2015年7月27日月曜日

原発問題連絡会ニュース 第262号2015年7月20日

衆議院での「戦争法案」の
採決強行に厳しく抗議する!
民主主義破壊の暴挙を許さず、
参院で廃案に追い込もう!

 7月16日午後、政府・自公両党は、衆議院本会議開催を強行し、違憲の戦争法案の採決は強行するな!廃案にせよ!との過半数の国民の声を無視し、採決を強行しました。採決強行に、安倍政治への怒りはさらに広がっています。参議院で一層政府・与党を追いつめ、廃案に追い込もう!安倍内閣を退陣に追い込みましょう!
 原発問題全道連絡会常任理事会は7月15日、戦争法案反対の左記のアピールを発表しました。
〈アピール〉 違憲の「戦争法案」、
必ず廃案に追い込もう!

― 原発も攻撃対象とされ、
重大事故の危険が格段に高まる ー

2015年7月15日 原発問題全道連絡会常任理事会
  
 開会中の通常国会で自公両党は、会期を95日間も大幅延長し、違憲の集団的自衛権の行使を具体化する2つの法案=「国際平和支援法」、「平和安全法制整備法」について、7月中旬にも採決を強行しようとしています。
この法案は、歴代自民党政権が長年、憲法違反として認めてこなかった集団的自衛権の行使を容認・法制化し、アメリカが行なう戦争に日本の自衛隊を戦闘地域まで派兵できるようにする戦争法案です。自衛隊が、戦闘地域にまで行って武器や弾薬、燃料や食料などの物資を供給する活動を行うようなことになれば、当然相手側から攻撃され、殺し殺される戦争になってしまうことは明白です。そうなればアメリカやNATO加盟国だけでなく、わが国も相手国や国際的テロ集団などによる攻撃(テロ攻撃)対象国とされ、わが国の電力施設や原発が狙われる危険性も格段に高まることが危惧されます。すでに原発は、昨年強行された秘密保護法の対象とされ、国民の目から原発を隠す監視や規制が強化されていますが、一層国民の目が届かない施設にされかねません。国民監視が弱くなれば、事故が起きる恐れが強まります。
日本の原発は、狭い地域に集中的に立地しているところが多く、一度に何基もの原発が重大事故に見舞われる危険性が高いことは福島原発事故で明らかです。原発だけでなく電力施設も格好の攻撃対象とされるかもしれません。電気が途絶えたら、国民の暮らしも産業も破壊されてしまいます。原発も電力施設も、戦争法案と共存できません。このような戦争法案は、何としても廃案に追い込まなければなりません。
戦後70年の節目の今年、戦争法案を阻止し、日本の平和と国土・国民を守るために、私たち原発連も全力をあげます。政府・自公与党勢力は、今日7月15日にも衆議院特別委で採決を強行し、今週中には衆議院本会議を強行突破する構えです。強行採決を許さず、広範な国民との共同を広げ、違憲の戦争法案を必ず廃案に追い込みましょう。

「電力システム改革とは何か」
~ 小坂直人教授を講師に学習講演会

6月30日夜、「電力システム改革とは何か」を考える学習講演会を開催しました。学習講演会には、札幌市内のほか帯広市、苫小牧市などから約30人が参加し、小坂直人北海学園大学教授の講演を熱心に視聴、数多くの質問も出され、小坂先生が丁寧に答えてくれました。
小坂先生は、豊富な資料を示しながら約1時間30分間、熱く語ってくれました。概要を紹介します。
わが国の電力システム改革は、電源構成の議論と独立に1995年にスタート

わが国の電力システム改革・電力自由化の議論は、電源構成(原子力・自然エネルギーなどの割合)の議論と独立に1995年からスタートし、事業所への小売りの自由化を徐々に拡大し2005年には契約電力50キロW以上の事業所まで拡大された。その後2007~2008年の2年間、一般家庭まで全面自由化するかどうか議論されたが、コストが膨らみ費用対効果がなく条件整備も間に合わないと見送った。

