2014年1月1日水曜日

原発問題連絡会ニュース 第243号 2013年12月20日

原発問題連絡会ニュース 第243号


全道100万人署名をやりぬき
  知事に泊原発の再稼働を容認しない
                           決断を迫ろう
 
原発のない北海道の実現を求める「全道100万人」署名スタートから7カ月。署名の到達点は、安保破棄関係、平和運動フォーラム関係、道生協連関係など合わせて合計約55万筆(11月末現在)です。泊原発3号機の適合審査は、規制委員会の指示に対する北電の資料提出が遅れており、審査終了は来年にずれ込み、一部に泊原発3号機の再稼働は来年3月以降かの報道(日経、12月11日)もあります。しかし、早まる場合もあります。一日も早く全道100万人署名をやりぬき、道知事に再稼働を容認しない決断を迫りましょう。


原発のない北海道を
100万人署名数
(12月18日現在 但しダブリあり) 
団体名
署名数
道労連
62129
新婦人
17722
北商連
11212
民医連
56185
道生連
647
農民連
168
共産党
26365
自由法曹団
34
科学者会議
母親連絡会
162
原水協
15
国民救援会
75
原発連
3356
合計
178075



12・11昼休署名行動
(2013年12月11日札幌市中央区紀伊国屋前)







「再稼働反対」運動の前進、
    「原発・核燃料サイクルからの撤退」
          の合意形成にむけて     

                            12月1日 全国連絡センターが総会


 原発問題住民運動全国連絡センターは12月1日、東京で第27回総会を開き、「『原発再稼働反対』運動の前進と『原発・核燃料サイクルからの撤退』の合意形成へ」向けての方針を確認しました。総会では、伊東達也筆頭代表委員がこの間の原発動向と「原発・核燃料サイクルからの撤退」の合意形成をめざす運動について報告しました(以下、報告の概要)。

フクシマ原発事故は加害者がいる人災


 報告の第一の柱として原発動向について、いまなお福島県内外に過酷な避難を強いられている県民が14万人余おり、直接死のほか行方不明者、避難途中や避難先での体調悪化、自殺者を含む関連死が福島県内で3395人に達していること(11月末現在)、1700人の小中校生が県内外の690校に分散して登校していること(浪江町)などをあげ、フクシマ原発事故は明らかに加害者のいる人災だと告発しました。
 除染が計画通り進まないため放射線量が下がらないのが不安だとして「町に戻らない」という人が11月の復興庁調査で、福島第1原発に最も近い大熊町67・1%、双葉町64・7%と1月時点調査と比べ約30%も急増していることがわかりました。



汚染水問題は福島第1原発事故以来の基本問題であり特異性を示している


 汚染水問題について、阿武隈山系のもとで太平洋沿岸に通じる地下水の流れを解析してその背景をたどりながら、福島第1原発が建設当初から地下水の浮力から原子炉建屋が浮き上がるのを防ぐ地下水とのたたかいに直面していたのではないかとその構造に迫りました。その視点から、東電がフクシマ原発事故に対する地震の影響を一貫して否定していることについて、東電の事故認識にボタンの掛けちがいがあるのではないかと疑問を呈しました。
 また報告は、汚染水問題が民主党政権の時から大きな問題とされながら、そのための対策工事費が1000億円レベルのさらなる債務計上となることから、汚染水対策の「遮水壁」工事の棚上げを黙認してサボタージュし、「事故収束」宣言(2011年12月16日)で責任を放棄したことが汚染水問題の深刻化を招いたと指摘しました。
 汚染水問題は、旧ソ連チェルノブイリ原発事故でも米スリーマイル島原発事故でも見られなかった問題で、これは福島原発事故の特異性を示すものであり、まさに世界の英知を集めて取り組むべき課題だと強調。したがって、原子力規制委員会が原子力の安全規制に真摯に取り組むとすれば、当面、汚染水問題の解決にこそ全力をつくすべき時であり、原発再稼働など原発推進に手を貸すことがあってはならないとし、また、安倍首相の事実をねじ曲げた「コントロール」「ブロック」発言を厳しく批判しました。



