2016年10月6日木曜日

2016年9月30日金曜日

原発問題連絡会ニュース 第276号2016年9月20日



北電―泊原発再稼働ありきで

2000億円超の巨費つぎ込み
    規制基準突破へまっしぐら

      ―9月15日 畠山和也衆議、岩淵友参議らが、
          共産党道議らとともに泊原発を現地調査―

 原子力規制委員会による泊原発3号機の審査が「大詰め」といわれるなか、審査開始後初めて日本共産党国会議員による泊原発の現地調査が9月15日に行われました。同行した原発問題全道連絡会の米谷道保代表委員の概要報告を紹介します。



「フクシマのような事故は絶対起こさない対策をすすめている」
                  (魚住所長挨拶)というが



 最初にとまりん館会議室で調査団一行に魚住元泊発電所長が「フクシマを反省し、安全対策に絶対はない、あのような事故は絶対起こさないこととした対策を進めているので見て行ってほしい」と再稼働ありきの挨拶。ついで広報担当課長らが、泊原発や安全対策の概要などを映像も使って説明。冒頭、2010年時点の北電の発電電力量の電源構成を円グラフで示し、原発が44%を占め、重要なベースロード電源になっていると言い、規制基準にない北電独自の対策も講じているなどと力説、早期再稼働は当り前という態度でした。



地震と津波の同時発生を想定し防潮堤を16・5㍍に
           かさ上げし舗装、引き波対策に堰を設置―



北電が用意したバスに乗り換えて発電所構内入口へ。ここで関連会社の社員による1回目の本人チェックのあと、海抜16・5㍍にかさ上げされた防潮堤(舗装道路になっている)を走行、右側に原発専用港と広大な日本海を見て3号機建屋に向かう。防潮堤は、最大地震と最大津波が同時発生した場合、最大水位が12・63㍍、最大水位降下量がマイナス7・82㍍になると試算し、防潮堤を16・5㍍にかさ上げ、冷却用海水取水口部分に上端高さマイナス4・0㍍の貯留槽(堰)を設置したとの説明。



3号機入口で2回連続の金探などによる厳しいボデイーチェック~
                        過剰では?



舗装された防潮堤道路を下って海抜10メートルの原発建屋などが建っている平地に降り、原発1,2号機や発電所事務管理棟前などを通過して3号機建屋入り口に到着。入口には津波が建物に入らないようにと新設された水密扉が紹介され、中に入るとまず周辺防護帯域なる部屋でセキュリテイチェック、さらに次の防護区域なる部屋でより性能が高い金探などによるさらに厳しいセキュリテイチェック(やり過ぎではの声も)を経てやっと見学コースに移動、エレベーター室に向かう。

重大事故時の電源確保や給水、爆発防止対策等の説明はあったが、
             燃料貯蔵建屋の耐震補強なしとは?

 3号機の建屋内では、4階(海抜21・2㍍)の通路窓越しに海抜17・8㍍にある中央制御室を見学。6人1組で5直3交代制で24時間体制で監視・操作に従事するとのこと。タービン建屋では、低圧タービン、高圧タービンを見ながら説明を聞く。6階(海抜31㍍)は、核燃料を搬入、搬出する高台に位置し、建屋のドアーで外部への出入りができ、事故時には屋外高台に設置してある代替非常用発電機、可搬型電源車、代替屋外給水タンクなどから、電源確保や給水などの対策や核燃料の搬送入などを行なう重要な場所という。8階(海抜約40メートル)の通路の窓越しに下方海抜31メートルの位置にある核燃料貯蔵ピットを見ながら、ピット(水深12メートル)の水中での核燃料集合体の搬入や搬出、原子炉への装荷操作などを、通路に設置された解説画面も使った説明があった。核燃料貯蔵建屋の耐震補強は行われたのかと質問したが、補強工事はしていないとのこと。建屋内の見学の最後に、かなり下方の階の奥まった1室に案内され、新規に設置した代替格納容器スプレーポンプを見学。既設のスプレーポンプが機能喪失した場合、炉心や格納容器に冷却水を供給し減圧や冷却を行うという。

展望台から泊原発構内全景を一望―防火帯新設、
                 免震重要棟は建設中断とは?

