2015年6月23日火曜日

原発問題連絡会ニュース 第261号2015年6月20日 

国が核のごみの地層処分基本方針
を決定“非公開の説明会はやめよ“
― 6月1日北海道での説明会会場
(第1合同庁舎)前で緊急抗議行動 ― 
 政府・経済産業省は5月22日、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する基本方針(改定版)を閣議決定し、今後は国が前面に立って取り組むことを宣言、全国9カ所でシンポジウムの開催(札幌市では6月20日)と、全国全都道府県ごとに自治体への説明会を非公開で開催することを明らかにし、大阪府、神奈川県などに続き6月1日には北海道でも開催が強行されました。


 北海道での開催計画を知った道原発連は急きょ、6月1日昼休みに北海道経済産業局が入っている国の第一合同庁舎前で緊急抗議行動を行いました。米谷道保代表委員と村井秀一事務局次長がハンドマイクで、非公開の説明会開催に抗議し、「核抜き道条例を持つ北海道、農林水産業と観光が主産業の北海道に、核のごみ捨て場をつくることは容認できません」「国は、北海道も最終処分場の候補地だとして非公開の説明会を札幌市で開催するというが、許されません」「しかも閣議決定された基本方針は情報公開に努めるとしながら、今回の説明会は非公開にするなどとんでもないこと」「非公開で国が最終処分場の候補地を、上から目線で市町村に押し付けるつもりなのか、全く納得できません」「このような非公開の説明会の開催強行に厳しく抗議し、経産省にただちに説明会を中止するよう求めます」などと訴えました。
また、原発連の抗議行動が終わるころ、核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会や高レベル放射性廃棄物施設誘致反対豊富町民の会、生活クラブ生協、市民ネットワーク北海道のメンバーなどが到着、非公開で行う説明会開催に抗議し、地層処分の中止を求める申入れを行うべく庁舎内への立入りを求めました。しかし、経産省は、申入れ文さえ受け取ろうとせず、豊富町民の会の山路弦太共同代表らとの間で押し問答が続きました。安倍政権の民意を無視して暴走する権力的姿勢に怒り心頭でした。
抗議行動には、「朝日」「道新」、テレビ局各社が取材し、ニュースは夕方から放映されました。

原発再稼働、核燃サイクル推進が
前提の核廃棄物地層処分方針に批判の意見殺到
経産省・NUMO主催の核のごみの地層処分問題シンポを傍聴して 

   佐藤久志(原発連事務局長)
6月20日、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)が主催して、「今改めて考えよう地層処分」全国シンポジウムと題した説明会が札幌市内で開かれました。2000年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定されて地層処分の方針で進めてきた対策が進まず、国が前面に立って候補地を提示して進めるという閣議決定に基づいて、原発の再稼働、核燃料サイクル計画を推進するための説明会です。200人の会場は満席となり、別室でのライブ中継が用意されました。
経産省多田電力・ガス事業部長、NUMO近藤理事長、名古屋大学吉田教授らパネラーの講演の後、パネルデスカッションの質疑応答は、書面での質疑と当初会場から5人程度で20分程度の予定でしたが、多くの質問意見が殺到し騒然となるなか予定の時間を倍以上延ばしましたが、それでも消化できず終了後にもやり取りが行われていました。
 会場からは「道の条例で廃棄物の持ち込みはしないと決まっているのに、北海道で説明会を開く必要があるのか」、廃棄物処分場の決定を国が前面に立って取組を行い、「立地自治体の同意がなければ次の段階に進めない」と言いながら「理解を得られるような活動を行うとはどういうことか、国からの押し付けにならないのか」など、先に開かれた「自治体向けの説明会はなぜ非公開で行われたのか」との疑問の声も出されていました。
「これ以上廃棄物を増やさないためにも原発の再稼働は止めるべきだ。核燃料サイクル計画も止めるべきではないか」という意見に対しては、「再稼働しないことで廃棄物が消えるわけではない。再稼働はエネルギー自給率の引き上げ、電力コストの引き下げ、地球温暖化ガスを減らす。長期エネルギー見通しでベース電源と位置付けている。再稼働しないということは選択できない」「核燃サイクルや失敗続きの“もんじゅ”を続けていくのか」という質問には「核燃サイクルは資源の有効利用、減容化、有害期間の短縮に必要で、日本の技術水準をもってすれば可能と思っている。使用済み燃料の直接処分は半減期が長くなる」と原発・核燃サイクル政策の推進を表明。
 地層処分の地下水問題については、「人工バリアで金属容器への水の影響に時間を稼ぐ方法であるし、処分後埋め戻せば地下水の状態は元に戻る」。ガラス固化体は安定と言うが、「放射線での影響はないのか」。「学術会議で提言された地上での暫定保管の方向は考えないのか」ということに関しては「EUなど世界的にも地層処分の方向である。地層処分を進めた上で将来、別の可能性が出たときのために『可逆性』『回収可能性』を確保する。学術会議の提言のように今何も決めずに考えようという立場はとらない」と、あくまで原発再稼働や核燃サイクルを推進のために、国が主導して廃棄物地層処分を行うという一方的な説明とも受け止められる内容でした。


