2013年5月24日金曜日

市町村議会への陳情と意見書案


議会議長
       
                   2013年5月23日
                  陳情者 原発問題全道連絡会   
表委員  菅野 一洋    
 (住所:札幌市白石区菊水5条1丁目4-5 道労連内)
                  (電話:0118158181、FaX:0118154545 )
        
日頃のご活躍に敬意を表します。
フクシマ原発事故から2年余の経過を振り返り、あらためて以下のことを陳情します。


 原発のない北海道の実現を求める意見書案に関する陳情
 
<陳情の趣旨>
フクシマ原発事故から2年余が経過しましたが、いまだに事故原因究明は途上で、放射性物質の放出が続き、収束の見通しが立たないまま、15万人余の福島県民が、故郷を奪われ、いまも避難を強いられたままです。フクシマ原発事故は、原発が人類と共存できないことをはっきり示しました。
また、この2年間余、原発が動かなくても電力不足は起きないことも明白になりました。人類と共存できない原発は、速やかに廃止し廃炉にすべきだとの世論と運動も大きく広がり、最近の世論調査も、「原発ゼロ」が7割、「再稼働反対」が過半数を占めています。
ところが、安倍内閣は、前政権の事故収束宣言を撤回せず、原子力規制委員会が作成中の新規制基準をクリアした原発から順次再稼働するとか、新増設もありうるとか、海外に輸出するとか、原発推進姿勢をあらわにしています。
しかし、原子力規制委員会が作成中の新規制基準案は、フクシマのような過酷事故を想定しており、安全性を保障できるものではありません。また、原発の直下に活断層があっても、それが地表に表れていなければ立地を認めるとか、実現までに数年を要する施設や装置、例えばテロ対策や航空機事故対策用の第2指揮所設置や大津波に備える防潮堤建設、加圧水型原発のフィルター付ベント設置などには、猶予期間を設けるなどとしています。いつ起きるかもしれない事故に猶予期間をもうける新規制基準など、とても納得できません。これでは新規制基準をクリアしても、安全性を保障できないことは明白です。
また、泊原発でも、大間原発でも、周辺海域や敷地内に活断層の存在の可能性を指摘し、再調査を求める専門家の声もあります。
しかも、泊原発も大間原発も、事故を起こしたフクシマ原発と同じ軽水型原発であり、冷却用電源が途絶えた場合、フクシマと同様な炉心溶融から過酷事故になり得る構造的欠陥を有しています。
このような状況のもとで泊原発の再稼働を認め、大間原発の建設を認めることは、フクシマ原発事故を2度と繰り返してはならないとの教訓に反します。したがって、いまこそ、原発のない北海道の実現に踏み出すべき時です。
<陳情事項>
近く開催される貴議会において、別紙の「原発のない北海道の実現を求める意見書(案)」を採択し、関係機関に送付していただきたいこと。

                              以上




【別紙】

原発のない北海道の実現を求める意見書案


 福島第一原発事故から2年余が経過しましたが、いまだに事故原因の究明は途上で、今も15万人を超える福島県民が避難を強いられ、ふるさとに戻れる見通しも立っていません。最近も使用済み燃料貯蔵プール冷却用電源の停電や汚染水漏れ事故が続くなど、事故は収束どころか、その見通しさえ立っていません。フクシマ原発事故は、原発が人類と共存できないことをはっきり示しました。今年に入ってからの世論調査でも、「原発ゼロ」が7割を占め、「再稼働反対」が過半数を占めています。まさに原発のない北海道と日本の実現は、国民・道民多数の願いです。
しかも、この2年間余の電力の需給状況は、全国的にも北海道でも、原発が稼働しなくても電力は足りることが明らかになりました。今夏の電力の需給見通しも、原発の再稼働がなくても電力不足は起きない見通しとなっています。この点からも、原発のない北海道と日本の実現は、可能で現実的であることは明白です。
ところが、安倍内閣は、原子力規制委員会が7月までに策定する新規制基準で安全性が確認された原発を順次再稼働させるとか、新増設もあり得ると公言し、原発輸出の「トップセールス」に奔走し、電力各社も原発の早期再稼働を声高に要求しています。
しかし、いま規制委員会が策定中の新規制基準案は、過酷事故を想定しており、とても安全性を保障できるものではありません。また、原発の直下に活断層があってもそれが地表に表れていなければ立地を認めるとか、実現までに数年を要する施設や装置、例えばテロや航空機事故対策としての第2指揮所設置や加圧水型原発のフィルター付ベント設置や大津波に備える防潮堤建設などには猶予期間を設けるなどとしています。いつ起きるかわからない事故に猶予期間を設けるなど、これでは安全性を保障できないことは明白です。
 しかも、わが国は、世界有数の地震国であり、泊原発も、函館から僅か23キロの位置に建設中の大間原発も、その周辺海域や敷地内に未確認の活断層が存在する可能性が指摘され、再調査を求める専門家も少なくありません。
 そもそもいまの原発は、技術的に未完成で苛酷事故が避けられない構造的欠陥をもち、使用済み燃料の処理・処分技術も未確立で負の遺産を孫子の代まで負わせる問題もあります。
こうした状況を考慮すれば、すべての原発を再稼働せず、そのまま廃炉のプロセスに入ることこそ、最も安全であり、可能で現実的な道です。
以上の諸点を踏まえ、原発のない北海道の実現を求め、以下のことを要望します。

1、泊原発は再稼働せず、今のまま廃炉のプロセスに入ること。
2、大間原発は、建設を中止し廃止すること。
3、原発依存のエネルギー政策をやめ、再生可能な自然エネルギーの本格的普及に転じること。
4、泊原発や建設中の大間原発の立地自治体とその周辺自治体が、原発に依存しない街づくりを進められるよう十分な支援措置をとること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  2013年  月   日

          議会議長

提出先:内閣総理大臣、経済産業大臣、環境・原子力防災大臣、原子力規制委員会委員長、北海道知事