畠山和也衆議
―北海道の再生可能エネの可能性と
北電の再稼働申請の問題点
(積丹半島の隆起、液状化の影響)を質す
畠山和也衆院議員は5月31日、衆院経済産業委員会で、北海道の再生可能エネの賦存量は大きく、泊原発がなくても発電容量は十分ある問題と、北電の泊原発の再稼働申請にのぞむ調査能力に問題あると、田中俊一原子力規制委員員長や世耕弘成経産大臣にただしました。
質問する畠山議員 |
風力発電建設の
環境アセス実施中の4分の1、
255万kwが北海道
255万kwが北海道
畠山議員:風況がよい道北地方の送電設備の整備状況の現状、北海道の再生可能エネの賦存量は?。
藤木政務官:北海道と東北地方で風力発電のための送電網整備実証事業を進めており、道北地方は、北海道北部風力送電株式会社が設立され、昨年度対象地の大半で環境アセスの手続きを終え、今年度から用地買収に入っているところ。北本連系線は、現在60万kwで、これを北電が30万kw拡張し90万kwに増強するということで2014年4月に着工、2019年4月運転開始を目途に工事が進捗中。
畠山議員:北海道における再生可能エネルギーのポテンシャルを示す数値
はどうか。
藤木政務官:北海道はとりわけ風況がよく風力発電のポテンシャルが大きい。環境アセスを基準にとると、いま全国で風力発電の環境アセス実施中事業が約1100万kwあり、このうち約4分の1の255万kwが北海道に立地している。
畠山議員:泊原発3基の発電量が207万kwであり、環境アセス実施中の風力発電だけでこれを上回っている。他にも中小水力発電、木質バイオマス発電、地熱発電などもあり、電力自給率100%超の町村が道内に苫前町、幌延町など8つ。北海道の再生可能エネの可能性について大臣の認識は?。
世耕大臣:再生可能エネの一つの大きな可能性は、地産地消で、その地域の電力をカバーして地域の活性化につなげる。自給自足自治体が8つもあると伺い、北海道はもともと場所も確保しやすいし風況がよいから風力発電の適地だと思う。広域では送電網がぜい弱だから拡充が必要で、北本連系の活用も拡充も必要になる。そういう手だても必要だ。
3月の審査での地震性隆起か広域性か?
防潮堤の液状化や防波堤の破壊・流動の恐れなどの問題点を示し、
北電の申請を却下すべきと指摘
畠山議員:再稼働審査申請から4年になろうとするが、泊原発はいまだに申請が認められる状況からほど遠い。まず、規制員会から北電に指摘した問題点や北電が問題としている点などについて聞きたい。
田中原子力規制委員長:3月10日の審査会合で、規制委から北電に対して2点を指摘した。1つは、積丹半島の海岸地形が隆起している原因で、北電は広域の隆起等によると説明してきた。それに対し、海上音波探査の結果とか、海岸地形、微小地震分布等から、積丹半島北西部に断層を想定して地震動評価をすべきではないかと指摘した。もう一点は、泊原発の前面の海上は大体埋立地で、そこに防潮堤を設置しており、その液状化について評価し説明するよう指摘している。
畠山議員:広域的隆起かどうかに関して、泊原発敷地内に数本の断層が存在するが、岩内層を切っているF1断層が活断層である可能性が科学者の意見としてある。北電は、岩内層は、向かい岸の岩内台地と同じ層だと主張し、岩内台地の外来礫(石ころ)の年代を測定し120万年前のものだから活断層ではないとしている。しかしそれは礫(石ころ)の話であり、岩内台地の砂の層を評価したものではない。これは違うという意見が科学者から出されるのは当然だ。この科学者の指摘、知見を審査の中で取り上げる必要性は?。
田中委員長:F1断層は破砕帯だが、その年代評価について、今もう少し詳細にデータをきちっと評価するよう求めているところで、まだ審査途中だと理解してほしい。
畠山議員:科学者の指摘も取り上げて検討してほしい。規制委としての現地調査も欠かせない。半島の段丘の掘削調査も必要では?。
田中委員長:年代の測定にはいろいろな方法がある。そういう調査は基本的には、まず事業者(北電)が行うべきで、それに基づいて現地調査を含めて評価していく。