 最後にバスで海抜40数メートルの高台に設置された展望台に移動、泊原発の全景が一望できました。後ろ側の斜面には、斜面の雑木を最大幅40㍍ほどはぎ取りモルタルを吹き付けた防火帯(長さ2120㍍)が白く見え、前方海側には、1,2,3号機のほか、ろ過水タンク(容積1500㎥、2000㎥、3000㎥など)5~6基、原発専用港などが見渡せました。ろ過水タンクは、3・11後耐震補強を行なったかとの質問に「行っていない」との回答。展望台に来る途中の作業を中断した一角は何かとの質問に「免震重要棟を建設する予定地で、土台の免震部分の建設を開始したが、九州電力が川内原発の再稼働直後に、当初予定の免震棟を中止して耐震棟に変更する動きがあり、他社の動向も見ながら判断することになって工事を中断したところ」との説明。安全対策に絶対はないなどと言いながら、現実には安価な方法で済ませようという姿勢だとの疑念を感じざるを得ないものでした。

規制基準による安全対策は、原発だけのもの
   ―原発やめ即時廃炉の決断こそ危険を抑え無駄遣いも省ける

 とまりん館に戻っての質疑で、畠山衆議が「安全対策費は総額いくらになるのか」と質問。北電は「2000億円台前半、2000億円から2500億円程度(但し、これには免震棟やフィルター付ベント装置など5年間の実施猶予期間が設けられているものは含まず)」との回答。規制基準による安全対策は、放射能拡散の危険がある原発だけに求められているもので、他の電源には不要なもの。電力不足もない今、危険な原発の即時廃炉を決断してこそ、危険を抑え、無駄遣いもなくし、多数の国民・福島県民の願いにかなう道だと痛感しました。



この9月から加盟団体、

     個人会員拡大で成果を上げよう

― 代表委員、理事など役員がまず今月から増やしましょう 
         ~ 秋季組織拡大集中行動成功めざして 


 道原発連はいま、9月の常任理事会で今取り組んでいる「秋季組織拡大集中行動」を成功させるために、9月に目標の3割達成を目指し、代表委員、理事など役員がまず9月から成果を上げるよう呼びかけることを確認しました。すでに拡大している方がいましたら、事務局へお知らせください。加盟申込用紙や入会申し込みが入用な方はお知らせください。すぐ送付します。
 

北電が札幌でも泊原発再稼働に向けた説明会
         ~600人の会場に約450人

「新規制基準で事故は極めて低い」という
      北電の再稼働ありきの態度に批判や不安渦巻く

北電が9月18日に、「原子力発電所の新規制基準と泊原発の安全対策」と題し、住民説明会を札幌で開催したので参加してきました。用意された600席にはところどころ空席があり参加者は約450人でした。北電はすでに後志管内20市町村で64回の説明会を開きましたが、全体で約1000人程の参加とのことです。今回は、道や札幌からの開催要求に応じ、北海道全体を対象とした説明会を札幌で行ったものとされています。
 
 質問やまず1時間延長したが…
 泊原発の再稼働を目指した対応状況について約45分程の説明の後、会場での質疑応答が行われました。質問が殺到して、北電が予定していた19時30分までには全く消化しきれず、予定を約1時間超えるまで行われました。それでも質問要求は続いていましたが、会場の都合により20時30分過ぎに打ち切られました。


 全道各地での説明が必要だ


質疑応答では、「台風の影響などで交通状況が乱れている中での地方から参加だ。なぜ札幌だけなのか」、他の地方の参加者からも「フクシマの事故での、風評被害などで大量の外国人キャンセルが出た。限定した地域だけでなく全道での説明が必要だ」等、多数が他の地域での開催を要求する意見が相次ぎました。
再稼働しないことを選択肢には考えていないという
                   ありきたりの答弁に怒声も
再稼働ありきで「稼働しないということを選択肢には考えていない。」といった杓子定規な答弁の繰り返しに、会場からはしばしば怒号が飛び交う場面もありましたが、「最大の防災は再稼働しないことだ。」との意見に、北電も「安全性を考えるなら再稼働しないことだというご意見は理解できるが」との回答に会場は拍手等で大きく盛り上がる場面もありました。

 使用済み核廃棄物処理、土壌汚染状況、
     フィルター付ベントなどの安全対策にも多くの意見や疑問

「廃棄物もどうするのか。」「チエルノブイリ事故の影響ではないかと思うが、いまも地上から15cm位の土壌からセシウム100Bq程検出される。道内全域でも調査すべきではないか。」「冷却水中のトリチウムの放出量はどれ程の量になっているのか。」「フイルターベントのメッシュサイズはどの程度か。」これらの質問に「フイルターベントは変更許可申請中で、テロ対策等の関係で非公開となっている。」「トリチウムはHP等で公開している。」などの回答にとどまりました。

 暴風雪時の避難と影響、事故時の損害賠償のあり方などにも
                         質問や意見
また、冬季間の事故での風雪の影響に対する不安、事故が起きた時の損害賠償に制限がつけられるのではないかといった、尽きない不安・不信等が出されていましたが「新規制基準で事故は極めて低い。継続的に取り組んでいきたい。選択肢からは外せない。」と繰り返すばかりでした。(佐藤久志 道原発連事務局長)
 
