2013年5月2日木曜日

原発問題連絡会ニュース第235号 2013年4月25日

原発問題連絡会ニュース 第235号


フクシマから2年。進まない復旧・復興
                        ―福島の実相踏まえ
支援と連帯の輪を広げ、原発のない北海道へ
                      ー運動の新たな高揚をはかろう
とめよう!なくそう!原発  
     ~ 4・23「原発ゼロ☆大運動」意思統一会議―

 原発問題全道連絡会と国民大運動北海道実行委員会は4月23日、「とめよう!なくそう!原発―『原発ゼロ大運動』意思統一会議」を開催し、ふくしま復興共同センターの斎藤冨春代表委員(福島県労連議長)の特別報告「『福島原発事故の実相』…進まない復旧・復興の中で」と題する特別報告を聞き、支援と連帯の輪を広げることを共通認識にするとともに、国民大運動北海道実行委員会の出口憲次事務局長が、当面する春から夏に向けての行動提起をおこない、質疑・交流を踏まえ、確認し合いました。

朽ちる自宅見て心萎えるーとまらぬ災害関連死、
                                              先が見えない原発災害
収束宣言撤回を前面に総合的要求署名運動で
                         大きく打って出る決意を語る
―ふくしま復興共同センター代表委員 齋藤冨春氏が特別報告― 


 斎藤氏は、豊富なレジュメにそって約50分報告。最初に、昨年の原水禁世界大会での浪江町の馬場町長の痛苦の告発―「私たち福島県民に、憲法25条の生存権、27条の勤労の権利、22条の居住及び職業選択の自由、26条の教育を受ける権利、29条の財産権、13条の幸福追求権など憲法が保障する権利はないのでしょうか」―を紹介、これが福島県民の現状だと語りました。

停電、断水中の警戒区域に戻れという経産省の無謀


説明する斎藤富春ふくしま復興センター代表委員
 
 


同氏は、今年4月現在の被害状況について、停電29923戸、水道断水23109戸、県内避難者98363人、県外避難者56920人、避難者数合計15万5453人、18歳未満の県外避難者1万7800人、北海道への避難者(1月17日現在)1806人などを示し、昨年中部電力社員が福島の原発事故で死んだ人はいないと無神経な発言をしたが、実態はどうか。津波で壊れた道路が再建され、経産省が県民に自宅に戻れと迫っているが、20キロ圏内の警戒区域は、停電、断水などライフラインが復旧していないから住むことなどできない。見に行くたびに朽ちていく自宅を見て心が萎え、いまも自殺する人がいるとし、今年4月5日現在の災害関連死は1376人にのぼっている(こんなに原発関連含め死者がいる)と語りました。また、同氏は避難者から話を聞き、寄り添う支援をと要望しました。


「オール福島」の闘いが、県議会・県知事を動かす


ついで齋藤代表委員は、この2年間のたたかいで、「県内全原発の廃炉を求める請願」を県議会で全会一致で可決させ、県知事も全原発廃炉を決断して県復興計画に明記したこと、収束宣言撤回を求める意見書も県議会が全会一致で採択したこと、国が拒否した「18歳以下の県民医療費無料化」は県が40億円出して実施していること、県知事は東電に課してきた「核燃料税」を廃止し、県議会で原発事故は「人災」と答弁したーことなどをあげ、オール福島の運動と闘いが県議会や県知事を動かし勝ち取った成果だと報告しました。


福島は今どうなっているか…
「収束」にほど遠く、「トイレなきマンション」状態が続いている


同氏は、福島第一原発のプラントの状況について、「原発事故対応3原則」が成り立っていないとして、①原子炉圧力容器の温度計故障で異常な温度上昇が測定不能になっていること、②原子炉格納容器の水位がわずか60㎝しかなかったのに東電は3メートルはあると思っていたこと、③仮設配電盤のネズミ漏電事故による冷却システム停止―29時間の停電が問題になったが、ネズミの被害はいろいろ起きていたのに隠していたこと、④冷却水配管23カ所破損・汚染水漏れは、雑草のチガヤが突き破ったものだったこと、そして今問題になっている地下貯水槽の汚染水漏れなど、いずれも原発事故以前の土木事業的事故だと、東電のずさんな対応を厳しく批判しました。
さらに同氏は、警戒区域の新たな線引きー「帰還困難」、「居住制限」、「避難指示解除準備」の3区域―が賠償額とリンクしていること、この区域の除染は国直轄で膨大な資金が投入され、大手ゼネコンに丸投げされ儲け口にされていること、警戒区域外の除染は市町村が実施するが進んでおらず、除染技術と中間貯蔵施設の未確立の問題など深刻な実態を明らかにしました。


