2015年12月22日火曜日

原発問題連絡会ニュース 第267号2015年12月20日


原発・核燃サイクルから撤退の
             合意形成をすすめよう!
  原発問題全国連絡センターが、

         第29回総会・交流集会 ~ 12月13日・東京都内で


 原発問題住民運動全国連絡センター(伊東達也筆頭代表委員)の第29回総会・交流集会が12月13日東京都内で開催され、道原発連から米谷道保代表委員が参加しました。総会では、伊東達也筆頭代表委員が報告と提案を行い、柳町秀一事務局長が新役員案を提案、いずれも参加者全員の拍手で承認されました。その概要を報告します。

原発事故から4年9カ月―
    目に余る安倍政権の賠償打ち切りと「帰還促進」への暴走

 総会では、代表委員会を代表して伊東達也筆頭代表委員が報告と提案を行いました。伊東氏は最初に、原発事故から4年9カ月の被災地福島の現状について、今なお10万人を超える被災者が避難生活を強いられているほか、震災関連死者が1989人(11月30日現在)、全住民避難し役場も移転した9町村中、2012年4月にいち早く帰還した川内村と広野町は3年経っても住民の4割しかもどらず、今年9月5日に帰還宣言した楢葉町は、一カ月後321人(人口の4%)、3カ月後も5%しか戻っていないし、今後戻る見通しもないと深刻な実態を明かにしました。     
ところが、安倍内閣は、事故後5年(2016年3月)を区切りに、賠償打ち切りと「帰還促進」への暴走を強め、営業損害賠償は2017年2月で、自主避難者の住宅無償期間は2017年3月で、精神的損害賠償は2018年3月で、それぞれ打ち切るなど、加害者である国と東電が被害者に一方的通告を突きつけるのは本末転倒だ、原発事故を終わりにするなど絶対許されないと厳しく批判、福島の原発全10基の廃炉が福島復興の前提であり、福島の復興なしに原発の再稼働はあり得ないと述べました。

「フクシマ切り捨て反対」と「原発再稼動反対」
   「原発事故再発の危険に反対」の2つの共同行動の強化を

 次いで伊東氏は、日本の原子力政策は深刻な行きづまりに直面しており、根本的な見直しが求められているとして、高速増殖炉“もんじゅ”の破たん、六ケ所再処理工場の事実上の破たん、高レベル放射性廃棄物の処理・処分の行きづまりについて詳しく解明し、今こそ「原発・核燃から撤退」「原発ゼロ」の国民的合意形成へ、①「安倍政権の福島県民切り捨てに反対」の共同行動、②「原発再稼働に反対」・フクシマ原発事故の再発の危険に反対」の共同行動をよびかけました。

「NO NUKES DAY~福島から5年、
               チェルノブイリから30年~原発のない未来を!
3・26全国大集会」を5万人以上、
               10万人規模をめざし、圧倒的に成功させよう!

さらに伊東氏は、「原発・核燃から撤退」「原発ゼロ」の合意形成の広がりと深さが、時々の原発情勢を決めるとして、この2年余の「原発ゼロ」実現が、この間の合意形成の到達点だが、まだ再稼動阻止までには到達していないーと述べ、引き続き福島切り捨てを許さない闘いと連帯し、「原発ゼロ」実現をめざし、前記の2つの共同行動を全国規模でも地域規模でも成功させようと呼びかけ、当面、来春の福島から5周年の節目に行なわれる「3・26全国大集会」(東京・代々木公園B地区・ケヤキ並木・サッカー場)を5万人以上、10万人規模をめざし大成功させようと訴えました。
最後に伊東氏は、合意形成をめざす運動成功ために、私たちの主体的力量の強化が不可欠だとして、原発立地道県での情報誌「げんぱつ」読者の三桁以上への拡大と財政強化への協力を訴えました。(詳しくは、「げんぱつ」情報誌12月25日号を参照してください)

来年4月からの
   「電力自由化で何がどう変わるか」
―11月25日、水島能裕さんを講師に
           「電力自由化とは何か」の学習講演会開催ー
 原発連と国民大運動道実行委員会共催で11月25日、「電力自由化とは何か ~電気料金、再生エネはどうなるか~」学習講演会を開催。講師の水島能裕さん(原発ゼロをめざす旭川連絡会代表委員)は、自ら北電で働いていた時の経験も紹介しながら、わかりやすく語りました。

来年4月から家庭用も自由化され
                      北電以外からでも電気を買えることになる

 

