「泊原発を再稼働させない道民署名」
9月スタート
来年8月まで(場合によっては延長)1年間、
道民の中へ大きく広げよう
―「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」
第2回全体会合(7月29日)で確認―
5月14日に結成集会を開催し活動を開始した「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」(市川守弘代表、55団体加盟 以下「北海道連絡会」)は7月29日、第2回全体会合を開き、「泊原発を再稼働させない道民署名(以下「再稼働させない道民署名」」を9月スタート、来年8月末まで1年間取り組む運動方針案と署名用紙の基本フォーム(別紙、同封)が提案されました。加盟団体は、署名用紙を増刷し、ぞれぞれの活動に位置づけスタートすることになります。なお、北海道連絡会は、9月18日の第3回全体会合で再度論議し、最終確認する予定です。
今提案されている道民署名推進の基本方針(要約)は以下の通りです。
―道知事宛ての「再稼働させない道民署名」について(案)
―詳しくは同封の署名用紙の裏面を参照くださいー
〇名称 「泊原発を再稼働させない道民署名」(略称 「再稼働させない署名」)
〇要請事項 道民が安心して暮らせる北海道にするため、泊原発を再稼働させないでください
〇趣旨(要約) 福島第一原発事故原因究明、安全対策や避難計画の検証が行われないまま泊原発を再稼働させることは、北海道民の生命と暮らしを危険にさらし、おびやかすことになります。
もし泊原発で事故が起きたなら、北海道の環境は破壊され、道民の生活も産業も経済も壊滅的な打撃を受けることになります。
泊原発を再稼働させるためには膨大な費用がかかります。泊原発を再稼働させなくとも北海道の電気は足りていることが、この5年間で証明されました。今後とも泊原発を再稼働させる必要がありません。
以上のことから、北海道知事は、道民が安心して暮らせる北海道にするため、泊原発を再稼働させないでください。
―道原発連の取組みは、拡大理事会で論議の予定―
この「泊原発を再稼働させない道民署名」の推進について、道原発連は、第26回総会の決定にもとづき年度の中間で総会に次ぐ議決機関=理事会を開催し、意思統一する予定です。理事会の開催日程は、道民署名の9月からのスタートに間に合うように設定の予定です。
8・19~20「泊原発廃炉でいいんでないかい!
8月19、20日の二日間、岩内町旧フェリー埠頭緑地公園などを会場に、「後志・原発とエネルギーを考える会」主催で「泊原発廃炉でいいんでないかい!泊ロック集会」が全国から約200人の参加を得て開かれました。
集会には、島キクジロー(ロック弁護士)らのアーティストによる2日間にわたるライブ・パフォーマンスをはじめ、行動する市民科学者の会・北海道による地質巡検、主催者による泊原発立地地域の経済再生を考えるシンポジュウム、そして全体集会とデモパレード等が多彩に取り組まれ、交流と確信を深めあいました(上の写真は、岩内中心街デモパレード)
岩内平野の4町村6ケ所の堆積物露頭等をめぐり北電の主張の問題点を観る
8月19日、「行動する市民科学書の会・北海道」
による泊周辺の地形・地質巡検に参加してー
8月19日に取り組みの一環として「行動する市民科学者の会・北海道(HACASE)」による岩内平野の地形・地質巡検が行われました。この巡検には全国、全道から43名が参加し、バスで岩内、共和、泊、神恵内にまたがる6ケ所の堆積物露頭等を巡り、小野有五さんらの案内で観察・説明を受けました。「市民科学者の会(ハカセ)」の説明によって明らかになった北電主張の矛盾点を指摘し、今年3月10日には原子力規制委員会も北電に再評価を求めざるを得なくなった数カ所の現場を見ることができました。巡検は砂の採取場所等の堆積状況を一望できる箇所に見られ、そこでは洞爺火砕流、ニセコ火山堆積物等の露頭も見ることができました。今回の巡検で岩内平野周辺は広い範囲が海成段丘という砂丘の軟弱な地盤で