県民の人生をかけた闘いで東電と国に
人災と認めさせ完全賠償させていく

4.23原発ゼロ意思統一会場海上


 最後に同氏は、弁護団を持たない福島農民連の高齢の野菜農家の女性が、野菜を作りリヤカーを引いて売り歩きやっと固定客ができて生活できるようになったのに、すべてが奪われたと怒り、東電交渉でこれまでの自らの人生を語り続け、東電職員を涙させ、ついに満額の損害賠償を勝ち取った経験をリアルに紹介、福島県民の闘いは文字通り人生をかけたたたかいになっていると強調しました。これからが福島の再生をかけた本格的たたかいになるとし、「事故収束宣言」の撤回を前提に、県内原発10基全部廃炉、完全賠償の実現、国と東電に人災と認めさせるー4つの柱の総合的な要求署名運動で県内・全国に大きく打って出る決意を語り報告を終えました。


フクシマに連帯し、原発ゼロを
国会でも多数派にしよう


  ― 出口憲次事務局長が行動提起 ― 
当面する春から夏にかけて行動提起を、国民大運動北海道実委員会の出口憲次事務局長が行い、①原発再稼働・建設を阻止するたたかい、②復興・除染・全面賠償の追求、③共同で取り組む知事宛て新「全道100万人」署名、④「6・2NO NUKESDAY」一斉行動、⑤参院選で「原発ゼロ」勢力を多数派にするたたかい―を重視し、職場と地域で「原発ゼロ」大運動を広げようと提起しました。


(1)職場と地域で毎月11行動,26行動、金曜日行動などに取り組もう


  原発の情勢や問題の本質をつかむ網の目学習会、毎月11日の「11行動」、26日のチェルノブイリデー、フェイスブックやツイッターで原発ゼロを広げる、反原連がよびかける毎週金曜日行動や日曜日デモを各地に広げましょう。


(2)共同の新「全道100万人」署名を成功させよう


  さようなら原発北海道実行委員会の共同の枠組みを土台に、知事宛ての新「全道100万人」署名に取り組みます。署名の内容が確定(5月8日の予定)しだい、スタートし、10月までに文字通り100万人をやりぬく。原発連が取り組んできたいまの「原発のない北海道を」道民署名は、5月11日までに集約し第6次提出を行います。札幌で、原発連、国民大運動同実行委員会では5月25日(土)新「全道100万人」署名のスタート行動【12時~13時、大通西3丁目】から開始します。


(3)「6・2 NO NUKES DAY]を成功させよう 


  6月2日中央段階で行われる3団体共同の「6・2NO NUKES DAY」成功に向けて、北海道各地で同時多発的に「原発ゼロアクション」に取り組む。同時に、6・2原発ゼロ中央集会にも全道各地から参加者を送る。道段階では50名以上送る。


(4)参院選で「原発ゼロ」を国会の多数派をめざそう


7月の参院選で「原発ゼロ」勢力を国会で多数派にするため、各団体で「原発ゼロ」実現をよびかけるアピールなどを発出し、職場・地域で賛同を広げます。
意思統一会議会場(4月23日)



                                                      
映画「渡されたバトン~さよなら原発」
ー 札幌上映会に約850人 
   「いい映画だった」「感動した」「原発なくす運動の弾みになる」などの感想  
1月の札幌上映実行委員会発足から3カ月、2月の有料試写会から2カ月となる4月20日(土)、予定通り本上映会が、共済ホールで午前1回、午後2回、夜1回、計4回の上映され、約850人が観てくれました。2月の有料試写会の133人と合わせて1000人近い方々が観てくれたことになります。上砂川からバスで20数人が参加したほか、呼びかけ人も友人などと連れ立って次々訪れ、終了後ロビーで友人や知人などとしばらく歓談する場面も。ほかに実行委員会加盟の9条の会や年金者組合、新婦人の会、道労連加盟の労組員などが多数訪れ、集う場ともなりました。
観た多数の方が、「よい映画だった」「感動した」「住民の意識は変えられると思った」「タイムリーな企画で、原発ゼロの運動の弾みになる」などの感想を述べています。以下に2人の方の感想文を紹介します。