「電力自由化とは何か」学習講演会
(2015年11月25日 エルプラザ)
最初に水島さんは、戦前電気は自由に発電し売られていたが、戦後1951年に9電力体制(のちに沖縄電力が加わり10電力体制)になったこと、規制緩和の流れの中で2000年から段階を追って電力自由化が進められ、2005年に50kw以上まで自由化され、中規模の工場やスーパーなどまで規制緩和されてきた。福島原発事故を契機に2016年4月から50キロワット未満の家庭用電気まで自由化されることになったと経過を紹介しました。
ついで水島さんは、一般家庭用などの50キロW未満の市場規模は約7・5兆円と、携帯電話市場に匹敵する大規模なもので、その市場へ10電力以外の新電力会社が続々参入、すでに66社が登録済(北海道では北ガス、いちたかガスワンなど)で、来年4月から電気は全国どこからでも買える時代に入る(実際には9電力会社の送電線間で融通できる電力量が限られていてその範囲内でしか買うことができない限界がある)。
また、発送電を分離する法律は今年6月17日に成立したが、発送電分離の実施は2020年4月からで、それまでの間、契約を新電力に切り替えても、電力そのものは送配電線を所有している電力会社(北電など)から供給され、代わりに新電力は契約したお客さんが使った分の電力を送電線に供出する仕組みとなるだけで、電気料金と電気料金を払う相手が変わるだけと考えればよい。
電力の需給調整を全国規模で行う広域的運用推進機関がすでに立ち上がっており、新電力に切り変えたからといって、停電が起きたり供給が不安定になったりすることはない。猛暑や厳寒期に電力不足となるリスクが高まるわけでもない―と説明。


新電力への切り替えはどうすればよいか ~ 簡単にできます

さらに水島さんは、新電力会社への切り替えの手続きについて、電話やインターネットから手軽に新電力に申し込みができる。ただ、スマートメーター(賢い電力量計との意味で、無線でデーターの双方向のやり取りができる)が設置されていない場合(北電管内はまだほとんどが未設置)、メーターの交換作業が発生し、北電が取り替えに来る。その交換作業の際に15分間程度停電することがあり得るが、屋外に電気メーターがあれば、作業に立ち会う必要はないし、メーターの交換費用はかからないーなどと解説しました。

電力自由化で電気料金は安くなるか?
                     再生可能エネルギーだけを買えるのか?

 水島さんは、札幌市民生協も新電力・トドック電力を立ち上げ、家庭向けに電気の供給を行う予定だとし、そのトドック電力が分析した資料を紹介し、値下げするとしても精々3%程度だと言っていること、価格競争にさらされるから、北電が原発再稼働後値下げなどすれば、新電力の電気料金の方が安くなるかどうかわからなくなる場合もありうると説明しました。
 また、再生可能エネルギーだけを買う契約は可能だが、送電線は大手9電力(北海道は北電)が占有しており、送電線に乗ってしまうと、再生可能エネルギーも原発も、その電気は混じってしまうので、使用する電気が再生可能エネルギーだけとはならない。純粋に再生可能エネルギーだけを買うには、自ら太陽光発電を設置するのが一番確実となると述べました。(再生可能エネ抑制の動きなどは、以下次号)


「電力自由化とは何か」学習講演会に参加して   
                    岩清水暢子(道原発連会員) 

  来年4月1日から、一般家庭でも電気をどこから買うか、という選択ができるようになるそうです。
 この電力自由化で、大勢の消費者が再生可能エネルギーでつくった電気を売る会社を選択すれば、原発でつくった電気を扱う会社はどんどん減り、そのうち「原発ゼロ」の世の中がやってくると、私は気楽に単純に考えていました。
 講師の水島能裕氏のお話を伺うと、そう簡単なものではありませんでした。これまで地域を独占してきた大手電力会社は、新規参入業者を黙って見過ごすでしょうか?原発に固執する政府とともにあの手この手を使って、新規参入事業者を不利な状況に追い込んでいくのでしょう。大口需要の電力自由化は既に行われていて、託送料金(既存の大手電力会社の送配電線借用料)が高いため、新規参入事業者へ切り替えられたのはほんの数パーセントに過ぎず、大手電力会社による独占状態は続いているようです。
 11月30日からパリで、地球温暖化防止のための国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が行われました。地球温暖化防止対策は待ったなしです。でも日本では、石炭火力発電所新設計画が48基あるそうです。安倍政権の電力政策は、原発と石炭火力を「重要なベースロード電源」として推進し、再生可能エネルギーは抑制させる方向に進んでいます。
 世界最悪レベルとなった福島原発事故を経験し、温室効果ガス排出量が世界第5位の日本なのに、こんなエネルギー政策には怒りが湧いてきます。本当に「安倍政治を許さない」です。
 未来社会にあらゆる面で負荷の少ない再生可能エネルギーによって作られた電気を購入したいという、消費者が願う自由化がすすめられていくことを願っています。


本の紹介「いちから聞きたい放射線のほんとう
                       ―いま知っておきたい22の話」
  菊池誠・小峰公子 共著、絵とマンガ おかざき真里、 
                                                               2014年・筑摩書房