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《原発連ニュースに見る道原発連の歩み》  第3回 

 泊原発建設計画の中止を求め、環境影響評価書案など厳しく追及
                小室正範 (道高教組中央執行委員)

原発連絡会が結成されたのは北海道で最初の原発建設予定地が泊村堀株に決まり(1978)、北電の建設計画、地元町村住民の同意、知事の同意が大きな問題となっていた1981年4月でした。
よびかけの中心となったのは、前年(1980年)の「社公合意」によって現在の連合に向かう労働組合全体の「右翼的再編」方針に転落した総評に代わり、労働組合の階級的なセンター確立をめざして活動をつよめていた北海道統一労組懇と安保破棄実行委員会、原水協などで、日本科学者会議北海道支部や新婦人など14団体での発足でした。
当時、統一労組懇幹事だった私は、札幌の鉄道病院の北側にあった統一労組懇の事務所から泊村などへ何度も通うことになりました。
発足した原発連は、安全性未確立の原発建設に反対し、建設計画中止を求める地元からの運動組織と全道的な道民世論をつくる運動をすすめることを眼目に、泊原発建設着工を急ぐ北電の「環境影響評価」などの告発・批判中心に、北電への建設中止の申し入れ、堂垣内知事に対し建設計画に同意しないよう求める全道署名、学習運動、環境影響調査に対する意見書運動、公開ヒアリングに対するとりくみなどをすすめました。

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10・2泊原発見学ツアーにご参加下さい!
            まだバスに空きがあります
申込締切(9月26日・月)午後5時が迫っています
          ― 急いでお申し込み下さい ー
1、日程  10月2日(日)午前9時から午後6時(札幌から日帰りツアー)
*集合 10月2日午前8時30分~50分迄、JR札幌駅北側コンコース“鐘の広場”。
*午前9時札幌駅北口バスターミナル発。午後6時帰着、下車後解散。
2、参加費  大人1人 3000円。(大学生は1500円)【当日受領】 
3、交通手段 JRバス貸切(中型・24人乗り)バスにまだ空きがあります。ご協力下さい。
4、主な見学施設 (1)北海道原子力環境センター(2)とまりん館と泊原発(構内の展望台から)
5、参加申し込み先 (1)佐藤事務局長FAX:011(762)**** 又は米谷Fax:011(721)****
 

2016年8月23日火曜日

原発問題連絡会ニュース 第275号2016年8月20日


原発連の加盟団体と個人会員、
   読者など増やそう
-第25回総会決定にもとづき秋季組織拡大集中行動に取組みます。
                ご協力をお願いします-

 

 道原発連は、8月の常任理事会で今年1月に開催した第25回総会で確認された「組織の拡大・強化」のために、以下の秋季組織拡大集中行動に取組むことを決めました。加盟団体、役員、個人会員の皆様のご協力をお願いします。

(1)秋季組織拡大集中行動の意義 

  原発連は、原発ゼロ・核燃サイクルからの撤退の合意形成を旗印に掲げ、泊原発廃炉、大間原発建設中止、北海道を核のごみ捨て場にさせない、原発をやめ再生可能エネに転換する等の運動に尽力しています。しかし、組織の実態は、独立した事務所を持てないばかりか、事務局経費や役員・会員の行動費も主要な加盟団体や役員、会員個人に依拠するなど組織的にも財政的にも力不足が否めません。

一方、情勢は、泊原発3号機の審査は、原子力規制委員長自身「大詰め」と言明するほか、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地選定も、国が科学的有望地を今年中に関係自治体に提示すると言明するなど、緊迫の度を増しています。こうした情勢に応え得るにふさわしい組織建設が強く求められています。以上のことから、今回の秋季組織拡大集中行動に取組むことにしたものです。今回は、加盟団体と個人会員の拡大を軸に、拡大目標を持って取組み、運動と財政の強化につなげたいということです。

(2)拡大集中行動の拡大目標

 *加盟団体 5団体以上  *個人会員 100人以上  *「げんぱつ」読者は3ケタ台に。「原発連ニュース」読者は3ケタ拡大へ      

(3)主な対象者   

*団体は地域の会など。個人会員は協力していただける個人のほか、加盟団体構成員にも働きかけましょう。 

*いずれも対象者名簿を作成し、分担して個別に働きかけましょう。

(4)資材の準備と活用

 *団体の加盟と会員の入会をよびかけるチラシや『げんぱつ』宣伝紙、加盟・入会申込用紙を大量に活用しましょう。

(5)推進体制

 *事務局に推進体制を確立し、随時集約しながら、ニュースも発行して推進にあたります。
 
 