「日本の青空Ⅲ 渡されたバトン」を観て    
 白樫 久(九条の会北海道連絡センター事務局員)  



 この映画は新潟県巻町の住民が30年以上の闘いで自分の町の原発建設計画を断念させた経緯を描いたものである。巻町は、内陸は「コシヒカリ」を生産する農村であり、海岸は日本海の魚を相手とする漁村で、若者の流出が激しい一次産業地域であった。町内の海岸にふってわいたように原発建設の話がもちあがり、地域の経済、社会の停滞を原発建設によって「活性化」するという“えさ”に、住民の心は大きく揺れる。原発立地の話が出た地域の住民には何処でも見られたことであろう。しかし、札束を湯水のようにチラつかせる電力会社の甘言に、少数の地域の人々が「おかしい」と目覚め、学習会を重ね、やがてアメリカのスリーマイル島の原発事故、それを上回るチェルノブイル事故を経験して原発の恐ろしさの声が原発建設推進の動きに大きく立ちはだかる。ためらいながら少しずつ変わっていく地域の人々は、やがて原発建設に反対する町長を当選させ、住民投票で「建設NO」が圧倒的な勝利を生みだすまでになった。それから8年、電力会社はようやく巻町での原発建設を断念するに至った。時に20世紀が終わろうとしていたという。
 巻町の住民の原発拒否の闘いは、原発が人間にとって最も恐ろしいものであることを予言し、さらに電力会社と一部の為政者は最後まで原発に依存しようとするが、多くの人間はやがてそれを包囲して原発を止めさせることができるという”予言“を見せてくれた。この映画は、所々ぎこちなく住民の変わっていく様子を見せているが、現代の私たちに、この二つの予言を見事に描いている。      


これから原発廃炉のバトンを手渡すー        
宮内 文恵(東区 労組パート員)


 巻町の三十数年にわたる住民運動をつぶさに知ることができました。三世代にわたり、「リレーのバトン」を手渡す五十嵐家のようなドラマがたくさんあったのでしょうね。
泊原発を建設させてしまい、今も、知事が先頭に立って原発推進の立場に立つ私たちの北海道では、これからどうしていくのか。巻町の歴史に学ぶところがありました。これから原発廃炉の「バトン」を手渡すために。
 心に残った場面。ひとつは、推進派である父が病身の身となり、看護師さんから手渡されたビラを読むシーン。そこには広島の原爆ドームと母と子のイラストの原水爆禁止のビラでした。もうひとつは、出産して間もない娘が「推進派の家から反対運動の者がいるのは困るのだ」と実父にとがめられていたのに、時がたち反対する仲間のなかで変わっていく姿でした。
 私たちの原発はいらないの声が政治を変えるまで腰をすえて、すそ野を広げていこう、と勇気づけられました。



                                                  
フクシマから25カ月目の4・11チカホ宣伝署名行動
― 道民署名934筆 過去6回実施で最多 ―(写真 下)
  昨年4月に初めてチカホで署名行動を実施し、今回で6回目になります。今回は、安倍自公政権のも 
とで、東電の相次ぐ事故に怒り、「再稼働なんてとんでもない」「原発はやめるべきだ」などの声が多く寄せられました。
4.11チカホ宣伝署名行動(4月11日)

2013年4月28日日曜日

「原発のない北海道」、幌延深地層研究センター問題で知事に申し入れ

2013年4月26日 原発問題全道連絡会は高橋はるみ知事に対して「原発のない北海道」の実現にむけて、福島原発事故に総力をあげることを政府に求めること。泊原発の再稼働を容認せず、大間原発の中止を求めること。原発依存をやめて再生可能な自然エネルギーの普及に転換するよう求めることを要請しました。
要請書を手渡す太田代表委員
要請について道との話し合い
そして幌延深地層センターに関しては最終処分場としても研究地としても不適地であり、国に廃止を求めること。使用済み核燃料の直接処分の研究地としないよう国に求めること。道民合意なしに北海道と幌延を核のごみ捨て場にしないよう国に求めることを要請する申し入れを行いました。
要請書全文は「メニュー」「北海道知事への申し入れ」をご覧ください。

