原発問題全道連絡会―第24回総会(1月17日)
「STOP!原発再稼働の暴走
『原発・核燃からの撤退』の合意形成を」をテーマに運動方針など確認
原発問題全道連絡会は1月17日、第24回総会を開催、川内原発を突破口に高浜、伊方、玄海など次々原発再稼働に躍起となる安倍政権の暴走を許さず、「原発・核燃サイクルから撤退」の合意形成に向かって世論と運動を一層広げようと、意思統一しました。総会では、参加者から大間原発訴訟支援の活動や昨年末の衆院選挙で反原発連合との共同を広げて躍進した経験などの発言の後、新年度の運動方針や経常会計予算、新役員体制などを確認し閉会しました。なお、総会には、畠山和也衆院議員と真下紀子道議会議員からメッセージが寄せられました。
開会挨拶で黒澤幸一代表委員(道労連議長)は、3・11後の運動で、原発稼働ゼロを実現したことに確信を持ち、今年も安倍内閣の再稼働への暴走を許さず、原発ゼロを続けよう、春の知事選では、原発ストップを最大の争点に位置づけ、道政の転換を勝ち取ろう―と呼びかけました。
全国センター第28回総会から3点を位置づけよう ― 全国センター総会の報告
今回の総会は、原発問題住民運動全国連絡センター第28回総会を受けて行うもので、最初に全国センター総会の報告を米谷代表委員が、3点に絞って行いました。第1は、全国センター総会のテーマ=「STOP!原発再稼働の暴走」「『原発・核燃から撤退』の合意形成を」を道原発連も第24回総会のテーマにする、第2は、原発再稼動反対のたたかいを川内原発再稼動阻止の闘いから学び生かそう、第3は、国と東電の「事故発生者責任」「加害者責任」を認めさせようと闘っているフクシマの闘いに連帯し、再稼働ストップ、全原発廃炉をかかげてたたかいぬこうーと、福井地裁の大飯原発運転差し止め判決に続く、福島原発事故の自死訴訟で東電の責任を認めた福島地裁判決を力に、完全賠償、被災者支援、復興まで闘うと決意に燃えたフクシマの姿を紹介しながら報告しました。
目に余る安倍政権の暴走!世論と運動を広げ追いつめよう
泊原発再稼働反対も大間原発建設中止も幌延深地層研究センター廃止も言わない現道政を転換しよう
ついで総会では、前年度の運動の経過報告と原発をめぐる情勢と課題、新年度運動方針案を米谷代表委員が報告・提案しました。
経過報告では、全道100万人署名が約70万筆に到達、さようなら原発北海道実行委員会主催の一致点での共同の集会などを広げ、泊原発を2年9カ月にわたって稼働停止に追い込んできたこと、函館市が提訴した大間原発訴訟は、国の「自治体は原告不適格」と門前払いのたくらみを打ち破り3月から本格審理入りに入ること、幌延深地層研究センターの地下350㍍での実証試験強行の実態、北電の泊原発再稼働も電気料金再値上げもやめよの道民運動の広がり―などこの1年間の運動の特徴を報告しました。
原発情勢では、原発再稼働と原発・核燃サイクル推進に躍起となる安倍政権の暴走は目に余るとして、再稼働した原発に電源開発交付金を多く出すとか、再生可能エネ買取制度の運用見直しで原発推進の電力会社に有利な出力制限を導入する、電力自由化に備えて原発が競争に勝てる新制度導入をたくらむなどの動きを告発、昨年以上の運動で再稼動ストップ、全原発廃炉を迫ろうと提案しました。
また、北海道では北電の原発依存が目に余るが、高橋はるみ道政は、省エネ・新エネ道条例で原発を過渡的エネルギーと位置づけながら、過渡的とはいつまでかを明らかにせず、泊原発再稼働反対も大間原発建設中止も、幌延深地層研究センター廃止も言わず、事実上原発も必要とする態度であり、道政転換が必要です、そのために今年の春の知事選では、原発連は「明るい革新道政をつくる会(明るい会)」とともに道政転換をめざしてたたかいましょうーと提案しました。
今年が正念場―「再稼働ストップ!原発ゼロへ」
学習を力に、全道100万人署名達成、一点共同の前進など世論と運動をさらに強めよう
