2014年3月13日木曜日

北電に料金再値上げと泊原発再稼働に関する申し入れ

北海道電力株式会社
社長 川合 克彦様
                    2014年3月11日
                         原発問題全道連絡会
                        代表委員  大田  勤
                              黒沢 幸一
                              畠山 和也
                              米谷 道保
                     北海道労働組合総連合
                        議長    黒沢 幸一
 
電気料金再値上げと泊原発の再稼動に関する申入れ
 
 貴社は2月17日、電気料金の再値上げの検討を表明しました。貴社の再値上げ表明は、泊原発(3号機)の早期再稼働を前提としながら、その時期がいつになるか見通せないため、火発の燃料費や他社電力の購入費が急増し、経営が悪化し持ちこたえられなくなるというのが主な理由です。これは、昨年9月に値上げした道民・利用者への影響は二の次に、もっぱら自社の経営優先の立場に立ったものであり、納得できるものではありません。まして、福島第一原発事故の最大の教訓である“原発と人間社会は共生できない”ということなど全く念頭になく、あくまで再稼働を前提にするなど容認できません。
いま貴社が何よりも重視すべきことは、昨年9月の電気料金値上げによって、すでに多くの道民・利用者の暮らしと営業に大きな影響を及ぼしているということを真摯に受け止めることではありませんか。道が昨年11月に行った貴社の電気料金値上げによる影響調査(企業アンケート、昨年11月1日~15日実施)によれば、76%の企業が「影響がある」とし、うち16%は「大きく影響する」と答え、「値上げには反対。料金を元に戻してほしい」、さらに「今後の値上げは避けてほしい」ということです。現に、電気をたくさん使う道内の電炉メーカー、新北海鋼業(小樽)は3月末をめどに廃業する方針を固めたと報道されていますが、その原因について東京商工リサーチ北海道支社は「北電の電気料金値上げが一因となった事業停止」(道新、2月20日)と報じています。こういうもとでの再値上げが許されるものでないことは明白ではありませんか。こうしたことを考慮せずに、経営悪化になれば再値上げするなど、とても許されるものではありません。公的電気事業者としての社会的責任が厳しく問われていることを真摯に受け止めるべきではありませんか。
同時に重視すべきことは、道内では、2012年5月5日に泊原発3号機が定期検査入りして全号機が稼働停止し、以来すでに1年10カ月が経過しますが、この間道内の電力需給は基本的に安定しており、原発がなくても電気の安定供給が可能だということがはっきりしていることです。もともと原発は、建設に巨額の資金投入がともない、稼働中の原発が運転停止しても、その維持のために多額の資金を要するものですが、再稼働を前提とすると、規制基準をクリアする対策にも巨額の資金投入が伴い、貴社の場合その金額は900億円にも達すると報道されています。こうした資金も、総括原価方式ではコストに含まれ電気料金で賄う仕組みです。貴社が、泊原発が運転停止しているいまのまま廃止・廃炉入りを決断していれば、規制基準クリアのための巨額の対策費の投入は不要だったのではありませんか。
まさに原発を維持し推進しようとするから、余計な経費がかかり、これが原発の発電コストを押し上げ、それを電気料金で賄うという悪循環におちいるのではありませんか。昨年9月の値上げの際の資料でも、原発に関わる減価償却費がコストを押し上げる最大の要因になっていたのではありませんか。
今一つ、重視すべきことは、この間の貴社の経営戦略が、あまりにも原発依存に傾き、老朽火発の更新やコストの安い水力発電の新増設、温暖化ガス排出量が少ない液化天然ガス発電の導入などを怠ってきたため、原発が運転停止すると火発の燃料購入費が膨らみ経営悪化を招く電源構成になっているということです。現に、原発を持たない沖縄電力や原発依存度の低い北陸電力、中国電力などは、全国の全原発が運転停止したのちも電気料金の値上げ申請をしていません。貴社は、自らの過度の原発依存の経営戦略の誤りを反省せず、経営悪化を道民・利用者への電気料金再値上げで打開しようとするなどとは、あまりにも無責任で虫が良すぎることではありませんか。とても今回の貴社の電気料金の再値上げ表明を認めることはできません。
この際、フクシマ原発事故の教訓を踏まえ、泊原発の再稼働を断念し、ただちに廃止・廃炉入りを決断すべきです。新規制基準をクリアしても原発の安全を保障するものと言えないことは、規制委員会の田中俊一委員長自身が表明していることです。まして、泊原発については、2007年の新潟県中越沖地震によって東電の柏崎刈羽原発の全7機が運転停止に追い込まれた事故以降も、また、東日本大震災以降も、基準地震動の見直しが行われてきませんでした。最近、550ガル(横揺れ)を570ガルに引き上げるかのように報じられていますが、中越沖地震では2000ガルを超えたのです。とても570ガル程度の話ではありません。津波については、今回の規制基準で、基準津波という新しい概念が導入されましたが、まだまだ分からないことが多いとされており、泊原発についても基準津波をどのように判断し、設定するのが妥当なのか、明瞭に示すことができる段階ではないのではありませんか。また、過酷事故対策に盛り込まれた防潮堤や第2指揮所、免震重要棟の建設などは、最大5年間の猶予期間が設けられ、貴社も建設中とか今後の課題にしています。このようなまま審査を終了し、適合と判断したとしても、何ら安全を保障するものでないことは明白です。
さらに重大なことは、現行の規制基準には、過酷事故時に、安全に避難できる実効性のある防災・避難計画策定が義務付けられていないことです。規制委員会が、規制基準の審査で適合と判断しても、安全性を保障できることにはなりません。今の規制基準は、住民のいのちや暮らしを最優先に守り保障する仕組みにはなっていないのではありませんか。このようなままの再稼働などあってはならないことです。
以上の諸点を踏まえ、次のことを申し入れます。

1、        道民利用者に多大な負担増を強い、暮らしと営業を圧迫する電気料金の再値上げは行わないこと。

2、        福島原発事故の教訓とこの間の道内の電力需給の実態を踏まえ、泊原発は再稼動せず、運転停止している今のまま、廃止・廃炉入りを決断すること。規制委員会への適合性審査申請をただちに取り下げること。         
 
                                     以上