話し合い概要


泊原発の再稼働を容認せず、大間原発の建設中止、
    ただちに原発のない北海道の実現を国に求めよ
  地下水やガスが出る幌延深地層研究センターは廃止を!
  - 26日原発連が道知事に2つの申入れ ー
 今回の申入れは2つ。1つは、猛暑の昨夏も厳冬の今冬も、泊原発がなくても道内の電気は足りた今こそ、泊原発の再稼働を容認せず、大間原発の建設を中止し、原発のない安全・安心な北海道の実現を国に求めるべき時だと要請しました。
 この要請に対し、道側は、原子力規制委員会が作成中の新規制基準で泊原発の安全性をしっかり審査してもらいたい、大間原発は昨年10月5日、知事が経産大臣に、国の責任で大間原発の必要性や安全性を明らかにすべきだと求めた、また事業者である電源開発には、道南住民に十分説明するよう申し入れていると述べるにとどまりました。
 これに対して、代表委員の大田勤岩内町議が、北電は事業者の防災業務計画で、1・2号機から80mの事務管理棟の地下2階に緊急時対策所を設置したとしているが、ここは海抜2.3mしかなく、津波の際に水没するのでないか、道の見解を聞きたいと求めました。しかし、道側は、地下2階の緊急時対策所あるいは、中央制御室の隣に設けた緊急時代替指揮所は、道が認めるとか認めないとかいう問題ではなく、規制委員会が新基準で判断し、北電がきちんと対策を取ることが大事な問題だなどとし、道民に責任を負う自治体としての考えを何も示しませんでした。
 これについて大田勤代表委員は、地下2階、海抜2.3mの指揮所など納得できない、と道の無責任な対応を批判しました。
 原発連 「福島事故収束宣言撤回して収束に総力あげるよう国に求めよ」
  道側 「原発関係団体協議会を通じるなどして国に要請してきた」「今後も事故収束    に国が責任もって取り組むよう求めていく」
   原発連  「原発依存のエネ政策をやめ、再生可能エネの大量普及に転換を」
    道側 「省エネ・新エネ促進条例にもとづき、導入促進に努めるが、送電網の整備や    蓄電技術開発など国の制度や支援策に大きく左右されるので、国の積極的な    取組みを要請しつつ、道として地域の特性や取組みの熟度に応じた支援に努    める」
    原発連 「地下水やガスが発生する幌延深地層研の廃止を求めよ」
     道側 「幌延深地層研は、地下深部に厚い堆積岩があり、結晶質岩の岐阜県瑞浪市の    超深地層研との研究対比ができる特徴がある」「現在第2段階の坑道掘削時    と第3段階の地下施設での調査研究が行われており、安全対策を講じつつ計画
               通り研究が進むよう申入れていく」
            原発連 「幌延を使用済み燃料の直接処分の研究地にしないよう求めよ」
 道側 「安全性の確保を最優先に、国が具体的な道筋を示していくもの」
原発連  「北海道と幌延を核のごみ捨て場にしないよう求めよ」     
 道側 「道条例により、特定放射性廃棄物の持ち込みは受け入れがたいことを宣言している。また幌延町と原研機構と北海道の3者で、放射性廃棄物を持ち込むことや使用することはしない協定を結んでおり、これらを順守することが大切と考えている」