 

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道原発連は8月17日、四国電力・伊方原発3号機の再稼働強行について、国と四国電力、愛媛県知事宛てに、次のような抗議と要請の文書をFAX送信しました。概要を紹介します。

 
四国電力・伊方原発3号機の再稼働に厳しく抗議し、
  運転停止・廃炉入りを求めます!   
       2016年8月17日  原発問題全道連絡会
四国電力は8月12日、伊方原発3号機(プルサーマル原発)を起動し、15日午後2時過ぎに発送電を開始、22日にはフル稼働に移り9月7日に営業運転入りを強行しようとしています。
ところが、15日の発送電開始の直前に、原発直近の伊予灘を震源とする震度3の地震が発生、伊方町でも震度2を観測、住民に不安が広がっています。にも拘らず四国電力は、「その地震の安全性を確認したが問題なし」として発送電を強行しました。
しかし、佐多岬半島沖、伊方原発から6~8㎞には日本最長の活断層「中央構造線断層帯」が通り、熊本地震を契機に活発化するとの懸念が増大し、松山、大分、広島の各地裁に住民が運転差し止めを求め仮処分を申し立てています。
また、伊方原発は、佐多岬半島の付け根部分に立地し、事故時には半島の西側先端部分の住民約4700人が孤立する恐れがあり、複合災害時の安全な避難は不可能とされています。
しかも、伊方原発が2011年4月に定期検査で停止してから5年余経過していますが、この間電力不足は起きていません。住民の安全を無視して危険なプルサーマル原発の再稼働を強行することに、住民合意が得られる道理はありません。
ところが、世耕弘成経済産業大臣は、伊方原発の再稼働について「バランスのとれた電源構成と電力の一層の安定供給の確保に向けた重要な前進」「核燃サイクルの推進という観点からも非常に意義がある」と歓迎の談話を出すありさまです。とても許されません。
私たちは、国と四国電力には、住民置き去りの伊方原発の再稼働強行に厳しく抗議し、直ちに運転を停止し廃炉入りを求めます。愛媛県知事には、事故の規模によっては関西圏をふくむ広大な国土と国民に重大な被害を及ぼし環境汚染を広げかねない伊方原発の再稼働容認を取り消し、直ちに運転停止と廃炉を求めるよう要求します。

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7月チェルノブイリデーと8月イレブンアクション
「原発ゼロ・再稼動反対」などで
          昼休み宣伝署名行動
―「署名したいんです」と若いお母さん。
            「不安です」と岩内町の青年
 
チェルノブイリ原発事故から30年3カ月、いまも原発から30キロ圏内は立ち入り禁止措置が取られ、爆発炎上した4号炉は廃炉の目途も立たたないままです。フクシマ原発事故から5年4カ月。いまだに9万人余の県民が避難を強いられ、汚染水も止まらず、事故原因の究明も途上です。どちらの事故からも、「原発と人類は共存できない」ことは明らかです。いまこそ事故を風化させず、原発のない社会の実現をめざす時ですーと道議会請願署名への協力を訴えました。
夏休み中とあって、各地からの観光客も加わり賑わう札幌駅前周辺での行動で、住所欄に「岩内町」と書いた青年に「泊原発で毎日不安でしょう?」と聞くと、

(7月26日札幌駅北口)
「はい!不安です」とはっきり言いながらサインしてくれました。
小さい子どもを連れた若いお母さんが近づいてきて遠慮がちに「署名したいんです」と言うので、「小さい子どもほど被ばくの影響が大きいですよね」と声をかけると「そうです。だから原発は早く全部やめてほしいです」ときっぱり言いながら署名しました。
 2回の行動で65筆の署名が寄せられました。
 

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原子力規制委員会の「新規制基準の考え方」
          という文書について

――批判に対して居直りを重ねる   

 「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について(案)」(以下、「考え方」)という文書が原子力規制委員会から発表された。日付は平成28年で月・日は空白になっている。いわゆる「新規制基準」は平成25年のことであるから、今になって「考え方」と称する解説を発表するのは、「新規制基準」に伴ってかえって混乱が広がっているか、批判に耐えられなくなっているかのいずれかが考えられるが、むしろ、「居直り」を重ねただけとの印象が強い。「考え方」は全部で33の質問に答えるという想定問答の形式をとっているが、ここでは、3つの問題だけに言及する。


