2014年12月20日土曜日

原発問題連絡会ニュース 256号2014年12月20日

電気料金再値上げ認可取り消し抜本的見直しを
泊原発再稼働やめて廃止・廃炉の決断を
  原発連が、経済産業大臣と道経産局長へ申入れ



STOP!原発再稼働の暴走
―「原発・核燃からの撤退」の合意形成を―  
原発問題住民運動全国連絡センター第28回総会に
参加して  米谷道保(道原発連代表委員)

 原発問題住民運動全国連絡センター(全国センター)の第28回総会・交流集会が11月24日(月)東京で開催され、道原発連から米

谷道保氏(代表委員)が参加しました。この総会・交流集会の概要を報告します。
フクシマは終わっていない ― 再稼働の暴走は許されない

 最初に全国センター筆頭代表委員の伊東達也さんが、代表委員会報告を行いました。その詳細は、情報誌「げんぱつ」(11月25日発行)掲載の通りです。報告の中から、福島原発事故の現状などについて触れた概要を紹介します。
事故から3年8カ月が経過するが、今なお事故収束対策も被災者対策も被災地の復旧・復興対策も進んでいない。それは加害者である国と東電が事故を起こした発生者責任、加害者責任を根本的に反省していないことにあると厳しく指摘。今も12万人近い県民が避難生活を強いられ、災害関連死は1809人(11月22日現在)となり増え続けている。復興庁の9市町村住民の意向調査(6月実施)では、現時点で自宅に戻らないと考えている人が、大熊町や双葉町では65%以上、29歳以下では飯舘村、浪江町、富岡町、南相馬市も50%を超えている―ことを示し、国と東電が加害者責任について根本的な反省を行い、事故収束対策、被災者対策、被災地の復旧・復興対策に真摯に取り組むべきだーと訴えました。
 さらに伊東筆頭代表委員は、国が「エネルギー基本計画」の閣議決定を撤回し、原発依存をやめ、自然エネルギーの開発拡充に根本的に転換すべきだ、とくに福島県は全エネルギーを再生エネでまかなう復興プランを立てており、その成否にもかかわる問題だと力説しました。
最後に伊東筆頭代表委員は、「原発・核燃からの撤退」の合意形成をめざすこれまでの運動の前進を確信にして、全国センターの主体的力量強化にも力を尽くそうと呼びかけました。

川内原発地元説明会―プルサーマルの“やらせ”説明会と同じやり方
再稼動ありきで形ばかりのやり方にさらに怒り広がる 

 報告を受けて、12人が発言・交流しました。九州電力の川内原発のある薩摩川内市の井上勝博市議が、「川内原発再稼働阻止のたたかい」を報告。地元説明会が、玄海原発のプルサーマル計画の説明会で発覚した“やらせ”説明会と同じ発想のやり方だと詳しく報告・告発。最後に今後の闘いについて、「まだ時間はある、九電への反対署名、総選挙鹿児島小選挙区3区は自民、共産、無所属の3人が出馬する、どの党が伸びれば再稼働を止められるか、有権者の前に明らかにできるわかりやすい選挙となる」と、引き続き再稼動阻止に全力あげる決意を表明しました。
全道100万人署名は達成できる条件がある 
~ 道民の過半数が再稼働に反対 

 交流会では、道原発連の米谷道保代表委員も全道100万人署名の経験を発言。2011年から1年間で道民署名13万筆を集めた経験に立って、もっとインパクトを与えられる規模の署名運動をやろうと、さようなら原発北海道実行委員会が、作家の倉本聰さんなど著名人5氏の呼びかけで昨年5月末から、「原発のない北海道の実現を求める全道100万人署名」に取り組んできた経験と到達点を報告、署名数は現在約70万筆だが、今も道民の過半数が再稼働に反対であり、条件を汲み尽くせば100万人署名は達成できると、年内達成めざし奮闘中だと報告しました。

