2012年12月19日水曜日

即時原発ゼロ社会の実現に向けて - 1区政策委員長 野呂田博之


即時原発ゼロ社会の実現に向けて
2012年12月19日    1区政策委員長 野呂田博之


 


3・11福島原発事故を体験して、国民の多くは原発に頼らない自然エネルギーへの転換を求めています。そんななかでの衆議院選挙で「即時原発ゼロ」を掲げる日本共産党が前進できなかったのが残念でした。力不足を感じていますが、立ち止まっている時間はありません。ひきつづき「再稼働反対!」「泊は廃炉!」「自然エネルギーへの転換を!」の声を高めていきます。
 選挙戦のなかで福島市から自主避難されて中央区に住んでいる方とお会いする機会がありました。その女性の夫は福島市内で材木店の仕事をしているため福島市内に残っています。子どものことが不安でこちらに夫婦バラバラで来られています。福島では保守系の市長さんの選挙応援もしたことがあります。でも、あの3・11以降二度と応援はしたくない、市民のことを何にも考えない政治家にうんざりとお話ししていました。今度は、日本共産党と支持を約束されていました。
 札幌では反原発連の抗議行動が6月から取り組まれています。わたしもずっと参加してきましたが最大参加900人と数では大きくなっていません。でも初めての参加者が毎回います。わたしは候補活動中も「なくせ!原発」の福島集会の旗や「大間原発建設再開大間違い」のプラカードを持って参加しました。市民の思いに心を寄せて一緒に参加している他党の候補がいたでしょうか。
 あちこちの原発の下に活断層の危険が報道されています。この日本列島に安全な原発などひとつもありません。思考停止や後戻りはできません。子どもたちの未来を守るために、福島から避難されてきた方々の思いを共有して最も現実的で一番責任があり、実現可能な「即時原発ゼロ」をこれからも訴え続けます。





新たに苫小牧市議会と登別市議会で
泊原発の再稼働「しない」、「住民理解を求める」意見書を可決
           ―昨年来の累計で、道内41市町村議会に―


  12月定例地方議会で、苫小牧市議会では「泊原発1・2号機の再稼働に関する住民理解を求める意見書」が関係委員会で趣旨採択され、14日の本会議では一部修正のうえ全会一致で可決、登別市議会では17日「福島原発事故の徹底究明・検証と北海道泊原発をはじめとする原発の再稼働をせず、大間原発の建設中止を求める意見書」が全会一致で可決され、それぞれ関係機関へ送付されました。この2市議会が加わり、昨年来の累計で、道内41市町村議会で採択されたことになります。




稼働停止中の原発では、事故は起きないのか、との質問に答えて
先の総選挙中に、稼働停止中の原発が、福島原発事故のような大地震や大津波などに遭遇したら、どうなるか、事故の心配はないのかどうか、わかりやすい対話マニュアルを書いてほしいとの要望が寄せられました。参考に書いたものを掲載します。

◇昨年の福島第一原発の事故では、1、2、3号機が水素爆発、2号機が異常爆発を起こし、大量の放射性物質が放出・拡散され、今も放射性物質は放出され、被害を拡大し続けていることはご承知の通りです。
福島の事故では、稼働中だった1、2、3号機は地震の揺れで自動停止しましたが、送電鉄塔の倒壊で外部電源が送電不能となり、内部の緊急電源が一時稼動しました。しかし、これが津波をかぶって運転停止し、冷却水が循環しなくなって、炉心溶融・メルトダウンを起こし、水素爆発や異常爆発に至ったとされています。4号機は、定期検査のため稼働停止中で、原子炉に核燃料棒は入っておらず、貯蔵プールに移して冷却水を循環させて冷却中でしたが、冷却水を循環させるポンプの電源が途絶えて、プールの冷却水が核燃料棒の中のウラン燃料が、すでに核分裂して生成された放射性物質の崩壊熱で短時間に蒸発し、温度が1100℃以上に上がって水が核燃料棒の被覆管(ジルコニウム合金)と反応し水素が発生して水素爆発に至ったとされています。
◇いま全国で(泊原発もその一つ)稼働停止中の原発では、一応定期検査を終え、再稼働に向けてすでに原子炉に核燃料を装荷済みの原発と、核燃料棒を貯蔵プールに移してプールで冷却貯蔵中の原発があります。どちらの場合も、すでに運転した実績がある核燃料棒は、崩壊熱を出し続けており、冷却水を循環させて冷却を続けなければ、福島と同様な事故を起こします。
したがって、稼働停止中の原発であっても、冷却水を循環させるポンプの電源が途絶えると、福島と同じような炉心溶融・メルトダウン事故を起こしうるのです。ただ、稼働中の原発の場合は、地震や津波が発生し原発を緊急停止させても、原子炉やタービン建屋に至る複雑で長大な配管も含めて高温高圧の過酷な状態のもとにあり、事故時の制御は停止中よりもいっそう困難だと考えられます。すでに稼働停止し、冷温停止状態に到達している原発の方がコントロールしやすいと考えられます。その場合でも、炉心溶融事故は起きうるということです。
◇確かに、稼働停止すれば、核燃料棒の中のウラン燃料の核分裂はとまるので、新たな放射性物質が生成する(増える)ことは防げます
が、すでに生成された放射性物質が核崩壊を起こし、莫大な崩壊熱を出しながら放射性物質ではない安定的な原子に変わっていきます。使用済み核燃料棒の場合、貯蔵プールから取り出せる状態になるまでに少なくとも4~5年は要するとされています。貯蔵プールも冷却水を循環し続けるなど、厳重な保守・管理が必要です。
◇以上のように、稼働停止中であっても、事故が起きうるわけです。これが軽水炉原発の構造的欠陥です。稼働停止したから事故の心配がなくなったと言えるわけではありません。福島のような大地震や大津波が原発を襲えば、地震国日本で安全だと言える原発はあり得ません。早く廃止し、廃炉のプロセスに進めるべきです。
◇廃炉にするとしても、その手順が確立しているわけではなく、試行錯誤を繰り返しながらの20~40年ともいわれる長期間にわたる作業行程が伴うとされています。廃炉の技術を開発し、安全な廃炉作業を推進することが求められています。