フクシマの心、国民の原発ゼロの願いに背を向け、
「安全神話」を復活
原発・核燃サイクル推進の
エネルギー基本計画は撤回せよ
原発連などが4・11イレブンデー宣伝署名行動で
抗議のアピール
原発問題全道連絡会と軍事費を削って暮らしと福祉・教育の充実を 大運動北海道実行委員会は4月11日、JR札幌駅西側の紀伊国屋書店前で、フクシマから3年1カ月目のイレブンデー宣伝署名行動に取組み、原発のない北海道の実現を求める全道100万人署名への協力をよびかけるとともに、当日安倍政権が閣議決定したエネルギー基本計画について、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原発・核燃サイクル推進、規制基準をクリアした原発の再稼働を進めるなど、フクシマ原発事故などなかったかのような計画決定とをきびしく批判、撤回を求めようと訴えました。
マイクを握った道労連の黒澤幸一議長は、「いまもフクシマ原発事故で14万人もの県民が避難を強いられ自宅に戻れる見通しもたたないままです。汚染水問題も未解決です。安全な原発などありません」「原発がなくても電力不足は起きていません。泊原発の再稼動も大間原発の建設も必要ありません」「ところが安倍政権は、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、これからも原発を推進し、規制基準をクリアした原発を再稼動するというエネルギー基本計画を閣議決定しました。また、核のごみを再処理し再利用する核燃サイクル政策も推進する計画です。まるで福島原発事故などなかったかのように安全神話を復活させるエネルギー基本計画は許せません。こんなエネルギー基本計画は撤回させましょう。今こそ原発ゼロを願う福島県民や国民・道民の多数の声にこたえ、原発のない安全・安心な北海道と日本をつくりましょう」「私たちは3月14日に原発のない北海道の実現を求める全道100万人署名を63万筆余り道知事に提出しました。引き続き100万筆をめざしています。全道100万人署名にご協力下さい」などと訴えました(写真)。
春から冬に逆戻りしたかのように小雪が舞い寒風が吹くなか、原発連や道労連傘下の労組員など10数人が参加。署名用のハガキ付きチラシを配布、55筆の署名が寄せられました。函館市が4月3日、
大間原発建設差し止め等を求め
国と電源開発(株)相手に
東京地裁に訴訟を起こす
原発連が3日午後、函館市と電源開発(株)、
国にアピールを送付
原発連は3日午後、函館市長が大間原発建設差し止め等を求め、電源開発と国を相手に東京地裁に訴訟を起こしたのを受け、アピール(後記)を函館市と電源開発(株)、国(安倍晋三総理大臣と茂木敏充経産大臣)宛てに送付しました。
函館市が、国と電源開発(株)を相手に、大間原発の建設差し止め等を求める
訴訟を起こすにあたってのアピール
2014年4月3日 原発問題全道連絡会
函館市は今日4月3日、勇気をもって国と電源開発(株)を相手に、大間原発の建設差し止め等を求める訴訟を東京地裁に起こします。
これは、世界にも例がない危険きわまりないフルMOX原発・大間原発を、函館市や市民、道南住民などが、国や電源開発(株)に、その安全性や必要性、電力供給における位置づけなどについて何度も十分な説明を行うよう求め、合意を得るよう求めたにもかかわらず、一度も説明を行わないまま、国が大間原発の原子炉設置許可を行い、これをうけて電源開発(株)が2008年から建設に着工し、更に2011年3月の福島第一原発事故でいったん中断していた建設工事を、またもや何の説明も行わないまま2012年10月にふたたび一方的に再開するなど、大間原発から30キロ圏内の函館市と市民、道南住民の要求や願いを踏みにじり、建設を強行してきたことに、函館市が怒り、市と市民を守る立場から地方自治権を行使して行う正当な行動です。
今回函館市が起こす訴訟は、国に対しては、大間原発の原子炉設置許可は、昨年決定された原子力規制委員会の規制基準に基づかないもので無効なものとして、設置許可の取り消しと電源開発(株)に建設停止を命じるよう求めるもので、自治体として当然の要求であり行動です。
また、電源開発(株)に対しては、大間原発がいったん福島第一原発のような重大事故を起こせば、函館市は壊滅的被害を受ける危険にさらされており、この危険から逃れるためには大間原発の建設差し止め等を求めるほかないとするものです。これも函館市と市民を守る当然の要求であり行動です。
したがって、私たちは、国と電源開発(株)が、この訴訟を深刻かつ真摯に受け止め、函館市の当然の要求に真剣に応えるよう求めます。
同時に、大間原発が重大事故を起こせば、フクシマ第一原発事故の例からも明白なように、原発から30㎞圏にとどまらない広範な地域に被害が及ぶことが想定され、北海道と道民の存亡にもかかわる問題ともなりうることは明白です。函館市が起こす今回の訴訟は、原発のない北海道を願う私たち道民の願いにもかなうものでもあります。
したがって、私たちは、国と電源開発(株)が、函館市や市民,道南住民の願いを無視し、大間原発の設置を許可し、建設をすすめ、フクシマ後の工事再開を強行したことに厳しく抗議するものです。
