2017年3月25日土曜日

原発問題連絡会ニュース 第282号2017年3月20日


福島に連帯し、泊原発再稼働ストップ!

   原発・核燃サイクルから撤退の
         合意形成に尽力しよう!

      ―2月25日道原発連が第26回総会開催―
2月25日午後、札幌市内で第26回原発問題全道連絡会総会が開かれました。最初に、米谷道保代表委員から、2月12日に開かれた原発問題住民運動全国連絡センターの第30回全国総会・交流会の概要報告、ついで道原発連の第26回総会の諸議案の報告・提案と討論・交流が行われ、諸議案を全員の拍手で確認し閉会しました(写真は第26回総会)。


第26回総会(2月25日)

全国総会・交流集会では、政府が事故収束の見通しもたたないまま帰還策と支援の打ち切りを強行しているが、福島第2原発の廃炉が明確でないことが帰還や復興の足かせになっており、加害者の国と東電が責任を果たすよう求めること、100万人署名の重要性が強調されました。 
 また、チエルノブイリ原発事故30周年の現地調査の報告では、日本の「福島子ども被災者支援法」とチエルノブイリ法と対比し、「支援法」が「社会的責任」をうたいながら「法的責任」や「国の責任」を明文化しない無責任法だと指摘、「子ども被災者支援法」に魂を入れる活動が重要だと強調されました。
 道原発連の諸議案では、泊原発について、規制委が「海底断層」の再検証を北電に要求し早期の再稼働が困難になっているが、北電は「一日も早い再稼働」の態度を変えておらず、引き続き再稼働ストップ・廃炉、福島原発事故処理費用の国民への負担転嫁反対などの運動方針を共有しました。
 今年6月に結審予定の大間原発訴訟への連帯強化、北海道を核のごみ捨て場にさせないたたかい、特に幌延深地層研究センターの研究期間20年間の遵守と幌延町浜里地区の海底ボーリング調査注視、再生エネへの転換、当面の活動方針と計画、前年度と同規模の予算案などを確認しました。
 また、「Shut泊」など3団体が呼びかけている「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」への参加も確認しました。
 質疑・討論・交流では、新婦人道本部の理事が「昨年実施した福島現地視察で、雑草に覆われた民家や事故当時のままの物干しにかかった洗濯物など見て、改めて原発事故の重大さを感じた。署名等を頑張りたい」と報告。別の理事は「共謀罪法案は、原発廃止の住民運動も対象にされかねない」と取り組みの重要性を訴え、ほかに原発連ニュースの改善要望や道内各地の経験の拡散や交流要望など活発な討論交流が交わされました。
 新役員は、新理事に北商連から長谷聡子さんを選出、他に20人の現理事を再任、全体で23名の理事枠に21名の理事を選出しました。代表委員は昨年と同じ大田勤、黒澤幸一、春木智江、米谷道保の4氏、事務局は、事務局長に佐藤久志氏、次長に姫宮利融氏の2氏でスタートすることを確認しました。
 
フクシマから6周年。3・10鎮魂と連帯の行動!

 3月10日午後2時半からパルコ前で鎮魂と連帯の行動を行ないました。主催は、道原発連と国民大運動道実行委。春の雪が舞うなか、横断幕を掲げ、リレートークと100万人署名、チラシ配布、東日本大震災が発生した6年前の14時46分に合わせて鎮魂と連帯の黙とうを行いました。募金箱に募金を入れる若い青年の姿もありました。


3・11さようなら原発北海道集会に800人
 
鎮魂と連帯の行動



 3月11日の午前10時開会で、さようなら原発北海度実行委員会主催の北海道集会が、さっぽろ共済ホールで開催され、会場にあふれる800人が参加しました。呼びかけ人の小野有五北大名誉教授が、スライドを使って約30分間、「泊原発 再稼働してはいけない8つの理由」と題して講演。冒頭小野有五さんは、前日10日の原子力規制委員会の審査会合で、規制委員会は泊原発が立地している積丹半島西岸の隆起について「地震性隆起を否定できない」と指摘、北電側の広域的隆起の主張を退け、「やっと私たち『行動する市民科学者の会・北海道』の主張が認められた」と報告、参加者から大きな拍手がわきました。ついで原子力資料情報室の伴英幸共同代表が「深刻さ増す福島原発事故」と題して講演、ふくしま復興共同センターの斎藤冨春代表が「福島からの報告」を行ないました。メッセージボード・アピール行動のあと道労連の黒澤幸一議長が閉会挨拶を行ないました。

被災地福島から伝えたいこと
(講演する山本富士夫氏 3月7日)

