北電―泊原発再稼働ありきで
2000億円超の巨費つぎ込み
規制基準突破へまっしぐら
―9月15日 畠山和也衆議、岩淵友参議らが、
共産党道議らとともに泊原発を現地調査―
原子力規制委員会による泊原発3号機の審査が「大詰め」といわれるなか、審査開始後初めて日本共産党国会議員による泊原発の現地調査が9月15日に行われました。同行した原発問題全道連絡会の米谷道保代表委員の概要報告を紹介します。
「フクシマのような事故は絶対起こさない対策をすすめている」
(魚住所長挨拶)というが
最初にとまりん館会議室で調査団一行に魚住元泊発電所長が「フクシマを反省し、安全対策に絶対はない、あのような事故は絶対起こさないこととした対策を進めているので見て行ってほしい」と再稼働ありきの挨拶。ついで広報担当課長らが、泊原発や安全対策の概要などを映像も使って説明。冒頭、2010年時点の北電の発電電力量の電源構成を円グラフで示し、原発が44%を占め、重要なベースロード電源になっていると言い、規制基準にない北電独自の対策も講じているなどと力説、早期再稼働は当り前という態度でした。
地震と津波の同時発生を想定し防潮堤を16・5㍍に
かさ上げし舗装、引き波対策に堰を設置―
かさ上げし舗装、引き波対策に堰を設置―
北電が用意したバスに乗り換えて発電所構内入口へ。ここで関連会社の社員による1回目の本人チェックのあと、海抜16・5㍍にかさ上げされた防潮堤(舗装道路になっている)を走行、右側に原発専用港と広大な日本海を見て3号機建屋に向かう。防潮堤は、最大地震と最大津波が同時発生した場合、最大水位が12・63㍍、最大水位降下量がマイナス7・82㍍になると試算し、防潮堤を16・5㍍にかさ上げ、冷却用海水取水口部分に上端高さマイナス4・0㍍の貯留槽(堰)を設置したとの説明。
3号機入口で2回連続の金探などによる厳しいボデイーチェック~
過剰では?
舗装された防潮堤道路を下って海抜10メートルの原発建屋などが建っている平地に降り、原発1,2号機や発電所事務管理棟前などを通過して3号機建屋入り口に到着。入口には津波が建物に入らないようにと新設された水密扉が紹介され、中に入るとまず周辺防護帯域なる部屋でセキュリテイチェック、さらに次の防護区域なる部屋でより性能が高い金探などによるさらに厳しいセキュリテイチェック(やり過ぎではの声も)を経てやっと見学コースに移動、エレベーター室に向かう。
重大事故時の電源確保や給水、爆発防止対策等の説明はあったが、
燃料貯蔵建屋の耐震補強なしとは?
3号機の建屋内では、4階(海抜21・2㍍)の通路窓越しに海抜17・8㍍にある中央制御室を見学。6人1組で5直3交代制で24時間体制で監視・操作に従事するとのこと。タービン建屋では、低圧タービン、高圧タービンを見ながら説明を聞く。6階(海抜31㍍)は、核燃料を搬入、搬出する高台に位置し、建屋のドアーで外部への出入りができ、事故時には屋外高台に設置してある代替非常用発電機、可搬型電源車、代替屋外給水タンクなどから、電源確保や給水などの対策や核燃料の搬送入などを行なう重要な場所という。8階(海抜約40メートル)の通路の窓越しに下方海抜31メートルの位置にある核燃料貯蔵ピットを見ながら、ピット(水深12メートル)の水中での核燃料集合体の搬入や搬出、原子炉への装荷操作などを、通路に設置された解説画面も使った説明があった。核燃料貯蔵建屋の耐震補強は行われたのかと質問したが、補強工事はしていないとのこと。建屋内の見学の最後に、かなり下方の階の奥まった1室に案内され、新規に設置した代替格納容器スプレーポンプを見学。既設のスプレーポンプが機能喪失した場合、炉心や格納容器に冷却水を供給し減圧や冷却を行うという。
展望台から泊原発構内全景を一望―防火帯新設、
免震重要棟は建設中断とは?