 最初は、(これは「考え方」でも最初であるが)「原子力規制委員会が設置許可基準規則を策定するに当たり、裁量が認められるのか、認められる場合、その内容はどのようなものか。」というそもそも論である。「考え方」が述べているのは、いわゆる、「リスクーベネフィット論」である。「科学技術を利用した各種の機械、装置などは、絶対に安全というものではなく、常に何らかの程度の事故発生等の危険性を伴っているものであるが、その危険性が社会通念上容認できる水準以下であると考えられる場合に、またはその危険性の相当程度が人間によって管理できると考えられる場合に、その危険性の程度と科学技術の利用により得られる利益の大きさとの比較衡量のうえで、これを一応安全なものであるとして利用している」とする論である。だが、原発で問われているのは、「危険の程度が社会通念上容認できる水準以下か、また、危険性を相当程度人間によって管理できるか」である。

 一方で、技術には何らかの危険性が伴っていることを認めながら(その意味で不確実性を認めながら)、危険性の程度と利益の大きさを(それぞれ積算して)比較衡量できるとしていることも説得的でない。このような可能性はいわば「形式的可能性」であるのみで、リアルな説得力を持つためには実際に積算の根拠(パラメーター)をあげて積算して見せる以外にない。(リスク-ベネフィット論はガンの放射線治療のような経験的に危険性と利益が予想される問題について成り立つのであって、しかも、この場合でも患者の同意が不可欠であって、専門家=医師の判断のみによるのではない。)

 第2の問題は、「国際原子力機関(IAEA)で採用されている深層防護の考え方によれば、その第5層において、緊急時の対応における緊急時計画の整備などが必要であるとされている。対して、現行法制において、避難計画に関する事項は設置許可基準規則等における事業者規則の内容に含まれていない。そのため、設置許可基準規則等は、国際基準に抵触するものではないか。」というものである。実際に、第5層の問題については「災害」の一形態としての「原子力災害」に対し、国、地方公共団体、原子力事業者等が、それぞれの責務を果たすこととされており、災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法によって措置されている。この説明として、国際的な規約の批准とそれを国内法においていかに具体化するかは独立の事柄であるとの説明がなされているが、本来一体である深層防護の最後の重要な部分を、原子炉等設置法や設置許可基準規則から切り離し、したがって、深層防護の最後の重要な部分を原子炉等規制法や設置許可基準規則から切り離し、したがって、設置や稼働と切り離して「災害」として対処するというのは到底納得のいく話ではない。

 第三の問題は、「共通要因に起因する設備の故障を排除する考え方」と称するもので、共通の内部もしくは外部(自然現象など)の要因によって、複数の設備の故障が起こるということが起きないよう対策をとっているとしており、同時にこのようなシナリオを排除していることである。「このように、設計基準事象とは、工学的な観点から、類似した事故シナリオを広く包絡する代表的事故シナリオを複数抽出したものであり、設置許可基準規則に置いては、原子炉設置の安全設計とその評価にあたって考慮すべきものとして抽出された事象であり、単一の故障を想定することまでが考慮される。ここで、想定すべき故障を単一としているのは、設置許可基準規則12条において安全機能の重要度に応じて安全機能が確保されたものであることが要求されていること等により、安全施設の信頼性が確保されているためである。」しかし、フェイルセーフの観点からは、単一の故障事故の想定が楽観的すぎるのは言うまでもない。(日本科学者会議会員 姫宮利融)




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泊原発見学ツアーにご参加を!


―新規制基準による安全対策で泊原発は大丈夫か?
―審査は大詰めと言われます。見に行きましょう!
2016年8月   原発問題全道連絡会 
【実施要領】以下の通り(同封の資料や申込用紙などご覧ください)
1、日程  10月2日(日)午前9時から午後6時(札幌から日帰りツアー)
*午前9時札幌駅北口バスターミナル発。午後6時帰着、下車後その場で解散。
*朝の集合は、午前8時50分迄に、JR札幌駅北側コンコース鐘の広場。
 
2、参加費  大人1人 3000円。(大学生は1500円)【当日受領】 
 
3、交通手段 JRバス貸切(中型・24人乗り)
 
4、主な行程
<往路> 
*午前9時、札幌駅北口バスターミナル発。(JR小樽駅一時停車~乗車有の場合)
*午前10時30分頃・仁木町の“きのこ王国”で小休憩(約10分)
*午前11時30分頃  岩内町“道の駅”昼食休憩
*午後1時 とまりん館着。泊原発説明会(約20分)とまりん館見学、展望台から原発全景見学(約30分)。(全体で1時間30~40分かかります)
<復路>
*午後2時45分~午後3時  とまりん館発
*午後4時00分 余市ニッカウヰスキー工場(20~30分)
*午後6時    JR札幌駅北口バスターミナル帰着
 