 副題であえて「いま」とことわっているのは、この本は福島原発事故から3年経って出版されたのですが、放射線による低線量被ばくの影響をどう受け止め、対処すればいいのか、多くの人の戸惑いが続いていたからだと思います。この戸惑いは今も変わりませんが、そのような人たちがみずから判断するのに少しでも役に立ちたいという著者たちの思いが伝わってきます。文章は二人の著者(物理学者とミュージシャン)が世間話を楽しんでいるような会話体で書かれており、その傍でやりとりを聞いているような雰囲気で読むことができます。
 前半の第一部は「放射線ってなんだろう」で、12の話がでています。まず原子と原子核の仕組みがイラスト入りで詳しく示されています。原子によっては別な原子に変わっていくことがあり、放射線はこのときに出るのだとその様子が説明されています。分かりやすい挿絵が理解を助けてくれます。ベクレルやシーベルトの話もここで出てきます。放射性物質の量や被ばく線量の測り方です。測るときにどのようなことに注目しているのか注意しなければならず、やはりこの分野の説明は難しいなと思いました。
 後半の第二部は「放射線とわたしたち」で、残りの10の話がでています。放射線が人の体にはいりこむと、細胞や遺伝子にどんなことが起きるのか、それががんにどう結びつくのか、が説明されています。同じようなことは天然の放射線やいろいろな発がん物質によっても起きます。そのような中で原発事故による放射線被ばくをどう受け止めるのか、著者たちの考えが述べられています。
 私は何か話をするときに、「中学生でも分かるように」と注文されることがありますが、この本の帯には「これ中学校の教科書にした方がいいよ。」とあります。一読をおすすめします。(科学者会議会員・石崎健二)


北海道原子力防災訓練に関する申入れ

  今年10月21日に実施された北海道原子力防災訓練の現地調査を踏まえ、道知事宛に改善などを申入れます。ご参加下さい。
  ◇日時   12月24日(木)午前11時~正午
          参加者は10時45分までに道庁本館ロビー集合
  ◇会場   道庁別館西棟4階2号会議室

原発問題全道連絡会 第25回総会開催のご案内

 ☆日時   2016年1月23日(土) 午後1時30分~午後4時(予定)
 ☆会場   札幌エルプラザ2階環境研修室
 ☆参加者 加盟団体代表、理事、個人会員ほか








2015年11月22日日曜日

原発問題連絡会ニュース 第266号2015年11月20日

「大間原発の何が問題か」
学習講演会に70数人
― 森越清彦弁護士 法廷思わせる熱弁2時間
 ~ わかりやすいと好評 ―

 大間原発の建設中止へ、札幌・道央圏から支援の運動を強めようと、大間原発訴訟弁護団共同代表の森越清彦弁護士を講師に10月31日、札幌市内で学習講演会が開かれました。主催は、道原発連と国民大運動北海道実行委員会。森越清彦弁護士は、ときどき参加者に質問し回答を求めるなど法廷を思わせる熱弁をふるい、大間原発の問題点や核のごみの再処理と核戦略、大間原発訴訟の展望などを語りました。

世界にも例がないフルモックス原発の危険性とは? 
                          事故になれば札幌にも影響がおよぶ

 森越清彦弁護士は、原発の原料となるウランとプルトニウムの核分裂から話をはじめ、電源開発株式会社が建設中の大間原発は、実験炉で検証もせず、いきなり出力138・3万キロワット、日本最大級の商業炉でウランとプルトニウムの混合酸化物燃料=モックス燃料を全炉心で燃やそうという世界にも例がない危険なもの。例えば、「家庭用の灯油ストーブを改良してガソリンを燃やせるようにしました。安全かどうか実験はしていませんが、計算では大丈夫です。灯油の代わりに、ガソリンを1割、2割、3割、5割…とふやし、最後は全部ガソリンで燃やす。実証試験もしないでいきなりやる。皆さん賛成できますか」と問いかけ、参加者が「とても賛成できません」と答える問答形式の語り口もまじえて講演。「とても賛成できないですよね。これが大間原発でやろうとしていることです」「プルトニウムは、ウラン235の20万倍も毒性が強い」「これが事故を起こし、夏の南風に乗って北上すれば、札幌市も安全とは言えないでしょう」と大間原発のフルモックス原発の危険性をわかりやすく語りました。

電源開発の示す津波の高さ、地震の揺れの大きさ、火山対策は納得できません

大間原発問題学習講演会
(2015年10月31日)
さらに森越弁護士は、1993年7月奥尻島を襲った南西沖地震では、津波の高さは16・8㍍、奥尻島ではその津波が高さ30m余までも崖を駆け上がり大きな被害を出した。その時函館もすごく揺れました。ビックリしました。それなのに大間原発の津波の高さは最大6・8㍍という想定、おかしいでしょう。また、大間原発も泊原発も、那須火山帯の真っただ中に位置しています。こんな危ないところですーと。

電気が足りているなか、大間原発で発電した電気は、
                               原発保有の9電力が買取るとは!

次に森越弁護士は、電気が足りている日本で、原発は本当に必要なのか?―に話を進め、この間、日本ではフクシマ第一原発6基の廃炉が決まり、2013年9月から48基の原発がすべて停止してきたけど、電気は足りています。これ以上原発は必要ないはずだが、大間原発を建設するという。いったい、大間原発で発電した電気はどこで使うのでしょうか―と問いかけ、配布された資料を示して、以下の点を明らかにしました。
モックス燃料を燃やして発電する大間原発の電気は、原発を持っている9電力会社が、使用済み燃料を出す量に比例する形で買い取ることになっているーことを明らかにしました。資料には、9電力会社の原発設備容量と大間原発が発電する電気の買取り量がほぼ比例していると読み取れる表が示されていました。大間原発の電気は、9電力が核のごみの再処理量に比例して買い取ってもらうというのです。

核抑止力の立場から日本で原発を動かし続けるとは!