道原発連・代表委員の
はたやま和也さんが比例選挙で初当選 
― 衆議院議員に
再稼動ノー!原発・核燃サイクルから
即時撤退かかげ 
― 小選挙区1区・のろた博之さん(原発連・会員)も大健闘!
12月2日公示、同14日投・開票で行われた第47回総選挙で、道原発連代表委員のはたやま和也さんが、比例代表選挙北海道ブロックで30万2251票<得票率12.09%)を獲得して初当選、11年ぶりに共産党の議席を回復しました。また、道原発連個人会員で小選挙区1区の共産党ののろた博之さんは、32,031票<得票率11・96%)を獲得、大健闘しました。
 原発連は、今回の総選挙にあたって、「安倍政権の原発・核燃サイクル推進の暴走政治に厳しい審判を下し、原発のない日本と北海道の実現へ政治の大転換を勝ち取ろう」―第47回総選挙にあたってうったえますーを発表(11月21日)し、「原発推進の政党と政治家・候補者に厳しい審判を下し、原発・核燃サイクルから撤退の旗を掲げる政党と政治家・候補者を勝利させるために、ともに力を尽くしましょう」と呼びかけ、それぞれの持ち場で奮闘して今回の勝利と大健闘に尽力、その結果をともに喜んでいるところです。なお、原発連は、共産党北海道委員会のほかに、道段階の多くの労組や民主団体及び個人が加盟(加入)する住民運動団体であり、特定の政党とその公認候補を推薦する措置はとっていませんが、今回の総選挙にあたっての「訴え」が実ったものとして歓迎するものです。畠山和也さんと野呂田博之さんのご健勝と一層の活躍を祈念します。

泊原発は再稼働に同意せず、廃炉入りを求める意見書を採択して下さい
~ 道原発連 ― 後志管内20市町村議会へ陳情 ~ 
 道原発連は12月11日、標題の陳情を後志管内20市町村に送付しました。この陳情は、すでに小樽市議会12月定例議会で検討されています。他の町村議会の多くは、新年度予算議会(来年2~3月)以降の扱いになると思われます。
なお、送付した陳情と添付した意見書案の要旨は以下の通りです。
◇泊原発の再稼動に同意せず、廃炉入りを求める意見書の採択に関する陳情
 【陳情の趣旨】

福島原発事故は、いまだに事故原因は究明の途上で、約12万6千人もの県民が避難生活を強いられたままです。…原発と人間社会が共生できないことは明白です。
   ところが、安倍政権は、九州電力の川内原発を突破口に、規制基準に適合と判断された原発を次々再稼働させようとしています。
もし、泊原発で福島原発と同じような事故が起きれば、後
志管内はもとより北海道全域に深刻な影響を及ぼすことは必至です。後志管内は、基幹産業である第一次産業も観光業も壊滅的打撃を受け、場所によっては何十年間も人が住めない地域に一変することさえありえます。道と泊原発周辺市町村は、毎年泊原発で重大事故が発生したとの想定で原子力防災訓練をやっていますが、作成された避難計画は実効性のあるものでなく、実際に事故が起きたら被曝を避けられないものです。
このような状況をふまえ、泊原発の再稼働を容認せず、電
力不足が起きていない今、直ちに泊原発を廃止し、廃炉に 進むよう求める、あるいは、少なくとも原発から30キロ圏内の13町村の同意及び被ばくなしに避難できることが検証された実効性ある避難計画であることを条件とすべきと考えます。

 ◇泊原発は再稼働せず、廃止・廃炉入りを求める要望意見書(案)】の要望事項
   1、人間社会と共生できない原発は、電力不足がおきていない今、再稼働せず、
      直ちに廃止し廃炉のプロセスに入ること。
2、泊原発の再稼働の地元理解については、少なくとも泊原発から30キロ圏内の
   13町村の同意を条件とすること。
3、30キロ圏内の避難計画について、被曝ゼロの実効性の検証なしに再稼働を行わ
   ないこと。
電源開発の大間原発審査申請に抗議し、
直ちに建設中止を求める
   道原発連 ― 17日、北村雅良社長宛てに抗議文を送付
 電源開発(株)が16日、大間原発の建設について原子力規制委員会に適合性の審査を申請した問題について、
道原発連は17日、本社の北村雅良社長宛てに左記の抗議のFAXを送付しました。
【抗議文】
大間原発の規制基準への適合性審査申請に厳しく抗議する

   貴社が12月16日、函館市や道南住民の声を無視し、原子力規制委員会に大間原発の規制基準への適合性審査を申請した暴挙に厳しく抗議する。
   そもそも大間原発は、破たんが明白な使用済み核燃料を再処理し、産生されるプルトニウムを再利用するフルモックス原発であり、実証試験も行わないまま商業用原発を建設すること自体、あまりにも無謀であり、その危険性は計り知れない。貴社の暴挙に重ねて厳しく抗議するとともに、ただちに建設を中止するよう強く求める。


