《2016年第24回参議院選挙の結果について》
北海道選挙区は原発推進の自民新人を破り、
民進が2議席 ― 共産も善戦健闘
民進が2議席 ― 共産も善戦健闘
―「原発・核燃サイクルから撤退の合意形成へ」向かう意義ある結果―
2016年7月20日 原発問題全道連絡会
参議院選挙でのご奮闘ご苦労様でした。
参議院選挙の結果は、4野党共闘+市民の共同が力を発揮し、32の1人区のうち11選挙区で勝利しました。これは3年前の参議院選挙で、31の1人区中29で自公勢力が勝利したのと対比し、共闘と共同の力が発揮された大きな成果だと言えます。しかも、共闘した32の1人区のうち、選挙区候補の得票数が、同じ選挙区内の共闘した各党の比例票の合計を上回ったのが28選挙区にのぼっており、1+1が2ではなく、3にも4にもなる相乗効果が期待されると言ってきたとおりの結果となっています。まさに、野党共闘+市民(国民)の共同にこそ、安倍自公政権を打ち破り、政治を変える希望の道があることを示すものとなったのです。とくに福島第一原発事故で被災しオール福島で原発に依存しない県政づくりを進めている福島県と、辺野古への新基地建設反対でオール沖縄の共同を発展させている沖縄県で、それぞれ自民党の現職閣僚を落選させ、野党共闘候補が勝利を勝ち取ったことは、安倍自公政権の暴走を打ち破る県民の総意の発揮として、私たちに大きな励ましを与えるとともに、政治を変える方向を指し示す画期的意義を持つものとなりました。
北海道選挙区選挙では、北電など企業の強力な後押しを受け、原発推進を強力に押し出した自民新人が敗北する一方、野党間の競り合いの中で共産党の新人候補のように「泊原発再稼動反対、直ちに廃炉入りを」鮮明に打ち出さなかったとはいえ、地元了解や安全な避難計画なしの再稼働は認めないなど再稼働に厳しい条件を付けた民進党が2議席を獲得、自民党を現職1に押しとどめたことは、安倍自公政権に痛打を与えたことは間違いありません。「泊原発再稼動反対、直ちに廃炉入りを」「再生可能エネルギーの電源構成比を2030年までに4割にする」ことを鮮明に掲げた共産党新人は善戦及ばず敗退しましたが、民進党と共産党の得票数の合計は、自民2候補の得票数の合計を上回っており、「泊原発再稼働反対」が道民の多数の声であることを改めて鮮明に示す重要な結果となりました。
こうした結果を分析した選挙後の報道のなかで、次回総選挙で北海道の12の小選挙区で野党4党共闘で選挙をたたかった場合の予測例として、参議院選挙の得票結果を衆議院小選挙区ごとに集計して得票数を比較し、10小選挙区で野党共闘候補が上回っており野党共闘が勝利する可能性があると分析報道をしていますが、野党共闘に政治を変える希望の道があることを予想させる一つの例示と言えるでしょう。
今回の選挙で、私たちは「原発・核燃サイクルからの撤退」を掲げる政党と候補者の勝利をめざし、それぞれの持ち場で奮闘してきましたが、今回の結果は、「原発・核燃サイクルからの撤退の合意形成」への意義ある重要な一歩となったと確信します。
今回の結果に確信を深め、引き続き原発・核燃サイクルからの撤退の合意形成に尽力し、「原発も核のごみ捨て場もない安心・安全な北海道の実現」をめざし、国会内外の活動と連携しさらに運動を広げましょう。
北電は電気料金を値下げし、
泊原発廃炉の決断を!
―6・28北電株主総会会場前で
原発連や株主の会が共同で宣伝行動―
泊原発廃炉の決断を!