新年度運動方針については、全道100万人署名の達成、大間原発建設中止、幌延深地層研究センター廃止・埋戻し、再生エネ普及への転換の学習、一致点での共同の集会や行動の前進、知事選勝利などを軸に、「泊原発再稼動ストップ」「原発・核燃サイクルから撤退」の世論と運動を一層大きく盛り上げ、安倍政権を追い詰め、暴走を止めさせましょう。当面、フクシマから4周年の3・11の行動や4・26のチェルノブイリから29周年の行動、泊原発稼働停止から3周年の5・5行動などを、国民大運動実行委と協議し具体化しますと提案しました。
【総会参加者の発言から】
大間原発訴訟支援募金と340枚の会員メッセージ届け、函館市長と懇談
― 新婦人道本部・石岡伸子事務局長
新婦人道本部の石岡伸子事務局長は、函館市の大間原発建設差止訴訟を支援しようと、全道から募金とメッセージ送付に取組み、11月25日函館市長を訪問、直接支援募金50万円と函館支部分80枚、その他の全道各地分260枚、合計340枚のメッセージを届けて懇談できたと発言。その際市長は、「3・11までは原発はあまり問題があるとは思っていなかったが、3・11後市民のいのちと暮らしを守る立場としては、原発はなくすべきだと考えるようになった。一緒に力を合わせてやっていきたい」と語ってくれました。大間原発訴訟の会の竹田とし子さんにもお会いし募金(10万円)を届け懇談しました。
反原発連合との一点共同の協力関係の前進が成果 ― 野呂田博之1区候補(原発連・会員)
個人会員の野呂田博之さんは、衆院選挙で小選挙区1区候補としてたたかった感想を発言。今回の結果は、多いところでは2年前の総選挙の約2倍の得票を獲得でき、畠山さんの議席回復にも役立てたと思う。とくに昨日の131回目の道庁前の金曜日行動にも参加したが、原発問題での1点共闘の立場で北海道反原発連合との協力関係が大きく進んだことが成果だったと述べ、「今晩、今回の選挙で僕は共産党に託す」とのコメントを寄せてくれたKoさんと会うことになっている。戦略的ミーテイングと位置づけて会う。KoさんはSNSをもっと活用してつながりを増やしてほしいと言っている。彼のコメントの一部が新年の党旗開きで志位委員長から紹介され、頑張ってきてよかったと思っている」―などと発言しました。
あさこはうすを守る小笠原厚子さんを講師に2015年3・11苫小牧集会を開催
道知事選への対応、会則改正、役員選出などについても発言 「苫小牧の会」の津田孝事務局長
脱原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会(苫小牧の会)の津田孝事務局長は、今年の3・11メモリアル集会として、大間原発の炉心から約200㍍のところの「あさこはうす」を守って、大間原発建設中止を闘っている小笠原厚子さんを講師に迎え、3月7日(土)午前10時から苫小牧集会を計画、反原発運動を盛り上げていきたいと語りました。また、津田さんは、議案審議に関連して道知事選をどうたたかうのか、会則に自然エネルギーの学習活動を位置づけるべき、加盟団体として苫小牧の会からも理事を選出すべきでは、などの意見がを述べました。これについて、米谷道保代表委員と佐藤久志事務局長から、知事選は明るい会の方針にそって闘う、会則改正は修正案を持ち合わせていないので次回総会に持ち越したい、新役員選出は、これまでも加盟団体が推薦する人を理事として補充してきた経過があり、苫小牧の会から推薦があれば補充選出するーとの見解を示し、諸議案の採決で確認されました。
泊原発の再稼働―薩摩川内方式の地元合意は全く無茶
大田勤代表委員(共産党岩内町議)が閉会挨拶