2014年12月17日      原発問題全道連絡会


【原発をなくす地域の会】の活動紹介
毎月学習講演会を開催 ~ 「原発やめよう!登別の会」
11月は「福島原発事故の今と
大飯原発訴訟判決の意義」
         鈴木好夫代表(室蘭工業大学名誉教授)を講師に30人が参加
 「原発やめよう!登別の会」が発足したのは2012年5月。以降毎月学習講演会などを開催、その都度結果を知らせる会のニュースを発行しています。12月7日発行のニュースは第31号です。このニュース第31号に掲載の11月の学習講演会の模様を紹介します。


 11月29日、登別市民会館において「原発やめよう!登別の会」の11月学習会「福島原発事故の今と大飯原発訴訟判決の意義」が開催され、参加者の30名でした。
講師の鈴木好夫代表は、第1部で「福島原発事故の現状を考える」と題して、まず、原発避難自殺訴訟判決の内容を説明し、この判決が個人の問題にとどまらず原発差止訴訟にまで踏み込んだ重要な意義を持っていることを話されました。
次に、汚染水問題が今、最大の焦点になっていることを事故後の時系列に沿って振り返り、いかに東電と政府が出鱈目な対策をしているかを明らかにしました。汚染水問題の切り札と言われた「棟土壁」問題も莫大なお金を投入して最近、失敗に終わったことも触れました。この部の最後に廃炉計画の現状と問題点を話されました。
休憩をはさんで、大飯原発訴訟差止判決の判決要旨が配布され、その重要な意義を6点にわたり説明し、この判決に対する各界の反応を紹介しました。
最後に、最近の日本を襲っている自然災害(地震、火山、異常気象など)の頻発の危険性に触れました。
参加者からは「分かりやすかった」「大飯原発訴訟判決が最高裁で覆されないよう、私にできることをしていきたい。いつもたくさんのことを学び有難う」「国民が本当にかしこくならなければ。為政者や企業の上部の人たちのモラルの欠如に腹が立ちます」「こんな素敵なお話しの聞ける会、もっともっとPRしなければなりませんね。この会は登別の宝」などの感想が寄せられました。

2014年11月25日火曜日

原発問題連絡会ニュース 第254号2014年11月22日

電気料金再値上げ認可取り消し抜本的見直しを
泊原発再稼働やめて廃止・廃炉の決断を

  原発連が、経済産業大臣と道経産局長へ申入れ
安倍政権の原発・核燃サイクル推進の暴走政治に厳しい審判を下し原発のない日本と北海道の実現へ政治の大転換を勝ち取ろう
ー 第47回総選挙にあたってうったえます ~ 
                      2014年11月21日 原発問題全道連絡会