 被災地からの報告に衝撃と驚きと怒り、

           連帯の輪広がる

フクシマから6周年記念講演―
  山本富士夫さん(元福島県立高教組双葉・相馬支部長)
                    具体例示し熱く語るー
 3月7日夜札幌市内で福島原発事故から6周年記念講演会「福島から伝えたいこと―被災地からの報告―」が開催され、旭川市や小樽市などからも含め約60人が参加。元福島県立高校教諭・山本富士夫さん(元福島県立高教組相馬・双葉支部長)が、被災地・福島の具体的事例をあげてリアルに報告(写真)、原発復興事業を食い物にする大手建設会社や原発メーカーなどに驚き、支援と連帯の輪が広がりました。


―生活者の視点から原発の危険性を告発―

山本先生は「高校で社会科の教諭でしたと自己紹介したあと、最初に福島県内の放射性物質処理に関する環境省の方針を示しました。10万bq(ベクレル)超/kgの廃棄物と全除染土は中間貯蔵施設(双葉町と大熊町)に運んで中間貯蔵(保管)する、8000bq/kg超~10万bq/kgは管理型最終処分場(富岡町)に運び保管する、8000bq/kg以下の廃棄物は通常の一般廃棄物と同じく扱う、というものです。「10万bq/kg超の高線量廃棄物を運搬する運転手は被ばくするのでないか、これでよいのか」と、山本先生は疑問を呈しました。

 

「除染は移染だ」「早期除染は効果あるが、
          4~5年後では自然減衰でムダ?」


次いで山本先生は、除染の実態について述べました。「除染というが、実態は除染ではなく、除染廃棄物の場所を移すだけの“移染”だ」と指摘。表面を5cmはぎ取った汚染土がフレコンバッグに915万袋も現場や仮置き場に積まれている。環境省の目標は“追加線量が20mSv/h以下の場所は、2013年8月末までに、2年前と比べて約50%減少させるというもの。山本先生は、「除染したところは確かに放射線量は下がる」「とくに早い時期にやれば効果はある」「しかし、私の自宅は、予定より2年以上も遅れて除染に来たが、線量はすでにかなり自然減衰していた」と、2年間に半減していた自宅の観測数値を表(グラフ)で示しました。
最後に、「除染費用は総額4兆円というが、こんな遅い除染は無駄遣いともいえる」と語りました。
 
―除染作業も放射性廃棄物処分作業も大手ゼネコンの儲け口にー
「この除染作業だけではないのです。大成建設や鹿島建設、清水建設、竹中工務店などの大手ゼネコンが分け取りし、被災地の復興対策事業を新たなビジネスチャンスにしている」と告発しました。「8000bq超の指定廃棄物は、仮設焼却炉で焼却し焼却灰にして容積を減らす(減容化)のですが、この事業も、ビッグビジネスなのです。僅か2~3年程度の稼働期間しか予定されていない仮設焼却施設の建設運営に、復興予算から南相馬市で700億円、富岡町で600億円など巨額の税金が投じられています。19市町村で既に24基、稼働が終わったか、現在稼働しています。実質稼動日数は僅か2カ月~4年。「復興予算は誰のものか?厳しく問われている」と怒りを込めました。

『福島イノベーションコースト構想』で、

   浜通りの立地自治体を国際産学連携拠点にして廃炉をめざす?


 次いで山本先生は、原発事故は収束するのか?について話を進めました。40年で収束できるとのロードマップに疑問を呈した後、廃炉に関わる現地での動きを紹介しました。政府と福島県は、「福島イノベーションコースト構想」を打ちだしました。現地を国際産学連携拠点にするとして、①大熊町に大熊分析・研究センターを設置して、高濃度放射性物質(燃料デブリ等)の性状把握と処理技術の開発、②富岡町に廃炉国際共同研究センターを設置し、国内外の大学、研究機関、企業等が集結し、廃炉研究と人材育成をはかる、③楢葉町には楢葉遠隔技術開発センターを設置し、格納容器の調査・補修用ロボット開発・実証、燃料デブリ取り出し実証試験を行う―を大々的に進めようとしている。さらに、「ロボット開発・実証」と称して④ロボットテストフィールド(南相馬市と浪江町)、⑤福島浜通り(南相馬市等)にロボット実証区域をつくる。ほかにもエネルギー関連産業プロジェクト、農林水産分野イノベーション・プロジェクト、スマート・エコパーク(リサイクル関連産業)なども構想しています。これらは、廃炉に便乗した新たな儲け口づくりにもなるのではないか?と山本先生は疑問を投げかけました。
 福島県の5~17才の肥満傾向  10才男女全国ワースト
 福島民友新聞(2016年12月23日)が報道した、全国と比較した福島県の5~17歳の子どもの肥満傾向についての話題を取り上げ、参加者に衝撃が走りました。10才の男女の肥満傾向は全国ワースト1位。肥満度が平均20%以上の肥満傾向児の割合も、全国平均と比べ、男子プラス3~11%、女子プラス2・5~8・5%と肥満傾向は明白。
中学校の体育の授業でソフトボールをやってもボールの投げ方がわからない、グラブを持っても使い方がわからない、普通のソフトボールは固すぎて危ないのでゴムまりのような柔らかいボールを使っているなど、身振り手振りをまじえて語りました。6年近く戸外で運動できない子どもたちの現実は、このような形で表れていると、原発事故の影響の深刻な実態を告発しました。
避難指示区域等の医療機関も休診や看護師不足など深刻な実態に
 避難指示区域の市町村の医療機関の実態も示しました。休診が増えているが最大の問題はスタッフ不足、とりわけ看護師不足が深刻だと数字をグラフで示して明らかにしました。
最後に高校生の様々な苦難を書いた文章を読んでほしいと福島県立高教組女性部発行の文集からの抜粋を紹介しました。そして「被災地フクシマの旅」実行委発行の「しんぶん福島からの発信」を示し、被災地への旅を呼びかけました。いったん原発過酷事故が起こると現地はどんなことになるのかを、自分の目で見届けてほしいということなのです。
 