5月チェルノブイリデー  8団体から10数人参加
6月イレブンアクション  署名は2回で63筆
―ふくしま復興「100万人署名」への協力をよびかけ
 チェルノブイリ原発大事故から29年1カ月目の5月26日、5・26チェルノブイリデーと福島原発事故から4年3ヶ月目の6・11イレブンアクションの昼休み宣伝署名行動が取り組まれ、原発連、国民大運動実行委加盟の8団体から10数人が参加。26日は天候に恵まれ札幌駅北口を行き交う市民らが、次々足を止めて52人が署名(写真)しました。
チェルノブイリデー
(15年5月26日)

署名は、ふくしま復興共同センターが取り組んでいる「原発ゼロ」100万署名で、福島県内の原発10基全部廃炉と全国の全原発を再稼動せず、原発ゼロをただちに決断することなど「子ども・いのち・くらしを」守る7項目。署名開始から間もなく足を止めた親子連れの女性は、「私たちは福島県です。本当に原発は困ります。全部なくしてほしい」と真剣なまなざしで福島市内の住所をサイン。この日は、札幌市内各区をはじめ、小樽市、留萌市、北斗市、北広島市、恵庭市、岩見沢市、釧路市、旭川市、深川市など道内各地のほか、東京都や千葉県など広範囲の都府県からの署名がありました。

「原発維持・推進」の異常な
政府の電源構成(長期エネルギー需給見通し)
―2030年度:原発20~22%、
石炭火発26%、太陽光7%、風力1・7%と抑制―
7月1日までパブコメ実施中 ~ 
原発やめて再生エネ増やせの意見を集中しよう

 今政府・経産省資源エネ庁は6月2日から7月1日まで1カ月間、2030年度の電源構成(長期エネルギー需給見通し)策定案について、意見公募を行っています。これは政府が昨年4月に閣議決定したエネルギー基本計画(国の中長期のエネルギー計画)の具体化として策定されるもの。
 今回の電源構成の政府案(長期エネルギー需給見通し案)では、総発電電力量を省エネで12780億kw程度から10650億kw程度へ省エネで17%程度引き下げ、原発を20~22%、石炭火発を26%、LNG火発を27%、再生可能エネルギーを22~24%などとするものです。原発の20~22%の実現には、新増設や稼働年数40年を超える老朽原発を60年間稼働させることも必要となるもので、エネルギー基本計画の「原発依存度を極力低減する」方針を事実上棚上げし、「重要なベースロード電源の一つと位置づけ」た原発をこれまで同様推進するものです。まるで福島原発事故などなかったかのようなひどい政府案です。
一方、再生可能エネルギーは22~24%としていますが、太陽光は7%、風力は1・7%、バイオマスは3・7~4・6%、地熱1・0~1・4%です。しかもFIT(固定価格買取制度)で発電の申し込みが集中している太陽光や風力は、これ以上増やさないと言われかねない程度の目標です。こんな政府案は論外です。原発はゼロに、再生可能エネを大幅に増やせ、温暖化に逆行する石炭火発は減らせ、などの声を集中しましょう。


