北海道知事
高橋 はるみ様
2012年11月21日
原発問題全道連絡会
代表委員 大田 勤
“ 菅野一洋
“ 畠山和也
今冬の電力の安定供給対策と泊原発、大間原発、
1、今冬の電力の安定供給対策、3つの問題について
政府は11月2日、今冬の道内の電力需給対策として2010年度比7%以上の節電など3段階の対策を決めて北海道に要請しました。これをうけて貴職は、北海道地域電力需給連絡会を開き、9日に家庭や企業向けの節電対策として「北海道・冬の安全プログラム」を公表しました。しかし、今回政府が決定した内容には、いくつか重大な問題があると考えます。
1つは、北電は今冬の厳寒期の2月でも供給予備力を33万kw、予備率を最低限必要な3%を超える5.8%を確保できるとしながら、過去の火発の計画外停止の頻発を口実に、泊原発なしに今冬を乗り切るには、夏季と同様に、数値目標付の節電や計画停電の準備の必要性を盛んに強調してきました。そして政府がこの要望を受け入れる形で7%以上の節電要請など3項目の対策を決定したと伝えられており、北電に安定供給に必要なだけの緊急設置電源の増設などは求めていないという問題です。
北電は、電力の安定供給の責任から、不測の計画外停止にも備えた供給力確保対策を取るべきです。計画外停止を口実に、節電や計画停電で道民に不安をあおるなどもってのほかです。需給検証委員のなかには、北電の需給対策がなお不十分だとする意見を述べる人もいたとも言われています。緊急電源設置に関しては、北電は夏冬合わせて14.8万kwにとどまっていますが、東北電力は、今夏の供給量確保のために、30万kwクラスの火発3台を緊急設置し、新規に約98万kwの電力を確保したとされています。
北電が計画外停止にも対応できるだけの緊急電源設置増を行わない真の理由は、この間、北電社長が泊原発の一日も早い再稼働を待望する発言を繰り返してきているように、泊原発を再稼働すれば、新たな緊急電源の設置増は不要であり、無駄な投資になると考えているからではないかとの疑念が生じます。だとすれば、それは道民の安全よりも北電の経営対策を優先し、原発に固執するものと言わざるを得ないものです。この点で、11月8日の北海道地域電力需給連絡会に参加した松宮勲経済産業副大臣が、運転停止中の原発を1日も早く再稼働するよう願うと原子力規制委員会に期待感を示したと報道されていることは大問題です。福島原発事故の教訓をまったく踏まえず、原発に固執する国と電力会社の態度は重大です。
貴職は、今回の北電の需給見通しと安定供給対策、政府の節電要請、及び泊原発の再稼働に期待感を示した経済産業副大臣の発言に、どのような見解をもっているのか、伺います。
2つは、原発依存のエネルギー政策を転換し、安全な自然エネルギーの本格的普及に軸足を移す対策が欠如している問題です。この7月から自然エネルギーの固定価格買取制度が発足し、風力で北電の買い取り枠20万kwを大幅に上回る187万kwの応募があり、太陽光も90万kwの売電希望があるとされています。しかし、北電は、太陽光は夜間発電できない、風力は風次第で不安定で変動するなどとして、自然エネルギーの本格的普及に消極的で、あくまで原発に固執する態度です。しかし、福島原発事故後の世界の流れは、ドイツやスイスなどにみられるように、期限を決めて原発から撤退し、再生可能な自然エネルギーの本格的普及に転換する方向です。わが国でも、原発からの撤退を決断し、自然エネルギーの本格的普及に軸足を移すべきと考えます。この対策を需給見通しにもしっかり位置づけるべきと考えます。貴職の見解を伺います。
3つは、この際、世界でも異常な人間の摂理にも反する24時間型社会に象徴される日本のエネルギー浪費型社会を大本から見直し、低エネルギー社会へ踏み出すべきだという問題です。今回の需給見通しには、この視点が全く欠落しています。この際、人間の健康を破壊する深夜労働の規制やテレビの深夜放送や無制限に増え続ける自動販売機の規制など、ただちに低エネ社会に向かって踏み出すべきと考えます。貴職の見解を伺います。
2、泊原発の廃止、廃炉、大間原発の建設中止について
夏に続き今冬も泊原発なしに電力はまかなえる需給見通しです。フクシマ後の国民世論も道民世論も、即時原発廃止、泊原発の全廃・廃炉、大間原発の建設中止が圧倒的多数です。国に向かって、泊原発をただちに廃止し廃炉に向かうよう、また、大間原発の建設を中止するよう求めるべきです。貴職の見解を伺います。
3、幌延深地層研究センターの廃止について
日本学術会議は9月、核廃棄物の深地層処分の白紙からの見直しを国(原子力委員会)に提言しました。また、政府は、幌延深地層研究センターの地下施設建設事業が、地下水対策にてこずり、計画以上に事業費が膨らんでいることを認めています。地震や地質の専門家からは、サロベツ断層帯では、マグニチュード7.6程度の大地震が10万年間に12~25回発生すると予測され、幌延の地質も地層も地層処分場には「不適地」だと指摘されています。このような場所に地層処分する場合を想定している事業をすすめることは無駄であり、ただちに中止を求めるべきと考えます。貴職の見解を伺います。
以上