北電が防災業務計画修正で事象発生報告先から3町村を削除
大田勤代表委員 ~「安全協定からの後退だ」と道に見解ただす

応答の中で大田勤代表委員は、国の原子力防災指針の見直しや道の原子力防災計画の見直しにともない、北電が防災業務計画を再修正し、泊原発内での事象発生報告先自治体及び立ち入り検査の同行自治体から、周辺3町村(岩内、共和、神恵内)を削除し、道と泊村だけにしたことについて、地元の意向軽視、安全協定からの後退だと批判し、道の見解をただしました。
道側は、「国の防災指針と道の防災計画見直しに伴う(文言)整備で、北電の防災業務計画からは削除されたが、これまでと同じように3町村にも連絡するし、立入にも同行できることになっている」と回答しました。しかし、削除する明確な根拠は示しませんでした。
 このほか、原発連が、原子力規制委員会の放射能漏れ事故を想定した新規制基準案について道の見解をただしたのに対して道側は、「これまでは放射能漏れへの対策がなかったのを改め今回設けるもの」などと規制委員会の見解を肯定的に語り、規制委員会が5月10日までパブコメを行っているので意見があれば出せるなどと回答。これに対し原発連側は、過酷事故が起きうるなどという想定の規制基準では、道民の安全を保障しえないのだから、道としてもパブコメで意見を出すべきだし、泊原発敷地内の11本の断層のうち3本の断層は活断層ではないかとの疑念があるだから、北電に再調査を求めるべきだと求めました。しかし、道側は、規制委員会が判断する問題だというだけで、知事が口にする「道民の安全を最優先に考えていく」とは大きくかけ離れた回答にとどまりました。

幌延センター廃止に関する道知事への申し入れ


北海道知事                    
高橋はるみ様
                   2013年4月26日
                        原発問題全道連絡会
                           代表委員  大田  勤
                             “    菅野 一洋
                                       “   畠山 和也

日本原子力研究開発機構の

幌延深地層研究センターに関する申入れ


 日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センター(以下 幌延研究センター)は、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(2000年5月成立)にもとづき、2000年から20年計画で、使用済み核燃料を再処理して排出される高レベル放射性廃棄物の深地層処分に関する研究を行っています。
しかし、幌延研究センターは、発足当初から、地質や地震の専門家などから、地質学的にも地震学的にも最終処分地としても研究地としても不適地だとの強い批判があり、2012年9月には日本学術会議が国の地層処分の政策を白紙から見直すべきなどとする回答(提言)を原子力委員会に提出しています。
また、政府は、昨年9月、幌延研究センター事業の進捗状況について、紙智子参院議員の質問主意書に対する答弁書で、2000年度から2012年度までの地下施設建設の進捗状況は約40%だが、建設費の予算総額は、当初試算額の89%に達していること、それは幌延の地質環境に起因する湧水抑制対策や工事排水処理設備等に要した費用が、当初の試算時の見込みを上回ったためであるとしています。
こうしたなかで、今年2月に、幌延研究センターの地下350メートルの地下坑道で、地下水湧出量の急増とメタンガス濃度の上昇で、現場から作業員全員を緊急避難させる事故が起き、処分場としても研究地としても不適地であることを裏付ける事態となりました。
また、政府は2013年度予算案のなかで、使用済み核燃料を再処理せず、直接地中に埋める直接処分のための研究開発予算を、文科省と経産省にそれぞれ約3億円づつ計上し、今年度から研究を開始するとし、文科省は「その研究を幌延研究センターで行うこともあり得る」と述べたとの報道もあります。
以上のような諸点を踏まえ、以下のことを要請します。


