川内原発再稼働反対緊急抗議集会
に約200人
全国すべての原発を
廃炉にするまでたたかおう!
8月10日夕 ― 原発連、北海道反原連、Shut泊など
4団体が呼びかけ
九州電力が8月11日午前10時半頃、川内原発1号機を起動させる動きを進めているなか、10日午後6時10分から札幌大通公園西3丁目で、再稼働反対の緊急の抗議集会とデモが行われました。この緊急行動は、原発連、北海道反原連、Shut泊、福島の子どもたちを守りたい北海道実行委員会の4団体が呼びかけたもの。緊急なよびかけにもかかわらず、加盟団体構成員などから約200人が参加しました。
主催者あいさつで道労連副議長の国田昌男道高教組委員長は、「安倍政権は、川内原発を皮切りに全国の原発を次々再稼働させようとしている。こんな暴挙には断固反対の声を上げ続けよう」とあいさつ。
続くリレートークで道原発連の米谷道保代表委員は、「福島原発事故の最大の教訓は、原発と人類は共存できないということです。福島では県内59市町村すべてで県内の原発10基すべて廃炉にという決議を行い、ふくしま復興共同センターの国会請願署名では、全国すべての原発を廃炉にせよと要求している。再稼働などとんでもありません。すべての原発を廃炉にするまで闘い続けましょう」などと訴えました。北海道反原発連の男性は「福島原発事故から4年経って、福島原発事故など何もなかったかのように再稼働するとは腹が立つ。怒りを忘れず勇気をもって声を上げよう」と訴えました。このあとShut泊と福島の子どもたちを守りたい北海道の会の代表もトーク、「子どもたちを守ろう」などと訴えました。
このあと参加者は、“川内原発再稼動反対!”の横断幕を先頭にドラム隊が続き、大通公園周辺を一巡した後、札幌駅前通を北上、「川内原発再稼動反対!」「原発動かす総理はいらない!」「泊原発再稼動反対!」「子どもを守ろう!いのちを守ろう!」などと元気にアピールしました(写真は市内中心街を行進するアピールデモ隊)。
新たな安全神話の復活さながら ~
北電の身勝手な回答に怒り
― 7月24日北電本社へ申入れ ー
7月24日午後、道原発連は北電本社に、「原発・核燃サイクルから撤退し、安全な再生エネの本格的普及等を求める申し入れ」を行いました。申入れには、原発連代表委員の大田勤岩内町議、黒澤幸一道労連議長、米谷道保氏の3氏と大石美雪岩内町議、森英士共産党国政相談室長ら9氏が参加、北電本社から広報部エネルギー広報担当の大照真由美課長、三上博光課長らが出席し回答しました。
冒頭あいさつで、大照真由美広報部広報推進グループのエネルギー広報担当課長は、泊原発の長期停止で経営状況が悪化し、節電や経営効率化などにつとめているが電力需給状況は厳しく、火発の燃料焚き増し分2000億円の吸収は困難となり2年連続の電氣料金値上げをやむを得ないかのように語り、泊原発は電気の安定供給、電気料金軽減のため一日も早い再稼働が必要と述べ、福島の教訓も原発再稼動反対の多数の民意にも背を向ける態度に終始しました。とても容認できるものではありませんでした。
規制委員長発言の部分を引用し、再稼動を当然視
―新安全神話の復活は許せない
ついで三上博光課長が要請項目の全体について回答し、原子力規制委員長の「規制基準をクリアしても安全だといえない」発言について、「その発言には続きがある」として、「新規制基準は相当厳しい。ハードルは高くなっている。しかし、これがゴールではない。ゼロリスクと言えないから安全と言えないと誤解されかねない」と引用し、あたかも新基準をクリアすれば安全性を確保できるかのように述べました。しかしこの回答は、安全だと言えないものを新基準で再稼働できるかのように言いつくろうもので、新たな安全神話の復活にほかなりません。福島の現実や再稼動反対の多数の世論に背を向け、再稼働をごり押しするなどと許されません。
使用済み燃料貯蔵ピットを安全上重要機器と位置づけず、
耐震性Sクラスでよいと誤魔化す
一日550トンもの地下水が出るのに、
事故時の汚染水保管場所の確保を考えない無責任さ