国民の世論と運動が追い込んだ解散・総選挙
 安倍首相は11月18日、消費税10%への増税時期を1年半延期することについて国民の審判を仰ぐとして、11月21日に衆議院を解散し、12月2日公示、同14日投票で総選挙を行うと表明、予定通り21日衆議院を解散しました。
表明の中で安倍首相は、消費税再増税延期は国民の審判を受けるべき重要な税の問題だから当然だとか、アベノミクスの3本の矢による経済対策で経済も好循環に向かいつつありデフレ脱却のチャンスを逃すわけにはいかない、3本の矢による経済対策についても審判を仰ぐ選挙だなどといっています。ところが、国民の世論は「今解散して総選挙をやる必要はない」が7割を占め、安倍首相の言い分を認めていません。
解散総選挙の本当の理由は、この2年間の安倍政権の国民無視の強権的亡国政治の暴走に、国民の怒りが沸騰し、国民の知る権利を奪う秘密保護法でも、今年4月からの消費税8%への増税とデフレ脱却をかかげたアベノミクスによる大企業・財界奉仕の経済対策でも、憲法9条を壊す憲法違反の集団的自衛権行使容認の閣議決定強行でも、日本食料や農業、医療、知的財産権までアメリカに売り渡すTPP交渉入りでも、人類社会と共存できない原発の再稼働と海外への輸出強行でも、県知事選挙に示されたオール沖縄の心を踏みにじる米軍基地の辺野古移設強行でも、これら日本の平和と民主主義、国民雄暮らしと営業かかわるどの問題でも、国民の多数が反対し、その世論と運動で追い詰められ、先延ばしすればするほど大敗することを恐れ、今しかないと大義のない解散総選挙に踏み切ったのではないでしょうか。
原発問題でも、世論と運動が追い込んだ総選挙
さようなら原発北海道1万人集会
(2012年10月13日札幌大通公園)
フクシマ原発事故から3年8カ月。いまも12万5千人もの県民が厳しい避難生活を強いられ、汚染水の流出も止まらず、除染も賠償もすすまず、復興の見通しも立っていません。原発と人類が共存できないことはますます明白です。
オール福島の再稼動反対、全原発廃炉のたたかい、首相官邸前の毎週金曜日行動の全国への広がり、福井地裁に続く福島地裁の勝利判決、全国通津浦々での宣伝署名行動や多彩な集会・デモなど、世論と運動の広がりが安倍内閣の暴走に立ちはだかり、原発の再稼働を抑え、原発がなくても電力は足りているなか、原発ゼロ、自然エネへの転換をという流れと広がりをつくり追い込んできたのではないでしょうか。
原発推進の安倍政権の暴走政治をストップさせ、
原発のない安心・安全な日本と北海道を切り開く選挙にしよう
北海道でも、2年半に124回も続く道庁前金曜日行動と道内各地に広がる金曜日行動、全道100万人署名の前進、多彩な集会やデモの広がりなどが、安倍政権とこれに追随する高橋道政を追い込んでいるのではないでしょうか。こうした原発情勢に確信を持ち、一層世論と運動を広げ、安倍政権の暴走に厳しい審判を下し、原発のない日本と北海道の実現への道を切り開く時ではないでしょうか。
いまこそ、広範な道民のなかに大きな世論と運動を広げ、全道100万人署名をやりぬき、安倍政権の暴走に厳しい審判を下しましょう。北海道から、再稼働反対、原発ゼロ、大間も幌延も許さす、再生可能エネの爆発的普及へ、国政転換への道を切り開く選挙にしましょう。
原発推進の政党と政治家・候補者に厳しい審判を下し、原発・核燃サイクルから撤退の旗をかかげる政党と政治家・候補者を勝利させるために、ともに力を尽くしましょう。

北電の電気料金再値上げ認可を取り消し、
抜本的見直しを
   泊原発の再稼働を止め、廃止・廃炉の決断を
   道原発連 ~ 11月21日に道経産局、道、北電へ申入れ
北海道電力が11月1日実施を強行した電気料金再値上げに、道民各層から悲鳴と怒りの声が噴出していることから、道原発連は21日、再値上げ認可の取り消しと抜本的見直し及び泊原発の再稼働問題について、北海道経産局と道、北電へ申し入れを行いました。
電源構成変分認可制度を廃止し、北電の経営全般を見直し
北電本社への申し入れ
(11月21日)
一層の経費圧縮を求めよ
原発連は、今回の電気料金再値上げが電源構成変分認可制度にもとづいているため、北電の申請も経産省の電気料金審査専門家小委員会の審査も、北電の経営全般の見直しを対象としない欠陥があるとして、いったん認可を取り消し、抜本的に見直すべきと求めました。
しかし、道経産局も道庁も北電も、制度の廃止と抜本的見直しに言及せず、「電源構成変分認可制度のもとで厳正で公平な審査を経て認可した」「なお北電には経費圧縮について、道民に丁寧に説明するよう求めている」(道経産局)などと述べるだけでした。

過度の原発依存のツケを道民にまわさず、国と北電が責任を持て
北電の大幅な再値上げの背景には、過度の原発依存(発電量に占める原発の発電量が全国一の44% 2010年度)があることは、原発依存度の低い中国電力や北陸電力が、フクシマ後一度も値上げしていないことを見れば明らかです。原発連は、過度の原発依存が招いた経営危機のツケを電気料金の再値上げで道民に押し付けるのでなく、原発を推進してきた国と北電の責任で解決すべきと求めました。
しかし、北電は、「原発は燃料費が安く電気料金を全国水準に下げることができた、再稼働すれば値下げができる」「引き続きベース電源として推進する」と開き直る態度でした。
30キロ圏内13町村の同意や実効性のない避難計画のまま再稼動するな
北海道経産局への申し入れ
(11月21日)
泊原発の再稼働について原発連は、「30キロ圏内の13町村の同意を再稼働の条件にすべき」「その際、全住民規模のアンケートや住民投票で判断するよう求めるべき」「今作成されている実効性のない避難計画のまま再稼働は認めるべきでない」などを要求しました。
 これに対して道は、「再稼動は安全最優先で国が判断すべきこと」「地元自治体の同意の範囲などの条件整備を行うよう国に求めている」などというにとどまり、道民に責任を負う知事として責任ある態度を示しませんでした。