1、幌延研究センターは最終処分場としても研究地としても不適地であり、早急に国に廃止を求めること。

(1)幌延町は、地質学的には新第3紀(2300万年~260万年前)及び第4紀(260万年前~現代)からなる新しい地層で、泥岩を主体とした堆積岩で、断層・割れ目も多く、割れ目伝いに地下水の浸透があり、一般的には放射性廃棄物の最終処分場としては不適地だと厳しく批判されてきたが、今年2月の幌延研究センターでの地下湧水急増、メタンガス濃度上昇、作業員緊急避難事故によって、改めて不適地であることが明確になったと考えます。ところが、幌延研究センターは、これからの地下坑道掘削予定地域の3カ所で地下水脈にぶつかり、今回と同様な事態に遭遇する可能性があるとしています。 
同じ堆積岩を地層処分の対象に検討しているスイスのモン・テリ地下岩盤研究所の地質時代はジュラ紀(2億年前~1億4500万年前)であり、幌延の堆積岩と比べはるかに古くかつ硬い岩石で、水が移動しがたく、割れ目も少なく、卓越した不透水性の条件にあることで地下実験プロジェクトが実施された理由とされています。その他の国でも、幌延のような地質環境のところを地層処分の対象にしている例はありません。こうした事例からみても、割れ目の少ない不透水性の地層で、周囲からの地下水の流入が少ない土地を選定すべきであり、幌延は当然不適地と考えるべきです。
また、幌延研究センターの地下施設建設費は、既述の通り地下水対策などに手間取り、当初試算時見込みを大幅に上回っており、予算的にも大幅な無駄遣いと言わなければならない事態となっています。この点からも、幌延研究センターは、早急に国に廃止を求めるべきです。
(2)文科省地震調査研究推進本部は2005年、「主要活断層」の12カ所の追加指定に際し、サロベツ断層帯を加え、2007年の評価で「この断層帯は長さからみてマグニチュード7.6程度の地震が発生する可能性があり、断層帯近傍の地表面では、3~4メートル程度の隆起が生じる可能性がある。今後30年間に地震が発生する可能性が、わが国の主な断層帯の中では高いグループに属する」としています。現に一昨年来、宗谷・天北地方でM4前後の地震が頻発し、住民の不安が高まっています。
 昨年9月、日本学術会議は、原子力委員会の依頼を受けて2年半余にわたって検討して提出した回答(提言)で、「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界がある」とし、「(地層処分という)従来の政策の枠組みをいったん白紙に戻すぐらいの覚悟をもって見直しをすることが必要」だと提言しています。幌延を含む道北日本海側は、プレート境界上にあり地殻変動が激しい地域とされています。仮に高レベル放射性廃棄物を深さ350mに埋設したとしても、1万年~10万年の時間単位で見ると、その位置が10~100m上下に変位する可能性が高い場所との指摘もあります。具体的に幌延センターの研究サイト(立坑)は大曲~豊富断層という北海道北部での第一級の断層に隣接している場所にあります。こうした地殻変動帯は、最終処分場にも研究地にも不適地であると考えるべきです。

2、幌延研究センターを使用済み核燃料の直接処分の研究地としないよう国に求めること。

 国は2013年度から、原発の使用済み核燃料を再処理せず、直接地中に埋める直接処分の研究を開始するとして、文科省、経産省が2013年度予算案にいずれも約3億円づつ、合計約6億円の関連経費を計上し、今後5年程度の期間で使用済み核燃料を長期間保管する直接処分に関する基礎技術を開発するとされています。
 文科省はこの研究開発を、「幌延深地層研究センターで行うこともありうる」(2013年2月3日「道新」)と述べたと報道されています。
 しかし、幌延研究センターは、地層処分法に基づき、高レベル放射性廃棄物の深地層処分に関する研究を行うとされており、直接処分に関する研究を行うとはされていません。また、道の「幌延町における深地層研究所(仮称)計画に対する基本的な考え方について」(2000年6月)の中でも、直接処分の研究を行うことは予定されていません。
こうした経過を踏まえ、「高レベル放射性廃棄物処理施設誘致反対豊富町民の会」と「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」は今年2月22日、貴職宛てに「幌延深地層研究センターでの『使用済み核燃料の直接処分研究』に関する申入れ」を行い、「使用済み核燃料の直接処分の研究開発について、文科省や経産省から依頼があっても、また共同研究に形を変えた事業であっても、断固受け入れず拒否するよう強く申入れ」、文書での回答を求めています。
 北海道と幌延を核のごみ捨て場にしない立場から、また地元住民の合意のないまま、使用済み核燃料の直接処分に関する研究を受け入れないよう求めるものです