5、参加申し込み方法及び注意事項
(1)同封の見学者名簿(とまりん館へ提出用)に記入し申し込んで下さい。
(2)参加申込締切は、9月26日(月)午後5時まで。
(3)注意事項
 *展望台から見学する場合、運転免許証またはパスポート、住民基本台帳カード(顔写真付き)のいずれかの身分証が必要です。必ず持参ください。
 *展望台からの見学の際は、手荷物を展望台に向かう車内に持ち込めません。(とまりん館内に無料ロッカーがあり、ここに保管できます。カメラ・ビデオ、携帯電話、ライターも車内に持ち込めません)
<お問合わせ先> 
  原発問題全道連絡会まで
 
                          以上
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2016年7月22日金曜日

原発問題連絡会ニュース 第274号 2016年7月20日





《2016年第24回参議院選挙の結果について》

野党共闘+市民の共同が、政治を変える
  希望の道を示す画期的成果~11選挙区で勝利

   北海道選挙区は原発推進の自民新人を破り、
        民進が2議席 ― 共産も善戦健闘

 ―「原発・核燃サイクルから撤退の合意形成へ」向かう意義ある結果― 

          2016年7月20日    原発問題全道連絡会



参議院選挙でのご奮闘ご苦労様でした。

 参議院選挙の結果は、4野党共闘+市民の共同が力を発揮し、32の1人区のうち11選挙区で勝利しました。これは3年前の参議院選挙で、31の1人区中29で自公勢力が勝利したのと対比し、共闘と共同の力が発揮された大きな成果だと言えます。しかも、共闘した32の1人区のうち、選挙区候補の得票数が、同じ選挙区内の共闘した各党の比例票の合計を上回ったのが28選挙区にのぼっており、1+1が2ではなく、3にも4にもなる相乗効果が期待されると言ってきたとおりの結果となっています。まさに、野党共闘+市民(国民)の共同にこそ、安倍自公政権を打ち破り、政治を変える希望の道があることを示すものとなったのです。とくに福島第一原発事故で被災しオール福島で原発に依存しない県政づくりを進めている福島県と、辺野古への新基地建設反対でオール沖縄の共同を発展させている沖縄県で、それぞれ自民党の現職閣僚を落選させ、野党共闘候補が勝利を勝ち取ったことは、安倍自公政権の暴走を打ち破る県民の総意の発揮として、私たちに大きな励ましを与えるとともに、政治を変える方向を指し示す画期的意義を持つものとなりました。

北海道選挙区選挙では、北電など企業の強力な後押しを受け、原発推進を強力に押し出した自民新人が敗北する一方、野党間の競り合いの中で共産党の新人候補のように「泊原発再稼動反対、直ちに廃炉入りを」鮮明に打ち出さなかったとはいえ、地元了解や安全な避難計画なしの再稼働は認めないなど再稼働に厳しい条件を付けた民進党が2議席を獲得、自民党を現職1に押しとどめたことは、安倍自公政権に痛打を与えたことは間違いありません。「泊原発再稼動反対、直ちに廃炉入りを」「再生可能エネルギーの電源構成比を2030年までに4割にする」ことを鮮明に掲げた共産党新人は善戦及ばず敗退しましたが、民進党と共産党の得票数の合計は、自民2候補の得票数の合計を上回っており、「泊原発再稼働反対」が道民の多数の声であることを改めて鮮明に示す重要な結果となりました。

こうした結果を分析した選挙後の報道のなかで、次回総選挙で北海道の12の小選挙区で野党4党共闘で選挙をたたかった場合の予測例として、参議院選挙の得票結果を衆議院小選挙区ごとに集計して得票数を比較し、10小選挙区で野党共闘候補が上回っており野党共闘が勝利する可能性があると分析報道をしていますが、野党共闘に政治を変える希望の道があることを予想させる一つの例示と言えるでしょう。

今回の選挙で、私たちは「原発・核燃サイクルからの撤退」を掲げる政党と候補者の勝利をめざし、それぞれの持ち場で奮闘してきましたが、今回の結果は、「原発・核燃サイクルからの撤退の合意形成」への意義ある重要な一歩となったと確信します。

今回の結果に確信を深め、引き続き原発・核燃サイクルからの撤退の合意形成に尽力し、「原発も核のごみ捨て場もない安心・安全な北海道の実現」をめざし、国会内外の活動と連携しさらに運動を広げましょう。




北電は電気料金を値下げし、
                 泊原発廃炉の決断を!
 ―6・28北電株主総会会場前で
         原発連や株主の会が共同で宣伝行動―
 原発連と国民大運動道実行委員会は、第92回北電定時株主総会の会場前で、抗議と要請の宣伝行動を行いました。この行動は昨年の総会に続いて、「脱原発をめざす北電株主の会」との共同で実施されました(写真)。
 

北電株主総会会場前行動
(16年6月28日)