原発連が4年ぶりに幌延深地層研究センター見学ツアー
深地層処分地にもその研究地にも不適な幌延での工事は中止すべき
幌延深地層研究センターを見学して  佐藤久志(原発連事務局次長)
10月26日原発問題全道連絡会が呼びかけた「幌延深地層研究センター」見学ツアーに参加してきました。
地下350㍍の調査坑道で説明を受ける
今年6月に完成した地下350mの周回調査坑道約760mに入り、工事の進行状況や地層等を見学してきました。周回坑道に掘られた試験坑道に8月29日に廃棄物の模擬体を設置した人工バリアの様子も見学してきました。幌延の地層は粘土質の軟らかい地層で、地下水には海水の3分の1程度の塩分が含まれているとのことです。工事は地下水の湧出やガスの突出などによって予定より大幅に遅れ、当初予算の約90%を使い切っていますがさらに地下500㍍まで掘削することが決まっています。
試験施設では高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を入れるステンレス容器、それを閉じ込めるオーバーパックと呼ばれる厚さ19cm、重さ5トンの炭素鋼容器に入れて密封、さらにそのまわりを粘土を主成分とした緩衝材ブロックで包む人工バリアの様子が展示されています。炭素鋼容器は試作品ということもあり、1本7千万円とのことです。廃棄物は2014年現在で約2万5千本と言われています。原発再稼働でその数は増え4万本の処分が必要と試算されています。
地盤や地質、地下水の状況、サロベツ断層帯ではM7・6程度の地震が10万年に20回前後発生するという専門家の意見もある所で10万年もの長期間の健全性が保障されるのかという疑問を新たにしました。地震列島の日本に適地がないにもかかわらず、核燃料サイクルの推進や原発再稼働でこれ以上核のゴミを増やすのは止め、無駄な高レベル放射性廃棄物の地層処分工事も止めるべきです。
見学後の鷲見幌延町議らとの懇談会で鷲見さんらは「原子力機構幹部は研究終了後(2021年頃)に埋め戻すことについて、「もったいない」発言をするなど協定をないがしろにしかねない、なし崩しの放射性廃棄物の持ち込みや、処分場への転用」と「研究期間の延長」に警戒が必要と強調していました。

《解説》泊原発がトリチウムを海に放出?
原子炉の中ではウランが核分裂していろいろな放射性物質になりますが、その中の一つがトリチウムです。同時に制御棒に含まれているホウ素や一次冷却水に添加されているホウ素とリチウムも中性子と反応して、ヘリウムとトリチウムになります。こうして泊原発で作られるトリチウムの量は、一般的には1年間に400兆ベクレルぐらい、と言われています。北電のホームページによれば、運転開始以来毎年その一部を液体として海中に捨てており、実際に捨てている量は、最も少ないのが1991年度で11兆ベクレル、最も多いのが2011年度の38兆ベクレルで、2013年度末合計で570兆ベクレルになります。
放出の限度を示す北電の管理値は年間120兆ベクレルです。2014年10月18日付の北海道新聞によれば、北電は実際の放出量は管理値を「十分下回っており、健康にも環境にも影響はない」などとしている、とのことです。そうは言っても環境の放射性物質を増やすようなことはあってはならないことです。
トリチウムは二次冷却水に混ぜて放流していると考えられます。最も多かった38兆ベクレルの場合、均一に混ざっているとしてその濃度を計算してみると1リットル当たり70ベクレルくらいになります。これは大気圏内核実験の最盛期である1963年ころの降水中の値に相当します(現在の降水では0・7ベクレル前後)
なお、トリチウムを含んだ水からトリチウムを効果的に取り除くのは難しいとされ、福島原発では汚染水が増え続け問題になっています。
トリチウムとは・・・水素の仲間。普通の水素の原子核は陽子1個のみですが、トリチウムには中性子も2個あり重さは普通の水素の3倍です。そのためか3重水素ともよばれています。半減期12・32年の放射性物質で、ベータ線を出してヘリウムに変わります。
天然では大気中で酸素と窒素が宇宙線と反応して作られていますが、存在量としては普通の水素に比べればごく僅かです。化学的な性質は普通の水素と変わらず、水素の化合物の中には普通の水素の一部がトリチウムに置き換わっているものもあります。水の場合は水分子の水素2個のうち1個がトリチウムに置き換わったのがトリチウム水で、湖沼・海・河川などの水には1リットル当たり1~3ベクレル含まれています。(石崎健二

