北海道電力株式会社 2012年11月1日
社長 川合 克彦 様
原発問題全道連絡会
代表委員 大田 勤
“ 菅野 一洋
“ 畠山 和也
北海道労働組合総連合
(札幌市白石区菊水5条1丁目4-5
第6尾崎ビル3階 道労連内
電話:011-815-8181
Fax:011―-815-4545)
道内の今冬の電力の安定供給等に関する申入れ
日々のご精励に敬意を表します。
さて、貴社は10月12日、泊原発の再稼動がないもとでの道内の今冬の電力需給見通しを発表し、2010年度並の厳寒になった場合の今冬の最大電力需要を563万KWと想定する一方、最大供給力は596万KW確保できるとし、供給予備力が2月度33万KW、供給予備率5.8%で、最低限必要な3%を確保できる見通しとしています。
同時に貴社は、33万KWの予備力を持っていたとしても、北本連系設備からの受電が見込めなければ伊達や知内発電所の発電機1機(35万KW)が停止すると予備力がほぼゼロの状態になってしまう、また、昨年度の最大の予定外の停止実績が96万KWに達したとし、この場合は北本連系からの最大60万KWの受電を考慮しても供給力が不足する事態となるなどとし、今冬前に泊原発の再稼働が必要だと不安を煽っています。現に貴社は、7月31日に今冬の需給見通しが今夏以上に厳しくなるとの見解を発表して以来、冬になる前に泊原発1、2号機の再稼動を待望する発言を繰り返してきています。
しかし、道内の今夏の電力需給結果は、苫東厚真火発4号機(出力70万KW)を大規模改修と称して5カ月間も運転停止しながら、電力不足は起きませんでした。この苫東厚真火発4号機は、10月22日に改修を終え、今冬フル稼働が可能となることが予定されています。本道の冬の電力需要が、夏に比べ約70万KW増加するとされていますが、これは苫東厚真火発4号機がフル稼働すれば、増加分をカバーできることになり、基本的には今冬も電力不足は起きないと見通せます。また、北本連系で最大60万KWの受電も可能とされています。さらに、需給逼迫時の需給調整契約による需要抑制でも一定の供給量確保が可能です。こうしたことを考慮すれば、今冬も電力は十分確保可能であると考えます。
そもそもフクシマ原発事故の最大の教訓は、このような事故は、2度と繰り返してはならないということです。原発は、技術的に未完成で、世界有数の地震国、津波国のわが国に大地震が起きないといえる安全な場所はどこにもない(国会での気象庁長官答弁)のであり、したがって安全な原発などありません。また、原子力規制委員会は、再稼働に必要な安全基準をまだ策定していません。過酷事故に備えた原子力防災計画や原子力防災対策もこれからです。まして避難訓練による検証などは今後の課題です。まさに泊原発も再稼動の条件そのものがありません。泊原発なしの安定供給計画を立て、実行すべきです。
しかも、いま国民・道民の8~9割が「即時原発ゼロ」を望んでいます。この国民・道民の声を真正面から受け止め、政府も貴社も、夏も冬も原発に頼らないで電力の安定供給の責任を果たすべきです。
いまこそ、人類と共存できない原発から撤退し、安心・安全な再生可能なエネルギーに転換すべき時です。自然の豊かな北海道でこそ、安全な再生可能エネルギーへの転換の条件に満ちており、貴社も率先して自然エネルギーの本格的普及に転換すべきです。また、無駄な電力の節電とともに、人間の摂理にも反する24時間型社会に象徴されるエネルギー浪費型の日本社会を根本から見直し、低エネルギー社会への転換に踏み出すべきです。
以上を踏まえ、以下のことを申し入れるものです。
1、道内の発電設備容量は、苫東厚真火発4号機が10月22日に大規模改修を終えてフル稼働に入れば、冬季の電力需要増に見合う電力供給が可能となります。今回の貴社の電力需給見通しも、原発なしに今冬も電力供給が可能であることを示すものとなっています。今こそ、福島原発事故を踏まえ、原発依存から脱却し、泊原発の即時全廃、廃炉に踏み切ること。
2、発電設備の頻繁な故障の発生を理由に電力不足をあおり、過度の節電や計画停電で道民を脅かす卑劣なやり方は厳に慎むこと。電力需給と危険な泊原発の再稼動を天秤にかけるのは間違いであり即刻やめること。
3、予期しない火発の故障など不測の事態に備える必要があるのなら、地域独占企業体としての社会的責務を深く自覚し、既存の水力発電や火力発電などの保守管理に万全を期すとともに、今夏東北電力などが緊急設置電源を増設するなどして乗り切ったように、緊急対策として、火力による電力確保を行い、道民に不安を与えない安定供給体制を確立すること。但し、火力発電は、地球温暖化抑止という人類的課題の観点から、あくまで過渡的な緊急避難措置とすること。
4、自然資源の宝庫である北海道は、安全で再生可能な自然エネルギーに大転換をはかる条件に満ちており、貴社が自然エネルギーの本格的な普及の先頭に立つこと。すでに応募があった187万KWの風力発電や90万KWの太陽光発電の買取と送電線への接続が可能となるように、発送電分離と送電線への接続の義務化を法制化するよう、国に強く働き掛けること。
5、この機会に貴社は、24時間型社会に象徴されるエネルギー浪費型社会を根本から見直し、低エネルギー社会に転換する牽引車の役割を発揮すること。