畠山議員:北電の調査能力に疑問を持った。近海底の活断層の疑いを規制委がデータを示して説明したと聞いている。そのデータの出どころはどこか。
田中委員長:規制委が新資料を出したのではなく、北電のデータの中から評価して示したものだ。
畠山議員:すべて北電の資料だということだが、微小地震分布、海底地形の露岩域、つまり盛り上がっているところ、そして歪みー北電が提出した3つの資料を照らし合わせたら一致する。だから規制委が泊原発から20数キロ離れた地点に活断層の疑いがあると指摘したのは当然だ。ところが北電は「寝耳に水だ」のコメントを出した。自分たちが出したデータを読み込めないのか、北電の調査能力に疑問を感じる。規制委で、申請やり直し、却下するぐらいが必要でないか。
田中委員長:今のような議論は、これまでもいろいろな原子力発電所の審査で多々あること。現段階では北電が、規制委の質問に答えるべく、色々調査中と理解している。
畠山議員:北電から出された資料から液状化について聞きたい。建設前の空撮写真を見れば埋立敷地の上に防潮堤を建設している。審査の中で液状化のことが出されたが、防潮堤だけでなくその他の重要な施設も含めて液状化問題を調べる必要がある。防波堤の崩壊、流動、取水口塞ぎの恐れは北電も認めているが、液状化では取水もできず車も入れなくなるのでないか。
田中委員長:液状化の恐れの懸念があり、北電のきちっとした対応を待っている。
畠山議員:北電には“やらせ”や”労使協定違反の長時間残業“などあり、「原発を動かす事業者として問題だ」と述べました。
"泊原発を再稼働させない道民署名"に取組みます
―6月17日「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」が確認 ―
5月14日52団体で結成された「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」(市川守弘代表)は6月17日、札幌市内で会議を開き、当面の運動として、「泊原発を再稼働させない道民署名」(略称“再稼働させない署名”)に取り組むことを確認。署名の提出先は、北海道知事で、要請事項「泊原発を再稼働させないで安心して暮らせる北海道にして下さい」と3つの趣旨などを論議しました。
《地域の会の活動紹介》
原発問題後志住民の会が5月27日に開催した学習会の模様を紹介します。
泊原発再稼働してはいけない8つの理由学習会開催
―大変好評でした 原発問題後志住民の会
5月27日、岩内町老人福祉センターで『原発問題後志住民の会』がよびかけて、「行動する市民科学者の会・北海道」の斉藤海三郎代表を講師に、「泊原発 再稼働してはいけない8つの理由」の学習会を開催しました。
当日は、原発問題後志住民の会の総会が行われ、その後続けて学習会を開催。学習会には神恵内村、蘭越町、寿都町、倶知安町、余市町、仁木町、ニセコ町から40人を超える方が参加しました
「泊原発 再稼働してはいけない」学習会風景
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斉藤さんのお話は、2部構成で、最初に「泊原発なしでも北海道の電力は、こんなに余裕があり、将来は有り余るほどになる」と今後10年間の電力供給の見通しについて、国の認可法人「電力広域的運営推進機関」が指摘した「泊原発が再稼働しなくても北海道の電力供給量は余裕がある」と豊富な資料をパワーポイントで写しだしながら説明しました。
第2部では、斉藤氏は、泊原発が立地している積丹半島の海岸地形が隆起した原因について、北電は広域的隆起によるもので活断層の地震によるものではないと説明してきたが、「泊原発の敷地内には活断層があり、これまでの北電の主張は誤りだ」と指摘し、「積丹半島の地形は、広域的隆起でなく地震性隆起を示している」と説明。この説明に、参加者は再稼働反対の運動に確信を得ました。
また、北電が、原子力規制委員会から「海上音波探査の結果や海岸地形、微小地震動分布等から、積丹半島の北西部に断層を想定して地震動を評価すべきでないか」という指摘を受け、これまでの評価の見直しを進めるに至った経過を時系列的に説明され、再稼働をすすめる北電の姿勢に事業者として大きな問題があるとの理解も深まりました。