北電の回答を受けて、岩内町議の大田勤氏が2点を質問。1つは、安全対策に2000億円台前半もの資金を投じているが、使用済み燃料貯蔵ピットは安全上重要機器に入れるべきとされているのに、事業者防災訓練で安全上の重要機器としての対策を講じていないのでないか。泊原発ではすでに使用済み核燃料棒がピットに980体入っている。北電はなぜ重要機器にしていないのか。大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟の福井地裁判決では、使用済み燃料貯蔵プールは堅牢な施設であるべきとし、安全上重要機器と位置づけられている。重要機器と位置づけ、対策を講じるべきでないか。
2つは、泊原発の敷地は、地下水が毎日550トン出るとされている。フクシマ原発事故を踏まえ、事故時の汚染水を保管する場所を確保すべきとされているが、何も考えていないのか―とただしました。
三上課長は、使用済み燃料貯蔵ピットを重要機器に含めていないからといって軽んじているわけではない、耐震強度はSクラスで、安全上重要機器であることに変わりはないと弁解。
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北電本社に申入れ
(2015年7月24日) |
汚染水保管場所については、格納容器を守ることが最重要課題であり、そのための代替スプリンクラーの複数設置とか水素爆発を避ける装置を付けるとかの対策を講じている。また沸騰水型と異なり加圧水型は、格納容器の容量が非常に大きく、水素爆発を十分避けられる、海にセシウム137を吸収する効果の高いゼオライトを置き、その先にシルトフェンスを設置するなど汚染水流出を防げるーなどと、保管場所の確保を考えていないことの弁解ばかりでした。
「再稼働すれば値下げできるというのは、地元住民のいのち
を犠牲にして構わないという発想だ」
「とても納得できる話ではない」
―大石美雪町議が抗議の発言
大石美雪岩内町議は、事故を起こさない決意で再稼働するというが、地元住民は福島原発事故をみており、再稼働すれば値下げするなどという発想はありえないことだと怒りの声を発しました。三上課長は、再稼働後の値下げに違和感を持つというが、再稼働しないと経済性がない、原発のコストは稼働率や廃炉費用、安全対策費なども算入して1kw時あたり10・3円と算定され、決して高くはないーなどと開き直りました。
泊原発即時廃炉、再生可能エネの
本格的普及へイニシアチブ発揮を
~ 7月24日 道知事にも申入れ ー
原発連は7月24日、原発の即時廃炉で再生可能エネの本格的普及と核のごみの最終処分場問題で、道知事に道政のイニシアチブ発揮を求める申入れを行いました。
「再稼働せず廃炉求めよ」に「国の責任でやること」
というだけで道政のイニシアチブ発揮に触れず
最初に、泊原発の再稼動を容認せず、即時廃炉を決断するよう国と北電に求めるよう要請しました。また、国が再稼働の地元了解を求める場合には、30キロ圏内9町村の合意、実効性の検証がない今の避難計画での再稼働を容認しないこと、避難計画は、対象地域の全住民参加の実動訓練で検証することを求めました。
しかし、道側は、即時廃炉を国や北電に求めることには一言も触れず、原発は安全性が最優先だ、それは国が前面に立って責任持つべきと述べるだけで、知事の責任ある見解は何一つ示しませんでした。
“避難計画も実動訓練も現地の実態に見合っていない”
と大田、大石町議ら厳しく指摘
道が毎年実施している原子力防災訓練について、大田勤・大石美雪岩内町議から、「冬は西風が7割吹くのに西方向の札幌市に避難する計画では、被ばくするようなもので安全に避難することにならない」との指摘が相次ぎました。また、米谷道保代表委員から、フクシマ原発事故では、ふだん20分で行ける避難先まで5時間もかかった、順番に避難するといっても避難指示が出たら、順番など構っていられなくなるのが実態だ。実効性の検証には、全住民参加の実動訓練によって検証すべきだーと重ねて見解を求めました。
道は、いろいろな条件を想定した訓練を重ねて実効性を上げていきたいとの見解に終始。これに「国の右ならえをやめて道独自の訓練を」要求。これには「全住民参加の実動訓練は、持ち帰って検討する」との表明がありました。
自主避難者の支援打ち切りに反対表明せず、
被災県(福島県)が示す方向ですすめるとは!
