原発問題連絡会ニュース 第242号
全道100万人署名目標を達成し
道へ提出しよう
―署名提出日は、フクシマ3周年・来年3月11日にー
原発のない北海道の実現を求める「全道100万人」署名スタートから約6カ月。さようなら原発北海道実行委員会は11月12日、事務局団体会議を開き、署名の到達数が10月末現在、安保破棄関係13万筆、平和運動フォーラム関係17万筆、道生協連関係18万筆、合計約48万筆となっていることを確認、これをふまえ、道への署名提出日をフクシマ原発事故から3周年の来年3月11日と決め、それに向けて目標達成に全力あげることを確認し合いました。
加盟団体代表8氏連名の訴えに応え
原発連、国民大運動関係諸団体は、
年内に目標達成をめざしましょう
原発連と国民大運動実行委は11月11日、「原発のない北海道を全道100万人署名」の到達点を踏まえ、何としても各団体が決めた目標をやり抜こうと、加盟団体代表8氏連名の訴え(左記)を発表しました。この訴えを、各団体構成員一人一人に届け、年内に目標達成をめざし決起しましょう。
原発のない北海道の実現へ、「100万筆」
を集めきろう!
~「原発のない北海道の実現を求める全道100万人署名」
へのご協力を心から訴えます~
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から2年8ヶ月が経過しました。福島は今も深刻な事態のただ中にあります。汚染水は流れつづけ、「コントロール」などされていません。原発事故・震災関連の死者数は認定されただけでも1500人を超え、いまだ15万人もの人たちが避難生活を余儀なくされています。政府は避難者の「全員帰還」を断念し、一部の避難者について「移住」を促そうとしていますが、復興の道筋は示されていません。
原発事故の収束の見通しすら立っていないなか、安倍晋三首相は各地の原発を再稼働させるとともに、「原発事故の経験と教訓を生かす」としてトルコへの原発輸出をすすめようとしています。
北海道電力は7月8日に泊原発の再稼働を申請しましたが、原子力規制委員会に「データ流用」を見抜かれ「替え玉受験だ」と厳しく批判されました。電気料金の値上げで道民を脅し、泊原発の再稼働を狙う北電に対し、「原発依存度を下げ、電源多様化を図る展望もなく、『再稼働か値上げか』といった不毛な二者択一は受け入れられない」(11月1日付「道新」社説)と一蹴しています。
道民の安全を率先して守るべき高橋はるみ北海道知事は「だんまり」を決め込み、国や周辺自治体へ責任を転嫁することに終始しています。
10月5日に岩内町で行った「STOP!泊原発の再稼働 さようなら原発北海道集会in岩内」では、泊原発で事故が起きた際の放射能の拡散状況を調べるために1000個の風船を飛ばしました。風船は、帯広、旭川、芦別、当別、札幌などで発見されており、泊原発で事故が起きれば「北海道のどこにも逃げ場はない」ことを示しました。
「安全・安心に暮らしたい」という願いは、すべての道民の願いです。いのちと原発は共存できません。
倉本聰さんなど5氏が呼びかけ人となった「原発のない北海道の実現を求める全道100万人署名」は、10月末現在で約40万筆を集約しています。さようなら原発北海道実行委員会は、当初10月末までとしていた署名のとりくみ期間を当面12月末まで延長し、100万筆を集め切って泊原発の再稼働を断念させるため、もうひとまわり署名の取り組みを広げることを確認しました。
いま、泊原発をはじめ日本にあるすべての原発が停止しています。原発問題をめぐって激しいせめぎ合いの真っただ中にありますが、積極的に対話すれば「原発ゼロ」の一致点での共同はますます大きく広がる情勢です。何としても100万筆を集めきって、高橋知事に「100万道民の声」を届け、泊原発の再稼働を断念させ、原発ゼロを決断させましょう。
①
声をかけあい、それぞれが決めた目標を必ず達成しましょう。
②
署名運動の『担い手』を増やしましょう。
③
家族、友人、知人、向こう三軒両隣など、あらゆる人に署名の協力を訴えましょう。
④
地域で取り組まれている宣伝・署名行動への参加を広げましょう。
2013年11月11日
原発問題全道連絡会代表委員 畠山 和也
北海道民主医療機関連合会会長 堺 慎
国民大運動北海道実行委員会実行委員長 石塚 隆幸
北海道商工団体連合会会長 石塚 隆幸
北海道労働組合総連合議長 黒沢 幸一
北海道生活と健康を守る会連合会会長 三浦 誠一
新日本婦人の会北海道本部会長 工藤富美子
農民運動北海道連合会委員長 山川 秀正
北海道と幌延を核のゴミ捨て場にさせないためにー
原発連の核廃棄物の処分問題
学習講演会に90人
原発問題全道連絡会は11月10日、札幌市内で「核廃棄物の処分問題を考える学習講演会」を開催しました。今回は、講師に、幌延町内にある北大天塩地方演習林(現在の名称は北大天塩研究林)に1980年代当時赴任され、幌延を核廃棄物の研究・処分地にする動きに正面から反対してこられた神沼公三郎北大名誉教授を迎えて開催。あわせて11月2日に福島市で開催された「なくせ原発!11・2ふくしま大集会」の模様を、畠山和也共産党道委員会副委員長(原発連代表委員)に報告してもらいました。(以下次頁)
「幌延深地層研究センター」はただちに廃止を!