最後にバスで海抜40数メートルの高台に設置された展望台に移動、泊原発の全景が一望できました。後ろ側の斜面には、斜面の雑木を最大幅40㍍ほどはぎ取りモルタルを吹き付けた防火帯(長さ2120㍍)が白く見え、前方海側には、1,2,3号機のほか、ろ過水タンク(容積1500㎥、2000㎥、3000㎥など)5~6基、原発専用港などが見渡せました。ろ過水タンクは、3・11後耐震補強を行なったかとの質問に「行っていない」との回答。展望台に来る途中の作業を中断した一角は何かとの質問に「免震重要棟を建設する予定地で、土台の免震部分の建設を開始したが、九州電力が川内原発の再稼働直後に、当初予定の免震棟を中止して耐震棟に変更する動きがあり、他社の動向も見ながら判断することになって工事を中断したところ」との説明。安全対策に絶対はないなどと言いながら、現実には安価な方法で済ませようという姿勢だとの疑念を感じざるを得ないものでした。
規制基準による安全対策は、原発だけのもの
―原発やめ即時廃炉の決断こそ危険を抑え無駄遣いも省ける
とまりん館に戻っての質疑で、畠山衆議が「安全対策費は総額いくらになるのか」と質問。北電は「2000億円台前半、2000億円から2500億円程度(但し、これには免震棟やフィルター付ベント装置など5年間の実施猶予期間が設けられているものは含まず)」との回答。規制基準による安全対策は、放射能拡散の危険がある原発だけに求められているもので、他の電源には不要なもの。電力不足もない今、危険な原発の即時廃炉を決断してこそ、危険を抑え、無駄遣いもなくし、多数の国民・福島県民の願いにかなう道だと痛感しました。
この9月から加盟団体、
個人会員拡大で成果を上げよう
― 代表委員、理事など役員がまず今月から増やしましょう
~ 秋季組織拡大集中行動成功めざして
道原発連はいま、9月の常任理事会で今取り組んでいる「秋季組織拡大集中行動」を成功させるために、9月に目標の3割達成を目指し、代表委員、理事など役員がまず9月から成果を上げるよう呼びかけることを確認しました。すでに拡大している方がいましたら、事務局へお知らせください。加盟申込用紙や入会申し込みが入用な方はお知らせください。すぐ送付します。
北電が札幌でも泊原発再稼働に向けた説明会
~600人の会場に約450人
「新規制基準で事故は極めて低い」という
北電の再稼働ありきの態度に批判や不安渦巻く
北電が9月18日に、「原子力発電所の新規制基準と泊原発の安全対策」と題し、住民説明会を札幌で開催したので参加してきました。用意された600席にはところどころ空席があり参加者は約450人でした。北電はすでに後志管内20市町村で64回の説明会を開きましたが、全体で約1000人程の参加とのことです。今回は、道や札幌からの開催要求に応じ、北海道全体を対象とした説明会を札幌で行ったものとされています。
泊原発の再稼働を目指した対応状況について約45分程の説明の後、会場での質疑応答が行われました。質問が殺到して、北電が予定していた19時30分までには全く消化しきれず、予定を約1時間超えるまで行われました。それでも質問要求は続いていましたが、会場の都合により20時30分過ぎに打ち切られました。
全道各地での説明が必要だ
質疑応答では、「台風の影響などで交通状況が乱れている中での地方から参加だ。なぜ札幌だけなのか」、他の地方の参加者からも「フクシマの事故での、風評被害などで大量の外国人キャンセルが出た。限定した地域だけでなく全道での説明が必要だ」等、多数が他の地域での開催を要求する意見が相次ぎました。
再稼働しないことを選択肢には考えていないという
ありきたりの答弁に怒声も
ありきたりの答弁に怒声も
再稼働ありきで「稼働しないということを選択肢には考えていない。」といった杓子定規な答弁の繰り返しに、会場からはしばしば怒号が飛び交う場面もありましたが、「最大の防災は再稼働しないことだ。」との意見に、北電も「安全性を考えるなら再稼働しないことだというご意見は理解できるが」との回答に会場は拍手等で大きく盛り上がる場面もありました。
使用済み核廃棄物処理、土壌汚染状況、
フィルター付ベントなどの安全対策にも多くの意見や疑問
「廃棄物もどうするのか。」「チエルノブイリ事故の影響ではないかと思うが、いまも地上から15cm位の土壌からセシウムが100Bq程検出される。道内全域でも調査すべきではないか。」「冷却水中のトリチウムの放出量はどれ程の量になっているのか。」「フイルターベントのメッシュサイズはどの程度か。」これらの質問に「フイルターベントは変更許可申請中で、テロ対策等の関係で非公開となっている。」「トリチウムはHP等で公開している。」などの回答にとどまりました。
暴風雪時の避難と影響、事故時の損害賠償のあり方などにも
質問や意見
また、冬季間の事故での風雪の影響に対する不安、事故が起きた時の損害賠償に制限がつけられるのではないかといった、尽きない不安・不信等が出されていましたが「新規制基準で事故は極めて低い。継続的に取り組んでいきたい。選択肢からは外せない。」と繰り返すばかりでした。(佐藤久志 道原発連事務局長)
《原発連ニュースに見る道原発連の歩み》 第3回
泊原発建設計画の中止を求め、環境影響評価書案など厳しく追及
小室正範 (道高教組中央執行委員)
原発連絡会が結成されたのは北海道で最初の原発建設予定地が泊村堀株に決まり(1978)、北電の建設計画、地元町村住民の同意、知事の同意が大きな問題となっていた1981年4月でした。
よびかけの中心となったのは、前年(1980年)の「社公合意」によって現在の連合に向かう労働組合全体の「右翼的再編」方針に転落した総評に代わり、労働組合の階級的なセンター確立をめざして活動をつよめていた北海道統一労組懇と安保破棄実行委員会、原水協などで、日本科学者会議北海道支部や新婦人など14団体での発足でした。
当時、統一労組懇幹事だった私は、札幌の鉄道病院の北側にあった統一労組懇の事務所から泊村などへ何度も通うことになりました。
発足した原発連は、安全性未確立の原発建設に反対し、建設計画中止を求める地元からの運動組織と全道的な道民世論をつくる運動をすすめることを眼目に、泊原発建設着工を急ぐ北電の「環境影響評価」などの告発・批判中心に、北電への建設中止の申し入れ、堂垣内知事に対し建設計画に同意しないよう求める全道署名、学習運動、環境影響調査に対する意見書運動、公開ヒアリングに対するとりくみなどをすすめました。
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10・2泊原発見学ツアーにご参加下さい!
まだバスに空きがあります
申込締切(9月26日・月)午後5時が迫っています
― 急いでお申し込み下さい ー
1、日程 10月2日(日)午前9時から午後6時(札幌から日帰りツアー)
*集合 10月2日午前8時30分~50分迄、JR札幌駅北側コンコース“鐘の広場”。
*午前9時札幌駅北口バスターミナル発。午後6時帰着、下車後解散。
2、参加費 大人1人 3000円。(大学生は1500円)【当日受領】
3、交通手段 JRバス貸切(中型・24人乗り)バスにまだ空きがあります。ご協力下さい。
4、主な見学施設 (1)北海道原子力環境センター(2)とまりん館と泊原発(構内の展望台から)
5、参加申し込み先 (1)佐藤事務局長FAX:011(762)**** 又は米谷Fax:011(721)****