2016年6月30日木曜日

原発問題連絡会ニュース 第273号2016年6月20日



 



《2016年第24回参議院選挙にあたってのアピール》

違憲の戦争法廃止、立憲主義回復、

原発・核燃サイクルからの撤退を
 掲げる勢力の勝利と躍進のために全力を尽くそう
    2016年6月20日       原発問題全道連絡会       



第24回参議院選挙が6月22日公示、7月10日投票で行われます。今回の参議院選挙は、安倍自公政権が強行した憲法違反の安保法制・戦争法を廃止し、憲法を守る政治・立憲主義の回復をはかるかどうかが最大の争点です。同時に、原発ゼロ・核燃サイクルからの撤退も重要な争点です。 

フクシマ原発事故から5年余、いまも9万人余の県民が避難を強いられ、事故原因究明も途上で、事故収束の見通しも立っていません。原発と人類が共存できないことは明白です。フクシマ事故後の世論調査では、今も原発再稼動反対、原発ゼロが多数です。

ところが、安倍政権は、フクシマ原発事故の被災者への損害賠償や自主避難者への住宅無償などの支援を次々打ち切り、2017年3月末までに帰還困難区域を除く全避難指示区域を解除するなど、フクシマ切り捨てを強行しようとしています。その一方で、原発の再稼働や海外輸出に躍起となっています。

また、高速増殖炉“もんじゅ“や六ケ所再処理工場の事実上の破たんに示されるように、使用済み燃料を再処理しプルトニウムを再利用する核燃料サイクル政策は、完全に行き詰まっているのに推進に固執しています。使用済み燃料・核のごみの処理・処分技術は世界的にも未確立で、日本でも国民合意がないのに、あくまで地下300㍍以深の深地層に最終処分する方針に固執し、今年中にも最終処分場の候補地となる科学的有望地を選定して関係自治体に提示しようとしています。その候補地には、核抜き道条例を持つ北海道も例外ではないとして地層処分方針の説明会や全国シンポを繰り返し開催しています。

したがって今度の参議院選挙では、安倍政権の原発・核燃サイクル政策推進に厳しい審判を下し、原発再稼働ストップ、原発のない安心・安全な日本と北海道への道を選択するかどうかが問われます。今こそ、福島県民の願い、多数の国民の願いに寄り添い、原発再稼働を許さず、原発ゼロ、核燃サイクルからの即時撤退、安全・安心な再生可能エネルギーへの転換への道を切り開く時です。

北海道では、①泊原発の再稼働を容認せず、直ちに廃炉を決断する、②世界でも例がない危険なフルMOX原発・大間原発の建設は直ちに中止する、③全国一の食料供給基地、全国有数の観光基地である北海道を核のゴミ捨て場にさせない、④再生可能エネルギーを大規模に普及し、地産地消・地域分散型のエネルギーシステムの構築に軸足を移すーこの4つの政策課題の実現をめざす時です。

フクシマ原発事故を契機に始まった原発再稼動反対の官邸前行動など、民意に背を向ける安倍暴走政治に反対する市民運動が急速に広がり、国民主人公の政治の実現を求める共同行動へと大きく発展しています。その共同が、今度の参議院選挙では、32ある1人区での野党共闘を実現させ、野党と市民との共同で政治を変える大きな流れとなっています。

今度の選挙は、この野党共闘と市民・国民の共同の力で、安倍政権を打倒し、安保法制(戦争法)廃止、立憲主義回復、国民が主人公の民主主義政治の実現、原発ゼロ・核燃サイクルからの即時撤退を実現する政治への道を切り開くまたとない好機です。原発連も、野党共闘と市民共同の運動に合流し、参議院選挙勝利のために全力を尽くしましょう。
                                                                 

株主配当でなく、
     まず全国一高い電気料金を値下げせよ!
  ―6月10日(金)道原発連と国民大運動道実行委が
                   北電本社に申入れー



北電本社への申し入れ
(16年6月10日)
 道原発連と国民大運動道実行委は6月10日()北電本社に、電気料金値下げ等を申入れました。これは、北電が4月27日、2016年3月期連結決算を発表し、2年連続の電気料金の大幅値上げが営業利益を691億円も押し上げ、連結最終利益が前期の約7倍の212億円に達し、4期ぶりに株主配当を復活する一方、電気料金の値下げは「泊原発の再稼働後に検討」と表明したことを重大視して行なったものです。