2014年10月21日火曜日

原発問題連絡会ニュース第253号2014年10月20日

STOP!再稼動 「10・4北海道集会」に3500人
―激しい雨の中「再稼働反対!」のシュプレヒコールー
  10月4日午後、札幌大通公園で「STOP!再稼働北海道集会」が開かれました。あいにくの激しい雨の中でしたが、道央圏をはじめ旭川や苫小牧、十勝など全道から3500人の参加で会場は埋まりました。


  集会は、呼びかけ人の小野有五北大名誉教授、麻田信二道生協連代表理事、西尾正道北海道がんセンター病院名誉院長がそれぞれ発言しました。「雨にあたるのは幸せなこと。放射能が含まれていれば雨にあたることができません。原発をやめて安全な北海道を」などと挨拶。
特別ゲストの歌手・加藤登紀子さんは、新曲をまじえ「日本はヒロシマ型原発110万発分の放射性物質を持っている。私たちが核の時代を終わらせましょう」と呼びかけ、会場が盛り上がりました。上田文雄札幌市長も特別発言し「再稼働反対」を力強く訴えました。もう一人の特別ゲスト・三宅洋平氏の発言は、再稼動反対の共同の集会にふさわしくない発言が大半を占める異常な内容で、参加者から抗議の声が上がりました。三宅氏の見識と主催者の責任が問われます。 
  集会の最後に「いのちと暮らしを守るため、子どもたちの未来を守るため、再稼働を止めましょう」の集会アピールを確認し、主催者の音頭で「再稼働反対」「泊はいらない」「大間もいらない」「幌延やめよ」などを唱和し閉会、激しい雨がやまず、デモ行進は中止となりました。


被曝ゼロのために自治体の避難計画を尊重すべき

 実効ある避難なくして再稼働なしが知事の立場でないか
ー 3定道議会で真下紀子道議がただす ー

9月24日第3回定例道議会一般質問で、共産党の真下紀子道議(原発連顧問)が、原子力防災の避難計画について、知事の考えをただし、知事は被ばくゼロの避難のために町村長が避難を勧告できることを認める答弁をおこないました。その概要を紹介します。

真下紀子道議:(国の原子力防災指針では)泊原発事故からの避難計画では、PAZ(原発から5キロ)圏内は、放射能放出前に避難が可能だが、UPZ(原発から30キロ)圏内は、放射能が実測されるまで避難勧告ができない。無用な被ばくから住民をまもるため、UPZ圏内の町村がPAZ圏内と同様、放射能放出前の避難を計画に盛り込んだところ、道から削除を指示されたと聞いている。事実とすればとんでもないこと。被ばくありきの計画ではなく、被曝ゼロのために、自治体の計画を尊重すべき。いかがお考えか。
  道が毎年実施している泊原発事故想定の防災訓練では、津波を想定した訓練を一度もおこなっていない。後志管内からは、津波による道路の崩壊、地震による落石や通行止めなど、避難の困難さが指摘されている。新たに発表された日本海津波推計も考慮した複合災害を想定し、避難計画と防災訓練の実施が必要と考えるが認識を伺う。
  また、冬季の事故対策、バスの手配、避難先の確保に対応できていないなどと町村から聞いている。実効ある避難なくして再稼働なしというのが、住民のいのちを預かる知事の立場ではないか。認識を伺う。
知事:道および関係自治体は、原子力災害時に住民防護措置を迅速かつ適切に実施できるよう、避難計画を定めるとともに、地震との複合災害を想定した、道路寸断時の集落の孤立や避難時における道路渋滞などに対応した訓練を実施してきた。今後とも関係自治体や関係機関と協議を行い、様々な事態を想定した訓練を重ね、避難先、避難手段の確保などへの具体的対応や体制について、普段に点検、確認を行い、より実効性ある防災対策の構築に努めていく。
道危機管理官:国の原子力災害対策指針では、自治体に原子力に関する専門的知識を有する機関による指示などに基づく対策を講ずるよう求めている。このため、道および関係自治体では、この指針に基づき。発電所から5キロ以内のPAZ圏については、放射性物質放出前から住民避難を行う。半径5キロを超える半径30キロ圏内のUPZ圏については、屋内退避を基本としながら、万が一、放射性物質が放出された場合には、空間線量を実測の上、一定の数値を超える区域において、住民の速やかな避難や一時移転などの防護措置を講ずるよう地域防災計画を定めている。道は、計画に定められた所要の防護措置を講じ、円滑な住民の安全確保に万全を期す。