原発コスト優位は虚構。電力自由化と原発推進は並立できない困難な課題

フクシマ原発事故によって、長年原発を基幹電源としてきたわが国の電力政策が、原発ゼロあるいは限りない縮小と太陽光・風力・バイオマスなど再生可能エネの開発普及へ転換すべきだという地殻変動的動きが起きて、今回のシステム改革になった。
講演する小坂教授(15年6月30日)
ところが、政府・経産省など原発推進勢力は、経済成長と温暖化対策を口実に原発推進に固執しようとしている。しかし、原発が他の電源に比べコスト優位にあるなどということは世界的にはまったく通用しない。わが国でもほとんど虚構だと知られるようになってきた。電力自由化と原発推進は、並立できない困難な課題だ。にも拘らず、政府・経産省は、今回のシステム改革で、原発には手を付けない(基幹電源として推進)まま、一般家庭まで小売りを全面自由化し、発送電分離も行うとしている。こういう改革で、原発と再生可能エネルギーはどうなるのかー避けて通れない課題になる。

「広域的運営推進機関」の役割は重要―全面自由化前に体制・財政などの強化が必要

今回の改革では、今年4月1日にスタートした全国的な電力運営を担う「広域的運営推進機関」の構成と体制が重要な役割を担う。しかし、その体制は100人程度でスタートするというが、重要な「運用部」(需給計画の取りまとめ、需給ひっ迫時対応、地域間連携線の管理、広域機関システムの開発・運用・保守、通信回線の運用・保守など)については、8割が一般電気事業者(大手10電力)からの出向者が占める模様だ。これでは、一般電気事業者を中心とした利害調整組織になることはほとんど予定された道であり、従来からあった「電力系統利用協議会」の延長に位置づけられるものだ。これでは改革になるのか疑問だ。任務の重要性に比してあまりにも体制も財政も貧弱であり、来年度(2016年4月1日)からの全面自由化までに体制も財政も強化が必要と考えられる。

改革のポイント ー 従来の地域独占を「発電」「送配電」「小売り」3部門の別会社に託す計画だが、不安な問題がある

今回の「改革」のポイントとして、これまでの部分自由化では、小
売市場への新電力(新しい発電会社など)の新規参入者シェアは、2011年度現在、自由化された需要の僅か3・6%に過ぎず、大手電力会社による市場の独占構造は基本的に変わっておらず、電力10社間の競争もない。北海道の新規参入も苫小牧にあるサニックスなどごくわずかである。
こうした状況下で、全面自由化がおこなわれる。これまでの大手1
0電力会社による地域独占がなくなり、全国規模で全面自由化に入る。それに伴って大手10電力会社による電気の供給義務もなくなる。しかし電気は、水道などと同じような公共財であり、需要家に対する全国一律のサービス供給が保障されなければならない。「供給義務」から「最終保障サービス」へ転換するとしている。
また、今回の改革では、発電部門と送配電部門、小売り部門の3つ
の部門を法的分離で別会社が運営するようになる。いままでは大手10電力会社が、すべての部門を握っており、法的別会社への分離移行をどのように実現するのか、難しい問題がある。とくに、発電会社が発電した電気を、小売り会社が購入し、需要家(企業や事業所、一般家庭)から電気の購入申し込みを受付けて小売り契約を結んで供給する。供給するにあたって、小売り会社は、徴収した電気料金の中から送配電料(託送料)を送配電会社に払い、さらに発電会社に発電料を払う。需要に見合う電気を供給するのは送配電会社の機能とされている。そうでなければ全国一律のサービス提供が実現できなくなり、地方に電気が届かないとか、電気を買えない人が出るなどの心配も…。
肝心なことは、いままで大手10電力会社が独占してきた送配電施
設を中立公平な送配電会社が担うものにする必要がある。私個人としては、国有化が一番良いと思っている。そうでないと全国一律の送配電サービスが実現できなくなるだろう。その際、広域的運営推進機関が、全国規模で発電各社の発電状況を常時把握し、どの発電会社のどの電気をどこに送配電するかを指示できるようにする必要がある。まさに、広域的運営推進機関の役割と権限は絶大なものが必要となる。だからその体制や財政強化が必要だと思う。(以上は講演を事務局でまとめたもので文責は事務局にあります)

会場での質問からー
講演についての参加者からのいくつかの質問と小坂先生の回答を紹介します。
質問:電気料金は下がりますか 
~ 回答:ドイツやイギリスでは下がっていない。必ず下がるとは言えない。

 小坂先生は、すでに自由化しているドイツやイギリスでは(一時はサービス競争で少し下がったが、)今はむしろ少し上がっている。必ず下がるとは言えないと回答。これに参加者から、白老町は新電力(苫小牧にあるサニックスだと思われる)から何%か安く購入している、下がっていると町では発信していると発言がありました。