―神沼公三郎北大名誉教授熱く語るー
何の政策も持たず原発を推進、いきおい狡猾、秘密主義、
強引さをおりまぜて強行
神沼氏は、パワーポイントを使ってカラー写真を映しながら講演(写真)。冒頭部分で、わが国では、核廃棄物の処理・処分について何の政策もないまま1970年代から原発を推進(トイレなきマンション)し、1980年頃から場当たり的な対応策を模索した結果、いきおい狡猾、秘密主義、強引なやり方をおりまぜて幌延問題を強行してきたと力説。その基本的性格は、実施主体が動力炉・核燃料開発事業団(1998年まで)から核燃料サイクル開発機構(98年から2005年まで)へ、さらに現在の日本原子力研究開発機構(2005年以降)へと推移しても、何も変わっていないと強調しました。
「核抜き協定」で道民大多数の反対を突破、
そして深地層研究センターの稼働へ
ついで神沼氏は、いまの深地層研究センターに至る経過にふれました。幌延町による施設誘致に道民の7~8割が反対していたのに、道と幌延町がそれぞれ「核抜き条例」を定めて幌延町内に核抜きの研究施設立地を認め、さらに道・幌延町・核燃サイクル(当時)による3者協定が結ばれた。この「協定」では、研究期間が終了したら掘った穴は埋め戻すことになっている。そのうえで、核燃サイクルが自ら研究期間はおよそ20年間であると宣言して、幌延深地層研究センターが2001年から稼働している。だが、幌延の地質は軟弱で崩れやすく、しかも地下水とメタンガスが多量に出ている。研究にも処分にも全くの不適地である。
幌延深地層研究センターの存廃めぐり2014年9月末にヤマ場
―岐阜県瑞浪との統合問題―
国は2000年に高レベル放射性廃棄物を地層処分する方針で法律を制定したが、いまだに最終処分場が決まらず暗礁に乗り上げている。一方、岐阜県瑞浪の東濃地科学センターは2015年3月末で研究期間が終了することになっており、幌延深地層研究センターの動向も2014年9月末には大きな山場を迎える。2つの条例と3者協定で放射性物質は持ち込まないことになっているが、いま幌延町議会で幌延深地層研究センターに反対しているのは鷲見悟町議だけだから、幌延町の条例はいつでもひっくり返えされうる。そうなると3者協定の改定も考えられる。2014年9月に向けて大きなたたかいが必要となる―神沼氏はこう力説しました。
さらに神沼氏は、幌延深地層研究センターは即刻廃止して埋め戻すべきとしつつ、原発・核廃棄物政策に関する私の提言として次の4点を述べました。①原発、再処理、高速増殖炉などの核燃サイクルは永久に未完。これらの運転ないし運転予定をただちに全面的に放棄する。核のエネルギー利用はこれ以上行わない。核廃棄物は総量管理を行う。②今後の課題を、既存の高レベル核廃棄物・使用済み核燃料・その他さまざまな核廃棄物を安全保管する技術開発に集中する。③核廃棄物は、高レベル・低レベルだけでなく多種多様であり、かつ大量。商業用原子炉の本格的解体は未経験なので、各地の原発が解体過程に入ったら、どのくらいの核廃棄物が発生するのか、未知。④使用済み核燃料を含むすべての核廃棄物は原則的にその発生地点で、地上か半地下に置いて人間が永久に管理する。日本では深地層処分は絶対にしない。核廃棄物の管理は人間社会にとってまさに永久の課題。
浪江町・南相馬市を訪問して
日本共産党北海道委員会副委員長(原発連代表委員) 畠山和也
「なくせ原発! 十一・二ふくしま大集会」の翌日、北海道からの参加者(写真)は、日本共産党・渡部寛一南相馬市議の案内のもと浪江町・南相馬市を訪れました。不安だった空間線量も高くて0・三マイクロシーベルトほどで、方角と風向きで違うものとわかりました。
浪江町の請戸地域にバスが停まると、わずか六㎞先に見えるのは第一原発の煙突! 周辺は津波で流された船や自動車などが依然と残り、請戸小学校の校庭にもガレキが山のように積まれたままでした。三・一一から時間が止まったまま、としか表現できない異様な光景でした。
浪江町役場へ行くと、職員も数えるほどしかいません。玄関を入って隣には、大きなペットボトルの水。水道水を口にできない現実が、重くのしかかります。消えたままの信号、駅に置かれたままの通学用自転車、崩れたままの商店‥‥津波が来ないで地震だけの被害ですから、本当なら今ごろは町の機能を復帰させられたはずです。原発災害の異質性を肌で実感しました。
渡部さんは「福島の実態を広げてほしい」と強調されました。微力ながら、その役割を発揮したいーと北海道へ戻ってきました。
大間フルMOX問題視
―規制委・更田氏「経験のなさ心配」―というが…
これは11月10日付け道新記事の見出しです。この記事は北海道新聞社の取材への更田委員の回答を報道したものです。大間原発は電源開発として初めての原発なのにいきなり世界初の「フルMOX」発電は心配だというのです。「万一事故が起きた時の対応を考えると、他の原発で行っているMOX燃料の一部使用から経験を積んだ方がいい。フルMOXに移行する場合は、あらためて評価が必要です」と更田氏。また電源開発が旧原子力安全委員会で審査を済ませているので問題ないとしていることに対しては「『基準をクリアしているから』という考え方が福島第一原発の事故につながりました。安全性向上のため、永続的な努力を続ける姿勢をもってほしい」。
電源開発は来年春にも新規制基準への適合審査を申請する意向と伝えられていますが、申請された場合は、当面はウラン燃料だけの使用や、MOX燃料の一部使用にとどめることも議論する必要がある、とのことです。
しかし、大間原発は大型の改良型沸騰水型原発で138万キロワツト、泊原発1号機の2倍以上もあります。それが福島原発事故のような大事故が起きた場合の対応を考えてまで建設しようとしていること自体、常軌を逸しているとしかいいようがありません。直ちに建設を中止すべきです。(石崎健二)