真下:UPZ圏内住民に被ばくを強いる災害対策指針とは驚きを禁じ得ない
知事:「生命保護のためなど特に必要な場合は、町村長の判断で避難の勧告など行うことはできる」

真下:避難計画について道の指導は、5キロから30キロ圏内のUPZ圏内では、放射性物質が20マイクロシーベルトを超えて実測されるまで避難させないという、住民に被曝を強いるものであり驚きを禁じ得ない。道が指導した計画のもとでは、住民には、被曝するまで避難してはならないと説明しているのですか。お答えください。
  自治体首長が、自然災害からの早期避難を指示するのは当然です。原発事故も同様であり、被ばく前の避難勧告、避難指示をしたいと考えるのは当然ではないか。その際、国の指導以上に、道が町村長の判断をとめる権限が法的にあるのか、見解を伺う。
知事:原子力災害時には、放射線の影響を最小限に抑えるため、科学的専門的な判断に基づき、住民が混乱なく避難行動を行う必要があり、原子力災害対策指針は、自治体に避難対策等を講ずるよう求めている。
  道は、この指針に基づき、自治体に助言を行ってきたところであり、事態の状況に応じた住民避難が円滑に行われる体制づくりに取り組んでいく。
  住民避難ついては、原子力に関し専門的知識を有する国からの指示にしたがって対策を講ずるようもとめている。市町村長は、災害対策基本法などに基づき、人の生命または身体を原子力災害から保護するためなど、特に必要がある場合には、避難の勧告などを行うことができるとされている。

泊原発の使用済み燃料ピットの構築物強度不足、地下水対策なしは重大
―9月の岩内町議会で大田勤町議が北電の対応と町長の考えをただすー
 9月の第3回定例岩内町議会で共産党の大田勤町議(道原発連代表委員)は、使用済核燃料貯蔵ピット(プール)が堅古な構築物になっていない問題や規制基準に定めがない地下水対策を北電が行っていない問題などについてただしました。

