2・23「原発の再稼働を問う
学習講演会」
後志全域中心に150人。札幌圏から10数人
規制基準の問題点と防災・避難計画づくりの視点など学びあう
泊原発に隣接する後志管内共和町で2月23日(日)、「新規制基準と原発の再稼働を問う」講演会が開かれ、泊原発から30キロ圏の13町村や小樽市などから約150人が参加し、立石雅昭氏(新潟大学名誉教授・地質学)の講演を熱心に視聴しました。主催は、原発問題後志住民の会と原発問題全道連絡会の共催。
立石雅昭氏は、最初にフクシマの現在について、大気中に放出され地表に降下したセシウム137はチェルノブイリ事故を超えたとするEUの研究所の推測値をグラフで示し、そのもとで甲状腺がんとその疑いのある人が75人(昨年末)と、健康被害が進んでいると指摘。いまこそ放射能による健康への影響調査を子どもたちはもちろん、女性特に妊産婦などを対象に、仙台・東北も含め系統的に行なう必要があると強調しました。
また汚染水問題では、地下水が溶けた燃料棒に接触して汚染を拡大しているのに、地下水の流れの実相がわからないことが問題だが、その実相調査が行われていないと述べ、ドイツのキール海洋研究所のシミュレートでは2年後には太平洋全域が汚染されるとされており、まさに事態は重大だと強調しました。
ついで同氏は、新規制基準について、フクシマ事故の検証も総括もなしに技術的内容に限定して決めたもので、新潟県がやっている福島原発事故の検証・総括と比べてもお粗末な議論だと批判、再稼動のための規制基準と言わざるを得ないと述べました。
また、規制基準は、住民のいのちと暮らしを守る視点が欠如しており、原発立地の市町村でつくっている全原協(全国原子力発電所所在市町村協議会)の被災自治体等調査結果(2012年4月)の全文を読んで、後志で、あるいは北海道でどうなったか、何が改善されたかなど、厳しくチェックすることが重要だ述べ、今のままでは再び同じことが起こると警鐘を鳴らしました。さらにそのチェックにあたっての課題・問題点と検討の方向を、情報連絡と住民への広報、防災体制、住民避難、避難所の運営、住民被曝、安定ヨウ素剤配布・使用、風評被害、復旧・復興に関する事項の8点をあげ、浪江町の場合は、国からも県からも避難指示は無く、テレビを見て知ったこと、避難した先が放射能汚染地域だと知らされず避難住民が被曝したことなど、馬場有町長の怒りの声も紹介しました。
最後に、泊原発の耐震・耐津波安全性について、いまの科学の到達点も紹介しながら、北電は渡辺満久氏の指摘に根拠ある見解を示していないと述べ、規制基準自体は再稼働のためのものであり、住民にとって大事な点が放置されており、原発の事故からいのちを守るために、何が必要かを運動の柱に据えるよう訴えました。
フロア発言では、ニセコの斎藤海三郎氏が、ニセコ町原子力防災専門委員会での避難計画づくりに委員として参加して9回の委員会を開いて、最終報告をまとめ、近く町の防災会議に報告する段階になった避難計画の特徴について発言しました。同氏は、被曝ゼロの避難計画づくりに取り組んできたなかで、国の指針では、放射能が外部に拡散してから避難するというものだから被曝ゼロは実現できない、被曝ゼロの実現には5キロ圏内の避難を30キロ圏でも実施するような避難計画づくりが必要だと考えるに至っていると述べ、共感を呼びました。
(原発連事務局FAX通信335号より)