3、道民合意なしに北海道と幌延を核のごみ捨て場にしないよう国に求めること。

 最近一般紙などで、国が今夏の参院選後にも高レベル放射性廃棄物の最終処分地の候補地選定を本格化させるとの報道が相次いでいます。例えば、北海道新聞(4月16日)は、今年3月道新のインタビューに、資源エネ庁の放射性廃棄物等対策室長が「道の条例は廃棄物を持ち込まないという条例であって、文献調査まで禁止する条例ではないと解釈できる。国の申入れの対象から、同条例があるという理由をもって外すことにはならない」と答え、最終処分の事業主体となるNUMO(原子力発電環境整備機構)の理事長は「道に条例があることは承知しているが、候補地の選定では北海道も対象外ではない」と答えたことなどから、“「核抜き」道条例の骨抜きあらわ”などとの見出しを立てて報道しています。
 しかし、北海道は、「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」(2000年10月制定)で、「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れがたいことを宣言する」としています。この条例を、骨抜きにするかのような発言は許されないものです。また、幌延町と道と原子力機構は、幌延研究センターに放射性物質を持ち込まないとの3者協定を結んでおり、3者は繰り返し協定順守を表明しています。こうしたことからも、北海道と幌延を核のごみ捨て場の候補地の対象にするということ自体あってはならないことと考えます。
国もNUMOも道も、核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会が4月12日、文献調査を拒否するよう道知事に申入れたとことも重く受け止めるべきです。北海道知事は、あらためて国やNUMOに北海道と幌延を核のごみ捨て場にしないよう強く求めるべきです。

                                                                                           以上 

「原発のない北海道」の実現を求め道知事へ要請


北海道知事               2013年4月26日
高橋はるみ様
                         
                       原発問題全道連絡会
                           代表委員 大田  勤
                             “  菅野 一洋
                             “  畠山 和也

「原発のない北海道」の実現を求める要請書


  フクシマ原発事故から2年が過ぎましたが、福島第一原発は、いまも放射性物質を拡散し続け、15万人を超える福島県民が県内外に避難を強いられたままです。除染も損害賠償もはかばかしくなく、復旧・復興の見通しも立っていません。最近も使用済み燃料プールの冷却用電源が30時間も停電するとか、汚染水漏れが続くなど、事故は収束しているどころか真っ只中の状況にあります。このような他の災害には見られない事故は、何が起ころうとも2度と繰り返してはなりません。
北電の泊原発は、フクシマ原発と同じ軽水型原発であり、状況次第では同じような炉心溶融事故が避けられない構造的欠陥を持っています。泊原発でフクシマと同じような事故になれば、毎日のくらしはもとより、北海道の農業も漁業・水産業も、林業や観光業も壊滅的打撃を受けることは必至です。泊原発の再稼働を許さず、廃炉にすべきです。
電源開発(株)の大間原発は、世界にも例がない全炉心MOX燃料を装荷する危険極まりないものです。大間原発は直ちに建設を中止すべきです。
しかも、両原発とも学者や専門家から、周辺の海域に活断層が存在すると繰り返し指摘されており、泊原発は敷地内に40万年前以降動いた活断層が存在するかどうか再調査の必要性を指摘する声もあります。
さらに重大なことは、原子力規制委員会が7月に決める新規制基準のなかで、フィルター付ベントや免震事務棟、第2指揮所の設置などについて5年間もの猶予期間を設けるばかりか、大量の放射性物質が漏れでる事故まで想定するなど、安全をないがしろにする規制基準づくりをすすめていることです。
一方、北海道では、昨年5月5日以来、泊原発の全号機が運転停止したままでも、昨夏もこの冬も電力不足は起きませんでした。泊原発がなくても電力は足りることが明白になり、北電も今夏の電力需給見通しでは、泊原発が再稼働しなくても電力は足りる見通しを立てざるをえなくなっています。
 ところが北電は、泊原発の早期再稼働に固執し、再稼働できなければ、電気料金の大幅値上げは避けられないと、道民に2者択一を迫る言動を繰り返しています。しかし、北電は、電気料金の値上げが大幅になるという根拠を示せないでいます。道民が納得いく根拠も示せず、「電気料金の値上げか再稼働か」などと道民を脅かすことは許されません。
 北海道は安全な自然エネルギーの資源の宝庫です。原発依存のエネルギー政策を根本から転換し、安全で再生可能な自然エネルギーの大規模な普及に転換するよう求めるべきです。
 以上から、以下のことを要請します。

1、政府に対し、1年半前の事故「収束」宣言をただちに撤回し、汚染水漏れ事故防止などをはじめ  として収束に向け総力をあげることを緊急に求めること。

2、 泊原発の再稼働を容認せず、大間原発の建設中止を求め、原発のない安心・安全な北海道   の実現に向かって、政府にも北電や電源開発にも、原発からの即時撤退を求めること。

