2017年2月28日火曜日

原発問題全道連絡会ニュース 第281号 2017年2月20日



国と東電が責任を果たすよう求める
                 100万人署名推進へ

一般新聞「朝日」「東京」「福島民報」「福島民友」)に
                                               意見広告(2月11日付)掲載
―道内の署名数5864筆、
  意見広告賛同金56団体・個人で94万余円―

原発をなくす全国連絡会とふくしま復興共同センターが呼びかけている加害者の国と東電が責任を果たすように求める新100万人署名と全国紙(朝日、東京)と福島県内ローカル紙(福島民報、福島民友)への意見広告の賛同金運動は、2月に入って急速に賛同金が寄せられ、2月11日付に意見広告が掲載できました(上の「朝日」意見広告コピー参照)。

しかし、100万人署名はまだ全国的に1万余筆程度と遅れており、これからの大奮闘が求められています。



北海道では、原発連と国民大運動北海道実行委が共同で、署名の推進と意見広告賛同金への協力をよびかけてきました。募金は56団体・個人超える協力があり94万円余が寄せられました。署名は、2月13日現在5860筆で、本格的にはこれからの取り組みにかかっています。5月末までに100万人署名達成に向けて頑張りましょう。
 
 

 

 












「福島ツアー」であらためて感じた
        「原発ゼロ」への思い

               新婦人北海道本部   松本 喜久枝

昨年9月4~6日の「新婦人福島ツアー」には、全道から33人が参加しました。

f福島県北農民連 第2発電所(太陽光発電)を見学

1日目、相馬市で「生業訴訟」原告団長の中島さん、宝鏡寺の住職で「原発の安全性を求める福島県連絡会」代表の早川篤雄さんのお話を聞きました。中島さんは、「生業訴訟は、経済やくらしを返せというだけでなく、日本人の命を守る裁判。二度と同じ思いは誰にもさせたくない。皆さんとさらに協力・共同で運動を進めていきたい」と話されました。早川さんは「原発事故後、一番先に避難指示解除が出たのは楢葉町。解除後、戻ったのは8・7%、40代までの人は1・1%しか戻っていません。『戻らないのは本人の責任。だから補助金は出さない』と言う国と東電。避難指示解除は、被災地・被害者の切り捨て宣言。全国の原発を稼働させない運動をさらに」と、熱く話されました。
2日目、帰還困難区域の浪江町を視察。いわき市からバスで高速道路を北上し、広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町と進むにつれ、線量計が上がり続けました。加倉スクリーニング場で防護服に着替え、身分証明書を提示し、津島地区へ。想像をはるかにこえ、荒れ果てた状況を目の当たりにし、事故の重大さ、深刻さを感じました。しかし、年間20ミリシーベルトは影響がないと、2017年4月から居住区域の線引きを解除する政府。5年間、毎月交渉してきた農家に対し、賠償金を打ち切ろうとする東電。あまりの理不尽な国と東電のやり方に強い憤りを感じます。「福島の抱える矛盾の打開は、日本の未来を勝ち取ることにつながる。決して犠牲者では終わらない」と、困難をかかえながら必死に闘う姿が強く印象に残っています。

5年半が過ぎても、道路の周りにはフレコンバックがあちらこちらに野積みされ、行ってみないとわからない現実がそこにありました。私たちは、このツアーで知ったことを周りに伝え、北海道からも「日本のどこにも原発はいらない!」と、運動をさらに広げていきたいと思います。



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【書籍紹介】


田崎晴明著:「やっかいな放射線と向き合って
   暮らしていくための基礎知識」(朝日出版社 ¥1000+


著者の田崎氏は、『熱力学』『統計力学Ⅰ、Ⅱ』などの教科書を執筆している理論物理学者であるが、放射線防護の専門家ではない。本書は2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所での「歴史的な大事故」(本書、1ページ)を契機に執筆された。

「『物理が好きで専門に勉強したといいながら、原発の問題に気付かないとはけしからん』とお叱りを受けたら、返す言葉もない。言い訳にはならないけれど、ぼくらが物理学の世界に入ったときには、もう原子力発電というのは基礎的な物理学を離れた、どこか遠い分野の話になっていた。要するに、原子力発電については、一般の(あまり関心のない)人たちと同じ程度の情報しかもっていなかったのだ。おそらく、まわりでいっしょに物理を学んでいた仲間たちのほとんども同じだったと思う。」(3ページ)