被災県の福島県が自主避難者への支援打ち切りを表明し、ショックを与えているときに、「被災県の示す方向で進めたい」とは何と冷たい対応でしょうか。一方的打ち切りは行うべきでないと強く要請しました。
稼働率僅か数%の純揚水発電所建設に
総工費1600億円
15年かけ羊蹄山麓国有林地に ~
京極純揚水発電所施設見学に参加して
高木直良さん(プシネニセコ支部)
7月22日、あいにくの雨模様でしたが、原発問題全道連絡会の方たちと、羊蹄山麓京極町の国有林の山中に15年の歳月(調査―工事をかけて完成させ2014年10月から運転開始した北電京極発電所を見学してきました。
完成後の発電能力は3基で60万kwに
見学は、北電京極発電建設所の職員3人の案内で行われました。現場に入る前に、建設所の会議室でPR用のDVDで説明を受けました。施設の概要説明では、下の池(下部調整池=京極ダム)はペーペナイ川と美比内川の合流部をせき止めて貯めた水を約2・5㎞の導水管で落差400メートルの山の中の巨大空間に設置された発電所まで引き込み、夜間電力を使って一気に鉄管(水圧鉄管)で上の池(上部調整池)まで持ち上げ(揚水)て貯め(貯水能力440万トン)ておき、電力がひっ迫するピーク時に落下させて、地下空間の発電機を水車で回して発電するというものです。
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京極揚水発電所2号機を見学
(2015年7月22日) |
上の池には河川からの自然水の流入がない純粋な揚水発電所=純揚水発電所と呼ばれ、北海道では初めて、全国で27番目ということでした。
この発電所は一見すると水力発電所ですが、揚水のために外部電力を使用するため、「電力発電」と批判的な呼び方もされます。揚水のために消費する電力と発電できる電力では、揚水のエネルギーロスが生じ約70%程度の効率となります。それでも「貯蔵できない電気を、水という形に変えて貯蔵する発電所」としてその必要性が強調されています。揚水は発電機の水車を逆回転させることで行い、1台2役というわけです。しかし、発電量は3基すべてフル稼働した場合約6時間のみです。
1基20万kw(約7万戸分の消費電力)という大規模発電機3基で最大60万kwの発電能力を持たせようという計画ですが、2基は稼働を始めましたが、3基目は設置しておらず、今後の電力需要をにらんで、2024年度以降の運転開始を見込んでいます。
最先端技術を駆使した大土木工事
着工から13年を経て、運転開始にこぎつけましたが、多くのダム工事がそうであるように、人里から離れた山奥での大工事で、冬の過酷な豪雪(積雪5㍍)のなかで、工事期間は5月~10月で最大一日800人が作業に携わったということです。最大直径5㍍(内径)の鉄管は3メートルの長さにして運搬し、現場で熔接してつなぎ、発電機も細かく分解されたパーツを現場で半年間かかって組み立て完成させるという手間のかかるものでした。
一方、上の池を山頂部分につくる工事では、掘削した発生残土は450万㎥にも上り、5カ所の土捨て場に分散させて処分する(周辺地形の成形、残土の運搬・・積み上げ、転圧)という大土木工事を伴いました。池の底部に遮水の機能を持たせるため、特別に開発されたアスファルト工法(学生時代の恩師が研究・指導に当たったことへの感謝のモニュメントが設置されていて驚きました)で、5層を2層の基盤の上に均一に敷きならして、膨大な面積の法面の転圧作業をGPSを使っての無人ローラーの運転制御を行うという最先端の技術も使っていました。(以下次号)