申入れは、①株主配当でなく、まず全国一高い電気料金の値下げ、②人間と共存できない泊原発は再稼働せず、直ちに廃炉に踏み出す、③電力自由化を契機に、原発をやめて再生可能エネルギーに軸足を移すーの3項目です。


 応対した北電広報部のエネルギー広報担当の大友一弘課長らは、①この間自己資本の毀損が続いたので、まずその回復にあて、3期無配の株主に配慮した。電気料金の値下げは泊原発の再稼働後に経営基盤を整えたうえで実施したい。②規制基準への適合にとどまらず、さらなる

安全性向上を追求。そのために地震や津波だけでなく火災対策(森林火災含む)も竜巻対策も講じている。原子力防災訓練は冬季訓練も含め継続的に実施。原発停止で火発をフル稼働しているが、老朽化などで計画外停止のリスクを抱えているし、あくまで安全性確保を前提に再稼働したい。原発については、様々な意見があることは承知しているが、フクシマを繰り返さない決意でやっていきたい。③風力、太陽光は出力変動が大きいし、道内の電力送電系統が小さくて風力や太陽光の変動の影響を受けやすい。そういう中でも再生可能エネの導入に努力し、2016年3月末現在、(購入契約容量は)300万kwを超えている―などと申入れに添わない回答に終始しました。

 これに対して道労連の森国教副議長や北区革新懇の高橋重人さん、道原水協の嶋田千津子事務局長、原発連の村井秀一次長、米谷道保代表委員らが次々発言。「地震国日本で原発に固執する必要があるのか、Mg6以上の世界の地震の2割以上が日本で起こっている。原発が安全だとは思えない」「なぜ北電の電気料金が全国一高いのか。北陸電力の3割以上高く、破たん同然の東電より高いとは何故か納得いく説明を」「株主配当1株5円の根拠は何か」「株主配当は実施するのに、電気料金値下げは原発再稼働後に検討というのは納得できない。取締役会でどういう論議したのか情報公開せよ」「まず全国一高い電気料金を下げるべきだ」「核兵器も原発も原子力利用だが、人類は原子力をコントロールできない。原発も核兵器もやめるべきだ」「2度目の電気料金値上げの年の冬、12月から翌年3月まで激変緩和措置を講じた。やり方はいろいろあるはず。下げないのは納得いかない」などと迫りました。

 三上博光課長は「電気料金値下げを考えるべきだという声は、上役に報告する」とする一方「北電の電気料金は、1980年代頃までは北海道の石炭を電源にしていて全国一高コストだった。原発つくって全国中位に下げた」などと釈明するばかりでした。



電源構成の順番が時代に逆行
              再生可能エネの優先接続が世界の流れ
―6月7日「電力・ガス自由化と道民の暮らしを考える
                      学習講演会」
                   ~原発連など主催― 

 6月7日夜、塩川鉄也衆議院議員(日本共産党)秘書・薄木正治さんを講師に迎え、「電力・ガス全面自由化と道民お暮しを考える学習講演会」を開催しました。薄木秘書は、国会で電力・エネルギー関係の分野を35年間担当してきたというベテラン。30頁に及ぶ豊富な資料を示しながら約90分間講演しました。質疑にも丁寧に答えました。

電力自由化で電気料金が下がるとは言えない

講演する薄木秘書
(16年6月7日)
 

 

今年4月1日から電気の小売全面自由化が始まり、既に小売事業者が全国で300社超登録され、北電など従来の10電力から新電力への切り替えが103万件、全契約数の約1・7%とまだわずかで、小売り電気事業者のうち本社を北海道に置いているのは13社(全体の4%)、3分の2は東京都と関東、中部、関西に集中している。自由化すれば、電気料金は下がるのかが一つの関心事だが、先行して実施したイギリスでは、自由化直後にいったん下がったが、その後競争に負けた事業者の多くが淘汰され、電気が事実上金融商品化して値上がりしている、日本はどうなるかわからないがイギリスのようになる可能性もあり得ると薄木講師は指摘しました。




再生可能エネの普及抑制で再生可能エネの選択も不可能


講演会風景
(16年6月7日)
また、フクシマ原発事故で原発をやめて再生可能エネルギーに切り替えたいという国民が多数になり、従来の大規模集中型、長距離配送配電方式の電力システムが破たんし、地域分散型の電力システムづくりが求められているはずだ。肝心の再生可能エネルギーの発電量が、2012年7月からの固定価格買取制度で太陽光発電などで急速に増えたが、それでもまだ電源構成の2~3%を占めているに過ぎないから、契約を再生可能エネルギーに切り替えたくても契約できるだけの発電量に達していない。そのうえ、ヨーロッパなどでは、小売電気事業者に電源構成の表示を義務付けているから、どの事業者の電気を購入するか契約しやすいが、日本では小売電気事業者に電源構成の表示を義務付けていないため、希望する電気に切り替えにくい事情もある―などの問題点を明らかにしました。