出来ていて、泊原発は比較的新しい段丘堆積物である岩内層等の軟弱な地盤にわずかにある脆い岩盤の上に立地していることや、北電が主張する広域隆起説は積丹半島西側地形の地震性隆起による離水ベンチ等によって矛盾が明らかなこと、北電の認めていない火砕流等も確認されていることを観察することができました。(写真は巡検で露頭などを観察する参加者)
岩宇地域経済再生を考えるパネルディスカッションに約130人
19日の地質巡検やライブパフォーマンス後は、岩内地方文化センターで、自然エネルギーを基礎とした岩宇地域の経済の在り方について、小野有五さんをコーデネーターに大友詔雄さん、小田清さん、地元の漁業、農業代表者らによるパネルデスカッションが行われ、会場には130人の方が参加した討論が行われました。(佐藤久志記)
経済産業省が発表した地層処分の
「科学的特性マップ」について
日本科学者会議北海道支部 姫宮利融)
去る7月28日経済産業省資源エネルギー庁は、いわゆる「核のゴミ」=高レベル核廃棄物の地層処分の「科学的特性マップ」を発表した。説明によれば、「「科学的特性マップ」は、地層処分を行う場所を選ぶ際にどのような科学的特性を考慮する必要があるのか、それらは日本全国にどのように分布しているか、といったことを大まかに俯瞰できるよう、マップの形で示すものです。国は、このマップを、国民理解を深めるための対話活動に活用していく方針です。」とのことであるが、ここでは、大きな問題をすり抜けてしまっている。
第一に、「科学的特性マップ公表用サイト」の「はじめに」に書かれた「原子力発電に伴って発生する「高レベル放射性廃棄物」は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地下深くの安定した岩盤に埋設する(=地層処分する)必要があります。」の前提が問題にされなければならない。一般的にも、廃棄物処理の大原則は、廃棄物を発生させないことである。60年代から70年代にかけてのいわゆる「公害問題」で国民が学んだことは発生源規制の重要性だった。この「はじめに」の論理で言っても、原子力発電を止めればこれ以上「高レベル放射性廃棄物」の発生が抑えられるわけだから、地層処分の必要があるかどうかはまた別な議論の問題になってくる。廃棄物の発生を野放図に行いながら地層処分を云々するのは本末転倒である。
第二に、「「科学的特性マップ」は、地層処分に関係する地域の科学的特性を、既存の全国データに基づき一定の要件・基準に従って客観的に整理し、全国地図の形で示すものです。」とあるように、全国的に「大きく網をかける」ものになっている。地質学・地層学は私が50年前に高校で勉強して以来大きく進歩したので、個々の論点にわたることは私の任ではないが、4つのプレートがぶつかり合う「皺」の上にできた日本列島で数十万年単位の長い時間にわたって岩盤の安定性を保証できるところがどこにあるか?疑問とせざるをえない。
第三点目。今回の「科学的特性マップ」は「マップ作成に用いた要件・基準自体が、科学的特性を確定的に示したものとなっていないことに加え、マップ自体の縮尺が200万分の1以上の精度を保証するものではありません。」とある。200万分の1の尺度とは、地図上で1mmの長さが実際には2kmに相当するということだ。炭鉱で2km違ったら大変なことになるが、こうして考えてみると、今回の「科学的特性マップ」は「網掛け」を狙ってあくまでも原子力発電を継続する「担保」を確保しようというものだろう。
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第9回核のごみ問題全国交流集会に
全国から80人
―立石雅昭さんを講師に「科学的特性マップ」の問題点を学習―
第9回目の核のごみ問題全国交流集会が7月29,30日、豊富町で開催されました。29日には、立石雅昭さん(新潟大名誉教授)を講師に、政府が28日に公表した地層処分の候補地選定にむけた「科学的特性マップ」について学習。立石雅昭名誉教授は、「科学的とは言えず、国民の理解が得られるとは思えない」などと講演しました。