大田勤議員:福島原発事故で原子力委員会委員長が最も重大な被害を及ぼすと想定したのは、使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機からの汚染も含めて考えると、強制移転を求めるべき地域が原発から170㎞以遠にも及ぶ可能性があり、住民が移転を希望する場合には東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250㎞以遠までも可能性があるというものだった。これを受け大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟の福井地裁判決では、使用済み核燃料の危険性について「放射性物質が原発の敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、閉じ込める構造物は堅古なものでなければならない」と指摘している。
  ところが、泊原発では、今年度の安全対策工事の一つ「使用済み燃料ピットの燃料損傷対策」として、「送水ポンプ車の配備、可搬型スプレイ設備の配備、使用済み燃料ピット水位・温度監視設備の配備」が安全対策として行なわれるとしているだけ。町長はこれで使用済み燃料ピットの対策は十分だと思っているのか。
  泊発電所の使用済み核燃料ピットには、2013年12月現在、1、2、3号機合計で981体が保管されている。堅古な設備で閉じ込められていないままの状態になっていて危険性が指摘されているのに、北電の今年度の「原子力事業者防災業務計画」の修正では、1、2、3号機とも安全上重要な構築物、系統または機器一覧に使用済み燃料ピットは入っていない。これでは、使用済み燃料ピットからの放射能放出自体防ぐことができない構造ではないのか。
  また、福島第一原発では事故後、使用済み燃料プールの底部を鋼製支柱の設置、コンクリート壁を構築補強して耐震余裕度を20%向上させたとしている。泊原発の使用済み燃料ピットでは、底部・壁のこうした補強などは必要ないのか。
上岡町長:使用済み燃料ピットは、使用済み燃料の再処理のための搬出までの期間、安全かつ安定的に保管する役割を担っている施設であり、重要かつ必要な施設だと認識している。その安全対策については、規制委員会で適合性審査が継続中であり、その結果は規制委員会が判断することになっている。
  北電の原子力防災業務計画においては、安全上重要な構築物、系統又は機器一覧の中に、使用済み核燃料ピットは含まれていない。なお、北電は、使用済み燃料ピットは原発の重要な機器であるので、今後検討していくと述べている。
  壁の補強などの安全対策全般については、規制基準への適合性審査が継続中であり、規制委員会が判断する。
大田勤議員:町長は使用済み燃料ピットを安全上重要な構築物として対策を取るよう北電に強く求めるべきではないか。
上岡町長:使用済み燃料ピットは、泊原発の安全上重要な機器であると認識している。北電も業務災害計画の取り扱いついて検討したいとのこと。町としても早急な実施を求めていく。
大田勤議員:7月の道議会予算特別委員会で、共産党の真下紀子道議の質問で、初めて北電が泊原発の地下湧水量が1、2、3号機の合計推計値で一日当たり約550㎥とされ、フクシマ第一原発の400㎥を上回ることが明らかになった。汚染水の貯水タンクの置き場を考えると、福島第一原発の敷地面積約350万㎡に対比し、泊原発は142万㎡しかない。原発で事故が起き原子炉等規制法に基づき「特定原子炉施設」に指定されると、廃棄物の施設内保管が義務付けられる。湧水量が一日550トンの汚染水置き場とすれば、有効な敷地面積はどの程度必要となるか。8月に町議会原発特別委で原子力防災工事の現場を視察したが、泊原発の後背地は50mを超える崖で、海岸線を埋め立てたところで、汚染水を置ける空き地などはほとんど見受けられない。どこに汚染水を置くのか。3号機では昨年夏、集中豪雨により湧水ピットをあふれさせ、地震計4基水没という重大事故もありながら、湧水量を実測せず、地下水対策も明確でない。地下水を止めるのが不可能なら再稼働などすべきではないのでないか。
上岡町長:北電は、泊発電所の敷地内での汚染水の貯蔵タンクの設置場所や面積、貯水量の積算などは行っていないとのことです。
大田勤議員:特定原子炉施設に指定された場合、施設内保管が義務付けられるのに、フクシマ教訓が全く生かされていない。
上岡町長:汚染水対策について北電は、安全性を高める各種対策を講じており、汚染水は発生しないと考えているためとのことです。
大田勤議員:それこそまさに安全神話を振りまくもの。専門家も「敷地が狭い原発で事故が起きれば対応できない可能性もあり、原発の敷地面積についても議論を始めるべき」と指摘している。それも意に介さず再稼動をめざすなど許されない。

【原発をなくす地域の会】の活動から
工事はどんどん進んでいる、フルMOXの危険性などを実感
―「訴訟支援の運動を強めよう」ー紺谷克孝市議が、大間原発建設現場視察報告会でうったえー

 原発をなくす道南連絡会は10月13日、共産党函館市議団による大間原発建設現場の現地視察の報告会を開催。現地視察は、共産党函館市議団の要請を電源開発(株)が受け入れ、8月21日に共産党函館市議団が実施。原子炉建屋などを視察しました。報告会では、道南連絡会の共同代表・紺谷克孝函館市議が報告しました。 

 
紺谷氏は現地調査で感じたこととして、①建設の進展状況は、大型モジュール工法といって別の場所で組み立てた格納容器を大型クレーンでつり上げて建屋の中におさめる方法を取っており、会社は工事の進捗率を37・6%と発表しているが実際にはそれより進んでいると思った、②MOX燃料をすべての炉心で使うフルMOXの危険性について、会社側は、ホウ酸水注入容量を増やす、制御棒の中性子吸収効果を増強する、主蒸気逃し弁の容量を増やすーなどの安全対策を強調していた。しかし、これは裏を返せば制御棒の効きが悪いから増強する対策だと思われるし、異常時発生時に原子炉内の圧力が高まるので安全弁の容量を増加させたのだろうーと思ったなどと報告。
さらに同氏は、7月に大間原発反対現地集会で飛ばした風船が厚沢部町で発見されたように、大間原発で事故が起きれば放射能が道南まで飛んでくることが実感される。函館市が提訴している訴訟で、人間でない自治体に原告の資格(原告適格)があるかが争点になっている。「原告適格」が認められれば裁判史上画期的な判断になると指摘。
「9月の定例市議会で、国側の『原告不適格』に対する反論書作成のための費用756万円を全会一致で可決した」ことを紹介し、函館市の訴訟を支援し、大間原発建設中止の世論と運動をさらに強めようと呼びかけました。