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原発連ニュースに見る道原発連の歩み  第8回
 
「泊・幌延」直接請求運動 そのⅢ  菅野一洋(原発連顧問)
 
 1989年1月24日、「選挙権を有する者の50分の1」以上の定め(地方自治法)をはるかに超えた「泊・幌延」直接請求47万4688人の有効署名により知事は、臨時道議会を招集しました。
  *全道いっせいの道選挙管理委員会への署名簿提出は54万5633人。その後の中間選挙による署名「禁止期間」行政区分や集計の修正などを加えて道選管が審査し有効署名数を確定。
定刻の10時を過ぎたころ、共産党の山根泰子議員が道議会地下室にある満員の傍聴者控室に来て、自民党が代表質問をやらないから社会党も取り下げないかのやり取りが議運でやられているため開会が遅れていることを知らせました。
11時20分、まるで世論を恐れるかのように遅れて開かれた議会が会期を2日間と決めたあと、横路知事が「直接請求の会」の求める道条例案に対し反対の意思を示した意見書を付けて提案、わずか5分間で休憩を宣しました。提案は「原子力発電所の設置、運転に関する事項は知事の権限に属さない、本条例の制定は適当でない」というもので、知事意見書は「各議員に配布されている」として読み上げることもしませんでした。
「まじめにやれ」の大きな声が傍聴席から飛びました。
自民は質疑を放棄、公明は民政クに同調。社会は知事の「権限なし」論を擁護し、直接請求権の乱用だとして反対しました。会期2日目、共産党を除く4会派で「泊・幌延」反対道条例案を否決しました。
 その夜開かれた報告集会で、参加者の最古老の鈴木好さん(札幌市西区)が、「今日が本格的な闘いの出発点です」と静かに決意を述べ、みんなが拍手を送りました。
直接請求運動は請願運動と違い、署名は本人の自筆で代筆は不可。住所、氏名はもとより生年月日の記入、捺印が必要なこと等、運動を進める上で法的規制が多く「やりずらい、面倒な署名だ」といった声が少なからず出されました。また、なぜ直接請求署名なのかの説明も必要でした。署名の主題が原発ですから、「原子力問題」の話題提供、一定の基礎知識などを交えた対話は避けられません。したがって会にとって学ぶことは不可避的に必要でした。そうした中で会は成長し、対話の広がりをつくり、また異なる意見や考えとの論争にも強くなっていきました。
2月11日、「泊・幌延」直接請求の会は全道代表者会議を開き、道内に60年安保闘争で築いた共闘組織数を超えて127行政区につくられた実行委員会を発展・改組して原発問題全道連絡会(道原発連)に合流し、地域にさらに根を張り活動していくことを確認しました。
 東京電力福島第一原発事故から6年。政府は東電をつぶさないため、支援策のテコ入れを始めました。しかし事故後6年の経過と現実は、『原発ゼロ日本』の国民的合意を深く準備しながら歩いた時間でした。原発再稼働反対は揺るぎない国民世論の多数です。道原発連は市民・国民の運動とともにたゆまず前進することが期待されていると思います。
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2017年3月3日金曜日

3・7メモリアル講演会のお知らせ

 

フクシマから6周年。3・7メモリアル講演会

 『福島から伝えたいこと

                   ―被災地からの報告―』

―多数のご参加をよろしくお願いしますー

◇日時  3月7日(火)18時30分~  

 ◇会場  札幌エルプラザ(環境プラザ)2階環境研修室        

 ◇講演  「福島から伝えたいことー被災地からの報告―」

 ◇講師  山本富士夫さん

                  (元福島県立高教組相馬・双葉支部長

                                                             元原町高校教諭)

◇行動提起 三上友衛さん(国民大運動道実行委事務局長) 「100万人署名中間報告、当面の行動提起」

                ― 資料代300円 ―