2015年7月27日月曜日

北電に原発撤退等の申し入れ 2015年7月24日

北海道電力株式会社
社長 真弓 明彦様
                        2015年7月24日
                           原発問題全道連絡会
                            代表委員   大田 勤
                             “     黒澤幸一
                             “     春木智江
                             “     米谷道

原発・核燃サイクルから撤退し、再生可能エネルギーの本格的普及等を求める申入れ

毎日のご精励に敬意を表します。
私たちは、福島第一原発事故を踏まえ、国も電力各社も早急に原発・核燃サイクルから撤退し、安全な再生可能エネルギーに転換をはかるようもとめています。全国すべての原発が停止して間もなく2年なりますが、今夏も電力不足は起きない見通しです。北海道では、泊原発が停止して3年2カ月、電力不足は起きていないし、今夏も節電要請にとどまっています。
自然が豊かで、再生可能エネルギーの資源の宝庫とされる北海道で、ただちに原発から撤退し、処理・処分技術が未確立な核のごみをこれ以上増やさず、エネルギー政策を再生可能エネルギーの本格的普及に転換すべきと考えます。核のごみの安全な処理・処分技術の確立は待ったなしの課題であり、全国・全世界の英知を集めるべきです。
ところが、国も電力各社も、原発・核燃サイクル政策の推進に固執し、原発の再稼働に躍起となる一方、急速に認可申請が進み始めていた太陽光発電の買取り制限、出力制御に乗り出すなど、事実上再生可能エネルギーの普及を抑制する動きです。また、核のごみの処理・処分については、日本学術会議の提言を無視し、地層処分が最善の方針だとして、国が前面に立って最終処分場の候補地選定に乗り出し、北海道内も候補地選定の対象地だとして、すでにシンポや説明会を開催しています。
こうした状況を踏まえ、貴社に以下のことを申し入れます。

1、泊原発は再稼働せず、即時廃炉入りを決断して下さい。
(1)福島第一原発事故は、原発と人間社会は共生できないことを示し、その後の世論調査では、原発からの撤退が過半数です。公益事業体である貴社は、この民意を尊重し、電力不足が起きていない今、再稼働せず、廃炉入りを決断すべきではありませんか。貴社は、多数の民意を無視し、あくまで泊原発の再稼働を推進するのですか。見解を伺います。
(2)貴社が、早期再稼働を目指し、規制委員会に審査申請して丸2年になります。貴社はこの間、規制基準をクリアするために大掛かりな対策事業を進めており、対策費は2500億円を超えるとの報道があります。また、泊原発1、2、3号機の維持費に年間800億円余を要すると聞いています。これほどの資金を投じて規制基準をクリアしても、規制委員会委員長は「規制基準をクリアしても安全だというのではない」と繰り返し言明しています。安全だと言えないのになぜ維持費と再稼働に向けた対策費にこれほどの巨費を投入するのですか。その一方で、電気料金の2年連続の値上げを押付けるなど、道民の納得が得られるとお考えですか。お聞かせ下さい。
(3)原子力規制庁は6月17日、2014年度に貴社など原子力事業者が実施した事業者防災訓練の結果の試行的評価(A,B,C)結果を発表しましたが、泊原発についてはA評価に該当する項目は無かったとのことです。特に改善が必要だと指摘された項目はあるのか、あるならどのような内容か、今回の評価結果を踏まえ今後の事業者防災訓練の進め方も説明して下さい。
2、原発をやめて、早急に安全な再生可能エネルギーの本格的普及に転じてください
(1)貴社はこれまで再生可能エネルギーの普及に努めて来たし、これからも努めると繰り返し言明してこられましたが、福島原発事故後、自社電源設備についてどのような努力をしたのか、具体的に示して下さい。また、それら自社保有の再生可能エネルギーの電源施設の設備利用率を年度ごとに最近の数年分程度示して下さい。
(2)政府・経産省が今年1月22日に公布した省令(2015年1月26日施行)により、電気の供給量が需要量を上回ると見込まれる場合における出力制御ルール等の変更を踏まえ、貴社は「再生可能エネルギー発電設備の接続申込に関する取扱いについて」を発表し、太陽光発電の接続可能量を117万kwに制限し、これを超える追加接続量については出力制御しても30日間は補償しないとする方針を決めて、今年4月1日以降、発電出力10kw未満の家庭用についても、接続の協議にあたって「太陽光発電設備の連系にかかる合意書」を結び出力制御を行うよう求めていると聞いています。
 これは再生可能エネルギーの本格的普及に逆行し、原発の再稼働を最優先する一方、再生可能エネルギーの普及を事実上大きく抑制するものではありませんか。撤回して下さい。
(3)貴社が保有しすでに稼働中の揚水発電所はどこどこにあり、その設備容量はいくらですか。また、揚水発電所の設備利用率は低いと聞いていますが、各揚水発電所ごとの設備利用率を年度ごとに明らかにしてください。京極揚水発電所は、1号機が昨年10月に運転を開始し、2号機は今年10月から稼働すると聞いています。1、2号機の建設費はいくらかかったのですか、電気料金のコストに算入されることから、明らかにしてください。

3、泊原発で働くいわゆる原発労働者の労働条件を明らかにし改善して下さい。
(1)福島第一原発事故後、その廃炉作業に従事する原発労働者は、高線量の放射線を浴びながら、超近代的と言われる設備や機器を扱うにも拘らず、その作業は単純な手仕事や力仕事が多く、下請け、孫請け、ひ孫請けといった何重もの下請労働で、危険手当さえきちんと支給されないなど極めて劣悪な労働条件のもとに置かれ、すでにベテラン労働者が手薄になり、労働者確保のために、被ばく限度線量を現在の5年間の累積被ばく線量100ミリシーベルトを250ミリシーベルトに引き上げる動きが出ています。まさに原発労働者の労働条件の改善は待ったなしの課題です。泊原発の作業は、今のところ再稼働に向けた安全対策の作業が多いと聞いていますが、再稼働すれば被ばく覚悟の労働者の確保とその労働条件の改善は待ったなしの課題となるでしょう。泊原発の現場で働く労働者は、北電社員は何人で、下請会社や孫請け会社の社員は何人ですか。派遣労働者を雇用していますか。元請会社や下請会社、孫請け会社など協力会社の労働者の労働条件の実態を明らかにしてください。
(2)昨年2月10日に泊原発構内で協力会社の労働者が重傷(顔面骨骨折、脳挫傷など)を負い1カ月余も入院加療した労災事故が発生しましたが、その被災労働者は、その後後遺症なく回復し、雇用を確保されたのか、また貴社は発注元会社としてどのような責任を果たされたのか、明らかにしてください。

4、北海道を核のごみの最終処分場にしないよう国に意見を上げてください
 北海道は、農林漁業・水産業と観光産業が基幹産業です。また、自然が豊かで再生可能エルギーの資源の宝庫でもあります。このような北海道には、原発も核のごみの処分場も不必要です。また北海道には、核抜き道条例も制定されており、今年4月の知事選では、2人の候補者とも核抜き条例を持つ北海道に最終処分場は認めないと公約しました。貴社も、国に対して、北海道を核のごみ捨て場にしないよう意見を表明してください。

                               以上