2014年10月21日火曜日

原発問題連絡会ニュース第253号2014年10月20日

STOP!再稼動 「10・4北海道集会」に3500人
―激しい雨の中「再稼働反対!」のシュプレヒコールー
  10月4日午後、札幌大通公園で「STOP!再稼働北海道集会」が開かれました。あいにくの激しい雨の中でしたが、道央圏をはじめ旭川や苫小牧、十勝など全道から3500人の参加で会場は埋まりました。


  集会は、呼びかけ人の小野有五北大名誉教授、麻田信二道生協連代表理事、西尾正道北海道がんセンター病院名誉院長がそれぞれ発言しました。「雨にあたるのは幸せなこと。放射能が含まれていれば雨にあたることができません。原発をやめて安全な北海道を」などと挨拶。
特別ゲストの歌手・加藤登紀子さんは、新曲をまじえ「日本はヒロシマ型原発110万発分の放射性物質を持っている。私たちが核の時代を終わらせましょう」と呼びかけ、会場が盛り上がりました。上田文雄札幌市長も特別発言し「再稼働反対」を力強く訴えました。もう一人の特別ゲスト・三宅洋平氏の発言は、再稼動反対の共同の集会にふさわしくない発言が大半を占める異常な内容で、参加者から抗議の声が上がりました。三宅氏の見識と主催者の責任が問われます。 
  集会の最後に「いのちと暮らしを守るため、子どもたちの未来を守るため、再稼働を止めましょう」の集会アピールを確認し、主催者の音頭で「再稼働反対」「泊はいらない」「大間もいらない」「幌延やめよ」などを唱和し閉会、激しい雨がやまず、デモ行進は中止となりました。


被曝ゼロのために自治体の避難計画を尊重すべき

 実効ある避難なくして再稼働なしが知事の立場でないか
ー 3定道議会で真下紀子道議がただす ー

9月24日第3回定例道議会一般質問で、共産党の真下紀子道議(原発連顧問)が、原子力防災の避難計画について、知事の考えをただし、知事は被ばくゼロの避難のために町村長が避難を勧告できることを認める答弁をおこないました。その概要を紹介します。

真下紀子道議:(国の原子力防災指針では)泊原発事故からの避難計画では、PAZ(原発から5キロ)圏内は、放射能放出前に避難が可能だが、UPZ(原発から30キロ)圏内は、放射能が実測されるまで避難勧告ができない。無用な被ばくから住民をまもるため、UPZ圏内の町村がPAZ圏内と同様、放射能放出前の避難を計画に盛り込んだところ、道から削除を指示されたと聞いている。事実とすればとんでもないこと。被ばくありきの計画ではなく、被曝ゼロのために、自治体の計画を尊重すべき。いかがお考えか。
  道が毎年実施している泊原発事故想定の防災訓練では、津波を想定した訓練を一度もおこなっていない。後志管内からは、津波による道路の崩壊、地震による落石や通行止めなど、避難の困難さが指摘されている。新たに発表された日本海津波推計も考慮した複合災害を想定し、避難計画と防災訓練の実施が必要と考えるが認識を伺う。
  また、冬季の事故対策、バスの手配、避難先の確保に対応できていないなどと町村から聞いている。実効ある避難なくして再稼働なしというのが、住民のいのちを預かる知事の立場ではないか。認識を伺う。
知事:道および関係自治体は、原子力災害時に住民防護措置を迅速かつ適切に実施できるよう、避難計画を定めるとともに、地震との複合災害を想定した、道路寸断時の集落の孤立や避難時における道路渋滞などに対応した訓練を実施してきた。今後とも関係自治体や関係機関と協議を行い、様々な事態を想定した訓練を重ね、避難先、避難手段の確保などへの具体的対応や体制について、普段に点検、確認を行い、より実効性ある防災対策の構築に努めていく。
道危機管理官:国の原子力災害対策指針では、自治体に原子力に関する専門的知識を有する機関による指示などに基づく対策を講ずるよう求めている。このため、道および関係自治体では、この指針に基づき。発電所から5キロ以内のPAZ圏については、放射性物質放出前から住民避難を行う。半径5キロを超える半径30キロ圏内のUPZ圏については、屋内退避を基本としながら、万が一、放射性物質が放出された場合には、空間線量を実測の上、一定の数値を超える区域において、住民の速やかな避難や一時移転などの防護措置を講ずるよう地域防災計画を定めている。道は、計画に定められた所要の防護措置を講じ、円滑な住民の安全確保に万全を期す。