ついで森越弁護士は、何故、安倍政権は原発を再稼働するのでしょうか、と話を進め、原発を動かせば、その使用済み核燃料のなかに1%のプルトニウムが出来ます。プルトニウムは、ウランに混ぜれば原発の燃料になるだけでなく、原爆の材料にもなります。日本の原発から、すでに45トンとか50トンものプルトニウムがたまっているのです。原発は、ウラン濃縮技術を確保するとともに、核兵器を日本でも保有できるようにしておくという、核抑止力の見地から、原発を動かし続ける必要があると公言する石破さんのような政治家がいます。原発を核戦略の一環から動かそうという。とんでもないことですーと告発。

福井地裁の大飯原発運転差止の画期的判決 
                                           ~ その意義は大きい

さらに森越弁護士は、どうやって原発をやめさせるか、大間原発をやめさせるか―に話を進め、大飯原発の再稼働差止の判決を下した福井地裁判決では、人格権こそ最も重要な権利であり、原発を動かし電気を使う経済活動は、人格権より劣位にあるのだと明快に断じ、国冨というなら、人間が国土で安全に安心して働き暮らし続けることこそ最大の国冨であり、その上に位置する国富などないと明快に判決を下したと強調しました。 

司法も結婚退職など、世界の進歩の流れに反する判決は出せない  

最後に森越弁護士は、司法が原発はやめるべきだという判決を下すには何が必要かと問いかけ、かつて結婚退職制という憲法第24条の男女平等に反する不平等な制度があったが、今は女性差別撤廃条約があり、男女共同参画制度~若干問題も感じる点もあるがーもできており、今司法が結婚退職は当然だなどという判決は出せません。司法といえども、世論と運動の広がりを反映せざるを得ないのですと述べ、次のように語りました。

3・11後の原発訴訟~かつてない原告数。
                              司法がストップの判決を書ける大きな運動を

3・11後、原発訴訟がたくさん行われています。かつて原発運転差止訴訟などは、原子力安全・保安院、今は規制委員会が、基準をクリアしているとして再稼働や運転を認めれば、司法も専門的なことが詳しくわかるわけではないから、再稼働や運転を認める判決を下してきた。しかし、3・11後行なわれているたくさんの原発訴訟では、そのような判決を当たり前とすることは、過半数の国民の声に反し簡単なことではない。
大津地裁・高浜原発では、運転差止仮処分申請は却下されましたが、判決文をよく読むと、再稼働しても安全だから仮処分を却下したのではなく、緊急性がないということを仮処分申請却下の理由にしているのです。要するに、審査の中でいろいろな問題点が指摘されており、規制委員会が、再稼働を容認するような状況にはないのだから、再稼働差止の仮処分を求めなければならない緊急性はないということを理由にしているのです。安全だから却下したのではないのです。世論を無視しえないということだと考えられるのです。
だから、司法が再稼働を容認できないような社会的状況を広げ、司法が安心して国民の世論の側に立った判決を書けるような運動をひろげることが大事だということです。3・11後の訴訟は、玄海原発の原告は1万人に達しようとしているし、大間原発も第7次募集までの原告数は1063人となっています。泊原発訴訟も1333人ですか、こんな多数が原告になった裁判はなかったのです。大いに確信にして止めるまで頑張ろうということですと締めくくりました。(文責・米谷)

2015年度全国交流集会in青森に北海道から5人、
                                  全体で240人参加  
フクシマに連帯し、再稼働ストップ、
       原発・核燃サイクルから撤退の合意形成を!

「『原発・核燃からの撤退』の合意形成を!原発再稼働STOP!全国交流集会in青森」が10月18日青森市内で開催され、全国各地と青森県内から240人が参加。午前中の特別報告と問題提起を受けて、午後から討論・交流が行われました。午前の大間原発の活断層問題についての立石雅昭新潟大学名誉教授の特別発言と伊東達也全国センター筆頭代表委員の問題提起の骨子を紹介します。

大間原発の活断層は現地調査での検証が必要 
                     ~ 立石雅昭新潟大名誉教授が特別報告 

立石雅昭新潟大名誉教授は、映像を駆使して報告。大間原発は、12~13万年前の段丘面変形と6000年前以降の地震性隆起が、中田高氏や渡辺満久氏らによって指摘されていることを解説。最後に同氏は、研究者と地元住民団体の共同作業で、地形図をもとに、これらの指摘が正しいかどうか、現地調査で検証することが必要だと力説しました。

原発再稼働の暴走は許されない。
   合意形成は福島の現地を見ることから 
                            ~ 伊東達也筆頭代表委員が問題提起

伊東氏は最初に、福島原発事故の現状をリアルに語り、被災者や被災地の対策を棚上げしての原発再稼働はあり得ない。もともと日本の原発立地は世界一危険で、その構図は変わっていないと述べ、これでは「原発大事故 次は日本」でなく「次も日本」となりうる情けない情勢だと告発。
最後に同氏は、ここ約2年間「原発ゼロ」を実現したが、再稼働を阻止するところまでには、まだ合意形成は進んでいない。原発再稼働についての世論には、福島第一原発の経験・教訓から「まだ大きな隔たり」がある。この大きな隔たりに橋を架ける対話・議論が求められている。この合意形成は、日本経済の原発依存体制を変革する事業と不可分のものと述べ、合意形成のうえでは、入口の対話・議論は深く広いが、個人の認識は、聞き知ること、読み知ること、見て知ること、フクシマに行って知ることから始まる、「百聞は一見にしかず」だと強調しました。
午後から8人が発言、北海道から米谷道保氏が「核のごみの処理・処分問題について」報告。伊東達也氏のまとめのあと、青森からのアピールを参加者の拍手で確認。閉会挨拶で柳町秀一氏が、次回の交流集会開催地について、2カ月後の全国センターの総会で確認すると報告、閉会しました。