そして私たちは、国が、今回の函館市による訴訟を重大かつ真摯に受け止め、ただちに大間原発の原子炉設置許可を取り消し、事業主である電源開発(株)に建設停止を命じるとともに、原発からの撤退を求める広範な道民の民意を尊重し、大間原発の建設中止を決断するよう求めるものです。
また、私たちは、電源開発(株)が、今回の函館市による大間原発の建設差し止め等を求める訴訟を重大かつ真摯に受け止め、ただちに大間原発建設を中止し、廃止を決断するよう求めるものです。
最後に私たちは、今回の函館市の訴訟が、勝訴を勝ち取り、原発のない日本と北海道の実現への大きな一歩となるよう、広範な道民に訴訟への支援と連帯の輪を広げるよう呼びかけるものです。
【解説】 函館市による大間原発訴訟の訴状について
4月3日、函館市が国と電源開発に対して大間原発建設の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしました。原告訴訟代理人は弁護士9人で、弁護士事務所の所在地は東京都が8人、函館市が1人です。内容としては原子炉の設置許可が無効であることを確認し、国が電源開発に対して建設停止を命じることを求める行政訴訟と、原発の建設運転の差し止めを求める民事訴訟です。
(1) 大間原発の設置許可は無効である
国が原子炉の設置を許可するには許可基準「災害の防止に支障のないこと」を満たさねばなりません。この基準を満たしているかどうかは何種類もある安全審査指針にそって判断します。
訴状(訴訟を起こす文書)では、「災害の防止に支障のない」はずの福島第一原発で事故が起きたということは安全審査指針類に不合理な点があったか、指針類に適合するかどうかの判断に過誤・欠落があったからである、と断定しています。そして、大間原発も同じように安全性を確保できない指針類によって審査を経て設置許可されたのだから、設置許可は無効だと主張しています。
(2) 新規制基準にも不備・欠陥がある
福島第一原発事故が起きたため国は安全審査指針類に不備があることを認めて、新規制基準を作りました。しかし、訴状では新規制基準にも重大な不備・欠陥があり安全性は確保されない、とし、不備・欠陥として次のようなことを挙げています。
①
福島第一原発事故の原因が不明の状態で作成された新基準が安全確保に不十分であることは言うまでもない。また、安全確保は原発の稼働に支障とならない範囲でなされており、考え方が根本的に間違っている。それに、そもそも新基準は、原子力規制委員会の田中委員長が言っているように、それに適合すれば安全が確保される基準としては策定されていないのである。
②
周辺住民の生命と安全確保のためには立地審査指針は欠かせない基準である。しかし、これまでは非現実的な立地評価をしていたと認められているにもかかわらず、必要な改定がなされた基準が策定されていない。
③
設計基準事故[原発の安全設備を設計するときに想定する事故のこと]の原因を原子炉施設内の事象に限定したままとなっている。自然現象あるいは外部からの人為事象(テロなど)を除いているのは非現実的である。自然現象を原因とする事故であれば多数の機器に同時に影響を及ぼすことがあり得るのである。
④
事故評価は単一故障の仮定で行い、共通要因故障[一つの原因(例えば自然現象)で生じる多数の機器の故障のこと]を考えていない。これを想定すると、その対策が余りに財政的負担になるので、再稼働を可能にするために、あえて想定しないこととしたのである。
⑤
外部電源の安全基準は未だに最低クラスであり、耐震設計上の強度が低い設計が許容されている。重要度の高いクラスへの格上げがもたらす補修費用の負担増加に対して電力事業者から強力な抵抗があり、規制の強化が見送られてしまったのである。
⑥
シビアアクシデント対策は共通要因故障について考えることにしているが、事故原因が考えられていないので、事故の進展過程が不自然である。また、シビアアクシデント対策とされる重大事故対処設備に対する地震・津波の基準が原発に対する基準と同じでよいとされているので、シビアアクシデント対策は原発と共倒れになる危険性があり、対策として不十分である。
(3)訴状の全体の構成を示す目次
第1章 はじめに 第2章 本件訴訟の法的根拠 第3章 原発の仕組みと放射能の危険
第4章 福島第一原発事故の原因と被害 第5章 福島第一原発事故による自治体の被害
第6章 旧安全審査指針類にも新規制基準にも、重大な不備・欠陥があり安全性は確保されない 第7章 大間原発の具体的危険性(その1)想定地震の問題点 第8章 大間原発の具体的危険性(その2)テロ対策は不可能である 第9章 大間原発の具体的危険性(その3)シビアアクシデント対策には限界がある 第10章 大間原発で過酷事故が発生した場合の函館市の損害
第11章 結論
* * * * *
訴状の論点(1)(2)は泊原発にも当てはまるということを指摘しておきたいと思います。泊原発の設置を許可したのは間違っていたことになります。また、泊原発の再稼働をめざして新規制基準への適合性が審査されていますが、適合と判断されたとしても安全性は確保されない、ということです。 (石崎健二)
チェルノブイリ原発事故から28年 ☆4月26日(土)12時15分
4・26宣伝署名行動 ☆JR札幌駅北口駅前広場
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