最初に道原発連の米谷道保代表委員がマイクを握り、「フクシマ原発事故から5年余、今も9万2千人もの県民が自宅に戻れず避難を強いられ、汚染水の流出も止まらず、事故原因も未解明なままであり、原発はまだ人間社会が安全に使える技術になっていない、直ちに廃止・廃炉を決断すべきだ」「ところが、北電は過度の原発依存が招いた自らの経営責任の誤りを、経営危機の打開と称して、責任のない道民に2年連続で大幅な電気料金値上げを押付けておきながら、昨年度連結決算で212億円の黒字に転じた途端に4期ぶりに株主配当の復活を言明する一方、『電気料金値下げは、あくまで泊原発の再稼働後、経営基盤が安定してから検討する』などとしているのは言語道断だ」と厳しく批判、「今日の株主総会の1号議案の株主配当復活をとりやめて、電気料金値下げ案に切り替えるべきだ」などと訴えました。
次いで「脱原発をめざす北電株主の会」の関根達夫事務局長が、株主の会として今日の総会に6議案を提案しており、それへの賛同を得たいなどと訴えました。このほか、国民大運動道実行委員会の三上友衛事務局長、北電株主の会の2氏が、マイクから訴えました。
 株主総会会場前には、マスコミ各社が取材に訪れ、写真やテレビ撮影、北電株主の会のメンバーへの取材などを熱心に行なっていました。原発連と国民大運動北海道実行委員会のメンバーは、参加する株主や通行中の市民に「まず電気料金値下げを」などを書いたチラシを配布しました。
 総会では、株主の会が提案した「原子力事業部門を廃炉部門に切り替える定款変更を求める議案」など6議案をすべて多数で否決しましたが、原子力事業部門を廃止し、廃炉部門に移行するよう求める脱原発の議案に利尻富士町だけが「事故が起きれば漁業への影響が大きい」として賛成していました。



〈北電の「泊原発の安全性等に関するに地域説明会」の模様紹介〉
 北電が4月13日から後志管内20市町村の受民を対象に行なっている「泊発電所の安全対策等に関する地域説明会」から2町の模様を紹介します。
とても「丁寧な説明とは言えない」再稼動反対や地震対策などに疑問や質問次々 岩内町の説明会



5月10日、岩内地方文化センターで行われた説明会には、岩内町をはじめ共和町や泊村神恵内村の住民約80人が参加しました。
 北電の説明は、パワーポイントを使って約50分間。「新規制基準に沿って安全対策に万全を尽くし実施している。重大事故が発生した場合、その拡大を防止する対策も十分やっている。さらに、北電独自の設備を設置するなど安全対策を講じている」など十分な安全対策を講じていると強調していました。50分の説明後、5分休憩して質疑応答は30分で「会場の都合でご協力ください」の司会者の協力要請に、道知事が要請して企画された説明会ですが、僅か30分間の質疑に北電の姿勢が透けて見えるようでした。 
 北電は福島第一原発事故の概要について「地震に対して原子炉は設計通り自動停止した。その後に発生した巨大津波により、発電所内電源などの機能が喪失し、燃料を継続して冷やすことが出来ず、燃料が損傷し水素爆発が起こり放射性物質が飛び散った」ところに事故原因を設定して安全対策を講じているとの説明でした。しかし、フクシマの事故原因や原子炉内の故障の実態などは、実際には今も未解明です。にもかかわらず、北電の対策は設備への給水対策であり、設備そのものの地震対策は根本的に実施されていません。
質疑では、新規制基準による安全対策への疑問、原発施設の地震対策への不安、再稼働はやめて自然エネルギーに転換してほしいーなど、予定時間をオーバーし次々手が上がりました。道知事が要請したという地域住民への「丁寧な説明」とは程遠いものでした。



余市町内3会場4回の説明会に約60名。賛成意見は無く「原発いらない」ばかり
  事前に新聞折込などで告知したのに参加者数が少ない  最終日は数名のみ



 余市町では、6月21日1カ所、22日1カ所、23、24日は同じ中央公民館で各1回実施、合計3会場で4回開催された。事前に一般新聞への折込みや北電のホームページに告知して行われたが、参加者数は、23日の余市町中央公民館の約30人を最高に、10数名、最終日の24日の中央公民館の2回目は数名にとどまりました。説明会は、他の会場と同じで、最初に北電の説明が約50分、休憩をはさんで質問・回答のあと、開会から1時間30分後に閉会というもの。質問は1人2問とし、再質問は他の質問者が終えてからとして深まりませんでした。