本書の特徴は、いわば、「公式に」認められている知識の範囲を「わかっている」こととしておさえ、論争がある問題については、「わからない」こととして区別していることだ。これは、著者が、理論物理学者であって放射線と健康被害について専門家でないことにかかわっている。それでも、第5章:放射性セシウムによる地面の汚染、第6章:放射性セシウムによる食品の汚染を読むと今回の事故の深刻さと「やっかいさ」がよくわかる。

 本書の内容はWebで公開されていて、pdfファイルを無料でダウンロードできる。インターネット環境のある人は試してみるとよいだろう。なお、出版社の「朝日出版社」は「朝日新聞社」とは無関係である。(姫宮利融・日本科学者会議会員)
 
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フクシマ原発事故から6年


新たな決意で
  「原発・核燃サイクルからの撤退」
         の国民的合意形成を!

 2月12日第30回総会・交流集会を開催
                ―原発問題住民運動全国連絡センター
原発問題住民運動全国連絡センターの第30回総会・交流集会が川崎市内で開催され、全国の原発立地県などから30数人が参加しました。総会では午前中、伊東達也筆頭代表委員と柳町秀一事務局長が代表委員会報告を行ない、午後から10人が発言、交流しました。最後に、新年度の役員を選出しました。
報告する伊東達也筆頭代表委員(2月12日)
伊東達也氏は、事故後6年を経過したが、原子力災害の実相は通常の常識では見えないことに留意し、被害の実相に応じた認識を持つことが重要だが、日本の原子力政策は発電と送電の体制が「国策・民営」として展開され、国と原子力事業者が責任をなすりあい責任を取らない無責任体制であり、福島原発事故は「無責任体制」が招いた「国策犯罪」だと指摘。さらに事故費用を後から国民に次々負担増させる「あと取り詐欺事件」だと指摘、事故後6年の経過と現状は、「原  発・核燃サイクルからの撤退」の合意形成の道を広く深く準備していることに確信をもって、新たな決意で取り組もうと呼びかけました。
この後、伊東氏は、被災者と被災地の現状と対策について、詳しいレジュメと資料に沿って報告、さらにチェルノブイリ原発事故30年現地調査の概要についても報告。ウクライナもベラルーシも事故から5年後に成立したチェルノブイリ被害者保護法にもとづき、国の責任で被害者の被ばく量の確定と認定、被害者への時宜を得た健康管理や治療、住まいや暮らしの補償(支援)などを、法施行から25年経った今も実施していることを紹介し、わが国でフクシマ切り捨て政治(線量で被災区域を線引きし被災者を分断、早期帰還策強行と支援打ち切りなど)が押し付けられている実態とは大違いだと述べ、福島子ども支援法にも魂を入れる必要があると強調しました。
 柳町秀一氏は、わが国の原子力政策の経過、もんじゅ廃炉と高速炉開発の無茶、福島原発事故費用を国民に負担させる政府・経産省と原子力損害賠償・廃炉支援機構法のカラクリ、国策犯罪の負の遺産・膨大に溜まるプルトニウムや核のごみの実態、2012年発足の原子力規制委員会が、原発推進と規制の任務相反を背負って発足したこと等を詳しく解明。原住連の運動が、福島原発事故の検証を深め「原発・核燃からの撤退」に尽力する重要性などを強調しました。
 午後の交流では、鹿児島(県連絡センター)の代表が、鹿児島県知事選での候補一本化と大差の勝利、その後のたたかい、福井県の林さんから、原発が15基立地する福井県での住民運動の広がり、石川県の児玉さんから、原子力防災に関する規制庁のマニュアルの重大な間違い、静岡県の田村さんから、浜岡原発永久停止訴訟の現状と住民の闘い、宮城県の高野さんから、女川原発再稼動阻止の共闘の前進と原発地盤の1㍍沈下とかさ上げによるちぐはぐな地盤のずれ、青森県の谷崎さんから、日本原燃のウラン濃縮工場で低レベル放射性廃棄物が8年間も放置され、規制委員会から管理能力欠如と厳しく指摘されている問題、新潟県の持田さんから、米山隆一新知事が選挙後3つの検証(福島事故原因、災害被害、、健康被害)なしに再稼働はあり得ないと断固たる態度を取っていることと住民運動の課題、福島県の早川さんから、楢葉町は帰還宣言から1年半、今も9割は帰還せず、このままでは町がなくなる、国は戻らない理由を分析し対策を講じるべき、北海道(米谷氏)から、泊原発再稼働ストップをめざす活動と審査終了が見通せなくなっている現状などについて発言がありました。
 伊東達也氏はまとめで、10人が発言し活動が広がり深まってきている、これを原発をなくす国民合意の形成に生かすことが重要だと強調しました。柳町秀一氏が、新役員案を提案、満場の拍手で承認されました(役員名は2月25日付「げんぱつ」誌参照)。
閉会挨拶で福井県連絡センターの林広員事務局長が、2017年の全国交流集会を福井県敦賀市で10月14(土)、15日(日)に開催する予定だと紹介しました。