自由化で電気料金の2段階の内訳や電力会社の儲けのカラクリが覆い隠される恐れ 



また薄木さんは、わが国の電気料金は、これまで家庭部門などは検針票をみれば、基本料金と電力量料金の2段階になっており、電力量料金は電気の使用量が増えるほど単価を高くしているので、電気料金を低く抑えたければ節電に努力する必要があるとわかるようになっていた。しかし、自由化されたら、この2段階の内訳が隠されてしまうかもしれない。フクシマ原発事故で東電の経理の実態にかなりメスが入れられ、10電力の儲けの平均約7割が規制部門(一般家庭や中小商店など)の電気料金によるもので、大規模消費の自由化部門の利益は約3分の1だったことが明らかになった。要するに電力量の3割程度しか使っていない規制部門の利益が、電気を大量に使っている自由化部門の電気を安くしているカラクリに初めてメスが入った。東電の場合は、規制部門が利益の8割をしめ、自由化部門がわずか2割だったという驚くべき実態が暴露された。しかし、今回の電力自由化後、このようなカラクリが覆い隠されてしまう恐れが強くある、と懸念を表明しました。

次いで薄木さんは、わが国の自給エネルギーの確保、低炭素社会実現の観点からも、再生可能エネルギーの導入拡大が重要な課題だが、2014年7月のいわゆる“九電ショック”で、九州電力管内で急速に認可量が増えた太陽光発電をこのまま放置すれば大規模停電が起きるなどとして、突然買取制限を打ちだし、これが電力7社にまで広がった。この問題は実は北海道電力が一番問題にしていたことだと指摘し、このカラクリの一つに原発の供給力見通しを、福島震災前の過去30年間の原発の平均稼働率相当分原発を動かすものと見立てて、残りを他の電源で補うという、事実上再生可能エネルギーの導入を後回しにしようとしているものだと告発しました。さらに送電線への接続も地方の細い電線のため空きがないとして何年間も接続を後回しにしている実態を、送配電線の空き容量一覧表の資料を示して告発しました。



 東電を救う原賠機構法や原発推進のエネルギー基本計画がネック 



さらに薄木さんは、そもそも電源構成の順番が、再生可能エネルギーの優先接続を義務付けてきているヨーロッパと対比し、日本は原発をベースロード電源として優先接続することにしているなど、全く時代に逆行していると指摘しました。

結局、自公政権の下で、電力システム改革に関する方針が、東電の経営安定と原発再稼働を大前提とすることを決めて、すべてそれにそって推進されていることにある。突然のガス自由化も、東京ガス、中部ガスを合体させ、3兆円市場をガス供給の最大手である東電の儲け口にする狙いを持ってやられているものであることを明かにしました。

質疑の中では、参加者から「『議会と自治体』の薄木さんの論文を読んでもわからないところも講演を聞いてよく分かった」などの感想とともに、「自由化で電気料金の総括原価方式はどうなる?」「電気料金の国際比較を教えて」「再生エネの発電コストは?」「北電の今の電源構成は?」「再生エネ普及の見通しは?」などの質問が出されました。約40人の参加者は最後まで熱心に視聴していました。



 
「泊原発の再稼働を容認せず廃炉の決断を」
   など求め、道議会に請願を提出
―6月17日、新婦人道本部等が集めた署名2310筆を添えてー
道議会に請願を提出
(16年6月17日)



原発問題全道連絡会は17日、昨年9月から開始していた『原発も核のごみ捨て場もない北海道の実現を求める請願』を道議会に署名を添えて提出しました(写真:提出する米谷道保代表委員)

 原発連は16日、請願書をもって道議会各会派をまわり、「第一次分2310筆の署名を添えて請願を提出したいので、紹介議員になってほしい」と要請。17日までに日本共産党の3名の道議が紹介議員になってくれたのを受けて提出しました。

 この請願は、6月21日開会の第2回定例道議会で産炭地域振興・エネルギー問題調査特別委員会(原発連顧問の真下紀子道議所属)に付託される予定です。

 (注) 原発連ニュースにみる道原発連の歩み 第3回は、今回休みます)