原発ゼロの願い強く
  2回の昼休行動で道議会請願署名に次々サイン

9月からスタートした「原発も核のごみ捨て場もない北海道の実現を求める」道議会請願署名行動は、この間10月26日のチェルノブイリデーと11月11日のイレブンアクションの2回取り組まれました。チェルノブイリデーは6団体から8人が参加し、JR札幌駅北口で署名49筆、イレブンアクションは、紀伊国屋書店前で34筆が寄せられました。
福島市上浜町の住所を書いた男性は、「福島の現実は、皆さんが思っている以上に厳しいんだ」と言いながらサイン。札幌市内の女性は何人もが「原発はいらないです」「やめてほしいです」「道知事は受け止めてほしい」とサイン。母親連絡会の柴田郁子事務局長は「原発いらないと10人以上がサインしてくれた。先日の戦争法廃止の署名の時よりたくさん署名してくれた」「やってよかった」と語っていました。(写真)。

泊原発3号機の重大事故を想定した
                         原子力防災訓練を視察して

道原発連は10月21日、道と泊原発30キロ圏内13町村が主催する2015年度北海道原子力防災訓練の現地調査活動を行いました。今回調査したのは、移転した新防災センター(新オフサイトセンター)2階の指揮所運営と岩内町の屋内退避所、寿都町の横間漁港での巡視船など船による避難訓練、倶知安町中央公園と寿都町寿都温泉ゆべつの湯での避難途中の放射能検査と模擬スクリーニングなど。今号には一部を紹介します。
多数の道民が再稼働に反対しているのに、何故再稼働を想定した訓練を行うのか?―

第1は、泊原発3号機で震度6強の内陸型地震で泊原発3号機で放射性物質が漏えいする事故が発生したとの想定で行われました。しかし、多くの道民が泊原発の再稼働に反対し廃炉を求めています。使用済み燃料貯蔵ピットに貯蔵中の使用済み燃料が重大事故で放射性物質漏れを起こしたと想定する訓練ではなく、なぜ停止している泊原発による稼働中の重大事故を想定するのか、道知事は泊原発の再稼働について、原子力規制委員会が審査中であり、予断を持って再稼働の是非を言える段階ではないーと繰り返し述べているのに、防災訓練で再稼働を想定するとはどういうことか、再稼働を容認する考えなのか、疑問を感じました。これで原発周辺町村住民の納得が得られるでしょうか。

参加予定住民は30キロ圏内住民のわずか1%
  とても避難と避難計画の実効性の検証にならない

 第2は、今回の訓練で避難に参加する予定の住民は約800人と想定されていました。実際にはその数を下回っているようでしたが、800人としても30キロ圏内住民の約1%に過ぎません。要配慮者の避難訓練も、配慮者施設は約250施設ありますが、避難の通報連絡を受け、例えば泊村特養ホーム「むつみ荘」から泊中学校に避難している要援護者は2名の想定で、むつみ荘の職員2名が介助し、自衛隊ヘリに4名乗って黒松内防災ステーションに避難する訓練でした。しかし、むつみ荘の要配慮者は59人、職員64人もいます。ヘリ1台で2名だけ搬送(避難)する訓練で、実効性の検証などとてもできるわけがありません。手順の訓練ばかり繰り返しても実効性の検証は不可能です。やはり全住民参加の訓練で実効性を検証すべきではないでしょうか。

傷病者搬送訓練(緊急被ばく医療訓練)― 予定したヘリが緊急搬送で出動したから中止とは?

泊発電所内で放射線被ばくした負傷者を岩内協会病院(初期被ばく医療機関)に搬送、治療して岩内港フェリー埠頭からヘリコプターで札幌医大病院(第2次被ばく医療機関)への搬送を想定していました。ところが、札幌から副知事がヘリコプターで新オフサイトセンターに駆け付け、現場で指揮をとる予定だったが、そのヘリコプターが救急搬送で出動する事態が起き、ヘリで来られなくなった副知事は車でオフサイトセンターに駆けつけることとなったという。想定外の事態だったが、代替ヘリを確保しておらずヘリによる札幌医大への搬送訓練は中止に。代替ヘリを確保する計画をもたない訓練の弱点が露呈。手順確認を中心とする訓練といえ、あまりにもお粗末では?

