原発問題連絡会ニュース 第235号
フクシマから2年。進まない復旧・復興
―福島の実相踏まえ
支援と連帯の輪を広げ、原発のない北海道へ
ー運動の新たな高揚をはかろう
とめよう!なくそう!原発
~ 4・23「原発ゼロ☆大運動」意思統一会議―
原発問題全道連絡会と国民大運動北海道実行委員会は4月23日、「とめよう!なくそう!原発―『原発ゼロ大運動』意思統一会議」を開催し、ふくしま復興共同センターの斎藤冨春代表委員(福島県労連議長)の特別報告「『福島原発事故の実相』…進まない復旧・復興の中で」と題する特別報告を聞き、支援と連帯の輪を広げることを共通認識にするとともに、国民大運動北海道実行委員会の出口憲次事務局長が、当面する春から夏に向けての行動提起をおこない、質疑・交流を踏まえ、確認し合いました。
朽ちる自宅見て心萎えるーとまらぬ災害関連死、
先が見えない原発災害
大きく打って出る決意を語る
―ふくしま復興共同センター代表委員 齋藤冨春氏が特別報告―
「オール福島」の闘いが、県議会・県知事を動かす
ついで齋藤代表委員は、この2年間のたたかいで、「県内全原発の廃炉を求める請願」を県議会で全会一致で可決させ、県知事も全原発廃炉を決断して県復興計画に明記したこと、収束宣言撤回を求める意見書も県議会が全会一致で採択したこと、国が拒否した「18歳以下の県民医療費無料化」は県が40億円出して実施していること、県知事は東電に課してきた「核燃料税」を廃止し、県議会で原発事故は「人災」と答弁したーことなどをあげ、オール福島の運動と闘いが県議会や県知事を動かし勝ち取った成果だと報告しました。
福島は今どうなっているか…
「収束」にほど遠く、「トイレなきマンション」状態が続いている
同氏は、福島第一原発のプラントの状況について、「原発事故対応3原則」が成り立っていないとして、①原子炉圧力容器の温度計故障で異常な温度上昇が測定不能になっていること、②原子炉格納容器の水位がわずか60㎝しかなかったのに東電は3メートルはあると思っていたこと、③仮設配電盤のネズミ漏電事故による冷却システム停止―29時間の停電が問題になったが、ネズミの被害はいろいろ起きていたのに隠していたこと、④冷却水配管23カ所破損・汚染水漏れは、雑草のチガヤが突き破ったものだったこと、そして今問題になっている地下貯水槽の汚染水漏れなど、いずれも原発事故以前の土木事業的事故だと、東電のずさんな対応を厳しく批判しました。
さらに同氏は、警戒区域の新たな線引きー「帰還困難」、「居住制限」、「避難指示解除準備」の3区域―が賠償額とリンクしていること、この区域の除染は国直轄で膨大な資金が投入され、大手ゼネコンに丸投げされ儲け口にされていること、警戒区域外の除染は市町村が実施するが進んでおらず、除染技術と中間貯蔵施設の未確立の問題など深刻な実態を明らかにしました。
県民の人生をかけた闘いで東電と国に
人災と認めさせ完全賠償させていく
最後に同氏は、弁護団を持たない福島農民連の高齢の野菜農家の女性が、野菜を作りリヤカーを引いて売り歩きやっと固定客ができて生活できるようになったのに、すべてが奪われたと怒り、東電交渉でこれまでの自らの人生を語り続け、東電職員を涙させ、ついに満額の損害賠償を勝ち取った経験をリアルに紹介、福島県民の闘いは文字通り人生をかけたたたかいになっていると強調しました。これからが福島の再生をかけた本格的たたかいになるとし、「事故収束宣言」の撤回を前提に、県内原発10基全部廃炉、完全賠償の実現、国と東電に人災と認めさせるー4つの柱の総合的な要求署名運動で県内・全国に大きく打って出る決意を語り報告を終えました。
フクシマに連帯し、原発ゼロを
国会でも多数派にしよう
(1)職場と地域で毎月11行動,26行動、金曜日行動などに取り組もう
原発の情勢や問題の本質をつかむ網の目学習会、毎月11日の「11行動」、26日のチェルノブイリデー、フェイスブックやツイッターで原発ゼロを広げる、反原連がよびかける毎週金曜日行動や日曜日デモを各地に広げましょう。
(2)共同の新「全道100万人」署名を成功させよう
さようなら原発北海道実行委員会の共同の枠組みを土台に、知事宛ての新「全道100万人」署名に取り組みます。署名の内容が確定(5月8日の予定)しだい、スタートし、10月までに文字通り100万人をやりぬく。原発連が取り組んできたいまの「原発のない北海道を」道民署名は、5月11日までに集約し第6次提出を行います。札幌で、原発連、国民大運動同実行委員会では5月25日(土)新「全道100万人」署名のスタート行動【12時~13時、大通西3丁目】から開始します。