泊原発の再稼働の地元了解では、薩摩川内方式でいうと、泊村議会と村長、道議会と道知事ということになります。これは、いままで地元4町村の議会と町村長の合意としてきたものさえ投げ捨てることです。全く無茶苦茶なやり方であり認められません。国民の反対が広がるなか、もっと簡略にしてしまおうというものです。後志管内30キロ圏の13町村中、再稼働賛成は4町村だけです。後志管内選出の自民党の道議は、「11月に再稼働する」などと言っているが、とんでもない。再稼働への暴走を許さない闘いを広げたい、ともに頑張りましょう。
真狩村議会が「泊原発は再稼働せず、廃止・廃炉入りを求める意見書」を可決―道原発連が陳情
真狩村議会は、昨年12月18日の定例村議会において、標記の意見書を可決し、各関係機関に送付しました。送付先は、衆参議長、総理大臣、内閣官房長官、経産大臣、環境大臣、原子力規制委員会委員長、北海道知事。これは道原発連の陳情(昨年12月11日付で後志管内20市町村議会に送付)にもとづくもの。
意見書は、1、福島原発事故の教訓に立ち、人間社会と共生できない原発は、電力不足がおきていないいま、再稼働せず、直ちに廃止し廃炉のプロセスに入ること 2、泊原発の再稼働の地元理解については、少なくとも泊原発から30キロ圏内の13町村の同意を条件とすること 3、30キロ圏内の避難計画について、被曝ゼロの実効性の検証なしに再稼働を行わないこと―の3点を求めています。
大島堅一「さらなる原子力保護政策は許されるか」(「世界」12月号)を読んで
大島さんの論文に書かれていることで印象に残ったことをいくつか書いてみます。
原子力にかかる費用の新たな回収策 : 現在、電力システム改革が進められています、その一環として2016年には電気の小売りが全面自由化され、2018~20年を目途に電気料金の算定方法も撤廃されようとしています。そうすると、核燃料再処理や廃炉などのために将来必要になる費用や、福島原発事故の処理のような想定外の費用などは電気料金を通じて回収できなくなります。これでは安定的な電力経営が保障されなくなるということで、原子力にかかる費用の回収策が新たに作られようとしているのは問題であると指摘しています(注)。
原発設備は廃止されても会計上は資産 : 原発廃止の声が大きくなっていますが、それが実現した場合に原子力発電設備と核燃料を会計上どのようにあつかうのかにも注目しています。普通ならば一括して償却する(損失として計上する)のが当たり前です。ところが2013年に原子力については例外的にその一部を資産とみなすこととし、従来通り少しづつ償却できるようにしました。同様のことは核燃料についても模索しているようです。このように制度を変えていくのは原子力発電が他の電源と競争するうえで非常に有利になるからです。
日本原燃の破たんを避けるために国が支援策 : 一方で、再処理事業が困難に直面しており、電力会社にとっても由々しい問題になっています。再処理工場の建設費が計画当初の3倍になっても完成せず、事業を行っている日本原燃は資金不足に陥っています。電力会社が支援しているのですが、電力自由化で競争にさらされれば支援がままならなくなり、日本原燃が破たんするようなことにでもなれば、それまでの出資・支援は水の泡となり電力会社は大変な負担を負うことになります。それを避けるために国は支援策を考えているらしく、電力会社が負うべき負担が国民に転嫁される危険すらあるということです。
こうしてまで原発を維持する意味があるのか : 「エネルギー基本計画」で原発の維持を最初に決めておいて、あとになって原発の本当のリスクとコストを国民に転嫁しようとする現在のやり方は議論する順番が逆である、そもそもそのようにしてまで原発を維持する意味があるのかという点が最重要論点である、と大島さんは主張しています。
(注) 1月14日、経産省の有識者会議は16年の電力小売り全面自由化後も、廃炉費用を電気料金に転嫁できることを決めた。老朽原発の廃炉費用を確実に回収できるようにするのが狙い。(道新 1月15日) (石崎健二)