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「電力自由化とは何か」学習講演会 
~ 電気料金、再生可能エネルギーはどうなるか ~   
◇日時  11月25日(水)18時30分~ 
◇会場  札幌エルプラザ2階環境研修室


 原発問題全道連絡会 
第25回総会開催のご案内
☆日時  2016年1月23日(土)
午後1時30分~午後4時(予定)

2015年11月18日水曜日

「電力自由化とは何か」学習講演会のお知らせ

「電力自由化とは何か」学習講演会

 ~ 電気料金、再生可能エネルギーはどうなるか  ~

◇ 日時  11月25日(水)  18時30分~
◇ 会場  札幌エルプラザ(環境プラザ) 2階環境研修室
                          (札幌市北区北8条西3丁目)
◇ 講師  水島能裕さん (原発ゼロをめざす旭川連絡会代表委員)

             
                      ー 資料代  300円 -

  来年4月から電力自由化の第2ステージが始まります。すでに新たに電気を販売する新会社が道内でも数社登録申請しています。また、電気の取引を監視する組織もできたと聞きます。果たして電力自由化で来年度から電気料金は下がるのか、再生可能エネルギーの電気を自由に購入できるのか、送配電網を占有している電力10社は託送料をどのように決めるのか、公正さが確保されるのか、再生可能エネは優先接続されるのか、全道すみずみまで公平な電力の安定供給が保障されるのかーなど、疑問がいっぱいではないでしょうか。
 電力自由化で何がどのように変わるのか、北海道電力で定年退職まで働いておられた水島能裕さんから、お話をお聞きします。疑問にも答えていただきます。いっしょに学習しませんか。お気軽にご参加下さい。

主催:国民大運動北海道実行委員会/原発問題全道連絡会


2015年10月28日水曜日

大間原発問題学習講演会10・31

「大間原発の何が問題か」学習講演会

~訴訟の現状と支援の課題、展望を考える~


◇日時  10月31日(土)14時00分開会
◇会場  クリスチャンセンター5階チャペル (札幌市北区北7条西6丁目)
◇講師  森越清彦弁護士(大間原発差止訴訟弁護団共同代表)



   大間原発の何が問題か、たくさん疑問の声が上がっています。
    ☆世界で初めての危険なフルMOX原発とは?
    ☆敷地の中に一般の民家、私有地がある原発って本当?
    ☆電力は足りているのに何故危険な原発を建設するの?
    ☆周辺に海底活断層や活火山があるというけど大丈夫?
    ☆原発の温排水で津軽海峡の漁業や自然は大丈夫?
    ☆国際海峡の津軽海峡で原発の安全は確保されるの?
    ☆30キロ圏の函館・道南住民になぜ説明会をやらないの?
    ☆函館市・訴訟の会の大間原発建設差止訴訟はどうなるの?
    ☆もし過酷事故が起きたら、北海道はどうなるの?など・・・・


  函館から大間原発差止訴訟弁護団共同代表の森越清彦先生を講師にお迎えし、
  お話をお聞きします。大間原発建設中止のために、どんな支援や活動が可能か
  共に考えてみませんか?



                          <資料代 : 300円>


主催:原発問題全道連絡会/国民大運動北海道実行委員会


2015年10月27日火曜日

原発問題連絡会ニュース 第265号 2015年10月20日


〈アピール〉
違憲の戦争法廃止、
  立憲主義回復の政府を実現し
   原発ゼロ・核燃サイクルから
    撤退の道を切り開こう!
    
ー日本共産党の「戦争法廃止の
   国民連合政府実現のよびかけ」に賛同し、
           連帯の活動を広げよう ー

 安倍自公政権による戦争法(安保法制)強行から1カ月。いまも戦争法廃止!安倍内閣打倒!憲法を守り平和と民主主義の日本を取り戻そう!の世論と運動は広がり続けています。また、原発再稼動ストップ!原発ゼロを!の世論は、今も過北海道集会に3500半数を超えています。
私たちがかかげている原発・核燃サイクルから撤退の道は、安倍自公政権のもとでは実現できません。安倍自公政権を倒し、違憲の戦争法を廃止し、立憲主義を回復する政府でこそ実現できるものと確信します。私たちは、9月19日に日本共産党が発表した「戦争法廃止の国民連合政府の実現のよびかけ」を歓迎し、その実現をめざす運動と一体に、原発再稼働ストップ!、原発ゼロ、核燃サイクルから撤退の道を切り開くために全力を尽くす決意です。ともに頑張りましょう。
         2015年10月19日    
           原発問題全道連絡会

STOP!再稼働 NO!戦争法制!
10・10さようなら原発 さようなら戦争 

 10月10日(土)午後、札幌大通公園8丁目広場に全道各地から3500人が参加、原発再稼動反対!泊は廃炉!戦争法制廃止!憲法守れ!安倍はやめろ!など元気にアピールしました。
さようなら原発1000万人アクション北海道実行委員会の呼びかけ人・小野有五北大名誉教授は、「原子力規制委員会は、昨日(10月9日)の審査会合で、泊原発に影響を及ぼすようなものではない」と北電の評価を了承したが、日本列島は4つのプレート境界に位置する世界にも例がない国です。日本には、安全に動かせる原発も核のごみを管理する場所もありません」「規制委員会の判断は納得できません。再稼働反対、原発廃炉実現へ引き続き運動を広げよう」などと訴えました。
ゲスト発言では、大間原発の敷地内のあさこはうすを守って頑張っている小笠原厚子さんに続いて「I 
AM NOT ABE」発言でテレ朝の報道ステーションから外された元経産省官僚の古賀茂明氏が登壇し、「国民のたたかいが野党を動かした。この動きをさらに広げることで政治家は怖くなる。共産党の戦争法廃止の国民連合政府の提案を活かし、安倍政権を倒そう。野党は力を合わせて行こう」と発言しました。
戦争させない北海道委員会呼びかけ人の結城洋一郎小樽商大名誉教授は、「参院選で戦争法を推進した人をおろし、平和のためにたたかった人に交代させよう」などと熱くよびかけました。
このほか、西尾正道氏(国立北海道がんセンター名誉院長)、清末愛砂室蘭工大準教授、岩本一郎北星学園大学教授らも、原発再稼働反対、泊原発廃炉や戦争法廃止、安倍政権打倒などを熱く語りかけ、その都度会場から大きな歓声と拍手が沸きました(写真)。 集会後、繁華街を自民党道連前までデモ行進しました。