フクシマ原発事故の再発防止の保障がない「新規制基準」、事故時に有効な「原子力災害対策」がない原発再稼働はあり得ない 


 原子力規制委員会が「新規制基準」は過酷事故対策を強化したもので「世界一厳しい基準」などと礼賛していることについて、もともとフクシマ原発事故の検証にもとづくものではなく、また、新耐震設計審査指針(06年改定)と新潟県中越沖地震(07年)による柏崎刈羽原発被災の教訓をふまえて、すべての原発について、国と電力会社が取り組んできた耐震性安全評価(バックチェック)の検証にもとづくものでもないと批判しました。
さらに報告は、原子炉・格納容器本体そのものが検討されていないばかりか、「原子力災害対策計画」と「避難計画」については、多くの自治体が策定に至っていないことを規制委員会みずからが認めているにもかかわらず、再稼働審査を急ぐことは到底認められるものではなく、また、これらの問題点を抱える原発輸出は事実上「福島原発事故」輸出であり、直ちにやめることを求めました。



原発・核燃料サイクルからの撤退めざし


 報告の第2の柱として「合意形成」をめざす運動論について提起がありました。
 日本の原子力政策の総括として、報告は、原発システムはウラン濃縮技術、再処理技術、軽水炉技術など核兵器技術のエネルギー利用が基本的ポイントであるとし、戦後、日本の原発推進勢力は憲法改悪勢力と重なることを強調しました。また、フクシマ原発事故の現地を見ることは「福島とともにある」第一歩であるとして現地調査の重要性を訴えました。そのなかでいま、「原発をなくす」共同行動が歴史的な運動へ発展しつつあるとして、「原発をなくす全国連絡会」、「首都圏反原発連合」、「さようなら原発1000万人アクション」などの共同行動(3者共催、実行委員会開催などふくむ)、毎週金曜日の官邸前行動と全国各地での連帯行動の広がりと合意形成が社会的規制力として機能し始めていることを評価しました。
 国民的対話・議論について、広く国民が「原発ゼロ」の選択に得心するに至るには、原発問題以外にエネルギー問題、原発に依存しない街づくり、廃炉後の雇用問題など個人の生活スタイル、人生観も含めた対話・議論が必要とされることや、異なる意見を持つ人との真摯な話し合いなどの留意点を提起しました。



原発住民運動の主体的力量強化


 報告はまた、全国センターの情報誌「げんぱつ」の普及、財政基盤の確立強化など原発住民運動組織の主体的力量強化の課題を強調しました。「原発をなくす全国連絡会」のブックレット(「原発・核燃料サイクルから撤退の合意形成めざして」、「『新規制基準』と審査体制を斬る」―各300円)の紹介があり、積極的購読と普及、ブックレットを活用しての学習会の開催を訴えました。
 『秘密保護法』について、これまでも「テロ対策」を口実に多くの情報が隠されていたことを指摘。これを盾に国も電力会社も際限なく情報隠しを広げるのは必至だとして廃案(廃止)のさらなる運動の前進をよびかけました。


大間原発建設差し止めを求め 
函館市が国と電源開発を相手に訴訟を起こす

        ― 12月市議会で工藤壽樹市長が答弁 ―

大間原発遠景(2012年10月)


 電源開発(Jパワー)の北村雅良社長は、10月31日に記者会見をして、建設中の大間原発について、原子力規制委員会への安全審査の申請は、「最短で来年春をめざす」と述べ、同時に原発事故に備える防災対策の重点地域が、30キロ圏(UPZ)に拡大されたので函館市も圏内に入ることから、試運転を始める前に函館市とも安全協定を結ぶ必要があるとも述べました。
これに対し、工藤壽樹函館市長は、「これまで何の説明もなく、突然安全協定を結びたいと言われても到底受け入れられない。矛盾だらけだ」と道新の取材に怒りをあらわにしました。
工藤市長は、12月の市議会定例会で、市として国と電源開発を被告に、「建設の無期限凍結」をもとめ、建設差し止めの訴訟を、来年3月か6月(議会開催中)に起こすと答弁し、訴訟費用(3月に作成した訴状など)約1千万円を12月中に支払うと明言しました。
また訴訟が始まれば、世論を盛り上げる取組みも必要に応じて検討するとも発言しています。住民が起こしている訴訟も第12回目の公判が2月に開催され、第4次訴訟も行うこととなっています。
原発をなくす道南連絡会は、毎週金曜日、市内繁華街で署名・宣伝活動を継続して行っています。1月からは、宣伝カーでの街頭宣伝も行います。福島原発事故から3周年を迎える来年の3・11集会は、函館市が起こす裁判と一体となって、大間原発を建設させない闘いを大きく前進させる道南全体での取り組みが計画されています。(紺谷克孝)


申込先 原発問題全道連絡会(道労働組合総連合内 fax:011-815-4545)
または 原発問題住民運動全国連絡センター内   fax:03-5215-0578)