質問:電気料金を払った場合、小売り、送配電、発電の取り分はどうなりますか 
~ 回答:3者の配分は不明です 

 小坂先生は、電気料金が小売り会社に支払われた後、送配電会社に送配電料(託送料)、発電会社に発電料が払われるが、その配分は不明ですと回答。

泊発電所の現場は、早期再稼働に向け、安全対策工事に大わらわ
   政府は最終補正予算8億円投じ、岩内町と神恵内村に屋内退避用施設づくり 

 泊原発停止から3年2カ月。3基の維持費に年間800億円余、加えて規制基準の審査にパスするため、毎日たくさんの労働者を雇用して審査基準対策工事に大わらわです。当初600億円と言われた対策費が、900億円、1600億円、今では最終的に2500億円を超えるのでないかとの報道も。6月19日に泊原発の見学会に同行しましたが、海抜16・5㍍もの巨大な防潮堤は完成し、その上は作業用の車が行くかう道路になっています。また、海抜84メールの丘に非常時に原子炉を冷却する1基5000トンの真水をためる巨大な貯蔵タンク3基を建設中。非常時の指揮所となる免震重要棟や重大事故時に格納容器の爆発を免れるため放射性物質を放出するフィルター付ベントの建設工事などなど、原発は停止して3年もたつけど、再稼働に向けた工事が至る所で進められている異様な光景でした。
これと別に国は、放射能放出事故を想定し、昨年は泊村と共和町、今年は岩内町と神恵内村に屋内退避用施設の工事予算8億円を計上、全額国費で再稼働前提、避難対策の名による億単位の税金投入です。20億円も投じた移転用オフサイトセンターの移転新築工事が完成し、近く泊原発から10・4Kmの共和町内に移ります。原発推進のために税金投入を惜しまないやり方に怒り心頭です。(米谷道保)

日本学術会議の提言「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言
―国民的合意形成に向けた暫定保管」について

原発で使い終わった核燃料は、その約5%が核分裂して高レベル放射性廃棄物に変わっています。それを核燃料から取り出して融けたガラスに混ぜて固めたのがガラス固化体です。高レベル放射性廃棄物は全てガラス固化体にして地下300mより深い所に埋めて最終処分とする、というのが日本の方針ですが、実際はその通りには進まず、使用済み燃料が溜まり続ける一方です。
そこで原子力委員会は2010年に学術会議に核廃棄物の処分について国民にどのように説明したらよいか審議してほしいと依頼し、学術会議は2012年に「回答」を行っていましたが、今回の提言は回答の内容を政策として反映しやすいように、より一層具体化して2015年4月に発表したものです。
ポイントは二つあって、一つは政府は地層処分することにして処分地探しを始めていますが、ちょっと待て、ということです。もう一つは処分地探しでつまずいているのは国民合意がないからであり、どのようにして合意形成を図るか、ということです。
第一のポイントは、地層処分に固執せず当面は「暫定保管」することです。
保管方法については、使用済燃料もガラス固化体にした高レベル放射性廃棄物も地上で保管する。この場合、水を満たしたプールに入れて冷やす水冷ではなく、空気で冷やす空冷(乾式とも言う)で行う。現在は使用済燃料はほとんどが水冷で、ガラス固化体は全て空冷で保管されています。
保管期間は原則50年とする。最初の30年で最終処分のための合意を形成して最終処分地の候補地を選定し、その後の20年以内に処分場を建設する。暫定保管が50年以上続いてしまう場合は、必要ならば施設・設備を更新して対応する。
第二のポイントは、国民の意見を反映した政策を作るための組織体制を作ることです。「高レベル放射性廃棄物問題総合政策委員会(仮称)」を設置し、そのもとに「核のごみ問題国民会議(仮称)」と「科学技術的問題検討専門調査委員会(仮称)4」を置く。委員の中核メンバーは原子力事業の推進に利害関係を持たない者とし、国民会議は市民参加に重きを置いて原子力発電関係者に対する国民の信頼回復を図る。
なお、学術会議は「現時点での最有力は地層処分」と判断しており、調査委員会は暫定保管及び地層処分の施設と安全性に関する科学技術的問題の調査研究を徹底して行う、としています。(石崎健二)