(3)「6・2 NO NUKES DAY]を成功させよう
6月2日中央段階で行われる3団体共同の「6・2NO NUKES DAY」成功に向けて、北海道各地で同時多発的に「原発ゼロアクション」に取り組む。同時に、6・2原発ゼロ中央集会にも全道各地から参加者を送る。道段階では50名以上送る。
(4)参院選で「原発ゼロ」を国会の多数派をめざそう
意思統一会議会場(4月23日) |
映画「渡されたバトン~さよなら原発」
ー 札幌上映会に約850人
「いい映画だった」「感動した」「原発なくす運動の弾みになる」などの感想
1月の札幌上映実行委員会発足から3カ月、2月の有料試写会から2カ月となる4月20日(土)、予定通り本上映会が、共済ホールで午前1回、午後2回、夜1回、計4回の上映され、約850人が観てくれました。2月の有料試写会の133人と合わせて1000人近い方々が観てくれたことになります。上砂川からバスで20数人が参加したほか、呼びかけ人も友人などと連れ立って次々訪れ、終了後ロビーで友人や知人などとしばらく歓談する場面も。ほかに実行委員会加盟の9条の会や年金者組合、新婦人の会、道労連加盟の労組員などが多数訪れ、集う場ともなりました。
観た多数の方が、「よい映画だった」「感動した」「住民の意識は変えられると思った」「タイムリーな企画で、原発ゼロの運動の弾みになる」などの感想を述べています。以下に2人の方の感想文を紹介します。
「日本の青空Ⅲ 渡されたバトン」を観て
白樫 久(九条の会北海道連絡センター事務局員)
この映画は新潟県巻町の住民が30年以上の闘いで自分の町の原発建設計画を断念させた経緯を描いたものである。巻町は、内陸は「コシヒカリ」を生産する農村であり、海岸は日本海の魚を相手とする漁村で、若者の流出が激しい一次産業地域であった。町内の海岸にふってわいたように原発建設の話がもちあがり、地域の経済、社会の停滞を原発建設によって「活性化」するという“えさ”に、住民の心は大きく揺れる。原発立地の話が出た地域の住民には何処でも見られたことであろう。しかし、札束を湯水のようにチラつかせる電力会社の甘言に、少数の地域の人々が「おかしい」と目覚め、学習会を重ね、やがてアメリカのスリーマイル島の原発事故、それを上回るチェルノブイル事故を経験して原発の恐ろしさの声が原発建設推進の動きに大きく立ちはだかる。ためらいながら少しずつ変わっていく地域の人々は、やがて原発建設に反対する町長を当選させ、住民投票で「建設NO」が圧倒的な勝利を生みだすまでになった。それから8年、電力会社はようやく巻町での原発建設を断念するに至った。時に20世紀が終わろうとしていたという。
巻町の住民の原発拒否の闘いは、原発が人間にとって最も恐ろしいものであることを予言し、さらに電力会社と一部の為政者は最後まで原発に依存しようとするが、多くの人間はやがてそれを包囲して原発を止めさせることができるという”予言“を見せてくれた。この映画は、所々ぎこちなく住民の変わっていく様子を見せているが、現代の私たちに、この二つの予言を見事に描いている。
これから原発廃炉のバトンを手渡すー
宮内 文恵(東区 労組パート員)
巻町の三十数年にわたる住民運動をつぶさに知ることができました。三世代にわたり、「リレーのバトン」を手渡す五十嵐家のようなドラマがたくさんあったのでしょうね。
泊原発を建設させてしまい、今も、知事が先頭に立って原発推進の立場に立つ私たちの北海道では、これからどうしていくのか。巻町の歴史に学ぶところがありました。これから原発廃炉の「バトン」を手渡すために。
心に残った場面。ひとつは、推進派である父が病身の身となり、看護師さんから手渡されたビラを読むシーン。そこには広島の原爆ドームと母と子のイラストの原水爆禁止のビラでした。もうひとつは、出産して間もない娘が「推進派の家から反対運動の者がいるのは困るのだ」と実父にとがめられていたのに、時がたち反対する仲間のなかで変わっていく姿でした。
私たちの原発はいらないの声が政治を変えるまで腰をすえて、すそ野を広げていこう、と勇気づけられました。
フクシマから25カ月目の4・11チカホ宣伝署名行動
― 道民署名934筆 過去6回実施で最多 ―(写真 下)
昨年4月に初めてチカホで署名行動を実施し、今回で6回目になります。今回は、安倍自公政権のも
とで、東電の相次ぐ事故に怒り、「再稼働なんてとんでもない」「原発はやめるべきだ」などの声が多く寄せられました。4.11チカホ宣伝署名行動(4月11日) |