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【原発連ニュースに見る道原発連のあゆみ  第7回】                        


「泊・幌延」直接請求運動 そのⅡ 
                     菅野一洋(道原発連・顧問)
 

1988年の北海道は「泊・幌延」が火種となって揺れ動きました。幌延では、「動燃」が4月発表の報告書なるものをもって核廃棄物施設の立地計画を具体化しようとし、泊では北電が泊原発1号機の核燃料搬入と試運転を強行しようとしていました。チェルノブイリ原発の大事故は世界に「原発神話」の崩壊を告げ、それが日本にも押し寄せたのは当然のことです。

 こうした状況の中で開かれた第2回定例道議会は「原発道議会」と言われ、泊原発にかかわるものだけでも60余件もの請願・陳情が提出されたほどでした。

 しかし、道議会は会期を9日間延長したものの、多くは空転に時間を費やし、共産党以外の会派は原発問題の論議は「できるだけしない、させない」(大橋晃氏「北海道経済」273号)という態度に終始しました。道新は「原発問題を積極的にとりあげたのは共産党だけ」と報じました(7月28日付)。エネルギー特別委員会にいたっては、「泊原発の試運転中止を求める共産党の決議案」について、請願人の趣旨説明さえ行わせず質疑・討論なしで否決。それに対し、議事規則にもとづく議長不信任動議を提出して対抗措置を講じた共産党に4道議全員への「懲罰動議」をもって深夜その幕を閉じました(後日、この暴挙は取り下げられた)。

 
まさにこの瞬間、道議会の議会制民主主義は危機に瀕しました。会は、法律家はじめ各界有志に広く意見を求め、この現状打開の方策を見出すことに努力を集中しました。

 地方自治法は「住民の直接請求権」(第12条)および「住民が有識者の50分の1(北海道で約8万人)以上の署名を集めて条例の制定(改廃)を請求することができる」(第74条)と規定しています。すなわち、地方公共団体においても間接民主主義に伴う欠陥を補足し、住民が直接的に自己の意思を表示する方途として直接請求の制度があるということです。

 国民の多くは、いったんことが起きれば取り返しがつかなくなるのが原発事故だということを1986年のチェルノブイリから学んでいますから、道民の面前で展開された「原発道議会」は余りにもひどい光景でした。

 以上みたように、会は議論を繰り返し重ね、考え抜いた上で地方自治法に定められた住民の直接請求権行使の闘いを選択することとし、法定手続きに入りました(「あゆみ」第6回参照)。「直接請求―道民の意思を直接、知事や道議会に届ける民主主義の制度を生かし、平和と安全な暮らしを願う多くの道民が署名をつうじて心を一つに」(アピール「泊・幌延」反対道条例制定署名運動の開始にあたって)と、直接請求の会は道民によびかけました。(以下次号)


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フクシマから6周年。3・7メモリアル講演会


 「福島から伝えたいこと ― 被災地からの報告― 」 

☆日時   3月7日(火)午後18時30分~20時30分(予定)   

 ☆会場   札幌エルプラザ(環境プラザ)2階環境研修室

☆講師  山本富士夫さん(元福島県立高教組相馬・双葉支部長)

               資料大 300円
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フクシマから6周年。メモリアル行動

 3・10鎮魂と連帯の行動

 ◇3月10日(金)14時30分~

 ◇パルコ前

 ◇リレートークと宣伝、」署名、募金

 ◇黙とう(14時46分から1分間)


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