さようなら原発北海道集会
(2015年10月10日)














京極揚水発電所建設は公正で適正な公示価格であるべき
出力調整機能を再生可能エネの積極的普及に生かせ
― 9月定例道議会で菊地葉子道議が質問 ―
菊地葉子道議は、7月に行なった京極揚水発電所
           現地調査を踏まえ、要旨以下の質問を行ないました。

菊地葉子道議
菊地:羊蹄山麓の国有林内に総工費1600億円の巨費
    を投じて建設中の京極揚水発電所は、建設費全額
   が電気料金に転嫁され道民負担となるもので、
   当然公正さが求められる。入札予定価格、落札
   価、落札企業名を明らかにすべき。
道経済部長:建設工事は鹿島・大林・飛島・伊藤組共同
     企業体などがJVを組んで工事を請け負った。
   (予定価格や落札価格は答弁せず)
 菊地:この揚水発電所は、出力変動への対応が可能と言
    いながら、北電は再生エネの普及に消極的。北電
   は姿勢を改め、揚水電力の活用で再生可能エネ
   の積極的普及に役立てるべきだ。
高橋知事:発電機の瞬時に出力調整を行なえる機能を活
              用するなどして、北電が導入拡大に努めるべき。
               (北電に期待するだけの回答)



電力会社の判断で再稼働できると考えているのか
   岩内町議会で上岡町長の姿勢を問う―大田勤町議―
  大田勤岩内町議は9月の定例町議会で、原発再稼働の判断について、九電は川内原発を多数の反対世論を無視して再稼働を強行したが、原子力規制委員長は「規制基準に適合したが、安全だとは言っていない」と言い、国は「基準をクリアした原発は順次再稼働を進めていく」としている。町長は「事業者が規制委の審査で適合となれば、事業者の判断で再稼働できるとの判断か」とただしました。
上岡町長は「規制基準に適合すると認められた原発の再稼働を進めるという方針のも
と、所要の手続きを経て再稼働に至ると考えている」と事実上、事業者の判断による
 再稼働を認める態度を示しました。同時に町長は、泊原発の再稼働については「現在
 も規制委で適合性審査が継続中であり、予断を持って答える段階ではない」と自らの
 態度表明を避けました。
 スピーデイ(放射線影響予測)活用を国・道に求めよ
  大田議員は、規制委員会がスピーデイの運用を削除した問題について、スピーデイ活
  用で災害時の要援護者移送の公共輸送車両規模の把握などが可能になることを示し、
  国に活用を求めるべきと要求。町長は「道を通じて国に申し述べたい」と答弁しまし
  た。


どうする 核のごみの最終処分  
                                   9/29学習講演会
国の地層処分に国民合意なし。
    まず暫定保管し技術開発と国民合意を!


   原発連と国民大運動北海道実行委主催の「どうする 高レベル放射性廃棄物」学習講演会が9月29日夜、札幌市内で開かれ、原発連会員や日本科学者会議会員、一般市民など18人が参加し、石崎健二日本科学者会議会員、米谷道保原発連代表委員が報告、質疑応答しました。

 石崎健二氏は、日本学術会議が今年4月24日に発表した「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言~国民的合意形成に向けた暫定保管」について、第一に、国民の意見を反映した政策をつくるための組織体制として(1)高レベル放射性廃棄物問題総合政策委員会(仮称)を独立性の高い行政委員会(公正取引委員会のような独自の権限を持った委員会)を確立。そのもとに、①科学技術的問題検討専門委員会(仮称)と②核のごみ問題国民会議(仮称)をもうけ、国民合意形成を進める。第二に、使用済み燃料もガラス固化体も、当面は「暫定保管」する。①暫定保管の方法は、地上で冷やす空冷(乾式)。②保管期間は原則50年とし、最初の30年で最終処のための合意を形成して最終処分地の候補地を選定し、その後20年以内に処分場を建設する。③保管期間の目的は、地層処分の安全性確保の研究ならびに国民の理解と合意形成をはかる期間の確保。④暫定保管施設の立地選定場所とその建設は、各電力会社が自己責任で自らの配電圏域内(北電は、北海道内)で行う。安全性については、稼働中の原発と同程度のリスクと考えられるので、原子力委員会が規制基準を策定し審査にあたる、⑤再稼働問題に対する判断は、新たに発生する高レベル放射性廃棄物の保管容量の確保と暫定保管についての計画を条件とすべき。⑥暫定保管が始まるまでの安全確保は、従来よりも少しでも安全な保管方法を見出し、不断に安全性の向上を図りながら慎重に継続する他に方法はない―の6項目を紹介しました。
       ついで石崎氏は、この提言について、日本学術会議は、最終処分は地層処分がよいと考えているようだが、世界有数の地震国、火山国、そして4つのプレート境界にある日本で地層処分がよいとは思えないとの見解を表明しました。 フロアーからの質疑では、「地層処分はダメだという研究者の意見もある」「暫定期間50年のうちの最初の30年で最終処分のための合意を形成し、その後20年以内に処分場を建設するというのは、科学技術の進歩で放射性廃棄物の危険性を除去できる可能性もあり得るという技術の進歩に対する信頼を考えているものとして賛成できるのではないか」「原子力規制委員会が、暫定保管中の安全性について、基準を作り審査するというが、そのようなことは可能なのか」などの疑問や意見が出され、いずれにも石崎氏が回答しました。
9・29学習講演会




