2016年1月24日日曜日

原発問題連絡会ニュース 第268号 2016年1月20日


今年最初のイレブンアクション 

      13団体20数人参加

―憲法共同センターと合同で

          トークと署名行動ー
原発再稼働反対、廃炉を求める道議会請願署名24筆 
                戦争法廃止署名10筆
 今年最初のイレブンアクションが1月12日昼休み、紀伊国屋書店札幌本店前で行われました。小雪が降りしきるなか、原発連と国民大運動道実行委、憲法共同センターの加盟団体から20数人が参加、チラシを配布しながら、原発のない北海道の実現を求める道議会請願署名と戦争法廃止を求める2000万統一署名への協力を訴えました。
 

 
今年最初のイレブンアクション
(2016年1月12日 札幌)
最初にマイクを握った道原発連の米谷道保代表委員は、「今年は福島原発事故から丸5年目、チェルノブイリ原発事故から丸30年目の節目の年を迎えましたが、原発と人間社会が共存できないことはますます明らかです」「安倍内閣の相次ぐ被災者支援打ち切り、フクシマ切り捨ては許せません」「いまこそフクシマ被災者と被災地への支援を強め、原発も核のごみもない日本と北海道を実現しましょう」「道議会請願署名と戦争法廃止の国会請願署名にご協力下さい」などと訴えました。


福島切り捨ても、原発再稼働も許さず
「原発・核燃サイクルからの撤退」
       「原発ゼロ」の合意形成を!
 ―第29回原発問題住民運動全国連絡センター総会の発言からー
 

12月13日東京都内で開催された第29回原発問題住民運動全国連絡センター総会・交流会の参加者の発言要旨を紹介します。




楢葉町の住職・早川篤雄さん:楢葉町は9月5日に帰還宣言が出されたものの戻ったのは1カ月後で321人(4%)、3カ月後の12月に入ってもまだ5%に過ぎない。今後も戻る見通しもない。フクシマを終わったことにするなど許されない。夏に公害闘争団総行動に参加して、あらためて全国キャラバンをやってみてフクシマの実態を全国に伝え、復興支援をよびかけ、闘いを全国に広げる事が大事だと思った。

