泊原発の再稼働を申請するな
―即時廃止・廃炉の決断、再稼働前提の電氣料金値上げやめよ
ー 北電に3点を申入れー
原発問題全道連絡会は7月2日午前、原子力規制員会の規制基準が施行される7月8日を前に、北電本社を訪れ、①泊原発の再稼働申請を行わないこと、②泊原発は即時廃止し、廃炉に進むよう決断すること、③泊原発の再稼動を前提とする電気料金値上げは取り下げること、の3点を申し入れました(写真)。
北電本社エネルギー広報部の内山洋課長と三上博光課長は、3点について以下のように答えました。
①について、原発は安全確保を前提に、基幹電源として、昨夏も昨冬も3機とも運転停止中で火力のフル稼働とお客様の節電への協力で、なんとか電力の安定供給ができたが、老朽火発の酷使で最近も苫東厚真火発4号機が故障で止まるなど需給バランスは今夏も厳しいものがある、また、火力の燃料費高騰による経営状況が悪化し、経営を圧迫する事態となり、需給の安定と収支の改善をはかるために、泊原発の再稼動が不可欠であり、一日も早く再稼動したいと考えている。当社の安全対策は、新規制基準を満たすものと考えており、速やかに書類を提出したい。
②について、再生可能エネルギーの活用は進めるが、電力の安定供給はむずかしく、原発を基幹電源と位置づけ、2011年3月のフクシマ事故のあと、緊急の安全対策を講じ、その後もさらなる安全対策の取り組みを進めてきている。新基準施行後もさらなる安全対策を進め、再稼動に適合するようにしたい。
③について、泊原発稼働ゼロから1年以上経過したが、いまだに再稼動の時期は見えてこない。現状のままでは収支の改善は困難であり、燃料調達と設備修繕資金調達の両面から資金調達が困難になるため、道民の暮らしと産業に大きい影響を与えることから現行電気料金を据え置いて頑張るということでやってきたが、値上げをせざるを得なくなり、32年ぶりに値上げの苦渋の決断をした。
この回答に対して、参加者のうち菅野一洋、畠山和也両代表委員、嶋田千津子道原水協事務局長、菅原健作理事の4氏が、以下のように発言しました。
3・11があったこの国で再稼働、原発輸出をいうのか
~ 菅野代表委員
1つは、3・11のあった国で、再稼動、原発輸出をいう国と電力会社をどう考えるか、2つは、事故収束、汚染水対策などに国あげての運動が求められている。ふさわしい取り組みになっていないのでないか。3つは、再稼動すると核のごみが増える。それを再処理すると高レベルの核のごみが出る。その処理の見通しは全く立っていない。日本学術会議は、科学技術的に10万年先のことまで責任負えないとし、根本からの見直しを提言したが、どううけとめているか。4つは、3号機でのプルサーマル計画の際のやらせ問題は未決着だが、決着ついたものとして再稼働を申請するのか。
三上課長は、原発の輸出について北電は言う立場にない、再稼動は需給の安定、収支の改善に不可欠、再処理は資源の乏しいわが国での一つの選択肢、地層処分問題は注視していく、プルサーマルは、今はまだ進められる状況にないが、資源の少ないわが国で使えるものは使う、やらせ問題は、不信をかったことを反省している、社内マニュアルも作り規範遵守につとめている―などと回答。(以下、次号)
(申し入れ書はメニュー「北電への申し入れ」をご覧ください)
小樽市議会~「原発のない北海道の実現を求める意見書」を否決
-7月2日、定例市議会最終日、可否同数。議長裁定で否決―
原発連が送付していて、日本共産党、民主市民連合などが共同で提出していた上記の意見書は、自公などの反対で可否同数となり、議長裁定で否決されました。
( 原発連事務局FAX通信270号2013年7月2日)
泊原発の再稼働を申請するな
―7月2日、北電へ3点を申入れ(続報)ー
規制基準で敷地内地盤の3次元的把握を求めているが、地下構造調査は行ったのか、フクシマは汚染水対策が大問題だが、講じているのか
~ 畠山代表委員
1つは、新規制基準で敷地内の地盤について3次元的把握を求めており、北電は起震車を用いた地下構造調査をするとしているが、やったのか。2つは、汚染水対策は規制基準に入っていないが、北電は過酷時に備えて高台に貯水槽を設置するとしている。これは汚染水対策を考えたものなのか、とただしました。
三上課長は、敷地内の11本の断層は、原発建設時に、すべて12~13万年前以降動いたものではなく活断層に該当しないと評価している。今回申請するのは、規制基準に適合すると考えてのことであり、規制基準に入っていない汚染水対策は考えていない、と回答。
原発は現代の科学技術では制御できない、核のごみ・負の遺産を子どもたちに残していいのか、企業の社会的責任に立ち勇気をもって原発をやめる決断を
~ 嶋田千津子さん(道原水協事務局長)
1つは、昨年5月5日、泊3号機が止まって子供たちにいいプレゼントができたと喜んだ。しかし、今日は、需給の安定性を理由に、現代の科学的英知で制御できない原発を再稼働するという。稼働すれば使用済み核燃料がたまっていく。子子孫孫、地球の生物に負の遺産を残していいのか、企業の社会的責任が問われている。勇気をもって原発をやめる決断をすべきだと迫りました。
三上課長は、原発の制御は、2つあり、フクシマでは臨界反応は止めることはできた、崩壊熱を冷やし続けることに失敗したが、最終的には水が確保できればコントロールできる、と回答。過酷事故による放射性物質の拡散の被害を制御できないことや増え続ける核のごみ・負の遺産の処理問題には無回答でした。
火発を制御できないで原発を動かしていいのか。東電は、汚染水を海に流せば何でもないーなど、電力会社にはモラルも倫理もないのか
~ 菅原健作理事
苫東厚真火発4号機がトラブルで停止したが、酷使状態でトラブルが起きると想定できる―そういうトラブルをコントロールできないで、原発を動かしていいのか。東電福島の汚染水の処理の仕方で、海に流せば何でもないなどという。電力会社にはモラル、理念、倫理がないのでないか。ボイラーの摩耗を見通せないで原発を動かす、技術への過信、刹那的な対応が心配だ。広い北海道で安全な技術、自然エネルギーに舵を切るべきだ。そうすれば、見る目も視野も違ってくるのでないか。
三上課長は、火発のトラブルが頻発している、老朽火発は、がっちり停めてそれなりの検査が必要だが、需給上停めていたものをまた動かして落ち着いて検査できない状況。フクシマの汚染水は、安全性を確認しておりモラルがないとの指摘はきつい。再生可能エネは、使えるものは使ったらよいが、不安定で、全量再生エネでは安定した周波数を確保するには一定量必要だが、太陽光の容量は小さい、風力の比率は大きいものと思っているーなどと答えました。
道民の安全そっちのけの泊原発の再稼働は許せません。
「泊原発の再稼働申請するな」の声を北電に集中しましょう。
北電への集中先FAX: 0120―007-704 宛先は、川合克彦社長あて。(フリーダイヤルのFAX番号です。電気料金値上げの意見も受け付けています)。
( 原発連事務局FAX通信271号2013年7月3日)