  北電の説明は安全性を強調するばかり ー 新たな安全神話そのもの



 北電の説明内容にいたっては、フクシマ原発事故を教訓に2度と起こさないとしながら、原子力規制委員会の新規制基準認可を新たな安全神話として安全対策、原発避難防災計画をよりどころに原発の安全性を強調するばかりでした。
 原子力規制委員会委員長の発言「新規制基準を認可したからと言って完全な安全を保障するものではない」が示すように、ひとたび過酷事故が起きれば人間の力では制御できない災害になるのに原発事故のリスクについて北電から説明はありませんでした。 



  説明会参加者から賛成の意見は無く、「危険な原発はいらない」という発言ばかり



 地域説明会参加者から、(事故が起きたら)「誰が責任を取るんだ」、「増え続ける使用済み核燃料の貯蔵に何万年も誰が管理するのか」「風向きによる被害状況の説明を」など、誰もが危険な原発はいらないと訴えていました。参加したある農家の方が「30年も苦労して作ってきたものを、原発事故が一瞬でダメにする。原発はいらない!」の言葉の重みが会場に広がりました。



 
【地域の会の活動紹介~
          「脱原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会」の講演会から】
「ふたたびフクシマから伝えたいこと」 7月2日 
          土砂降りの中五〇人参加
             ―元福島県立高教組女性部長・大貫昭子さんが講演―
大貫さんは元の職場・南相馬市の小高工業高校の3・11の写真を示しながら、この桜の下で記念写真を撮ることはなかったと話を始めました。 


全然報道されない今の福島 


◎今年5月4日夜、大熊町を通る高速道路で事故があった。現場は、避難指示区域の中でも線量が高い帰還困難区域。窓を開けず通り過ぎなければいけないところだが、怪我をした30人以上が救助を待って4時間も待機した。◎福島第一原発では高さ120㍍の排気筒が腐蝕して危険な状態だが、致死量の高放射線量で近づけず対策が取れないまま。◎こうした実態が全然報道されていないのがフクシマの実態。


除染→避難指示解除→帰還→事故は終わりにしたい意図が見え見え  


◎除染終了と言うが、山は手つかず。◎汚染物質を入れているフレコンバッグは農業用のビニール製で耐用年数は3~5年。5段に積んでいるが、作業の最終工程は人の手による。最下段の方は既に破れたりしているが今も野積みのまま。◎富岡町に仮設焼却施設をつくった。環境省・三菱重工と鹿島の文字が書かれている。仮置き場なので平成30年(2018年3月末)までと書いてある。しかし、そのまま置かれ続けると懸念される。◎福島のお米は全袋検査しているが、検査機械は1台3000万円もする。◎避難指示解除基準は、年間線量20msv未満だが、胸部レントゲンを400回受ける数字に相当する。これで「除染したから安全」という国や東電の言い分を承認していいのか。◎南相馬市は線量で3つに分断されている。原発から30㎞以上離れている北部は何も金銭支援がない。30㎞圏は医療費、高速料金無料、20㎞圏はその上に1人月10万円支給.同じ市内でもねたみや差別でバラバラにされている。


高校生の困難さも格別  


◎高校生もサテライト校、他校に間借り、プレハブ仮校舎と何度も変わり、そのたびに転校を余儀なくされ、学ぶ権利が侵害されてきた。体育館を6つに区切って授業。工業高校なのに実習もできない時期が続いた。◎双葉町と浪江町の4校が、11~14人になった3年生の卒業する来年3月で休校(実際は閉校)になる予定。3年生が62人の富岡高校も閉校になる予定。◎代わりに広野町に開校したふたば未来学園高校に通うために、引っ越さなければならない家庭もあるなど沢山の困難がある。


終わりに  


放射線ではすぐには死なない、目に見えない。だが原発はもう人を壊している。当たり前の生活、夢や生業を奪われたのに誰も謝らない。「悪いことをしたら謝るのだよ」と教えてきたことは何だったのか。このまま諦められない。◎一般の放射線量限度は年間1msvなのに、フクシマには20msvで「被害はない」という。絶対に許せない!と多くの住民が「生業訴訟」を起こした。私も原告に加わった。


参加者への感想アンケートから 


◎原発のもたらすものの余りのひどさにびっくり。いかに政府が無責任か、どこまでもゼネコンが儲けるシステムか、ひどすぎて言葉がない。◎原発の被害は何時まで続くのか、光が見えず、聞くたびに胸が痛みます。◎このおぞましい絵の風景を「知らない」では済まされないと思いました。山積みのフレコンバッグが増え続けなんと「十三万カ所に1千万袋を超える」という。その数に押しつぶされる思いです。オリンピックに向けて復興を世界にアピールしたい国と、東電の避難解除の、人のいのちを無視した強権的な政策に腹が立ちます。