―6・28北電株主総会会場前で
原発連や株主の会が共同で宣伝行動―
原発連と国民大運動道実行委員会は、第92回北電定時株主総会の会場前で、抗議と要請の宣伝行動を行いました。この行動は昨年の総会に続いて、「脱原発をめざす北電株主の会」との共同で実施されました(写真)。
北電株主総会会場前行動 (16年6月28日) |
最初に道原発連の米谷道保代表委員がマイクを握り、「フクシマ原発事故から5年余、今も9万2千人もの県民が自宅に戻れず避難を強いられ、汚染水の流出も止まらず、事故原因も未解明なままであり、原発はまだ人間社会が安全に使える技術になっていない、直ちに廃止・廃炉を決断すべきだ」「ところが、北電は過度の原発依存が招いた自らの経営責任の誤りを、経営危機の打開と称して、責任のない道民に2年連続で大幅な電気料金値上げを押付けておきながら、昨年度連結決算で212億円の黒字に転じた途端に4期ぶりに株主配当の復活を言明する一方、『電気料金値下げは、あくまで泊原発の再稼働後、経営基盤が安定してから検討する』などとしているのは言語道断だ」と厳しく批判、「今日の株主総会の1号議案の株主配当復活をとりやめて、電気料金値下げ案に切り替えるべきだ」などと訴えました。
次いで「脱原発をめざす北電株主の会」の関根達夫事務局長が、株主の会として今日の総会に6議案を提案しており、それへの賛同を得たいなどと訴えました。このほか、国民大運動道実行委員会の三上友衛事務局長、北電株主の会の2氏が、マイクから訴えました。
株主総会会場前には、マスコミ各社が取材に訪れ、写真やテレビ撮影、北電株主の会のメンバーへの取材などを熱心に行なっていました。原発連と国民大運動北海道実行委員会のメンバーは、参加する株主や通行中の市民に「まず電気料金値下げを」などを書いたチラシを配布しました。
総会では、株主の会が提案した「原子力事業部門を廃炉部門に切り替える定款変更を求める議案」など6議案をすべて多数で否決しましたが、原子力事業部門を廃止し、廃炉部門に移行するよう求める脱原発の議案に利尻富士町だけが「事故が起きれば漁業への影響が大きい」として賛成していました。
〈北電の「泊原発の安全性等に関するに地域説明会」の模様紹介〉
北電が4月13日から後志管内20市町村の受民を対象に行なっている「泊発電所の安全対策等に関する地域説明会」から2町の模様を紹介します。
とても「丁寧な説明とは言えない」―再稼動反対や地震対策などに疑問や質問次々
~ 岩内町の説明会
5月10日、岩内地方文化センターで行われた説明会には、岩内町をはじめ共和町や泊村神恵内村の住民約80人が参加しました。
北電の説明は、パワーポイントを使って約50分間。「新規制基準に沿って安全対策に万全を尽くし実施している。重大事故が発生した場合、その拡大を防止する対策も十分やっている。さらに、北電独自の設備を設置するなど安全対策を講じている」など十分な安全対策を講じていると強調していました。50分の説明後、5分休憩して質疑応答は30分で「会場の都合でご協力ください」の司会者の協力要請に、道知事が要請して企画された説明会ですが、僅か30分間の質疑に北電の姿勢が透けて見えるようでした。
北電は福島第一原発事故の概要について「地震に対して原子炉は設計通り自動停止した。その後に発生した巨大津波により、発電所内電源などの機能が喪失し、燃料を継続して冷やすことが出来ず、燃料が損傷し水素爆発が起こり放射性物質が飛び散った」ところに事故原因を設定して安全対策を講じているとの説明でした。しかし、フクシマの事故原因や原子炉内の故障の実態などは、実際には今も未解明です。にもかかわらず、北電の対策は設備への給水対策であり、設備そのものの地震対策は根本的に実施されていません。
質疑では、新規制基準による安全対策への疑問、原発施設の地震対策への不安、再稼働はやめて自然エネルギーに転換してほしいーなど、予定時間をオーバーし次々手が上がりました。道知事が要請したという地域住民への「丁寧な説明」とは程遠いものでした。
余市町内3会場4回の説明会に約60名。賛成意見は無く「原発いらない」ばかり
事前に新聞折込などで告知したのに参加者数が少ない 最終日は数名のみ
余市町では、6月21日1カ所、22日1カ所、23、24日は同じ中央公民館で各1回実施、合計3会場で4回開催された。事前に一般新聞への折込みや北電のホームページに告知して行われたが、参加者数は、23日の余市町中央公民館の約30人を最高に、10数名、最終日の24日の中央公民館の2回目は数名にとどまりました。説明会は、他の会場と同じで、最初に北電の説明が約50分、休憩をはさんで質問・回答のあと、開会から1時間30分後に閉会というもの。質問は1人2問とし、再質問は他の質問者が終えてからとして深まりませんでした。
北電の説明は安全性を強調するばかり ー 新たな安全神話そのもの