3、原発依存のエネルギー政策をやめて、安全で再生可能な自然エネルギーの大量普及に転換す  るとともに、政府にも北電や電源開発にも転換するよう求めること。
                                   
                        以上  

2013年4月24日水曜日

「渡されたバトン」上映会が終了しました

「渡されたバトン~さよなら原発」上映会

   約850人の方に観ていただき終了しました。

              ご協力ありがとうございました。

 4月20日札幌で行われた映画「渡されたバトン~さよなら原発」上映会は、今回の約850人の方に観ていただき終了しました。試写会の133人を合わせると1000人近い方々に観てもらったことになります。「いい映画だった。感動した」「住民の考えも変えられると思った」「タイムリーな企画で運動のはずみになる」などの感想が寄せられています。

2013年4月13日土曜日

渡されたバトン上映会まであと1週間に

映画「渡されたバトン~さよなら原発」上映会まであと1週間

                       4月20日(土曜日)4回上映

共済ホール 札幌市中央区北4西1

 映画「渡されたバトン~さよなら原発」上映会まであと1週間を切りました。4月13日朝日新聞には、道内4カ所で上映され、「賛否をめぐり揺れる人々の姿を通し、原発の是非を問い直す映画となっている。」と報道されました。多くの方の鑑賞をお願いします。

4月13日 朝日新聞より


2013年4月12日金曜日

4.11地下歩行空間宣伝署名行動

4・11地下歩行空間宣伝署名行動

 原発連と国民大運動実行委員会は4月11日終日、地下歩行空間で「原発のない北海道を」道民署名の協力よびかけと、宣伝行動を行いました。署名協力の呼びかけには、小さいお子さんを抱いたお母さんや、ご夫婦で署名してくださるなど、約930筆の署名や、中には千円札で寄付を置いて行かれる方など多くの協力を頂きました。ありがとうございました。
4.11地下歩行空間での宣伝署名行動
しんぶん赤旗より


2013年4月10日水曜日

渡されたバトン上映会まであと10日


劇映画
渡されたバトンさよなら原発
            脚本:ジェームズ三木

上映会まであと10日(4月20日 土曜日)

   1500名以上の方の鑑賞をめざしています。

           多数のご協力をお願いします。

2013年4月2日火曜日

4.11地下歩行空間宣伝署名にご協力を

泊原発の再稼働反対!大間原発建設工事中止せよ!

            幌延深地層研究センターは廃止せよ! 

 4・11チカホ(地下歩行空間) 宣伝署名行動のご案内 

            「原発のない北海道を」道民署名にご協力下さい。  


 フクシマからまる2年。いまも事故の原因究明は途上で、収束の見通しも立っていないばかりか、15万人を超える福島県民はいまも避難を強いられ故郷を追われたままです。二度と福島を繰り返さないために、福島県民も国民も原発ゼロを願っています。 ところが、安倍自公政権は、新安全基準によって安全性が確認された原発再稼働と新増設を公言、多数の国民の原発ゼロの願いに背を向けています。活断層が直下にあっても、それが地表にあらわれていなければ原発設置は可能だなどという新安全基準に基づく再稼働や新増設などとんでもありません。 原発がなくても夏も冬も電力は足りました。今こそ、泊原発再稼働反対・廃炉に!大間原発建設中止!幌延を核のごみ捨て場にするな!直ちに危険な原発から撤退し、安全安心な自然エネルギーへ転換を!の旗を高くかかげ、「原発のない北海道を」の決断を政府と道知事に迫りましょう。
0310原発ゼロ☆大行動札幌アクション

 
  ◇日 時   4月11日(木)午前9時~午後6時

  ◇場 所   札幌駅前通地下歩行空間 大通り交差点広場(東側) (地下鉄南北線 大通駅北側改札口のすぐ北側)

  ◇主な行動  「原発のない北海道を」道民署名、原発チラシ、映画「渡されたバトン~さよなら原発」のチラシ配布などを行います。

 
 主催:原発問題全道連絡会・国民大運動道実行委員会
 (札幌市白石区菊水5条1丁目4-5  電話:011-815-8181、Fax:011-815-4545)