《原発ゼロをめざす地域の会の活動紹介》
 千歳市の「泊原発の再稼働を許さない市民の会」の活動から
「再稼働すると核のごみが出る。
再稼働はやっぱりやめてほしい」
「そびえたつ3つの原発。暮らしながら、
原発について声を出している人の話を重く受けとめた」など…
6月19日 「泊原発の再稼動を許さな
い市民の会」が泊原発見学会
 自衛隊と米軍の基地のある千歳市で活動する「泊原発の再稼働を許さない市民の会(代表 佐々木八重子さん) が6月19日、「泊原発見学会」に取組みました。市民の会の代表・佐々木八重子さんから見学会参加者の感想が寄せられました。


参加者の主な感想は、「以前来たときは1号機の中も見た。今回は警備も厳しくなっていて驚いた」「安全対策工事で働いている人が多い。いま津波が来たら逃げられるのか」「泊の海はとてもきれいだった。この海に原発の排水が流されているが、そばの海水浴場は夏になると賑わっているという。生活の中の原発、そびえたつ3つの原発。暮らしながら原発について声を出している人の話を重く受け止めた」「原発で働いている人たちの健康がとても気になる。身近で悪いことも聞くので、働く人たちの寿命を調べられないか」「原発を消してしまうことはできない。動かせば『核のごみ』(死の灰)をつくる原発。再稼働はやっぱりやめてほしい」―などでした。
なお、この日の見学会には15人が参加、午前9時に中型バスで千歳市を出発、支笏湖湖畔経由で自然が豊かな山中を経て大滝村の“きのこ王国”で小休憩し、午前11時半過ぎ、予定通り共和町の昼食休憩会場のレストランに到着しました。
この間バス車中では約1時間半、助言者の米谷道保氏(道原発連代表委員)から、北電の事業概況や泊原発の施設・設備の概況、規制委員会の規制基準や審査の状況と問題点などの説明を聞きました。昼食休憩中には、岩内埠頭で38年間海水温を測定し続けながら、原発反対運動を続けてきた原発問題研究会の斎藤武一氏から紙芝居で、泊村や岩内町でがん死亡率が高い問題と泊原発が海に放流し続けてきた放射性トリチウムとの因果関係、原発が止まって3年余、原発の安全対策に2500億円とも言われる巨額の資金を投入して進められている海抜16・5㍍の防潮堤建設や各種の安全対策工事、海抜81メートルの高いところに建設中の緊急時の冷却用貯水設備(1基5000トンの貯水設備3基)の問題などについてわかりやすい説明がありました。
 昼食休憩後、泊原発のPRセンター“とまりん館”に行き、職員から泊原発の概要や安全対策工事の概要を映像も使って説明を受けたあと、とまりん館の用意した車2台に分乗して原発敷地内に入り、海抜75メートルにある展望台から泊原発の全景を一望しながら約30分間、とまりん館職員から施設や設備の概要について説明を受け、参加者もたくさん質問しました。



6・25北電株主総会会場前


要請行動



《横断幕かかげ、リレートークとチラシ配布》
☆6月25日(木)午前8時30分~9時30分
☆北大通西8丁目東京ドームホテル札幌前
☆主な要請項目
・泊原発再稼動するな、廃炉にせよ!
・電気料金再値上げ撤回、すぐ引き下げよ
・再生エネ買取り制限せず全量買い取り

・原発やめて自然エネへ転換せよ
・北海道を核のごみ捨て場にするな
-加盟団体のご協力をお願いします―


6.26チエルノブイリデー


昼休み宣伝署名行動


 ☆6月26日(金)12時15分~
 ☆札幌駅北口駅前広場
 ☆ふくしま復興共同センターの
  100万人署名とチラシ配布



「電力システム改革とは何か


ーを考える」


        学習講演会


 ◇日時  6月30日()18時30分~20時30分
◇会場  札幌エルプラザ2階環境研修室
◇講師  小坂直人さん(北海学園大学教授)  ―資料代300円―
◇主催    原発問題全道連絡会、国民大運動道実行委員会



核のごみの処理・処分は

どうすればよいかー


を考える学習講演会(仮題)


 ☆日時 8月4日(火)午後8時30分
 ☆会場 札幌エルプラザ2階環境研修室
 ☆講師 石崎健二さん(日本科学者会議会員)
     その他
― 資料代 300円 ―