鹿児島県薩摩川内市の井上勝博さん:川内原発1号機について、規制委員会が適合との審査書を出してから1年1カ月も再稼働を止めてきたことに確信を持ちたい。再稼働後、鹿児島県知事は、太陽光発電で動かすことになっているモニタリングポストが全く動いていないことが会計検査院の指摘で発覚したのに、県知事は「大したことではない」と言い、県の原子力便りNo125号を発行して「万が一重大事故が起きても、放射性物質の放出量は福島の100テラベクレルよりはるかに少ない5・6テラベクレルに過ぎず、原発から5・5㎞の地点の放射線量は毎時5μSvに抑えられるから避難が必要とは考えられない。屋内退避で十分だ」などと書いている。まさに異常な安全神話の復活だ。あらためて福島の事故の重大さを知らせることが重要だと思う。
愛媛県の和田宰(つかさ)代表幹事:愛媛県知事は悩みぬいた結果の再稼働了解だと言っているが、それまでずうっと「白紙だ」と言い続けながら「再稼働しない選択肢はない」とも言ってきたわけで白紙ではなかったということだ。伊方町での原子力防災訓練も、海抜13・5㍍の津波が来る想定なのに海抜3・5㍍の所に人を集めて訓練し、全く緊張感がなかった。県知事は、他の原発よりも追加的措置として1000ガル対応を求め、基準地震動を概ね1000ガル対応に引き上げさせたことが大きなことだと言っている。しかし、これは誤魔化しであり、撤回を申し入れたいと考えている。
宮城県女川町の高野博町議:11月20、21日に行なわれた災害対策全国交流集会で女川原発の危険に反対する運動の経験を発言した。あらためて原発の危険に反対する一致点での共同の運動という方針の正しさを再認識している。また、福島の実態をつかもう、学ぼうを合言葉に運動している。女川は人口1万人いたが、住民基本台帳上は6930人いるが、実態は5000人前後で、いまだに避難計画も作れていない。県に検討会を設置させたが、検討会は県言いなりで住民の意見が反映されないためだ。
仙台市でシンポジウムを開催したが、530人も参加した。これは一点共闘の力が大きい。世論は、再稼働反対が6~7割,賛成が2割、わからないが2割。この「わからない」2割の人たちと一緒にやって行けるようになってもらうことが課題。女川では早くから運動してきたが、今は県段階でも頑張ってくれるようになっている。30キロ圏での東松島市で住民の会(考える会)、登米市でも考える会が出来て、福島県見学会に20~30人で行き、「日本と原発」上映会もやろうとなった。30キロ圏の自治体が女川原発を止める方向で団結すると状況は一変するだろう。
持田繁義柏崎市議:合意形成に向けて地元でも様々な変化が起きている。小泉元首相の影響が大きい。新潟では、再稼働へ来年(2016年)の知事選が天王山だ。県内の住民運動を一枚岩にしなければならない。「再稼働OKとなった原発は早く動かすように」という請願が、市議会で17:8で可決された。ところが、保守派の中から、経済効果云々とか安全だというだけではいけないだろうという意見が出て、市議会に特別委を設置することになった。特別委では、①原発のそもそも論、②防災放射線対策、③経済財政効果の3点を論議することになり、全員で福島の現地を見に行こうと、1月25~27日の3日間、現地の住民、経済界、県当局とも話し合いたいとなっており、やれば変化していくだろうと思っている。
前知事の平山氏が、新潟日報で、「核のごみ増やすだけの再稼働は反対」「バックエンド対策を要求したが何も変わっていない」と発言。経済界の代表の一人、泉田知事の息子は、「原発誘致したが、町を二分してしまった」「原発に頼らない街づくりを」と発言。
今日の新潟日報には「原発は経済的にそんなに得しない」と書いている。また、東電の危機管理が余りにも様になっていない。規制基準では、原発の電線を難燃性に切り替えることになっている。規制委には「しっかり敷設した」と言いながら、実際には1745本(中間報告)も切り替えていない。これを規制委も調査していないことが明らかになった。
運動では、原発連絡センターと脱原発1000万人アクション、市民ネットの3者で「原発再稼働させない柏崎刈羽の会」を結成し、1月に首相官邸前行動の上映会、2月に岡田知弘京大教授の講演会をやるなどとなってきている。
 

2015年度の原子力防災訓練について

         改善などを道知事に申入れ

 ―「全住民参加の訓練は不可能」と
        「実効性の検証念頭なし回答」  
               12月24日 道原発連 ―
 

 原発問題全道連絡会は12月24日、道と泊原発から30キロ圏内の13町村が10月21日に実施した原子力防災訓練の監視活動を踏まえ、道知事宛てに18項目の申し入れを行いました。概要を報告します。申入れには原発連から、黒澤幸一代表委員(道労連議長)、大田勤代表委員(岩内町議)、大石美雪理事(岩内町議)、佐藤久志事務局長、村井秀一事務局次長の5氏が参加、菊地葉子道議が同行しました。道側からは原子力安全対策課の安倍正行主幹、同清水章弘主幹、企画防災グループの片岡映善主査が対応しました。
原発連:全住民参加で訓練の実効性を検証すべき
道当局:全員参加の訓練は不可能。介護度が高い人などリスクの多い人の参加不可能。繰り返し訓練していきたい。
原発連:陸上自衛隊による訓練見学者の執拗な撮影は止めさせるべき
道当局:訓練は公開、活動の様子を記録している、仮に個人情報収集であれば問題だからやめてもらう。
原発連:広域避難途中の放射線測定と除染活動は時間がかかり過ぎて避難が遅れるのでないか。
道当局:検査技師や医師、看護師などについては訓練で協力を得られる範囲で実施している。検査員も訓練の一環として行なっており、そのために時間を要したこともある。悪天候や冬期間の場合は、屋内での実施になる(屋内を25カ所確保している)。
原発連:原発から5~30キロ圏のUPZの広域避難はかなりの線量下の避難であり、安定ヨウ素剤の配布や服用の訓練も行うべき。
道当局:UPZの避難は規制員会の指示に従って実施される。役場には安定ヨウ素剤の保管など工夫が必要と思っている。
原発連:SPEEDIの運用を考えるべきだ。
道当局:国(規制委員会)は運用しないことになった。道としては、UPZ内67地点にモニタリングポストを置き迅速に情報を共有する。
原発連:小中学校での屋内退避と研修は、安定ヨウ素剤の話はなく、放射性物質の危険性を学ぶ点でも問題を感じた。改善すべきだ。
道当局:研修内容にはいろいろ意見をいただいている。安定ヨウ素剤の説明は、30キロ圏内の各戸に原子力防災のしおりを配布している。周知したい。放射線防護施設への屋内退避の服装などについては改善していきたい。
原発連:黒松内町が震源で、その黒松内町に避難するというのは避難場所として不適当でないか。
道当局:黒松内町内が震源なのに、その黒松内町に避難することについての懸念は理解できる。
原発連:泊原発3号機の重大事故を想定した訓練だが、安全最優先と言いながら再稼働を前提に重大事故を想定する訓練はおかしい。
道当局:3号機を想定した訓練で、再稼働するかどうかを前提としているわけではない。原発がある限り、また使用済み燃料がある限り防災
訓練は必要。
 