真下:UPZ圏内住民に被ばくを強いる災害対策指針とは驚きを禁じ得ない
知事:「生命保護のためなど特に必要な場合は、町村長の判断で避難の勧告など行うことはできる」

真下:避難計画について道の指導は、5キロから30キロ圏内のUPZ圏内では、放射性物質が20マイクロシーベルトを超えて実測されるまで避難させないという、住民に被曝を強いるものであり驚きを禁じ得ない。道が指導した計画のもとでは、住民には、被曝するまで避難してはならないと説明しているのですか。お答えください。
  自治体首長が、自然災害からの早期避難を指示するのは当然です。原発事故も同様であり、被ばく前の避難勧告、避難指示をしたいと考えるのは当然ではないか。その際、国の指導以上に、道が町村長の判断をとめる権限が法的にあるのか、見解を伺う。
知事:原子力災害時には、放射線の影響を最小限に抑えるため、科学的専門的な判断に基づき、住民が混乱なく避難行動を行う必要があり、原子力災害対策指針は、自治体に避難対策等を講ずるよう求めている。
  道は、この指針に基づき、自治体に助言を行ってきたところであり、事態の状況に応じた住民避難が円滑に行われる体制づくりに取り組んでいく。
  住民避難ついては、原子力に関し専門的知識を有する国からの指示にしたがって対策を講ずるようもとめている。市町村長は、災害対策基本法などに基づき、人の生命または身体を原子力災害から保護するためなど、特に必要がある場合には、避難の勧告などを行うことができるとされている。

泊原発の使用済み燃料ピットの構築物強度不足、地下水対策なしは重大
―9月の岩内町議会で大田勤町議が北電の対応と町長の考えをただすー
 9月の第3回定例岩内町議会で共産党の大田勤町議(道原発連代表委員)は、使用済核燃料貯蔵ピット(プール)が堅古な構築物になっていない問題や規制基準に定めがない地下水対策を北電が行っていない問題などについてただしました。