北電の説明内容にいたっては、フクシマ原発事故を教訓に2度と起こさないとしながら、原子力規制委員会の新規制基準認可を新たな安全神話として安全対策、原発避難防災計画をよりどころに原発の安全性を強調するばかりでした。
原子力規制委員会委員長の発言「新規制基準を認可したからと言って完全な安全を保障するものではない」が示すように、ひとたび過酷事故が起きれば人間の力では制御できない災害になるのに原発事故のリスクについて北電から説明はありませんでした。
説明会参加者から賛成の意見は無く、「危険な原発はいらない」という発言ばかり
地域説明会参加者から、(事故が起きたら)「誰が責任を取るんだ」、「増え続ける使用済み核燃料の貯蔵に何万年も誰が管理するのか」「風向きによる被害状況の説明を」など、誰もが危険な原発はいらないと訴えていました。参加したある農家の方が「30年も苦労して作ってきたものを、原発事故が一瞬でダメにする。原発はいらない!」の言葉の重みが会場に広がりました。
【地域の会の活動紹介~
「脱原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会」の講演会から】
「脱原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会」の講演会から】
「ふたたびフクシマから伝えたいこと」 7月2日
土砂降りの中五〇人参加
―元福島県立高教組女性部長・大貫昭子さんが講演―
土砂降りの中五〇人参加
―元福島県立高教組女性部長・大貫昭子さんが講演―
大貫さんは元の職場・南相馬市の小高工業高校の3・11の写真を示しながら、この桜の下で記念写真を撮ることはなかったと話を始めました。
◎今年5月4日夜、大熊町を通る高速道路で事故があった。現場は、避難指示区域の中でも線量が高い帰還困難区域。窓を開けず通り過ぎなければいけないところだが、怪我をした30人以上が救助を待って4時間も待機した。◎福島第一原発では高さ120㍍の排気筒が腐蝕して危険な状態だが、致死量の高放射線量で近づけず対策が取れないまま。◎こうした実態が全然報道されていないのがフクシマの実態。
除染→避難指示解除→帰還→事故は終わりにしたい意図が見え見え
◎除染終了と言うが、山は手つかず。◎汚染物質を入れているフレコンバッグは農業用のビニール製で耐用年数は3~5年。5段に積んでいるが、作業の最終工程は人の手による。最下段の方は既に破れたりしているが今も野積みのまま。◎富岡町に仮設焼却施設をつくった。環境省・三菱重工と鹿島の文字が書かれている。仮置き場なので平成30年(2018年3月末)までと書いてある。しかし、そのまま置かれ続けると懸念される。◎福島のお米は全袋検査しているが、検査機械は1台3000万円もする。◎避難指示解除基準は、年間線量20msv未満だが、胸部レントゲンを400回受ける数字に相当する。これで「除染したから安全」という国や東電の言い分を承認していいのか。◎南相馬市は線量で3つに分断されている。原発から30㎞以上離れている北部は何も金銭支援がない。30㎞圏は医療費、高速料金無料、20㎞圏はその上に1人月10万円支給.同じ市内でもねたみや差別でバラバラにされている。
高校生の困難さも格別
◎高校生もサテライト校、他校に間借り、プレハブ仮校舎と何度も変わり、そのたびに転校を余儀なくされ、学ぶ権利が侵害されてきた。体育館を6つに区切って授業。工業高校なのに実習もできない時期が続いた。◎双葉町と浪江町の4校が、11~14人になった3年生の卒業する来年3月で休校(実際は閉校)になる予定。3年生が62人の富岡高校も閉校になる予定。◎代わりに広野町に開校したふたば未来学園高校に通うために、引っ越さなければならない家庭もあるなど沢山の困難がある。
終わりに
◎放射線ではすぐには死なない、目に見えない。だが原発はもう人を壊している。当たり前の生活、夢や生業を奪われたのに誰も謝らない。「悪いことをしたら謝るのだよ」と教えてきたことは何だったのか。このまま諦められない。◎一般の放射線量限度は年間1msvなのに、フクシマには20msvで「被害はない」という。絶対に許せない!と多くの住民が「生業訴訟」を起こした。私も原告に加わった。
参加者への感想アンケートから
◎原発のもたらすものの余りのひどさにびっくり。いかに政府が無責任か、どこまでもゼネコンが儲けるシステムか、ひどすぎて言葉がない。◎原発の被害は何時まで続くのか、光が見えず、聞くたびに胸が痛みます。◎このおぞましい絵の風景を「知らない」では済まされないと思いました。山積みのフレコンバッグが増え続けなんと「十三万カ所に1千万袋を超える」という。その数に押しつぶされる思いです。オリンピックに向けて復興を世界にアピールしたい国と、東電の避難解除の、人のいのちを無視した強権的な政策に腹が立ちます。