全国交流集会参加者は30日に、幌延深地層研究センターに地層処分研究の即時中止を申し入れました。
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【道原発連ニュースに見る道原発連の歩み】 第12回
今号では、1993年7月25日付第41号から94年6月3日付第51号までの歩みを振り返ります。
93年7月南西沖地震で北電は泊原発停止せず運転強行―
「直ちに運転を停止し、総点検すべき」―と申入れ
第41号(93年7月25日)は、7月12日に奥尻をはじめ道南各地に大きな被害をもたらした「北海道南西沖地震」により、原発が立地する泊村も震度5の突き上げるような地震に住民が外に飛び出し、津波の心配と「泊原発は大丈夫か?」の不安が走り、 泊村の伊藤政明村議(当時、道原発連事務局次長)は、すぐ泊原子力発電所に「運転を中止し、総点検するよう」申入れを行ないました。ところが、北電は、住民の不安をよそに泊原発をそのまま運転続行したのです。道原発連も、2日後の7月14日、北電本社に「地震直後に原子炉を停止し、総点検を行い、安全性を確認するのが当然行うべき」と抗議の申入れを行なったことが書かれています。
核廃処理施設計画は撤回せよー鷲見悟幌延現地共闘事務局長が抗議の談話
第43号(93年11月1日)には、「なぜ今ボーリングなのか―幌延」の見出しで、鷲見悟幌延現地共闘事務局長の抗議の談話を掲載。これは、通産省・資源エネ庁がこの地域の石油、天然ガスの埋蔵量を調査するとして基礎試錐の開坑式を10月12日に幌延町北進地区のボーリング現場で行なったことに対する抗議の談話です。鷲見悟氏は「地下資源の開発と放射性物資の地下処分は両立しない」「地下資源が現に開発され、将来もその可能性がある以上は核廃棄物処理施設計画は撤回すべきです」と基礎試錐の撤回を求めています。
放射性核廃棄物貯蔵研究施設建設問題で、
住民抱き込み作戦予算=広報対策費問題を高崎裕子参院議員が追及
第44号(93年11月18日付)は、参議院決算委で、共産党の高崎裕子参院議員(当時)が、幌延町に建設が予定されて以来、地元が大きな反対運動を起こしている高レベル放射性廃棄物貯蔵研究施設に対して、毎年政府が計上している予算の中に、住民「抱き込み作戦」の一つとして、茨城県東海村の原子力施設等の見学に行く際の旅費の一部等が、「広報対策費」として、この3年間で320万円含まれていたことが明らかになったこと伝えています。高崎議員が明らかにした幌延関係の予算は、1983年度から93年度までで約40億円に上っています。また科学技術庁は1990年度以前から誘致のための視察旅費の一部などの負担を実施していたことも答弁。高崎議員は「地元が反対しているのに幌延誘致を前提にした予算を組むのは、浪費であり凍結すべきだ」「幌延に固執する必要はない」と問いただしています。
核燃サイクル政策推進でプルトニウム利用の危険に反対の
住民運動の強化を連続キャンペーン
第45号(93年12月1日)には、1993年11月28日開かれた原発問題住民運動全国連絡センターの第7回総会を特集。当時の細川連立政権下で強行された小選挙区制の導入に反対する決議の紹介とともに、連立政権下で初めて公表された「原子力白書」が、原発問題でも従来の自民党政府の原発政策を継承するとともに、「核燃料リサイクル」政策を前面に押し出し、その推進をはかると自民党政治以上に原発へのプルトニウムの大々的な利用、高速増殖炉・新型転換炉などへの利用、国内再処理工場の運転・建設、高レベル放射性廃棄物施設の立地強行など、新たな原発の危険を誘発し、重大な脅威をもたらす「原発総合実験場化」ともいうべき事態だと厳しく批判。
第47号(94年1月22日)には、パンフレット「迫りくるプルトニウム利用の危険」を大いに普及し学習しよう」の呼びかけ、第49号(94年4月30日)には、道原発連が94年総会で「異常な日本のプルトニウム利用の危険に反対する住民監視の強化を」などの方針を確認したことが書かれています。 (米谷道保記)