弁護士、中野宏典弁護士が豊富な映像を示して約90分間、熱く語りました(写真 左上)。参加者から「初めて大間原発の問題がわかった」「司法審査のあり方についても聞けて視野が広がった」「わかりやすく勉強になった」などの感想が寄せられ好評で有意義な集いとなりました。以下講演要旨を紹介します。

 

《常識にかなった司法審査を行うために 
         ~ 司法審査のあり方について》
*必要性が乏しければ残余のリスクも許容できなくなる
                   ー最終的には社会の合意(社会通念)で。
・原発のような人間がコントロールできない放射性物質による甚大な被害をもたらすものは、他の科学技術の利用による災害などと異なり、より厳しいリスク管理が求められる。しかも、原発がなくても電力不足は起きないし、福島原発事故後安全対策費が急増し原発コストも急騰、原発の不要性が明白となり、そのリスクは許容できなくなっていると考えるべき
・被告の主張―疑わしきは、規制なしに自由のために

電気事業者などの主張は、現在の科学技術水準に基づく規制基準に「適合」すれば、それ以上「疑わしきは規制せず自由に」という。
・住民側の主張―疑わしきは安全のために
一方、住民側の主張は、「どちらとも言い難い部分を見過ごすのは『万が一にも災害を起こさない』という法の趣旨に反する」から、疑わしきは「安全のために」規制すべきであると主張。

 





《大間原発の争点と展望》
  *争点はたくさんあり、29回の公判を経て6月30日に結審。
 ・総論…①司法審査のあり方、②新規制基準の不合理性(特に国際基準との比較)、③原発事故被害の甚大性、④原発の不要性 ~ これらを全面展開して争い勝訴の展望を探求。
・各論…⑤フルMOX炉の危険性、⑥ABWRの危険性、⑦活断層の見落とし、⑧基準地震動策定の不合理性、⑨火山事象に対する脆弱性、
⑩使用済み核燃料プールの危険性、⑪シビアアクシデント対策の不十分性、⑫避難が困難であること。(ゴジック項目中心に争ってきた)
*展望は?

 ・世界にも例がないフルMOX原発の危険性  プルサーマルは燃料の3割がMOX燃料で稼働例あるが、フルMOXは世界にも例がなく実証炉で実証もせず大型商業炉で稼働する危険性。

・大間北方海域活断層の存在を否定できず 海底活断層の存在抜きに弁天島含む大間原発立地地域の地震性隆起を否定できず。敷地内にも10万年前以降に活動した活断層の存在否定できず。
・大規模噴火の恣意的な除外
日本の火山ガイドは、IAEAと比較して、大規模噴火を恣意的に除外している。(IA
EAは過去200万年以降の活動は原則として活動があると考え、80万年前以前に終息傾明白なものだけを除外)。火山ガイドは、1万年より以前の活動については終息傾向によって活動の可能性を否定できるとし、電源開発(株)は5万年前たった1回の銭亀カルデラ噴火について「終息する傾向が顕著」という。1回で「終息傾向が顕著」といえる根拠は全くない。
 
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【原発連ニュースに見る道原発連のあゆみ】 第14回

 今号は、1995年7月13日付の第62号から、第64号(95年8月29日)までの要旨を紹介します。 
使用済み核燃料の搬送計画を公開せよと北電へ申し入れ

  第62号(1995年7月3日発行)には、泊原発の使用済み燃料の搬出が計画されているが、輸送計画は公開しないと報道されている問題について、道原発連が6月30日に北電に6項目の申し入れを行い、文書回答を求めたとしています。北電は、「非公開は胸が痛む」としながら「国の原子力行政には従う」との答弁に終始し、危険な廃棄物の再処理については再利用できる物質があるからそのままにしておくのはもったいないと住民の安全よりも再利用を当然視する発言もあったことを重大視しています。
 第63号(95年7月26日)では、電気事業連合会が、国家プロジェクトとして進めてきた大間原発の新型転換実証炉〈ATR〉の建設をやめ、改良型軽水炉(ABWR)への計画変更を政府に申し入れたことについて、道原発連が発表した声明を紹介し、今回の断念に至る要因は、建設費用、発電コストの高騰が理由で、同規模の軽水炉の建設費の約3倍、5800億円、発電コストは1kW時38円(軽水炉は12円)であり、電源開発は大間原発にすでに570億円投資しているとしているが、改良型軽水炉を建設する計画であることは、出力が大型化し災害の影響の範囲も拡大し、北海道はその影響をもろに受けることになるとして、政府、電力会社に反対を迫ろうと呼びかけています。
 
原発立地阻止に向けて巻町(新潟県)、紀勢町(三重県)、
         南島町(三重県)で住民投票条例制定へ

 また、この号には、新潟県巻町議会で、原発の是非を住民投票で問う条例が、6月26日の本会議で全国で初めて可決されたこと、「条例の施行から90日以内に投票を実施しなければならない」という内容になっていること、したがって遅くても9月には住民投票が行われることになるとしています。
 第64号(95年8月29日)には、女川原発2号機が営業運転を開始(7月28日)し、日本国内で営業中の原発は49基、総出力4119・1万kWに達したとしています。
 また、この号には、中部電力芦浜原発計画を抱える三重県紀勢町の臨時町議会で8月3日、原発の建設の是非を問う住民投票条例の制定を求める陳情を賛成8、反対5で採択したこと、新設する同県南島町では、すでに同趣旨の条例が制定されており、町ぐるみで反対運動が進められており、芦浜原発計画にさらに厳しい歯止めがかけられることになるとしています。
 また、この号には、道原発連が、新潟県巻町の巻原発投票条例施行に連帯を表明したことも紹介されています。(米谷道保記)