日本共産党地方議員(団)御中 2013年8月14日
原発問題全道連絡会
(札幌市白石区菊水5条1丁目4-5 道労連内
電話:011-815-8181、fax:011-815-4545)
原発のない北海道の実現を求める意見書案提出のお願い
毎日のご活躍に心から敬意を表します。
福島第一原発事故から2年半を迎えようとしていますが、いまだに事故の原因は未解明で、収束の見通しも立たないばかりか、高濃度汚染水の海への流出など事故は真っ只中にあり、被害はむしろ拡大し、危機的様相すら呈しています。
にもかかわらず、安倍内閣は、原発の再稼動や海外への輸出に前のめりの暴走を繰り返しています。今、政府がやるべきことは、事故原因の早期解明と事故の早期収束、被災者への完全賠償と復興・復旧に全力をあげることにあることは明白です。
北海道においては、このような原発事故が二度と繰り返されないよう、原発のない安心・安全な北海道に実現、そのためにも電源を、原発に依存せず、安全で再生可能な自然エネルギーに本格的に転換することが急務と考えます。
この見地から、今、さようなら原発1000万人アクション北海道実行委員会が呼びかけ団体となり、同実行委員会の呼びかけ人5氏(倉本聰、雨宮処凛、小野有五、西尾正道、麻田信二)が呼びかけ人となって、「原発のない北海道の実現を求める全道100万人署名」に取り組んでいるところです。この署名は、道知事宛てのもので、道民の世論を集めて、道知事に泊原発の再稼働を容認しないことや大間原発の建設中止を関係機関に申入れることなど4項目の実現をもとめるものです。地元の合意抜きに再稼動が困難であることは、新潟県知事が東電の柏崎刈羽原発の再稼働申請に反対していることから、東電が再稼働申請をできないでいることを見ても明らかだと思います。この全道100万人署名は、多数の道民の声を集めて、道知事に決断を迫るものです。
同時に、署名以外の多面的な活動もおこなって、道知事の決断を後押ししたいと考え、道内の地方議会から全道100万人署名と同趣旨の意見書や決議を採択し、国や道に反映していただくようお願いすることにいたしました。
つきましては、別紙の意見書案を参考までに送付いたします。文面は、私たちの意見書案にこだわるものではありません。あくまで参考例として送付する次第です。よろしくお願い致します。
なお、すでにご承知のように、福島第一原発事故では、東京都の上水道が汚染されたり、静岡県のお茶も汚染され、肉用牛の仕上げに使った稲わらが汚染されていたことから、沖縄を除く全県から汚染肉牛が出るなどの被害も起きました。原発事故の影響は、原発から30キロ圏などという範囲をはるかに超える広範な地域に被害が及ぶことは明白です。
泊原発や大間原発で同様な事故が起きれば、北海道全域が汚染され、壊滅的打撃を受けることは明白です。このようなことを未然に防ぐためには、まず何よりも泊原発の再稼動と大間原発の建設中止を実現することだと思います。また、幌延のような酪農地帯に核のごみを持ち込むことはとんでもありません。
以上の趣旨をお汲み取りいただき、意見書や決議を提出し、採択にご尽力いただけますよう、重ねてお願いする次第です。
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原発のない北海道の実現を求める意見書(案)
福島第一原発事故から約2年半、いまだに事故原因は未解明で、15万人もの福島県民が避難を強いられ、自宅に戻れる見通しさえ立っていません。最近も高濃度汚染水が毎日300トンも海へ流出しているなど、事故は収束どころか、真っ只中です。フクシマ原発事故は、原発と人類が共存できないことをはっきり示しています。参議院選挙後の世論調査でも、「再稼働反対」「原発輸出反対」が多数を占めています。原発のない北海道の実現こそ、多数の道民の願いです。
しかも、この間の電力事情は、原発が稼働しなくても電力は足りることが明らかとなりました。今夏の電力の需給見通しも、原発の再稼働がなくても電力不足は起きない見通しです。原発のない北海道の実現は、電力需給面からも、可能で現実的です。
ところが、安倍政権は、原子力規制委員会が決めた規制基準で安全性が確認された原発を順次再稼働させると公言し、原発輸出の「トップセールス」にも前のめりです。北海道電力も規制基準施行日の7月8日、早々と泊原発1、2、3号機の再稼動審査申請を規制委員会に提出、道民の安全よりも自社の経営収支改善に躍起となっています。
しかし、規制委員会の規制基準は、過酷事故を想定しており、とても安全性を保障できるものではありません。その過酷事故対策も、実現までに数年を要する施設や装置、例えばテロや航空機事故対策としての第2指揮所設置や免震重要棟の設置、泊原発など加圧水型原発のフィルター付ベント設置や大津波に備える防潮堤建設などに、最大5年間もの猶予期間を設けるとしています。いつ起きるかわからない事故に猶予期間を設けるなど、安全性を保障できないばかりか、“再稼動ありき”のやり方だと言わねばなりません。また、原発の直下に活断層があってもそれが地表に表れていなければ原発の立地を認めるとしています。まさに抜け穴だらけです。
しかも、わが国は、世界有数の地震国であり、泊原発も、函館から僅か23キロの位置に建設中の大間原発も、その周辺海域や敷地内に未確認の活断層が存在する可能性が指摘され、再調査を求める専門家も少なくありません。
そもそもいまの原発は、技術的に未完成で苛酷事故が避けられない構造的欠陥をもち、使用済み核燃料の処理・処分技術も未確立です。国が推進する核のごみの地層処分についても、日本学術会議が昨年9月、10万年後の安全には責任を持てないと白紙からの見直しを提言しています。核のごみの処理・処分技術も未確立で、最終処分場も決まらないまま、責任を負えない負の遺産を孫子の代まで負わせていいはずがありません。しかも、幌延深地層処分研究センターは、地質的に崩れやすく地下水やガスの湧出が多く、研究地にも最終処分場にも全く不適地だと指摘する学者や研究者、専門家も少なくありません。
以上の諸点を踏まえ、原発のない北海道の実現を求め、以下のことを要望します。
1、泊原発は再稼働せず、今のまま廃炉のプロセスに入ること。
2、大間原発は、建設を中止し廃止すること。
3、核のごみの地層処分方針を見直し、北海道と幌延を核のごみ捨て場にしないこと。
4、原発依存のエネルギー政策をやめ、再生可能な自然エネルギーの本格的普及に転じること。
5、泊原発や建設中の大間原発の立地自治体とその周辺自治体が、原発に依存しない街づくりを進められるよう十分な支援措置をとること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
2013年 月 日
議会議長
提出先:内閣総理大臣、経済産業大臣、環境・原子力防災大臣、原子力規制委員会委員長、北海道知事