参加者は「わかりやすい話しで納得できた」「この話を地域の皆さんやたくさんの人に聞いてもらいたいね」と大好評でした。「今後も各地でこの学習会を開きたいね」との声も広がりました。
《道原発連ニュースにみる道原発連の歩み 第10回》
今号では、1991年1月から12月までに発行された第20号から32号までを振り返ります。
91年2月の美浜原発2号機の蒸気発生器細管破断事故を契機に
「原発の危険に反対」する運動が全国的課題に
泊原発2号機の試運転期間2カ月短縮問題で北電に緊急申し入れ
第20号(91年2月11日)では、北電が、泊原発2号機の試運転期間を2カ月短縮し91年4月から営業運転に入るように変更したことを重大視し、2月6日、北電と横路知事に緊急の申入れを行なったこと、申入れには4月の統一地方選挙を前に、斉藤敏夫氏(道原発連代表委員、道知事選予定候補)と佐藤富士夫氏(札幌市長選予定候補)らが参加し、2カ月短縮の理由と試運転時の点検項目公表、安全性確保策を要求。北電は、短縮理由は「建設期間が短くなったから」とだけ答え、点検項目公表は拒否したことを伝えています。
安全性総点検、資料の公開を―美浜事故で齋藤敏夫氏、大橋晃道議が談話
91年2月9日、関西電力美浜原発2号機で蒸気発生器細管破断事故が発生。1次冷却水が2次冷却系に20トン以上も大量に流入、冷却水の放射能が異常値を記録、原子炉内の圧力低下、自動停止、緊急炉心冷却装置(ECCS)作動と、初の重大事故が発生しました。第21号(2月13日)は、この問題について、齋藤敏夫氏(道原発連代表委員)と大橋晃道議の談話を紹介。第22号(3月1日)には、2月21日に泊原発で低レベル核廃棄物をアスファルトに混合して固化する施設で、点検中にアスファルトが飛散し作業員が顔面受傷した事故について、作業の安全性に問題があると北電に「一方的報告ですまさず、情報公開をすべき」と求めています。
美浜原発型の大事故につながる恐れ
ー 泊原発のタービン静翼破損事故で重大警告を発す
第25号(5月8日)は、4月27日泊原発1号機の低圧タービン静翼の亀裂事故を報道し、これが美浜原発事故型の大事故につながる恐れがある重大事故だと警告。続く第26号(5月14日)では、この問題での北電への申入れ(5月8日)と泊村(漁民センター)での現地学習会・抗議集会(5月11日)開催、第28号(9月18日)には、泊2号機でもタービン静翼亀裂発生を報道しています。
『原発がある・ない』を問わず全国的に大きく運動をすすめよう―」
全国センターの訴えを全文紹介
第23号(3月8日)には、原発問題住民運動全国連絡センターが2月26日発表した「『原発がある・ない』を問わず全国的に大きく運動を進めようー美浜2号機の蒸気発生器細管破断事故の発生に際してー」の全文を紹介。この訴えは、①原発の安全神話から決別し、事故原因の徹底究明と加圧水型原発の蒸気発生器細管の抜本的見直し、②米ソ2大原発事故の教訓を組み込んだ安全基準による総点検の実施を、③緊急時に実効性のある避難・防災対策の確立を、④『原発の危険に反対する緊急要求』署名運動の全国的な展開を―呼びかけています。第29号(10月19日)には、全国交流集会での緊急時対策要求のアピール採択、第31号(12月7日)には、全国センター第5回総会で「原発の危険に反対、緊急時対策を」の方針を確立したこと、道原発連がヨウ素剤問題学習会を開催したことも紹介しています。
(米谷道保 原発連代表委員記)
北電株主総会会場前宣伝行動
―泊原発を止めて、再生可能エネルギーに転換を
◇日時 6月28日(水)午前9時~10時
◇場所 札幌ビューホテル大通公園前歩道
◇行動 横断幕掲げ、リレートークなど
原発廃炉でいいでないかい!in岩内
―泊原発止めよう!
☆日時:8月19日(土) 12時~ロックバンド集会ほか
8月20日(日) 10時~15時。集会とパレード
☆会場:岩内町岩内港旧フエリー埠頭緑地公園
☆主催:後志・原発とエネルギーを考える会