幌延と北海道を核のごみ捨て場にさせないために
核抜き道条例や3者協定順守を迫る厳しい監視と抗議活動を続けよう

米谷氏は、報告の冒頭、原発・核燃サイクルから撤退の合意形成をめざすのが道原発連の立場だとしたうえで、国が5月22日に閣議決定した『地層処分ありき」の改定基本方針のもとで強引に地層処分に突き進もうとしているのは、「地層処分は容易に進める状況にはない」とする日本学術会議の提言や「わが国には地層処分できる場所はない」と指摘している学者や研究者、専門家などの見解を無視するもので国民的合意がないと指摘し、いったん閣議決定を撤回し、日本学術会議の提言を軸に国民合意の形成に努めるべきだと述べました。
そのうえで米谷氏は、この間幌延と北海道を核のごみ捨て場にさせないために、核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会や天北の地元の住民運動団体、道原発連などが、原子力機構や幌延深地層研究センターなどによる3者協定や核抜き道条例に反する様々な言動を、監視と抗議行動などをつうじて是正させてきたと指摘し、次のような例を資料も示してあげました。「放射性物質を使った試験を行う」との原子力機構地層処分研究開発部門長のHP挨拶文(二〇〇九年二月)や幌延センターでの地下水流出・ガス漏れ事故情報隠し(二〇一三年二月)、地下施設埋戻しは「もったいない」発言(二〇一四年四月)など。
最後に米谷氏は、北海道を核のごみ捨て場にさせないために、引き続き厳しい監視や抗議の活動をおこない、原発・核燃サイクルから撤退の住民合意の形成に尽力したいと表明しました。

「研究期間20年の誠実な履行を求めよ」
            「最終処分場は受け入れないと表明を」
  10月8日  核廃施設誘致反対道北連絡協が道に申入れ

核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会(代表委員鷲見悟氏ほか)は、10月8日、道知事に「幌延深地層研究計画」について申入れ、道北連絡協から数名、札幌近郊の支援団体などからの約20名で道交渉を行いました。

 申入れは、3者協定にある「研究期間20年程度の誠実な履行」「高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補地選定を道内の自治体には申し入れないよう国へ申し入れること」「北海道に核のゴミを受け入れないことを表明すること」の3項目でした。
交渉で道北連絡協議会は「幌延深地層研究計画の『3者協定』で研究期間は20年程度で終了するとなっているが、原子力機構は『埋め戻しはもったいない、研究のために延長もある』と発言している。また、今年8月6日の幌延での説明会で、センターの清水所長の発言は『(20年で)終了』とは言っていない。幌延町は現在の380mから500mへの掘削を要請している」。また、「終了時期についても当初の『第3期期間中に考える』から、計画最終年の『平成31年の最終年に考える』と変わっている」「工程表でも研究期間が20年一杯となっている事を考えると、地上の施設閉鎖、地下施設の埋め戻しを含めた20年程度で終了との協定は守れるのか。これらの動きに道としてどう対応しているのか。現段階で何もしないで、直前の期間延長申し入れで、なし崩しの期間延長が懸念されるのではないか」などと、道の見解をただしました。
しかし、道は「『3者協定』は遵守する、期間は20年程度」「機構からは何も話はない」と繰り返すばかりで、もともと道が主導して結んだ3者協定に対する監視責任を問われても「20年程度」を繰り返すだけの不誠実な態度に終始し、会場から何度も怒りの声が上がりました。
また、道北連絡協議会が、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関して『条例で廃棄物は受け入れない』立場がはっきりしている、道内の各自治体にその立場から文献調査段階から受け入れない事を指導すべきではないか」とただしたのに対しては、「市町村には受け入れないようにとは言えない」と述べ、市町村への指導や要請をする態度を示さず、「道条例遵守の立場で市町村と連携する」と述べるにとどまりました。


「大間原発の何が問題か」学習講演会
 ~ 訴訟の現状と支援の課題、展望を語る ~   
  ◇日時  10月31日(土)14時~ 
  ◇会場  北海道クリスチャンセンター5階チャペル
  ◇講師  森越清彦弁護士大間原発差止訴訟弁護団共同代表) 
                   ― 資料代:300円 ―