 
来年4月からの

「電力自由化で何がどう変わるか」
             (続報)
太陽光や風力など再生可能エネ抑制の出力制御・接続制限は
                         全く不当
 
水島さんは、北電が、原発再稼働を最優先する一方で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの接続を制限している問題を取り上げ、その理不尽さを告発しました。一つは、北電が、2015年1月「再生可能エネルギー発電設備の出力制御ルール等の変更を踏まえた接続申込に係る今後の対応について」を発表し、北海道内の太陽光発電容量が、北電の最小需要(270万kw程度)を上回る300万kw程度(2014年5月末現在)に達しており、このまま受け入れて接続すれば、需要が少ない時期を中心に供給量が需要を上回り、電気の品質に影響を与える可能性があるとして、10月1日から再生可能エネルギー発電設備(太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電)の新規の系統連系および電力購入の申し込みを、当面(数カ月)検討結果待ちにすると事実上受け入れ停止を宣言したことです。
さらに、申込が急増している太陽光発電については、北海道の接続可能量を一方的に117万kw(住宅用太陽光も含む)と算定し、2015年1月26日以降の申し込み案件について、新たな出力制御ルールを設定し、年間360時間(太陽光は半日しか発電しないので30日)を超えて出力制御した場合でも北電が補償しないことを了承した場合に限って接続協議を実施すると一方的に出力制御を宣言し開始したことです。発電出力10kw未満の接続申込案件も、4月1日以降申し込み分については制御すると宣言しすでに実施しています。ただし、実際の出力制御は、発電出力10kw以上の設備から行い、10キロW未満の設備は優先的に扱うとはいっているが、どちらにしても再生可能エネルギーを不当に抑制するもので全く理不尽です。例えば、太陽光の接続済量は2015年7月末で75万kwであり、認定容量の26%しか接続していません。だから、30日間接続を遮断することが差し迫って必要なほど太陽光はまだ導入されていません。ましてや北電の最小需要(270万kw)は春や秋の夜、電力需要が少なくなるときに発生しますが、太陽光は夜は発電しないのです。それなのに制限するというのは全く道理がありません。
風力発電についても、年間720時間(30日)を超えて出力制御した場合は一応北電が補償するとしていますが、出力20kw以上の接続申込は、接続可能量を56万キロまでと制限し、風力も出力制御の対象にしているのです。風力は2015年7月末でまだ32万kwしか接続していません。これも出力制御する合理的理由はありません。



原発再稼働を最優先し、再生可能エネルギーを事実上接続しないというのは理不尽極まりないことです。日本の再生可能エネの資源量は豊富なのに普及は遅れており、接続制限はまったく理不尽です(詳しくは、「ほっかい新報」第1996号、水島能裕報告参照ください)。

 
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原発再稼働?

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