2013年10月2日水曜日

泊原発再稼動申請取り下げの申し入れ

10月9日(水)午後3時北電本社に
「再稼働申請取り下げ」を申入れます

申し入れ内容は以下のとおりです
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北海道電力株式会社
社長 川合 克彦様
                        2013年10月9日
                         原発問題全道連絡会
                  代表委員    大田 勤
                               菅野一洋                                畠山和也
                     北海道労働組合総連合
                        議長    黒沢幸一

 
泊原発の再稼動申請の取り下げ等を求める申入れ

 
 福島原発事故からすでに2年半が経過しましたが、いまだに事故原因は未解明のまま、15万人もの県民が厳しい避難生活を強いられています。また、汚染水は増え続け、貯蔵タンクからも漏れ出し、汚染水の一部は海へ流出するなど、危機的状況に歯止めがかかっていません。ところが、原子力規制委員会も国も東電も電力各社も、事故原因の究明や汚染水対策を後回しにしたまま、抜け穴だらけの規制基準にもとづく原発の適合審査を優先、事実上再稼働「先にありき」です。いま国や東電、電力会社がやるべきことは、人間社会と共生できない原発の再稼動や海外輸出ではなく、福島原発事故の原因究明と汚染水問題の解決、全面賠償、除染と復興・復旧、安全で再生可能な自然エネルギーへの転換を急ぐことです。
(1)新規制基準では、原発が安全かどうかを判断することはできない
 新規制基準は、福島原発の事故原因の究明もないまま、再稼働ありきで拙速に作成・決定したため抜け穴だらけです。何よりも、二度と過酷事故を起こしてはならないという福島原発事故の教訓が生かされておらず、規制基準は過酷事故が起きることを前提にしています。たとえ規制基準に適合と判断されても、安全性が保障されるものではないのです。その上、過酷事故対策である免震重要棟や第2指揮所、フィルター付ベント、防潮堤などの設置には、最大5年間の猶予を許しています。事故はいつ起きるかわからないのに、その対策に猶予期間を設けるなど論外です。
地震・津波対策では、直下に活断層があっても露頭が表れていなければ重要機器の設置を認めるとか、12万年前以降に動いていなければ活断層としないとしています。1995年の阪神淡路大震災以降、活断層の研究が進展し、40万年前以降に活動した断層を活断層として地震を予測するというのが現在の科学的到達点であり、これを軽視するものです。
(2)泊原発は過酷事故対策が不十分など、再稼働申請の前提条件を欠いている
貴社が申請した泊原発1、2、3号機については、そのずさんな申請書類にもろもろのクレームが付き、1、2号機の審査は棚上げされ、審査が行われている3号機についても、1、2、3号機が同時に過酷事故を起こした時の体制不備や冷却用海水取水口が1箇所しか計画されていないこと、耐震対策や火山対策の見直しが求められるなど、次々と不十分さと欠陥が指摘されているところです。
現に泊原発のこれらの対策は、いずれも建設中あるいはこれから設置するものばかりです。また、過酷事故時の要援護者の避難計画は、UPZの13町村の172の福祉施設、医療関係機関すべてについて未作成です。UPZの13町村の避難計画の安全性も検証されていません。住民の安全を守る防災体制ができていないことは、再稼働申請の前提条件を欠くものです。
また、泊原発の基準地震動は、3・11大震災以前の基準地震動のままで問題ないとか、最大津波を9.8㍍から7.3㍍に引き下げたことなどは、合意がなく検討が必要です。最近では、8月27日夕方からの豪雨により、泊3号機の原子炉補助建屋地下2階にある湧水ピット水がオーバーフローし、隣接する制御用地震計室に流入、地震計が水没し4個の地震計はいまだに機能回復していません。貴社は、水蜜性の高い扉への改造で安全上重要でない機器が設置されたエリアへの浸水を防ぐと強調していますが、電線管へのシールはせず、「湧水ピットは溢れない予定」などというだけです。大地震でも大津波でもない豪雨によって、大地震の際に原子炉を自動停止させる地震計が機能を失うなどというずさんな管理のまま、再稼働のための適合審査を申請するなど、とても納得できません。
(3)北電は原発からの撤退を決断し、自然エネルギーの本格的普及に転換すべきである
 貴社は、9月から電気料金の値上げを行ったばかりにもかかわらず、泊原発の再稼働が遅れるなら再度の値上げ認可申請もあり得るとまで公言しているのは容認できません。貴社はこれまで、ベストミックスなどと言いながら、原発依存をつよめ、老朽火発の計画的更新やLNG(液化天然ガス)火発の早期導入、自然エネルギーの本格的普及と送電網の整備などを怠たってきたのではありませんか。現に貴社は、風力と太陽光を合わせて372万KWの売電申し込みに対して、96万kw(風力26万kw、太陽光70万kw)しか買わないとしています(「道新」2013年5月21日)。こうしたツケを、電気料金の再値上げで利用者に負担させるなどはとんでもありません。
いま貴社がやるべきことは、原発がなくても電気が足りることが明らかになった今こそ、人間社会と共生出来ない原発からの撤退を決断し、石狩湾新港地区に建設するLNG火発を前倒しするとか、自然エネルギーの本格的普及に転換することではありませんか。
以上を踏まえ、次のことを申し入れます。

1、福島原発事故の教訓である原発と人間社会は共生できないことを踏まえ、欠陥だらけ・道民合意のない泊原発の再稼働申請は取り下げること。
2、石狩湾新港地区に建設するLNG火発の建設を前倒しで早急に進めること。
3、泊原発再稼働への巨額の資金投入をやめ、送電網の整備や自然エネルギーの本格的普及にまわすこと。



                                          以上