大田勤議員:福島原発事故で原子力委員会委員長が最も重大な被害を及ぼすと想定したのは、使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機からの汚染も含めて考えると、強制移転を求めるべき地域が原発から170㎞以遠にも及ぶ可能性があり、住民が移転を希望する場合には東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250㎞以遠までも可能性があるというものだった。これを受け大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟の福井地裁判決では、使用済み核燃料の危険性について「放射性物質が原発の敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、閉じ込める構造物は堅古なものでなければならない」と指摘している。
  ところが、泊原発では、今年度の安全対策工事の一つ「使用済み燃料ピットの燃料損傷対策」として、「送水ポンプ車の配備、可搬型スプレイ設備の配備、使用済み燃料ピット水位・温度監視設備の配備」が安全対策として行なわれるとしているだけ。町長はこれで使用済み燃料ピットの対策は十分だと思っているのか。
  泊発電所の使用済み核燃料ピットには、2013年12月現在、1、2、3号機合計で981体が保管されている。堅古な設備で閉じ込められていないままの状態になっていて危険性が指摘されているのに、北電の今年度の「原子力事業者防災業務計画」の修正では、1、2、3号機とも安全上重要な構築物、系統または機器一覧に使用済み燃料ピットは入っていない。これでは、使用済み燃料ピットからの放射能放出自体防ぐことができない構造ではないのか。
  また、福島第一原発では事故後、使用済み燃料プールの底部を鋼製支柱の設置、コンクリート壁を構築補強して耐震余裕度を20%向上させたとしている。泊原発の使用済み燃料ピットでは、底部・壁のこうした補強などは必要ないのか。
上岡町長:使用済み燃料ピットは、使用済み燃料の再処理のための搬出までの期間、安全かつ安定的に保管する役割を担っている施設であり、重要かつ必要な施設だと認識している。その安全対策については、規制委員会で適合性審査が継続中であり、その結果は規制委員会が判断することになっている。
  北電の原子力防災業務計画においては、安全上重要な構築物、系統又は機器一覧の中に、使用済み核燃料ピットは含まれていない。なお、北電は、使用済み燃料ピットは原発の重要な機器であるので、今後検討していくと述べている。
  壁の補強などの安全対策全般については、規制基準への適合性審査が継続中であり、規制委員会が判断する。
大田勤議員:町長は使用済み燃料ピットを安全上重要な構築物として対策を取るよう北電に強く求めるべきではないか。
上岡町長:使用済み燃料ピットは、泊原発の安全上重要な機器であると認識している。北電も業務災害計画の取り扱いついて検討したいとのこと。町としても早急な実施を求めていく。
大田勤議員:7月の道議会予算特別委員会で、共産党の真下紀子道議の質問で、初めて北電が泊原発の地下湧水量が1、2、3号機の合計推計値で一日当たり約550㎥とされ、フクシマ第一原発の400㎥を上回ることが明らかになった。汚染水の貯水タンクの置き場を考えると、福島第一原発の敷地面積約350万㎡に対比し、泊原発は142万㎡しかない。原発で事故が起き原子炉等規制法に基づき「特定原子炉施設」に指定されると、廃棄物の施設内保管が義務付けられる。湧水量が一日550トンの汚染水置き場とすれば、有効な敷地面積はどの程度必要となるか。8月に町議会原発特別委で原子力防災工事の現場を視察したが、泊原発の後背地は50mを超える崖で、海岸線を埋め立てたところで、汚染水を置ける空き地などはほとんど見受けられない。どこに汚染水を置くのか。3号機では昨年夏、集中豪雨により湧水ピットをあふれさせ、地震計4基水没という重大事故もありながら、湧水量を実測せず、地下水対策も明確でない。地下水を止めるのが不可能なら再稼働などすべきではないのでないか。
上岡町長:北電は、泊発電所の敷地内での汚染水の貯蔵タンクの設置場所や面積、貯水量の積算などは行っていないとのことです。
大田勤議員:特定原子炉施設に指定された場合、施設内保管が義務付けられるのに、フクシマ教訓が全く生かされていない。
上岡町長:汚染水対策について北電は、安全性を高める各種対策を講じており、汚染水は発生しないと考えているためとのことです。
大田勤議員:それこそまさに安全神話を振りまくもの。専門家も「敷地が狭い原発で事故が起きれば対応できない可能性もあり、原発の敷地面積についても議論を始めるべき」と指摘している。それも意に介さず再稼動をめざすなど許されない。

【原発をなくす地域の会】の活動から
工事はどんどん進んでいる、フルMOXの危険性などを実感
―「訴訟支援の運動を強めよう」ー紺谷克孝市議が、大間原発建設現場視察報告会でうったえー

 原発をなくす道南連絡会は10月13日、共産党函館市議団による大間原発建設現場の現地視察の報告会を開催。現地視察は、共産党函館市議団の要請を電源開発(株)が受け入れ、8月21日に共産党函館市議団が実施。原子炉建屋などを視察しました。報告会では、道南連絡会の共同代表・紺谷克孝函館市議が報告しました。 

 
紺谷氏は現地調査で感じたこととして、①建設の進展状況は、大型モジュール工法といって別の場所で組み立てた格納容器を大型クレーンでつり上げて建屋の中におさめる方法を取っており、会社は工事の進捗率を37・6%と発表しているが実際にはそれより進んでいると思った、②MOX燃料をすべての炉心で使うフルMOXの危険性について、会社側は、ホウ酸水注入容量を増やす、制御棒の中性子吸収効果を増強する、主蒸気逃し弁の容量を増やすーなどの安全対策を強調していた。しかし、これは裏を返せば制御棒の効きが悪いから増強する対策だと思われるし、異常時発生時に原子炉内の圧力が高まるので安全弁の容量を増加させたのだろうーと思ったなどと報告。
さらに同氏は、7月に大間原発反対現地集会で飛ばした風船が厚沢部町で発見されたように、大間原発で事故が起きれば放射能が道南まで飛んでくることが実感される。函館市が提訴している訴訟で、人間でない自治体に原告の資格(原告適格)があるかが争点になっている。「原告適格」が認められれば裁判史上画期的な判断になると指摘。
「9月の定例市議会で、国側の『原告不適格』に対する反論書作成のための費用756万円を全会一致で可決した」ことを紹介し、函館市の訴訟を支援し、大間原発建設中止の世論と運動をさらに強めようと呼びかけました。